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『聖 さとし』 © 山本おさむ/小学館
山本おさむさんの『聖 さとし』(※1)、あれはすごかったなあ。病と闘いながら将棋の名人を目指す、村山聖さんの壮絶な生涯。将棋に対する気迫や思いを、ずっと感じながら読んでた作品ですね。病院を出たらすぐ戦場だ、部屋を一歩出たら棋士なんです、っていう覚悟のかっこよさ。人間として尊敬しますし、同時にそれを描ける山本おさむさんも尊敬します。あれはぜひ、どなたにでも読んでもらいたいですね。
 やっぱり『漂流教室』も外せない。いちばん印象的なのは、主人公の翔くんが、未来の世界で先生に殺されそうになるシーン。それを察知した現代のお母さんが、どこかのビルに行って、一心不乱に壁を崩してその中にナイフを入れるの。それでまた未来のシーンに戻って、首を絞められている翔くんが手を伸ばすと、お母さんが隠しておいたナイフが出てきて先生を撃退できるという。時空を超えた母の愛なんですよね。


 手恷。虫さんの『シュマリ』は素晴らしかったですね。明治初期の北海道で、孤高の男の人生を追う大河ドラマです。手怩ウんをどういうふうに表現するか考えたんですけど、“手恷。虫はビートルズだ”というふうに考えるとわかりやすいかなと思うんです。あらゆるジャンルを開拓して征服してしまったという面で。ビートルズもよくそう言われたんですよ。ほんとに何から何までやっちゃったので、もうこのあと新しいものはないよね、って言われながら、音楽もマンガもいまだに続いている。そのうえで発展してるというのが面白いですね。
 忘れられないキャラクターといえば、『のたり松太郎』の松太郎。あつかましくて勝手な奴っていうことで。たとえば『あしたのジョー』の矢吹丈のあの勝手さ、無頼さ、乱暴さって、なんていうのかな、中に繊細さが入っているじゃないですか。でも松太郎には、そんな繊細さが微塵もない。人間が落ち込むときって、自分がかわいくて落ち込むでしょ。どうしてこんなことをしてしまったんだ、俺だって人間なんだよみたいな面を、マンガでも描いたりする。そうすると読者も、わかるよわかるよといって感情移入ができるんだけども。松太郎はそういう面を見せないで、嫌な奴だけど面白いから読んじゃうっていうのが特殊な魅力ですね。


 僕は、『少年サンデー』『少年マガジン』を中心に、マンガ雑誌を1975年から全部取っておいてあるんですよ。18歳の時に一度、ため込んだ雑誌を捨てなきゃいけなくなった時に、雑誌と記念写真を撮ってですね、「俺が大人になったら捨てないでいてやるからな」と約束をしたんですよ、マンガと。2013年までで38年分、7500冊以上になりますけど、雑誌を買い続けるのは、新しい発見があるからですね。連載を追っている作品のほかに、読み切りや新連載が載るのがいいんです。次に夢中になるもの、生きていく糧を求めているんですかね。
 最近の少年誌で面白いなと思ったのは、『SKET DANCE(スケット・ダンス)』。学校内のトラブル解決をする助っ人集団を描いたものです。ギャグあり謎解きありなんですが、一条ゆかりさんの『有閑倶楽部』のような学園ものを、時代に応じてだいぶ変えていったという感じのする作品ですね。
 うちで子供たちと一番話題になったマンガが『BMネクタール』(※2)。これがすごいんですよ。食料危機に瀕した日本で、どんなものでも取り込んで食料を作り出しちゃう生物が発明されるんです。それがバイオミートっていうんだけど。なんでも食べるっていうことはどういうことかって言うと、人だって食べちゃうんですよ。そのバイオミートが逃げ出して……という話でね、もう最高。これほどのパニックものはないっていうぐらい。
 それから『結界師』もめちゃめちゃよかったな。忍術を使って妖怪退治をするようなテイストで、横山光輝さんの『伊賀の影丸』の匂いがしたんですよね、僕には。伝統的というか、これぞ『少年サンデー』のメインストリームだなっていう感じで見ていましたね。  やっぱり少年時代に戻してくれる作品が好きなんですね、僕は。少年ものが好きだし、文字も言葉も知識も、ほとんどマンガから教わりましたからね。

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漂流教室
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シュマリ
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SKET DANCE モノクロ版
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SKET DANCE カラー版 愉快な仲間達編
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有閑倶楽部
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結界師
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伊賀の影丸
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あしたのジョー
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(※1)『聖 さとし』山本おさむ(ビッグコミックス全9巻/小学館)
※現在、新刊では入手困難。
(※2)『BMネクタール』藤澤勇希(少年チャンピオンコミックス全12巻/秋田書店)
※現在、新刊では入手困難。




(たけかわゆきひで)
●1952年生まれ、シンガーソングライター。1976年にゴダイゴを結成し、『ガンダーラ』 『モンキーマジック』などの大ヒットを生む。家族とのエピソードを綴った著書『ビューティフルネームの本』が発売中。

■次回予告: 第30回 岩佐真悠子(女優)
『ゴルゴ13』が理想の男性像というサバゲー好きの岩佐さん。
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』などの長尺ものから、
『ばらかもん』『赤ちゃんと僕』まで……アツい!!
6/25(火)更新予定



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