【担当からひとこと】
この作品は日本でもそれなりに有名なのでもしかしたら知っている方もいるんじゃないでしょうか?
スペイン出身の漫画家、イラストレーターであるフアンホ・ガルニドのデビュー作であるこの『ブラックサッド』シリーズは、実はヨーロッパ、特にフランスではその名を知らない人はいないくらいの大ヒット作であり、15年以上続いているロングセラーシリーズでもあります。
一見してわかるとおり、すべての登場人物が人間に近い姿で擬人化された動物で、あらゆる動物が出てきます。刑事は犬、悪党はトカゲ、猫のダンサー、豚のバーテンダーなど。それぞれの動物の特徴をとらえたこの描き方がめちゃくちゃうまいんですよ。さらにコマはオールカラーの水彩画で、人物から背景の陰影に至るまで日本のマンガの感覚だと信じられないくらいのクオリティで描かれています。
ストーリーは、私立探偵・ブラックサッド(このキャラクターがまた魅力的!)が不可解な事件を紐解いていくというシンプルな設定ながら、過去の恋や仲間との絆、アクション、現実との葛藤などのエンタメエッセンスがうまく配置されていて、これはふだん海外のマンガに慣れていない方でも十分楽しみながら読めるんじゃないかと思います。
なにより獣キャラの親しみやすさと分かりやすいストーリーなので、バンド・デシネ入門編にはぴったり。まだ海外コミックを読んだことがない、何を読んでいいかわからない、という方にぜひとも読んでいただきたいですね。きっとこのクールでどこかチャーミングな黒猫探偵・ブラックサッドのことが好きになると思いますよ!(担当)