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中野晴行「まんがのソムリエ」特別コラム - キミはマンガ革命の瞬間を知っているか?



 『宇宙戦艦ヤマト』のヒットで始まった若者のアニメブームは、マンガにも変化を及ぼした。マンガとアニメの垣根は取り除かれて、マンガ家がアニメ制作に直接関わったり、アニメのクリエーターがマンガを描くことも珍しくなくなった。 また、マンガ世代の小説家が登場したことで、マンガと文学との境界線も取り除かれていった。これによって、マンガはますます豊穣な表現を生むことができるようになっていったのだ。

■中野晴行の「これを読め!」
関川夏央・谷口ジロー
『 『坊っちゃん』の時代 』
 

 ノンフィクション作家の関川夏央は、雑誌の編集者やエロ漫画の原作者などさまざまな仕事をしていた77年に谷口ジローと出会った。たちまち意気投合したふたりは、『事件屋稼業』など独特のハードボイルド作品を生み出したのだった。ふたりの関係は、原作者とマンガ家ではなく、ともに信頼するに足る同士であった。

 のちに、このコンビは『坊ちゃん』執筆当時の夏目漱石をはじめ、明治という時代を生きた文豪たちを描いた『「坊ちゃん」の時代』を発表する。この作品は、原作や作画というクレジット抜きにふたりの純粋な共作になっている。また、お話の流れが文豪たちの「出会い」を軸に運ばれていくのも、まさに関川と谷口の「出会い」があったればこそだと思われる。