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【uranari】さんのレビュー一覧

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1~10件/10件 を表示

  • 1
  • 80年代オカルトブームの中核
    日本の1980年代後半からのオカルトブームの火付け役となった作品のひとつです。
    連載時に読んでいた方であれば、本作がきっかけで雑誌「ムー」などで前世/生まれ変わり関係の投稿が激増したことを覚えている方も多いでしょう。
    バブル期に浮かれる日本への厭世観、ノストラダムス関連著書に象徴されるような末世感などをあわせて、最終的にオウム真理教や統一教会などのカルト宗教に傾倒を生んだことを忘れてはいけないと思います。
    逆に言えばそれだけの魅力がある作品でもありますが、かつて、その世界観に飲み込まれて現実世界から逃避し、生きることの意味を見失っていった多くの人々がいました。それを知っていただいた上で読むべき本だと思います。
    • 参考になった 0
    投稿日:2017年08月31日
  • 戻ってきた桜玉吉
    ゲーム雑誌の黄金期を支え、鬱々とした芸風(よく考えたら芸じゃなかったのだが)で楽しませてくれた桜氏ですが、体調の不良などもあって作品数が減っていました。
    東京の震災前後の風景などを交えながら、「ふと気づくと中年になっていた」バブル世代の共感を誘います。

    何はともあれ、こうして新作が読めるのは幸いです。
    元気でいてくださいね、という応援のような気持ちで買いましたが、時折「おお、桜玉吉のネタってこういう鋭さがあったよね」と思い出されたり笑わせられたり。
    案外、といってはなんなのですが、とても楽しめました。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年02月13日
  • 日本が誇っていいハードSF
    細部まで作りこまれた、すばらしいハードSFです。
    菅原氏は寡作ではありますが、とても深い洞察を秘めた作品群を世に送り出しています。

    時には編集部と対立までしながら、長い年月をかけて完成させた本作。
    金星を舞台とし、民俗学的な洞察から、やがて人の魂や癒しへと言及していく本作は、何か人の精神の成長そのものを思わせる部分があります。

    描きこまれた細部を堪能しながら、じっくり読んで頂きたい名作です。
    • 参考になった 7
    投稿日:2015年10月29日
  • 憧れや痛みを体現した作品
    若い世代には焦がれるような思いを抱かせ、
    かつて夢を追った世代には、自分が見た夢を思い出させる。

    同時代に生きる至宝とも言うべき作家陣による作品。
    夢枕獏氏の原作もすばらしいが、そこに恐るべき労力を裂き、我々がイメージできる限界の先を描く谷口ジロー氏の画力もすさまじい。

    描かれる登場人物たちの情熱に、怒りに、そして悲しみに。自分がかつて持っていたあこがれや夢、そして挫折を思い出し、何度もページをめくる手が止まりました。
    自分にもまだ何かやり残したことがあるのではないか、これからの自分には何ができるのだろうか、そんな思いが幾度も胸をよぎりました。

    自分の中に残っている炎を、かきたててくれるような作品です。
    • 参考になった 2
    投稿日:2015年10月29日
  • 酪農の現実を知る
    作中で描かれる酪農の描写がすばらしい。
    のんびりした作風の一方で、日本の酪農家の歴史や苦悩、問題点などが随所に浮き彫りになっています。

    TPPによってますます苦境に立たされるであろう酪農の未来を予言している部分もあるこの作品。今だからこそ一読の価値があるかと思います。

    非現実的なまでに自由で奔放な青年が主人公ですが、作品の人間たちが我々の欲求や理性や現実を代弁していて、かつ登場人物が年齢性別を問わず魅力的なのもこの作品の魅力だと思います。

    放牧されている牛たちを見に、北海道に行きたくなりますよ。
    • 参考になった 2
    投稿日:2015年10月29日
  • 読み返すたびに、新しい
    ジブリ映画とも同名ですが、あちらは換骨奪胎した別物だと思ってください。

    アーシュラ・K.ル=グウィンのファンタジー文学の金字塔。
    清水真砂子さんの格調高い訳もすばらしい。

    若さ故の傲慢と驕り、挫折と再起を描く作品です。
    このシリーズは後半、生の意味や女性論を問いかける方向に大きくシフトしますが、本作は純粋なファンタジーとしても楽しめます。
    また、教育や職業のありかたについても、たびたび読者に問いかけてきます。

    何かに向き合おうとしながら矢尽き、刃折れ、心も折れそうなあなたに。
    子供向き、と侮るべからざる名作です。
    • 参考になった 2
    投稿日:2015年10月28日
  • 共有についての絶望と悩み
     「自由人の知」にあこがれるリベラリストにこそ、この本の訴えは届くに違いない。

    「語りえないものには、沈黙しなければならない」

     これは若きヴィトゲンシュタインの、絶望と望みを記した本である。
     あらゆる共有などありえないのだと否定しながら、科学というものに他者とのつながりの一縷の望みを見出すその純粋さ。そこに惹かれる若者は今でも多いのではないだろうか。

     もっとも、科学の現実はもっと粗雑である。ドイツのマイスターやフランスをはじめとしたアカデミーの流れをくむだけに、無理もないのであろうが。
     後年は著者自らがその内容を否定していたとも言われているが、若いからこそ書けることもあるのだ、という認識を改めて持たせてくれる本でもある。
    • 参考になった 1
    投稿日:2015年10月28日
  • うすっぺらい人生論に飽き飽きしている人に
     あなたは死にたくなったことがないか。
     自分がいないほうが、世界は美しい、と思ったことはないか。
     自分には生きている意味がない、と思ったことはないか。

     私にはある。
     日々、自分に問い続けている、と言ってもいい。
     この本は、そうした問いに答えようとする一筋の光である。

     ある精神科医が、収容所という絶望的な環境で、生きる意味をとらえなおすその体験談は、満ち足りたこの国に生きる我々に、あらためて、その生の意味を考え直すきっかけを与えてくれるに違いない。

     うすっぺらい人生論に飽き飽きしている人に。
    • 参考になった 1
    投稿日:2015年10月28日
  • 若い世代に読んでもらいたい
     ヒロシマというと教科書的な悲劇が強調される話が多い。それは事実であって、尊いものでもあるのだが、反面どこか教条的なトッツキにくさが残ってしまうきらいがある。
     その点本書は、被爆者とその家族たちをとりまく日常の風景やサバイバーの心の苦しみなどを淡々と描きながら、かえってそれが迫ってくる良作である。

     原爆は2次大戦の終焉を早めた、というカンタンな米国的まとめかたの価値観と、実際にその暴力を向けられた国民としての痛みという背反した苦しみを負わされているのが/負うことができるのが日本国民であると私は思う。
     そういう意味で、これからの若い世代に読んでもらいたい本のひとつ。
    • 参考になった 2
    投稿日:2015年10月28日
  • 日常のようでいて、そこから少し外れた日々
    日常のようでいて、そこから少し外れた日々を描くのがうまい作家だと思う。
    この短編集は、女性を主人公として、女性が向き合うであろうさまざまな人生の何かを描いている。
    そういうテーマだけであれば珍しくないとも思うのだが、時折、鋭いナイフのようにこちらの気持ちに切り込んでくるコマがある。そういう描写が本当にうまいと思う。

    彼の作品を読むと、自分の日常が、ただの切り貼りされた平凡ではなく、それなりにひとつしかないパッチワークなのだ、ということに改めて気づかされたりする。
    そして、当たり前に近くにあるものの当たり前さについて、改めて考えたり、感謝したりするきっかけになったり…するかもしれない、とも思う(人にもよると思いますが)。

    憂鬱で何もしたくないような日にも、あまり押しつけがましくなく読めて、それでもこちらの心のどこかに何かを残してゆく、そういう作品集です。
    • 参考になった 1
    投稿日:2015年10月28日
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