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2026~2050件/11511件 を表示

  •  書店の文庫平積み台に並べられた本に巻かれたオビの「NHK朝ドラ『わろてんか』ヒロインで話題」の惹句が目にとまった。山崎豊子著『花のれん』(新潮文庫、2014年6月20日配信)です。毎日新聞在職中の1958(昭和33)年に中央公論社から刊行され、第39回直木賞を受賞(1958年上期)。大阪船場の老舗昆布屋に生まれた山崎豊子が、吉本興業の女主人、吉本せいをモデルに大阪商人の「ど根性」を描いた初期代表作で、1961(昭和36)年に新潮文庫に入り、以来2005(平成17)年の50刷改版を経て、2017(平成29)年10月に70刷に達した超ロングセラー作品です。繰り返し舞台、映画、ドラマ化された昭和の名作だ。
     その魅力として特筆されるべきは、なんといっても大阪弁の妙味ある会話だ。
     ヒロインは、河島多加。21歳で船場の呉服店に嫁いだが、夫の河島吉三郎は家業に関心がなく、節季(2、4、6、8、10、12の月末の支払日)になると、金繰りの苦しさから支払いを求める取引先への言い訳を多加に押しつけて店を逃げ出し夜になるのを待って戻る頼りなさ。芸事にうつつを抜かすばかりの夫に、ならばいっそ道楽を本業に――呉服店を閉め寄席をやったらどうや、と多加が勧めて、二人は天満(てんま)に〈風呂屋にでもしたろかいうような寄席〉を見つけ売り値450円を430円に値切って買い取り、寄席商売に参入します。多加が25歳、吉三郎が34歳の夏、明治44年の7月の初めでした。
     それから3年たった大正3年の正月、松島の芦辺館(あしべかん)を手に入れてこれからという矢先に、性来の飽き性が首をもたげて来た吉三郎の女遊びが始まった。そして馴染みの芸者の妹、21歳の素人娘に小料理屋を持たせたあげく、その妾宅(しょうたく)で急死。同衾(どうきん)中の発作から来た心臓麻痺、まだ38歳だった。
     思いがけず大きな額の借財が29歳の若く美しい寡婦となった多加に残された。白い喪服で二夫に目見(まみ)えぬという覚悟を示した後、多加はひとり息子の世話を女中のお梅にまかせ、寄席商売一筋、借金返しに邁進します。
     大正7年の正月。多加の前に大きなチャンスがめぐってきます。
    ――大阪を代表する一流亭、法善寺の金沢亭が売りに出ているという。
     宗右衛門町の川筋に面した『菱富』の奥座敷。床の間をうしろにして坐る70歳近い金沢亭席主と向き合った多加。大阪弁による虚々実々の商談が面白い。少し長くなりますが、紹介しましょう。

    〈「ところで、お多加はん、今度はちょっと高うおまっせえ」
     と、切り出した。
    「いきなり、女なぶりは、きつうおます、なんし、後家の細腕一本でっさかい、気張って、まけておくれやす」
     軽く振りきり、多加は張りのある一重瞼(ひとえまぶた)を細めながら、油断なく金沢亭の気色(けしき)を見て取った。
    「後家はん云うたかて、あんたはたいした後家や、女や思うて甘うみてるうちに、ちゃんとした一本立ちの席主になって、こうしてわいにも買いに出てはる」
     ここで言葉を切ったかと思うと、袷(あわせ)の胸もとをはだけて、胸まで巻いたゴム編の毛糸の腹巻から、懐中用の豆算盤(まめそろばん)を取り出した。
    「わいも寄席(こや)を手離すからには、もう齢(とし)だすし、あとは貸家業でもして楽隠居する気やさかい、まとまった銭を握らして貰(もら)いまっさ」
    「まあ、そない、気忙(きぜわ)しゅう切り出しはって、フ、フ……」
     多加は、低く笑った。
    「いや、この勘定次第で、酒の味まで違うて来まっさかいな」
     白髪になった眉(まゆ)の下から、勘定高い眼を向けた。
    「あ、その方は、手前が、うかがわせて戴(いただ)く役でおます」
     ガマ口が、這(は)い出すように前へにじり出た。
    「席主のお多加はんが来はったら、もう番頭は引っ込んでんか、なんや、つぶれたガマ口みたいな大きな口パクパクさして」
     はたきつけるように云い、机の上の算盤をぱちりと、弾(はじ)いた。
    「南の一流亭の、のれん料も入れて、これで、どうだす」
     手垢(てあか)で黒光りになった珠が、二万三千円と弾き出された。
    「二万と三千、そら、えげつないでっせえ、一つこれでどうだす?」
     多加は、ついと白い指を伸ばして、眼の前の算盤珠を、パチパチと器用に下げた。──二万七百円──
    「あかん、お多加はん、そんな手荒い珠のいらい方あるかいな、ほんなら、これでどうや、五分引きや」
     ──二万一千八百五十円──
    「阿呆(あほ)らしい、こんな取引は二割方の値幅を見込んではりまっしゃろ、そいで、せめて一割は泣いて(値引き)おくれやす」
    「最初から、きれいに五分引きにしてるのや、たった一千百五十円の差やおまへんか、そんな汚ない女勘定(おんなかんじょう)云わんときなはれ」
     金沢亭は、せせら嘲(わら)うようなあざとい笑い方をした。七十の老耄(おいぼ)れに似合わぬ凄(すご)みのある侮(あなど)りである。多加は、ふっと、怯(ひる)みかけたが、
    「たった一千百五十円やおまへん、木戸銭十銭、定員四百人の寄席(こや)で一千百五十円水揚げしよう思ったら、一カ月満員にせんなりまへん、商人(あきんど)いうもんは、どない大きな肚(はら)持ってても、算盤珠弾く時だけは、細こうに弾くもんだす、二万七百円は、わての筒(つつ)一杯(いっぱい)の出銭(でがね)だす」
    「ふうん、さよか」
     金沢亭は軽く受け流しながら、多加の強靱(きょうじん)な商い腰に、やや虚を衝(つ)かれたようだったが、煙管(きせる)を取り出し、一服喫(す)いはじめた。喫い終ると、癇症(かんしょう)らしく煙管を何度も吹き通してから、今度は有無を云わさぬ強引さで、
    「ほんなら、お互いに歩み寄って、端数(はすう)を落して、これで手を打ちまひょ、二万一千円──」
    「えらい、せっかくですけど、わては家を出る時は、二つ(二万円)の心づもりで来てるぐらいでっさかい、はじめ弾いた二万七百円以上は、算盤が逆さになっても応じられまへん」
    「あんたも、なかなかしぶとい女(おなご)はんや、色気が無(の)うても、顔にちゃんと金気(かねけ)が出てる、さあ、この辺が、もう、取引のきりだっせえ」
     多加は突きつけられた算盤を前にして、前屈(まえかが)みになったまま、押し黙った。胸の中では、二万一千円ならまあ買いもんや、そやけど、寄席(こや)の手入れにも銭のかかる時やから、値切れるだけ値切りたいと胸算用した。だが、金沢亭の顔には、老(おい)の一徹に近い癇気(かんき)が来ている。貸家業をして家賃で食べたいという肚を読んだからには、この辺で手を打つべきやろか──。ちらっと、ガマ口の方を見た。ガマ口は眼で合図した。多加は軽く頷(うなず)き、金沢亭へ向き直り、
    「ほんなら、二万一千円で手を打ちまひょ、その代り銀行で借りる金でっさかい、三回割り払いということにしておくなはれ」
    「それもあかん云うたら、親子ほど齢(とし)の違う女の尻(けつ)の穴までしゃぶりよったいうことになるやろ」
     と云い、金沢亭は、穴のあくほど多加の顔を見、
    「お多加はん、あんたはえらい女(おなご)の大阪商人や、値切られへん思うたら、せめて銀行利子だけでも浮かしたろいう根性やな、よっしゃ色つけて三回割り払いにしまひょ」
     金沢亭は、ポーンと多加の左肩を敲(たた)いた。大阪商人が、よっしゃと云って、ポーンと肩を敲けば、もう証文なしで商談が成り立っているのである。多加は、敷いていた座布団(ざぶとん)から辷(すべ)り降りた。
    「おおきに、金沢亭を譲って貰(もろ)うた上に、女(おなご)の大阪商人やとまでいうて戴いたら、わてなりののれんを、この寄席(こや)に掲げさして貰います」〉

     標準語ではどぎつくいやらしさが際立ってしまうような場面も、大阪弁独特のやわらかさが女の大阪商人のビジネス――男社会に挑む商いの真剣勝負を〈驚くほどの複雑豊富なニュアンス〉(文芸評論家・山本健吉「文庫版解説」)で楽しませてくれる山崎豊子の巧みさ。本作で直木賞をとり、毎日新聞社を退職。作家生活に入り、『白い巨塔』(新潮社、2014年6月20日配信)、『華麗なる一族』(新潮社、2014年6月20日配信)、『不毛地帯』(新潮社、2014年6月20日配信)、『二つの祖国』(新潮社、2014年6月20日配信)、『大地の子』(文藝春秋、2013年3月22日配信)、『沈まぬ太陽』(新潮社、2014年6月20日配信)、『運命の人』(文藝春秋、2013年3月22日配信)などのベストセラーを連発。2013年逝去した後も、作品は時代性を失うことなく読まれ続けていますが、大阪弁、なかでも商人言葉の面白さこそが山崎文学の原点なのだと改めて思います。

     本作『花のれん』は、大阪を笑いの王国にした女(おなご)の一代記で、桂春団治、アチャコ、エノケンらの実在芸人も登場し、彼らの素顔や興味深い舞台裏も描かれています。春団治と多加が激しくぶつかった〈ラジオ騒動〉の顛末がいろんな意味で面白い。時は昭和の初め頃。多加は大阪、京都に16軒の寄席(こや)を持つ大席主になっています。

    〈「師匠、夜分、居坐り強盗みたいに参上致しましたのは、今日、師匠が出はったラジオ出演のことだす、あれは、ちゃんと一本、約束が入ってるやおまへんか、これでは約束を反古(ほご)にして、花菱亭の首絞めはったのと同じや、師匠が、そんな気でいてはるなら、花菱亭(うち)も、その気で勘定さして貰(もら)いまっさ」
     と云うなり、皮の手提げ袋の止め金をはずし、中から白い紙片を出したかと思うと、紫色の長い舌で唾(つば)をつけ、眼の前の長火鉢の上へペタリと貼(は)り付けた。幅八分、縦一寸五分位の長方形の白い和紙に、花菱亭と墨で記した上から、印肉の判を捺(お)している封印紙であった。
    「ガマ口はん、一体、これなんやねん」
    「へへ……、高利貸しやおまへんけど、貸金と損害賠償の抵当(かた)に、家財道具を差押えさして貰う次第でおますわ」
    「そんなえげつない! 御寮人さん、何とか──」
     春団治は、一言も口をきかないでいる多加の方へ振り向いた。多加は無表情な顔で、春団治の眼をじろっと一瞥しただけで、答えなかった。〉

     不貞(ふて)くさったように長火鉢に肘(ひじ)をついて、独酌でコップ酒を飲んでいる春団治を横目に、ガマ口は、長持、箪笥(たんす)、机、さらに花瓶から脇息(きょうそく)、乱籠(みだれかご)、衣裳箱(いしょうばこ)の中の着物に至るまで封印紙をペタ、ペタ、貼り付け、差押え物件を一々、丹念に帳面に書き込んだ。

    〈「御寮人さん、これで家財道具一切、差押えだす、あとは三度のご飯を食べる鍋(なべ)、釜(かま)と茶碗(ちゃわん)だけということですわ、宜(よろ)しおますか」
     ガマ口が帳面を多加に示すようにして、尋ねた。
    「ご苦労さん」
     と頷(うなず)きながら、多加はいきなり、つかつかと長火鉢の傍(そば)まで近付いた。多加の白い手が大きく伸びたかと思うと、寝そべりかけている春団治の口の上へ、ピタリと封印紙を貼りつけた。春団治は跳(は)ね起きざまに自分の口に手を当てた。
    「殺生な! 口まで差押えせんかて借金は返したるで」
     封印紙が下唇だけはずれて、春団治の上唇の上でヒラヒラした。
    「師匠、わては借金の一寸の証文が三寸になるより、ラジオが一番こわい、家財道具より師匠の口を、差押えさして貰いまっさ」
    「そんなえげつない、落語(はなし)の質入れは聞いたことあるけど、口の差押えは生れて聞き始めや、せちべん(しぶい)なことしなはんな」
    「商いにせちべんな算盤(そろばん)はじくのは、あたり前やおまへんか、師匠が人気者の桂春団治の間は、わての大事な商品やさかい、商品並につき合して貰いまっさ、その代り師匠が落ちぶれはったら、人並に優しうしたげまっさ」
     そう云いながら多加は、春団治の上唇で取れそうになっている封印紙を、もう一度貼り直すように指先で押えた。
    「さよか、落ちぶれるまでわては商品というわけでっか……、さすが、あんたは、女のくせに大阪一の馬鹿(ばか)でっかい通天閣を買うたお人だけおますわ」
     封印紙の下の不自由な口でこう云い、春団治は眼尻(めじり)に奇妙な薄笑いをうかべた。〉

     春団治の奇妙な薄笑い――3か月はこともなく過ぎますが、再び春団治はラジオに無断で出た。席主の懇親会で城崎温泉に来ていた多加は、電報で連絡を受け帰阪しますが、さてどうしたものか、さすがに妙案も浮かばず困り果てていたところに、〈ラジオで、札止め〉の知らせ。車に乗って法善寺に走った。

    〈寄席(こや)の中は、これ以上入れ込みがきかないほど詰っていた。七月の初めというのに、満員の客は蒸し暑くなった人気(ひとけ)を、出番書(でばんがき)でパタパタ扇(あお〉いで風を送っている。木戸番に聞いてみると、昨日の三倍の入りであった。まだ高座には春団治がかかっていなかったが、ラジオの春団治の噂(うわさ)が桟敷(さじき)にも廊下にも溢(あふ)れていた。
     ──これはわての負けやった──、多加はこう小さな声で独り言を云い、押し合う客に揉(も)まれてゆるんだ帯〆(おびじめ)を、そっと締め直した。〉

     独特の発想でのし上がってきた多加。落語家の口に封印紙を貼って差し押さえまでして止めようとしたラジオ出演を〈わての負けやった〉とあっさり認めて生まれ変わっていく才覚とたくましさ。今に生きる教訓は数えきれませんが、ラジオ騒動の顛末から思い浮かんだことが、ひとつあります。
     10月24日配信の「週刊朝日」(2017年11月3日号)電子版の表紙――異様です。表紙中央の大きな人物写真がグレーにマスキングされ、それが誰なのかわからなくなっているのです。もっともシルエット画像の左側に小さく「櫻井翔」の名前が残っていますから、想像はつきます。さらにインタビュー記事も収録されているのですが、ここでも櫻井翔の写真は表紙と同じように“消され” ています。もちろん週刊朝日だけの現象ではありません。理由ははっきりしています。櫻井翔が所属するジャニーズ事務所が電子書籍やネットメディアに対しては所属タレントの写真収録を許可しない方針を貫いているためにマスキング表紙が氾濫しているというわけです。ジャニーズ事務所を退所した香取慎吾らの写真が解禁されて電子書籍やネットでも普通に収録されるようになってファンが大喜びしたのはついひと月ほど前のことです。
    〈ラジオ解禁〉のエピソードから現代の〈マスキング写真〉に連想が拡がった次第です。ちょっと脱線しましたが、大阪弁で読ませる初期山崎文学――本書の他、デビュー作『暖簾』(新潮社、2014年6月20日配信)、『ぼんち』(新潮社、2014年6月20日配信)、『しぶちん』(新潮社、2014年6月20日配信)も併せてお読みください。(2017/10/27)
    • 参考になった 3
    投稿日:2017年10月27日
  • 匿名希望
    次を読むのが楽しくなる。
    基本的に西日本を舞台にしていますが、方言の描写は無くすんなり読めると思います。人間と神の関係が少しづつ身近に感じられる作風は著者の感性に由来するのでしょうか。フっと笑ったり、納得がいかなかったり、一緒に考えてしまったり、共感を覚える部分も有ります。気軽に読める短編の形式で構成されていますが、大きな流れで繋がっています。次が読みたくなるそんな1冊です。
    • 参考になった 0
    投稿日:2017年10月26日
  • 匿名希望
    何度読んでもいいです
    やっぱりこのお話大好きです。
    いおかさんの作品の中でも特に好きな作品で完全版楽しみにしていました。
    最後の書き下ろしも良かったです。イラストレーターさんは変わりましたが秀一が色っぽくてこちらも楽しめました。
    • 参考になった 0
    投稿日:2017年10月26日
  • 匿名希望
    わかりやすいエクセル
    解かりやすい本だ エクセルはあまりしたことがないので役に立つ
    もっと良い本があればその本も買いたい
    • 参考になった 0
    投稿日:2017年10月25日
  • 戦争を描きながらも素朴で透明感のある絵柄
    連載中の作品なので4巻時点での感想です。
    愛国心に溢れる若き女性兵である主人公が北方の戦地に向かうところから物語は始まります。戦争をテーマに描きながらも、主人公を含め女性たちのふくよかな身体の柔らかな雰囲気や何気ない自然の美しさが丁寧に描かれ、素朴でどこか透明感のある絵が素晴らしいです。
    ですが、あくまでも戦争ものなのである程度のグロ描写への耐性は必要かと思います。また、同性・異性との性的なシーンがあるので苦手な人は要注意
    派手な戦闘シーンやパニック感を楽しむ作品というよりは、登場人物を通して戦争について考えさせられるようなタイプの作品です。
    • 参考になった 0
    投稿日:2017年10月25日
  • 短いながらも読みごたえあり
    輪廻転生をテーマにしたSFストーリーです。冒頭のようにバトルシーンも一応ありますがバトル要素がメインの話ではありません。
    いくつかの章で区切られ、短編集のような読みやすさもありながら前フリや伏線もしっかりあります。全6巻の割に登場人物が多いので少し名前が覚えにくいのとSF部分の説明がやや難解ですが、ざっくりと理解するレベルで充分ストーリーは楽しめると思います。
    ラスト辺りは様々な点で賛否が分かれるかと思いますが、私は予想の斜め上を行く感じが逆に楽しめました
    • 参考になった 2
    投稿日:2017年10月25日
  • シュールな雰囲気漂う短編集
    同作者の「ダンジョン飯」からハマり、同作者の作品は遡るように全て読みましたがこの作品は「竜の学校は山の上」に近いものを感じました。現在連載中の「ダンジョン飯」とはまた少し違った雰囲気を持つ短編集です。
    様々な角度から描かれたシュールな雰囲気漂う短編集で作者の引き出しの多さを感じさせられました。漫画ではありませんが、某「世にも奇妙な」シリーズとかが好きな人はハマりそうな感じです
    • 参考になった 1
    投稿日:2017年10月25日
  • 匿名希望
    動機よければ行為やむなし?
    取り敢えず一巻試し読み。
    なんかカテゴリーづいてるんですね、「賄い系」っての。
    そんなの学生下宿(それも契約内)の世界でしか連想できない世代なので、何か取っつけない。
    不意としたきっかけで隣人に食事をと言う境遇が着いてけてないのかなぁ(^_^;)。
    そう言う中でこの作品ってのは、
    割とヒロインの八雲さんが何かと仕掛けたがって愉しんでいるんですよね。
    皆さんは二人のやりとりが純粋なんで読んでるようですが、
    私は逆にそもそもの賄いという行為のハードルが高くて踏み込めない。
    旦那を失い生き甲斐も喪失し掛けたトコに食べ盛りの球児と知り合い、彼の食欲を満たそうとやる気を取り戻す。
    そう書くとキレイなんですが、
    八雲さんそのノリはちょっと・・・・(お題目(-_-;)
    • 参考になった 13
    投稿日:2017年10月25日
  • 少女たちの楽天地方生活
    ポイントセールで取り敢えずは5巻までの購入。
    分校の少女達の他愛ない地方(後述)生活をコミカルに綴ります。
    内容は学校生活や自然を独自のテンポで愉しく展開しています。
    色んな意味で天真爛漫な6歳児、
    東京から来て間もない発育超優良な10歳児、
    パワフルでオバカ丸出しの12歳、
    幼児体型のコンプレックスが玉に瑕の13歳。
    彼女らの相関関係のズレも面白く、たまに年功とは逆転したかけあいも。
    狭い村なのでこの中からも姉妹や先輩などの関係が絡み、ボケ挿しツッコミも。
    たまに時間軸を移した話があり、それもキャラの展開を膨らませてます。
    ただ、
    子供目線での世界観の描写は巧いのですが、
    舞台的には目をつむれない面もありそこが気になり出すと・・・・・
    作者的には『田舎』を描写してるようなんですが、
    (作者的には記憶の中のより合わせらしい)
    連載当時で広島市郊外よりも恵まれた環境が多々あったり、
    (5時間待てばバスが来る、駅には119系や205系が走ってるなど)
    農林作業や村の行事には全く駆り出されないこと、
    何より、
    基本的に男性と高齢者がモブキャラ以下の扱いに。
    (5巻現在で複数コマ出てくるキャラがヒロインの長兄とおばあさん一人だけ)
    平成合併で超過疎地が市内になった当方から見ると違和感が拭えないです。
    「田舎生活」という意味では完全にお伽噺なのでそこは注意です。
    キャラの掛け合いで笑って下さい(^^ゞ。
    • 参考になった 1
    投稿日:2017年10月25日
  • 匿名希望
    久々のスリルと絆(*´Д`*)
    ソードアートオンラインと、似て異なるスリルと絆で、一気に買いました!主人公が社会人の女性で、運動音痴だけど頭脳派なのだけど可愛い。男性は頼れる人だけど、可愛い♪他にも個性的な人達が、強制的にゲームに参加させられ、死と隣り合わせの中、協力し合いクリアーを目指す!
    は〜、続き待ちが久々にたまりません!
    電子漫画で揃えてるけど、まだかな〜〜(*´Д`*)
    • 参考になった 4
    投稿日:2017年10月24日
  • あたたかい涙
    ある少女の一途な恋物語です。4コマ漫画ですが、幕間に愛らしい詩が差し込まれます。そうしたものすべてを含めて、なんとも微笑ましく、つつましく、あたたかいお話です。2巻の あるポエムに泣いてしまいました。多くの方に触れていただきたいです。
    • 参考になった 0
    投稿日:2017年10月24日
  • ペスカトーレで褒められちゃって
    有名シェフの料理本で、料理ベタな私も褒められちゃって,やる気が出ました。時間と手順に忠実にやってみました。美味しい料理が私でも
    • 参考になった 0
    投稿日:2017年10月24日
  • おもしろいよ
    笹本祐一さんの作品というと、アニメ、劇場版が公開された「モーレツ宇宙海賊(原題ミニスカ宇宙海賊)」が有名ですかね。
     
    この作品は1987年から2005年までの間に本編20巻、番外編2巻が刊行された作品です。
    今は「ARIEL(エリアル)」を知っている若い人は少ないと思いますが、
    当時はOVA、オーディオドラマ、アンソロジー本とマルチメディア展開されていました。
     
    マッドサイエンティスト
    美少女3姉妹
    巨大美少女ロボ
    宇宙人
    侵略
    ダメ上司をフォローする美人経理部長
     
    このキーワードに反応した人は読んでみてはいかがでしょう?
    • 参考になった 3
    投稿日:2017年10月23日
  • 匿名希望
    本当によかった!
    短編の方も全巻買ってたのですが、この作品が本当好きで特典も気になっていたのでダブってしまいますがこちらも購入しました!
    本当に買ってよかったです!満足の特典でした!欲を言えばあとせめて5ページ分くらいは見てたかったです笑
    続編がでないかなあと陰ながら応援しています!
    • 参考になった 2
    投稿日:2017年10月23日
  • 匿名希望
    凄く楽しめた
    映画も観たが小説版もグイグイ引き込まれたしあっという間に読めた。読み終わった後は楽しみがなくなり寂しい気持ちになったがドラえもんマニアは買っても損はしないと思う
    • 参考になった 1
    投稿日:2017年10月23日
  • 料理本ではないが‥
    料理の作り方とか、本格的な話は、他の本にまかせておいて。
    料理と恋愛の話を楽しみましょう♪
    • 参考になった 4
    投稿日:2017年10月22日
  • 泣けるBL
    キラキラがどこにもない、世間に埋もれてるような二人が再会して、いろいろ取り戻していく話。
    いろいろ経た二人の、後日譚「二人の日常」が秀逸で泣けます。
    とにかく読んで欲しくてレビューを書いてしまいました。
    せつなさ、ほっこり、じんわり、を感じられる作品です。
    二人が中学の同級生でその頃の思い出を大切にしているからか、生活感があるのに、どこかおとぎ話のような、絵柄とあいまっての透明感とかがあります。読んでいると、例えばゴミやスラムを映していても映像が美しい映画を見ているようです。(いい意味で!嘘っぽいという意味ではないです)
    この作家さんは一人称で描くところと、間や空気感を描くのがうまく、いつのまにか世界に引き込まれてしまう魅力があります。
    おすすめです!
    • 参考になった 4
    投稿日:2017年10月22日
  • 匿名希望
    学園ミステリー
    シリアスとラブコメが絶妙なバランスです。
    話が進むにつれ少しずつ謎は明かされ...と思いきや深まっているような気も...。
    無駄のないストーリー展開で引き込まれます。
    • 参考になった 2
    投稿日:2017年10月22日
  • 原作プレイヤーが見たかったうみねこ
    ep8のみ買っています。
    ・電子書籍版の特徴
    オマケ漫画(巻末、カバー下、作者コメント)がちゃんとついてます。夏海先生といったらこれ。
    あと、すごいのが赤字。
    マジで赤字です。青字も紫字も色がついています。
    (漫画オリジナルのうみねこ紫の方はモノクロ掲載でした。参考までに)
    紙での入手が困難だったため、うみねこのためにebookさんに登録しましたが、
    読みやすく処理済でオマケ漫画も完備されておりむしろ電子版で良かったと満足です。
    ・・・・・
    初見の方は、
    続き物なのでep1から手をつけてください。こちらはep8、最終エピソードです。手を出すのは漫画、原作PCゲーム、PS3コンシューマー、アニメのどれでも(なお、アニメは情報量少ない上に未完)
    ・・・・・
    原作ゲーム当時にプレイ済です。
    「あの人はどうしてあんなになるまで追い込まれたのだろう」
    「あの人は幼い自分をxxxxxxしたあの人のことをどう思ってるのだろう」
    「あの時のトリックってなんだったの?」
    「凶器や犯行実行者って」
    っていう疑問に対する補完がすごいってレベルじゃなく。
    あっあの親子がこんな会話を!ああこっちも!そしてあーあー戦人と例のあの人が核心に触れるような言葉掛けを…!なんて
    作者の夏海先生がうみねこの人物たちを活かして活かして生かしまくっています。
    さりげなくトリックを示唆してる場面もあれば、魔法バトル中に赤青で明言したりもします。
    原作ep7、8のショックが大きかったため(ep8はなんか縁寿が可愛かった)とそれ以外は何も思い出せない状態での拝読だったのですが
    これを読んでからは大好きだったうみねこワールドが脳内で溢れる溢れる。
    また、一巻竜騎士07さんのあとがきが哀愁漂ってるのがなんとも。
    ・・・・・
    一時でもうみねこのことが好きだったことがある方に特にオススメします。
    文句なしの作品でした。
    エヴァは天使。
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    投稿日:2017年10月21日
  • 百合的に気になる箇所のメモ
    vol.1のみ読んでます。
    ・あらすじ通りふたなり無し
    ・棒無し
    ・作者3名とも男性(男性向けの作風)
    満足度高いとも思えなかったので、百合妊娠気になる方はナンバーは気にせず他の号を買うのも検討してよいかも?
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    投稿日:2017年10月21日
  • 有菜っちのおねショタおねが読めるなんて
    ショタコン向けメモ
    <猫太はずっと小学生のまま話が進み、年齢逆転もなし。一途。イケメン発言製造機>
    特殊能力やらのファンタジー要素は無いです。
    が、過去作のキャラが(本当にオマケ程度に)1コマだけこっそり書いてあったりで、イオン~満月をさがしてぐらいしかちゃんと読んでなくとも懐かしさにほっこり出来ました。
    作者の画力が安定して、でも瞳のキラキラ感は洗練されています。
    主人公の愛ちゃんもふにゃふにゃしててかわいい!正統派鈍感主人公は何人書いてもらってもやはりいいものです。
    最近の作品も追っかけたくなりました。
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    投稿日:2017年10月21日
  • 匿名希望
    モチベーションが上がりまくる!
    英会話本は沢山読んできたけど、こんなにモチベーションが上がるハウツー本は初めてでした。中身は小説ですが、「英語を話せるようになる」ハウツーが張り巡らせており、今のままの英語の勉強では絶対に話せるようにはならないと危機感が襲ってきました。黒板を眺めていて英語を日本語に訳している場合ではない。痛烈にそれが描かれています。英語を話せるようになりたい人は必見です。
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    投稿日:2017年10月21日
  • アニメを見た人にほど、読んで欲しい
    私はアニメを見ていました。最初はとても面白かったし、友利さんも有宇くんもみんな大好きになったけれど、話が進むにつれて、なんだか色々と引っかかるところが出てきて、お世辞にも、私は、charlotteはとても良いアニメだった、とは思えませんでした。
    でも、charlotteの雰囲気、世界は本当に好きで、漫画を買ってしまって…。
    漫画には、オリジナルエピソードが加えられています。他にも色々な部分、私がアニメを見たときに引っかかっていたところ、置いてけぼりを食ったところなどにちょこりと手が加えられていて、成る程、そういうことか、と納得したり。あまり掘り下げられていなかったキャラにもスポットライトが当たっていて、深みが出ていて。
    これぞcharlotte!!
    アニメを見たことがある人でも、さらに楽しめます。charlotteをもっと好きになれます。私はこの漫画のおかげで、charlotteを純粋に好きになれました。
    もちろん、アニメを見たことのない人にも読んで欲しいです。本当に、面白く、笑えて泣けるいいお話です。
    長々と失礼しました。
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    投稿日:2017年10月20日
  • 匿名希望
    稀に見る良TL★
    少女漫画のようにドキドキ恋愛も見たいけど、大人な要素まで踏み込んで欲しい!と思ってるTL好きさんにおススメです!ヒーローの色気と、クールさに漫画ってこと忘れるぐらいハマって何度も何度も読んでしまいました!冷たいメンズが好きな人、ぜひ読んで!はるこ先生はほんとすごい…
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    投稿日:2017年10月20日
  •  1945年3月、太平洋戦争末期の沖縄本島。米軍の容赦ない空爆、艦砲射撃が開始され、そして4月1日上陸してからは火炎放射器が兵士ばかりか住民を追い回し、焼いた。家族をすべて失い、一人生き残った少女――占領下の沖縄からボリビアに渡り、激動の時代を逞しく生き抜いた知花煉(ちばな・れん)の一代記『ヒストリア』(角川書店、2017年8月25日配信)。1970年沖縄・那覇に生まれ、石垣島で育った気鋭作家、池上永一が20年前から温めてきた〈オキナワ〉の物語だ。
     ヒロイン知花煉の述懐を綴る、こんな一節がある。

    〈生きるか死ぬかの瀬戸際に追い詰められるまで、同時に家族、友人、知人が皆殺しにされるまで、戦争がどういうものなのか、ピンときていなかった。両親は誰かに憎まれて殺されたわけじゃない。友達も何ひとつ悪いことをしていなかった。それなのにある日、爆弾が落ちてきて、骨も歯も残らないほど粉砕された。極悪人の処刑でもここまでしないだろうというほどに。恐ろしいのは、アメリカ軍は私たち住民をまったく憎んでいなかったということだ。人は憎悪がなくても悪魔になれる。それが戦争というものだった。〉(「第十三章 私の魂の還る場所」より)

     米軍上陸前夜の空襲が始まり、〈最初の一発が女の叫び声のような音をたてて大地に炸裂し〉その衝撃で知花煉は〈自分の意志とは裏腹に大地を転が〉り、〈天と地が泥濘んでいるような曖昧な空間を木の葉のように舞〉い、マブイ(魂)を喪失した。普通なら肉体も失って〈死〉を迎えるはずですが、しかし肉体は存続し、知花煉が二人になった。マブイは地球の反対側のボリビアに飛ばされた。不発弾に守られるようにして横たわっていて覚醒し、〈長い死に際〉を生きることになった知花煉は沖縄戦の過酷な現実のなかに放り込まれ、100日間逃げまどう。「第一章 私の長い死に際」より引用します。

    〈私は敵を見た瞬間に殺されてしまう立場だった。敵と遭遇しないことこそ生き延びる唯一の道だった。この敵とはアメリカ兵はもちろん、日本兵も含まれる。銃を持った兵隊は全員が敵だった。〉
    〈もはや人の道に悖(もと)る連中だった。お国のためだと言って米を略奪する。水場を独占する。逃げ場の壕を奪う。泣いても喚(わめ)いても無駄だった。私が芋を両手で抱えている時のことだ。三日ぶりの食糧でやっと手に入れたものなのに、兵隊は恐ろしい顔をして、
    「いざとなったらこれで死ね」
     と手榴弾と交換させられた。私の命は手榴弾と同じだといわんばかりの口調だった。戦況は内側に日本軍というもうひとつの敵を内包し複雑になっていた。アメリカ兵は嫌いだが、日本兵は恐ろしかった。
    「せめて空腹を紛らわすお水だけでもください……」
    「貴様、なんだその目は!」
     私は眼鏡の日本兵が振りかざした銃床で殴られ泥のなかに突っ伏した。〉

     玉砕が迫る中で、この眼鏡の日本兵は奇形の芋虫にしか見えない陰茎を目の前に突きつけ、煉を自らのおぞましい性欲のはけ口にさえした。沖縄住民、とくに老人や子どもは、戦場の生態系のなかで最底辺に属していた。

     1945年6月23日。沖縄戦は終結した。夥しい屍体と、それと同じくらいの瀕死の生存者と、圧倒的な絶望。そんな占領下沖縄の戦後を知花煉は逞しく生きる。嘉手納飛行場近くのコザ市(現・沖縄市)の一角でアメリカ製品の横流しを請け負う商売を営み、後に初代琉球列島高等弁務官となるジェームズ・E・ムーア陸軍中将の知遇を得るが、ちょっとした手違いから米陸軍CIC(Counter Intelligence Corps 対敵諜報部隊)に追われる身に。そして、肉体を持つ知花煉も偽造パスポートを手に入れ白い移民船『チサダネ』号に潜り込みボリビアに渡ります。アフリカ最南端の喜望峰(きぼうほう)を回って大西洋に入り、ブラジルのサントスまで50日間の船旅です。
    〈煉、待ってるよ〉
     沖縄を離れる間際、知花煉の頭に響いた声。地球の裏側のマブイ(魂)が誘っているのだろうか。
     沖縄から遠く離れた南米ボリビアの地。二人になった知花煉――肉体を持つ「私」とマブイの「わたし」の物語が並行していく。入植地に入った知花煉は、大洪水や疾病による挫折を味わいながらも未開の地を切り開き、コロニア・オキナワを築きあげる。
     そしてもうひとりの知花煉がゲバラと出会い恋に落ちていき、物語は一気に戦後の裏面史を織り込んだスケールの大きな展開へと動き始めます。

    〈すっきりとした面持ちの青年が、まるで旧友との再会を懐かしむような顔で近づいてくるではないか。私は反射的に身を強張らせたが、青年の笑みは確信に満ちていく。
    「間違いないポデローサ号だ。懐かしい。おお神よ、一体なぜポデローサ号がボリビアにあるんだ!?」
     上流階級の服装をした青年のスペイン語のイントネーションから、アルゼンチン人だと思われる。〉

     知花煉の愛車、ミヤラビ号はその青年が手放したものを再生したバイクだった。意気投合してラパスまで一緒に行くことになった二人。ラパスまでの道のりは日を跨ぐ。この夜、二人はコチャバンバというボリビア第三の都市で休むことにした。亜熱帯のサンタクルスとは異なり、コチャバンバは高山性の気候に変わる。

    〈「レンのベッドはここ」
     エルネストは私の腕を引っ張り、全身で受け止めた。子供っぽい振る舞いだが、お見事でもある。
    「私は行きずりの関係は嫌よ」
    「ぼくだって嫌だよ」
     私たちは同時に唇を重ねた。すぐに私たちは全身に火がついたように昂(たかぶ)った。コチャバンバの夜の寒さなんてもう問題ではなくなった。私たちの肌は汗でぴったりとくっついてしまった。私は初めてなりふり構わない夜を過ごした。(中略)
     私はエルネストに恋をした。彼のまたの名をチェ・ゲバラという。〉(「第四章 風の中の初恋」より)

     世界は米国とソ連の冷戦の時代。ボリビアでは武装蜂起して政権を奪取した民族革命運動党(MNR)によるボリビア革命(1952年~1964年)が始まっていました。
     知花煉はボリビアで3人の“仲間”を得ます。
    ・カルロス・イノウエ………沖縄の血を引くボリビアの日系三世。機械の修理を得意とする。
    ・セザール・イノウエ………カルロスの兄。カルメンの熱烈なファン。
    ・カルメン……………………女子プロレスラー。ボリビアの国民的英雄。バット・プレスが必殺技。
     ひとつの肉体を巡ってぶつかり合い乗っ取りをはかる二人の知花煉の戦い。米陸軍が使っていた大型輸送機を手に入れ空賊として南米中を飛び回る煉と3人の仲間の大胆かつ危機一髪の連続シーン。沖縄の基地から盗み出されたメースB(中距離巡航ミサイル)の核弾頭を米ソ核危機(1962年)さなかのキューバに持ち込みカストロに渡そうと画策する〈わたし〉。キューバには恋人のゲバラがいる。そしてカストロの手に渡る前に核弾頭を〈欲望と本能の赴くままに動く野獣〉から奪い返そうとキューバに向かう〈私〉の息詰まる攻防。そして結婚と清香(さやか)の誕生。最愛の娘の誘拐と奪還。夫の死。

     およそ400字詰め原稿用紙2400枚、紙書籍629ページの長編エンターテイメント。それにしても、なぜ、ボリビアなのか。著者はあるインタビューでこう語っています。

    「発端は僕が二十七歳の時、帰省中に、NHK沖縄放送局制作の情報番組をたまたま見たんです。
     子どもたちが三線を弾いていて、どこか離島の学校かな、と見るともなしに見ていたら、インタビューに応えて喋る子どもたちの言葉が、古い沖縄の、祖父やその上の世代が喋っていたきれいな首里方言で、『えっ?』と思って、集中しようと意識を向けると「以上ボリビアからでした」と終わってしまった。
    『いまのがボリビアかあ』と頭に刷り込まれて、僕らの世代が聞くことはできるけれど、喋ることはできない言葉を喋る子どもたち。ウチナーグチの舌下音も声調も完璧で、これはどういうことなんだろう、もっと知りたいなと思ったんですよ。ボリビア移民について詳しく知っていそうな研究者に聞きに行くと、いい反応をしてもらえない。はっきりとは言わないんだけど『やめとけ』『彼らのことはそっとしておいてやれ』というニュアンスです。
     そうなるとさらに知りたくなるじゃないですか。自分なりに調べていくと、戦後の沖縄で、多くのボリビア移民が海を渡っていた。まるでパラダイスに行くかのように移民を勧める、移民局の資料も残っていました。
     沖縄では、ブラジルとかハワイに移民した親戚がいるのは割と普通のことです。けれど、戦後の、基地をつくるために農地の強制収容とセットで行われたボリビア移民のことは、忘れた、もしくはなかったことのようにされていた。当時の沖縄の論調というのは、自分たちは真っ白な被害者なんですよ。生きるうえで加害に与した部分もあるのに、そういう歴史は隠蔽してしまっている。そういう複雑な感情が、ボリビア移民に対してはあるんだと思う」(KADOKAWA発の文芸情報サイト「カドブン」より)

     そうした背景の中で、ボリビア移民だけが日本的なアイデンティティ-を死守しているという。
    「ブラジルもペルーもアルゼンチンもチリも、すべて同化の道を選んで日本語をすてているんだけど、ボリビアは違っていた。コロニア・オキナワでは、第一言語を日本語にして、スペイン語は中学を卒業してから学び始めるんです」(同)

    「沖縄の返還なくして戦後は終わらない」沖縄返還(1972年)時の首相で、安倍晋三首相の大叔父、佐藤栄作氏が残した言葉です。
     沖縄が日本に復帰するというニュースを聞いたヒロインの知花煉は、娘の清香(さやか)とともに沖縄に行くことを決意する。

    〈その夜、私はまた戦争の夢を見た。
    ──煉、早く沖縄に来て。私、苦しいよ。
     私は覚悟を決めて目を覚ました。この悪夢を断ち切らない限り、私の戦争は決して終わらない。そのために沖縄に戻るのだ。〉

     ボリビアでボリビア人として生きていくために、コロニアル・オキナワでボリビア人として死ぬために、やっておかなければならないことがある。固い決意を胸に飛行機を乗り継いで沖縄の地に降り立った知花煉。
     沖縄本島中部。煉の村があった場所には[CAMP HANSEN]のプレートが掲げられていた。村は立ち入りできない基地の中だ。頭の中に響く彼女の声――。
    〈──煉、私はここよ! ここにいるわ!〉

     胸の奥底から絞り出したようなヒロイン知花煉の内なる声、
    〈現在も、私の戦争は終わっていない。〉
     この一行で物語は終わります。

     今もそこにある〈戦争〉――ウチナーンチュ(沖縄人)に寄り添う作家の揺るぎない思いがこの巨編〈終わりなき戦争の物語〉を貫き、読み応えのある作品にしています。(2017/10/20)
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    投稿日:2017年10月20日