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  • 宮脇俊三さんといえば、いわゆる「鉄ちゃん」(最近は鉄分の濃い女性も増えて「鉄子」などと呼ばれているようです)の間では彼を知らない人はモグリ、鉄ちゃんとはいえないといわれるほどの伝説的な鉄道マニア、紀行作家です。成蹊学園から東京大学を出て中央公論社に就職して、看板雑誌の「中央公論」や「婦人公論」編集長を歴任。最後は重役になって退社、文筆家となって鉄道や旅に関する、多くの著作を残しています。その宮脇俊三さんがインタビューに答える形で、自身の生い立ちに始まって、編集者時代、生涯を通して続けた「旅」という生き甲斐について思いのままに語ったのが本書『私の途中下車人生』です。旅を語る語り口、平易な言葉遣いは、講談社電子文庫の電子デバイスに最適化した組版、大きな文字とあいまって実に読みやすく、一緒に旅をしているかのような気分になってきます。なんとも不思議な読書体験です。宮脇さんは編集者として多忙な生活をおくりながら、国鉄全線完乗を達成して、そのことを書いた『時刻表2万キロ』を中央公論社を退社した直後に河出書房新社から出版しています。これが大評判となって、宮脇さんの文筆家としての生活が始まるわけですが、その時のことについて宮脇さんは本書でこう語っています。「国鉄全線の乗りつぶしに熱心になるにつれて、私の仕事第一の姿勢もくずれてきて、最後の一年半くらいは、どうも鉄道旅行のほうがたいせつになっていましたね。会社での仕事に限界を感じ、もう潮時だと考えていたからでもあります。(中略)それでも、会社の出張のついでに未乗線区に乗るということは、一度もしませんでしたね。自分の趣味の聖域と会社を混ぜ合わせたくないという気がしていましたから」この鉄道にかける思い、こだわりが、宮脇俊三さんの多くの著作の品格になって表れているように思います。(2010/10/22)
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    投稿日:2010年10月22日
  • 「整いました・・・・・・」とやってうけている若手のタレントがテレビに始終登場するなど言葉遊びがブームとなっています。言葉遊びの原点とも言うべき落語も人気を集めているようです。『新編 落語の落(さげ)』(全2巻)は明治大正期の雑誌記者、小説家・海賀変哲が大正7年に刊行した「落語の落(さげ)」(初版は大正3年)に雑誌「文芸倶楽部」に連載した「拾遺落語」「新作落語」「小話一束」などを加えて東洋文庫に収められた、落語の真髄を究めた書です。著者は札幌農学校(現在の北海道大学)を卒業後、当時の大手出版社・博文館に勤め、「文芸倶楽部」の編集に携わる一方、「変哲」というなんとも人をくったペンネームで小説なども書いた才人で、「落語の落」も同誌の連載として書かれたものが後に単行本として刊行されたもの。この本の何が凄いのか。海賀変哲自身が耳で聞き、目で見た演目だけを集めてその落を簡潔に解説してみせる技につきます。その数三百数十にのぼりますから、当時高座で語られた噺はだいたい網羅していたと言っていいのではないでしょうか。ちなみに、電灯の普及が始まるのは明治30年代に入ってからのことで、それまで寄席は薄暗かったそうです。日本全体が夜は暗かったわけですが、とにかく寄席では大ランプがつり下げられ、高座には二つの燭台という状況で、薄暗いなかで噺家が怪談話を語るからこそ気分も乗るし、面白かった。煌々と灯る明かりのなかで聞く幽霊ではその気にはなりにくい。秋の夜長――そんな往時に思いをはせながら、落語を読んで愉しんでください。(2010/10/22)
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    投稿日:2010年10月22日
  • 刑務官と死刑囚の交流を通し、死刑制度の意味に向かい合った本作。重いテーマを丁寧かつ大胆に扱っており、連続ドラマの原作になるほど内容がつまった、読み応えある作品です。最初はタイトルに引っかかったんですよね。”モリ”というのは何となくわかるけど”アサガオ”って何?と。これは作品の最初でわかります。しかしそれがわかった時点で、話の本筋に引き込まれている自分がいました。冒頭、ある死刑囚の刑が執行されます。立ち会った刑務官とは信頼関係が結ばれていた様子。この二人の間にはいったい何が?と思わせておいて、舞台は過去へ。この死刑囚・渡瀬が登場するのは物語の中盤で、それまでは収監されている死刑囚の罪と、死を待つだけの極限状態での真実が主人公・及川の眼を通して明らかにされます。この過程の中でテーマが浮かび上がってくるのですね。それは”死刑”に作品として答えをだすこと。そして及川は渡瀬の死をもって、それから逃げることなくきちんと答えている。これは本当にすごいことです。(2010/10/22)
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    投稿日:2010年10月22日
  • 「コブラ」の著者がCGを駆使して描いた衝撃的なカラー漫画。今でこそCGはお馴染みですが、本作が発表されたのは10年以上前の1998年。当時、CG漫画として十分に画期的な作品でありました。しかし実はこれ以前に「タケル」で著者は3DCGを導入しており、その点では”初”という冠はつきません。では何が衝撃的だったのか。それは主役に女優を起用し漫画と合成した、ということです。女優はインリン・オブ・ジョイトイ。全編Tバックでバイクにまたがりサービス満点、という衝撃もあるのですが、さらに衝撃なのが、大変な製作過程が推測できてしまうこと。下絵を描きそれに合わせてブルーバックでインリンを撮影し合成。全カットこれですからそりゃあ手間はかかります。そしてその写真がピタリとはまって、ちゃんと寺沢漫画の一員になっている。これが一番の衝撃。これからは漫画で何でもできると思ったものです。この作品以降、同様の手法で描かれた作品を聞かないことからも、偉大な実験作と言っていいと思います。(2010/10/22)
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    投稿日:2010年10月22日
  • 最近、幕末のドラマで芸妓が踊る姿を見て、以前、京都・嶋原の角屋(すみや)や輪違屋(わちがいや)を取材したことを思い出した。新選組が足繁く通ったことでも知られる角屋には、柱などに隊士がつけた刀傷が今も残っている。置屋から太夫や芸妓を呼んで、接待客をもてなす一流の揚屋として名を轟かせただけあり、赤壁や格子造りの建築技法や調度品の数々は、現代とはかけ離れた異質の文化を残しているようだった。そして、そこでどんな人間模様が描かれたのか、想いを馳せてはみたものの、イメージが湧かなかった。もりもと崇の『難波鉦異本』(なにわどらいほん)には、江戸時代に艶やかさを競った遊女が活写されている。遊女といっても、見習いの禿(かむろ)を振り出しに、端(はし)、鹿子囲(かこい)、天神(てんじん)、そして頂点の太夫(だゆう)と階位が分かれていて、すべてが実力次第。ここでいう実力は女そのものの魅力だけではなく、歌舞音曲や立花・茶の湯などの芸に秀でることも兼ね備えなくてはならない。『難波鉦異本』では、天神の和泉(いずみ)と禿のささらが、烈しい世界でしたたかにそして健気に生きる姿が描かれている。もはや現代ではお目にかかれない文化を垣間見られる、それも漫画の魅力のひとつではないでしょうか。
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    投稿日:2010年10月19日
  • 一見なにかにひっかけているかのように思わせるタイトルは、内容をストレートに表したもの。小学生の女の子が子供を産むという、作者があとがきで述べているように「ぶっそう」な話です。やがてクラスメイトたちが団結して女の子と子どもを守っていくのですが、そういう団結って小学生だからこそありえるのかも…と思わせられるように、リアリティの演出が素晴らしく、その分、読者に重~く迫ってきます。たいへんな文学的作品ではないでしょうか。
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    投稿日:2010年10月19日
  • 突然ですが、自分が感じていた壁を突き破った瞬間って、気持ち良いもの。この『ハルジャン』は、主人公・梅田晴気(はるき)が、スキーのジャンパーを目指すお話。元々は高所恐怖症だったが、屋上でのちょっとしたジャンプで苦手を克服した時に新任教師の尾崎と出会い、ジャンプの世界に徐々にのめりこんでいく。晴気はスキーが得意でもなく、ましてやジャンパーに憧れていたわけでもなかったのに、なぜかジャンプに惹かれていく。そのワケは“飛ぶことが好き”になってしまったから。ジャンプのことをほぼ何も知らないのに、とにかく飛びたいから、無謀とも思えるチャレンジを繰り返す。何度転んでも、ケガをしても淡々と挑戦し続ける。とにかく、好きなのだ。晴気はジャンパーとしての天性の素質の持ち主なので、開花は早い。才能の持ち主が、練習好きになってしまったら、怖いものなしなのだ。苦手だと思っていた壁が崩れたら、すこぶる好きなフィールドが表れたなんて、うれしいことじゃありませんか。さてさて、晴気が大ジャンプに挑む際のコスチュームが子供たちに大ウケなのですが、それは見てのお楽しみ。
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    投稿日:2010年10月19日
  • いまどきの少し控えめな少年・健二。ひょんなことからトラブルに巻き込まれ、それはやがて世界の命運をかけた戦いに発展して…!? 人との出会いを通して成長していく少年、そして憧れの先輩との恋…などなど、さわやかで且つ壮大なエンタテインメントが、全3巻にギュッと凝縮されています!
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    投稿日:2010年10月19日
  • 本日からシエル作品が4週連続大量に発売開始です!題して「4週連続リリース☆パニック!」!! シエルはBLにしてはわりと巻数やシリーズものも多く、一般向けのメディア化された作品も輩出しているポピュラーな雑誌です。第1弾はなんと計29冊(!)リリースしているのですが、その中で今回おすすめする作品は、高永ひなこ先生の切ないシリアスもの「きみが恋に堕ちる」。望月春は赴任先の高校で、かつて好きだった礼一郎の弟・司に再会する。「ずっと春さんのことが好きだった」と司に告白され、次第に惹かれていく春だが、なんと礼一郎までが春に…!? 揺れ動く三人の関係を描いたセンチメンタルラブストーリー!三人の複雑な想いが上手く描かれています。純粋で一途で一生懸命な年下ワンコの恋をつい応援したくなってしまいますね♪弓道ものなので、袴好きな方にも特にオススメですよ~~☆礼一郎視点の「きみが恋に溺れる」も同時発売ですので、こちらも必見!そしてこちらはまさかの…礼一郎○○!?いやこれは全然アリだろう!w とにかく是非合わせて読んでみてください~!^^
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    投稿日:2010年10月15日
  • 近未来SF仕立てで、森博嗣や瀬名秀明の小説などと同じ理系の雰囲気を漂わせた短編集。なのですが、作品全体として投げかけているのはむしろ”哲学”な印象を受けました。生きること、もしくは生きていくこと、というか。それが、脳を入れ替える手術や男性の出産、そして表題となっている自殺志願者を思いとどまらせるゲームなど、奇抜なアイデアの中でうまく主張されているのです。このテーマを一番感じたのは、「キオリ」という作品。自殺をはかった女性。だがその脳は無事。研究員たちは実験のためその脳を人工的に培養し、意思の疎通をはかる…。研究員の生い立ちと、女性の人生観を照らし合わせながら淡々と進むストーリー。それでも生きていく、ではどう生きるのか、と考えさせられ、ラストの漠然とした語りが切なさを倍増してくれます。他の作品でも、形は違えど同様な試みがなされているのでそれぞれの味わいを感じてみてください。あ、「タイムマシン」だけは違うかな? でも自分もタイムマシンがあったらこれはやってしまうかも。(2010/10/15)
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    投稿日:2010年10月15日
  • ひかる、16歳。先生と結婚しちゃいました!教師と教え子の関係ながら、ひかるとシンちゃんは新婚夫婦。誰にもないしょのウエディング物語!この作品は小学生の頃に近所の一つ年上のお姉さんにお借りしたのですが、面白くてつい夢中になって読みふけってしまった記憶があります。借りただけでは飽き足らず、思わず自分でも買い揃えてしまったという思い出の一品です。少女マンガには障害はつきものですが、次から次へと事件が降りかかり、「早く二人を幸せにしてあげて~!><」という思いでいっぱいでした。何度も何度も読み返しましたね~懐かしい…!もう20年も前の作品なんですね。先生と生徒とか禁断の愛が好きなので、今読んでも純粋に楽しめました。絵もとてもキレイです。秘密の関係が周囲にバレるのではないかという、はらはらドキドキの展開にも目が離せません!全8巻、一気に読めてしましますよ!波乱万丈でドラマチックなラブストーリーを是非あなたにも(^ω^)オススメです☆
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    投稿日:2010年10月15日
  • この漫画の主人公、鉄門海上人こと”砂田の鉄”には今でも会うことができます。鉄門海上人は即身仏になっており、山形の注連寺に安置されているからです。この鉄門海上人は多くの伝説が残っていることでも有名。よりを戻そうとしたかつての愛人に男根を切って与えたとか、自らの左目をくり抜いて祈願し眼病の蔓延を防いだとか。これらの民間伝承をもとに上人の足跡を描いたのがこの作品です。ただし、この作品を魅力的にしているのは逸話の多い題材だから、ということだけではありません。これらのエピソードを、現代日本ではめっきり廃れてしまった博愛主義精神と、愛した女性に操をたてる純愛物語として昇華させた構成力。そして主人公とヒロインだけに焦点をあてた、最近流行りであるキャラの大安売り漫画とは一線を画す一点集中主義。直接的でわかりやすく、素直に頭に入ってくるセリフと無骨ながらも洗練された劇画の迫力。これほど引き込まれてしまうとは思いもよりませんでした。古い時代の作品、というだけで食わず嫌いはよくありませんね。温故知新とはまさにこのことです。(2010/10/15)
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    投稿日:2010年10月15日
  • 「まるで、不作の生大根をかじっているようだ」――自分を女にした男に言われて、19歳のお松がその煙管職人を殺してしまったところから物語が始まります。お松はその後縁あって京へ移り住み、五年後に江戸へ戻ってくる。同じ年に旗本として退屈な日々をおくっていた長谷川平蔵が火付盗賊改方に就任し、「鬼平」の異名をとるようになります。すっかり変わって江戸に戻ったお松を包囲するかのように鬼平がじわじわと近づいていきます。お松を京へ移し、人生の転機をつくった倉ヶ野徳兵衛は一見、大店の旦那風であったが、その正体は謎に包まれていた。徳兵衛が鬼平によって捕らえられた、その日、お松は請われてある大店の妻として迎えられ、祝言の席にあった・・・・・・。「男にはない乳房が女というものを強くするのだ」と池波正太郎は鬼平に語らせていますが、「人殺し」という秘密を胸に秘めて生きる女と男の数奇な人生が絡み合い、そうした影ある人々を鬼平はどう追いつめていくのか。鬼平の捕り物が巧みな筆で描かれていきます。本書『乳房』は長編の人気時代小説として書き継がれた鬼平犯科帳シリーズの番外編。ちなみに長谷川平蔵は実在の人物で、平蔵が火付盗賊改方に就任したのは1787年(天明7年)――松平定信が老中となり、寛政の改革を始めた年にあたります。本編シリーズとともにお読み下さい。(2010/10/15)
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    投稿日:2010年10月15日
  • トリであってトリでなく、人語を解すれどヒトでもなし。平凡な家庭にまいこんだニワトリモドキの居候、その名はガンモ! アニメも流行った懐かしい作品です。読まれるとお分かりになると思いますが、今みても非常に愛くるしいキャラクターデザインです!
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    投稿日:2010年10月12日
  • 忍者作品の醍醐味の一つに、忍法対決がある。この『バジリスク~甲賀忍法帖~』で対決するのは伊賀忍者VS甲賀忍者…野球に例えたら巨人阪神戦、サッカーなら日韓戦といった因縁浅からぬライバル決戦だ。不戦の約定(やくじょう)で休戦中の両者が、徳川三代将軍を竹千代と国千代のいずれにするかの代理決戦で雌雄を決することとなる。しかも両者の頭目である朧(おぼろ)と弦之介(げんのすけ)は恋人同士、という構図が対決の行方をより面白くさせる。選ばれた10人対10人の忍者対決に使われる忍術は、想像を絶するハイパーアクションの連続だ。抱きついた相手からヒルのように血を吸い取ったり、念力で相手をねじ伏せたりしながら、一人また一人と倒し倒される。一歩間違えれば、荒唐無稽と称されそうな内容だが、圧倒的な画力の凄みがこの作品の持ち味だ。美しさ、醜さ、激しさ、恐ろしさ…感情を掻き立てられながら、ページをめくる楽しさを十二分に堪能できるはず。
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    投稿日:2010年10月12日
  • 大正時代に立川文庫でその名が確立されて以来、真田十勇士の物語は普遍的な人気だ。立川文庫の原典に近いとされる笹沢佐保の小説を原作にしたこの『真田十勇士』は、大きなアレンジが効いていない分、猿飛佐助や霧隠才蔵など創作上の忍者たちの動きについついリアリティを感じてしまう。登場する武将をはじめ、関ヶ原の合戦から大坂冬・夏の陣までのストーリーの背景が、よく知られている史実通りだということもあって、馴染みやすい内容だ。関ヶ原の合戦以来、劣勢を強いられる豊臣方武将の真田幸村は、佐助に各地の勇士を集めるように命じた。その目的はひとつ、徳川家康を討つこと。集められた勇士たちが猛者ぞろいであることは必須条件なのだが、それぞれが家康に対しての恨みを背負っていることに、任務遂行の可能性の高さを読者に期待させる。果たして家康を討ち取る事ができるのかどうかは、作品をお楽しみください。関ヶ原の合戦が、幕末の遠因につながる事は知られていますが、この物語では、幸村もその種を蒔いていたようですので、そちらもご期待ください。
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    投稿日:2010年10月12日
  • 巨大ロボット「ザ・ムーン」。9人の少年によって操られるが、一人でも欠けると動かない…。1972年から「少年サンデー」で連載された、「正義」を問う衝撃作です。SFの体裁をとってはいますが、作者は『銭ゲバ』の秋山ジョージで、あの独特の重い空気が漂っています。
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    投稿日:2010年10月12日
  • 開高健が58歳の若さで亡くなって早いものでもう21年の月日が流れました。今回紹介する『最後の晩餐』が出版されたのは亡くなるちょうど10年前の1979年。前年にはブラジル・アマゾン川を舞台とする釣り紀行『オーパ!』を出版するなど脂の乗った40代後半の仕事です。なかでも、「天子の食卓」と題した章は、開高健とその周辺の文士たちの素の顔がそのまま見えてくるようで、必読です。安岡章太郎、阿川弘之、三浦朱門(と夫人の曽野綾子)が邱永漢夫妻から中華料理をご馳走になったときのことを縷々思い出しながら書いているのですが、そこで開陳される蘊蓄、レシピ、こつ、会話の粋・・・・・・贅を尽くした料理でもあり、最高のB級グルメをたっぷり味わったような感じでもあり、とにかく面白い。当時、邱永漢さんが顧問を務めていた食品会社が「チキンラーメン」(インスタントラーメン第1号)を開発していた。邱永漢さんはそれをもって三浦朱門夫妻を訪ね、夫妻にラーメンを試食してもらった。いくらぐらいなら手を出せるかな、と聞くので、そうだな40円かなと答えるや邱永漢さんは何も説明せずに帰っていったそうです。三浦朱門は「邱永漢はかぜにのってやってきて、かぜにのって去っていった」と回顧したそうです。このラーメンが後に大ヒット商品になるのはご存知の通りです。ともあれ、開高健、三浦朱門、阿川弘之の文士3人が、邱永漢さんが渋谷に開店した中華料理の店「天厨菜館」で一晩、邱永漢夫妻と食事を愉しんだときのことを書いたのが「天子の食卓」です。まさに賢者の知恵を凝縮したような料理と酒が供されるのですが、なんといっても仕上げの「菠菜炒飯」です。開高健はこう書いています。「ホーレン草を油炒めして水分をとってから微塵切りにして、白飯といっしょに炒めただけのヤキメシであるが、まことにほのぼのと淡く、そして気品高かった。みんなヤキメシをバカにしているけれど、米飯をまんべんなく炒めてかるくふわふわに仕上げるのは、じつは容易でないし、そのことをわきまえて実践しているコックとなると、全東京にかりに一千人のコックがいたとしても、五人かそこらがわきまえているくらいだろうかと私は思う」。蛇足ですが、私もかつて邱永漢さんと一緒に天厨菜館に行ったことがありますが、菠菜炒飯は店の名物となっていて、本当に美味かった。(2010/10/8)
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    投稿日:2010年10月08日
  • 性描写の漫画的表現についての話題になると、この作品の名がよく出てきますが、現代に生きる人が読んでこれを過激と捕らえますかね? 描かれている性的な描写はむしろ永井流のあっけらかんとしたイタズラ描写で、連載当時スカートめくりの流行を増長させたということはあったにせよ、いまさら目くじらたてるほどのものではないと思うのですが。ハレンチという言葉や映像化された作品のイメージで想像されているような…。ということで読んでみてくださいこの作品。読めばわかりますが、性的な描写よりも過激なのがバイオレンス描写。第1部の終盤、「ハレンチ大戦争」と銘打たれたシリーズで描かれる、ハレンチ学園を潰そうとする軍隊と生徒や先生との抗争はその最たるものです。ここまでの作品の明るさが吹っ飛んでしまうという凄まじさ。血しぶきがあがり、首は落ち、級友は爆死し、親も撃ち殺してしまうという暴力の嵐が吹き荒れます。この部分だけは今読み返しても戦慄しますし、深読みもしてしまう。こういったところを見てもっとみなさん語ってほしいのですけどね。(2010/10/8)
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    投稿日:2010年10月08日
  • 「「小日本鬼子!」「侵略者の種は死刑だ!」「狗雑種(人間と狗(犬)の間の子)!日本侵略主義の種(たね)を許すな!」「「日の丸をやっつけろ、膏薬旗(四角の布地にまる印の薬を塗った膏薬で、日の丸の旗に対する最大の蔑称)の頭にしろ!」――山崎豊子著『大地の子』(全4巻)冒頭に描かれる吊し上げのシーンから尖閣列島問題で緊張を深める日中関係を連想した。スローガンの国といわれる中国ですが、それにしてもその言葉は過激だ。このような激しい言葉によって噴出する中国人の日本人に対する歴史的な感情がまだまだ色濃く残っているようです。北京の製鉄所で開かれた走資派批判大会で罵声を浴びているのは陸一心。1945年8月、ソ連の参戦、日本降伏で混乱を極める旧満州で家族と離ればなれになってしまった幼い日本人少年が中国人養父母の下で「陸一心」の名を得て育ち、工業大学を卒業、中国を代表する製鉄会社で工程師(技術者)として重要な開発に携わるようになっていた。しかし1966年10月、陸一心の人生は暗転する。春から始まっていた文化大革命の奔流が一心の勤める製鉄所にも押し寄せ、一心は日本人の血をひくが故に、「日本のスパイ」の汚名をきせられ、囚人として労働改造所に送りこまれる。ダム建設現場などでの酷使に耐えた一心が養父や共産党幹部となった親友の奔走によって釈放されたのは5年後。職場復帰を果たした一心は日中共同による新製鉄所建設プロジェクトに参加し、そこで実の父と出会う・・・・・・。中国と日本――二つの国、二人の父の間で揺れる陸一心=松本勝男の心。綿密な取材と資料の収集とによって事実を徹底的に掘り起こす手法で知られる山崎豊子が中国の大地に一人残された日本人少年が戦後の中国社会をいかに生きぬいたかを描いた骨太の大河小説です。(2010/10/8)
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    投稿日:2010年10月08日
  • 通算15作目?に突入しました!またまたBL作品のご紹介です!今回BL特集も新たにリニューアルいたしました!パチパチパチ!今までよりもわかりやすく、皆様に何度も足を運んでいただけるような更新感のあるページになっておりますので、是非是非覗いてみてください♪さて、そんなBL特集リニューアル後・第1回では、現在「麗人」創刊15周年記念特集が開催されておりますが、今回ご紹介する作品は、麗人コミックス「XY」です。・・・・・・これは・・・・・・私にとってある意味BLのよりディープな世界への登竜門でした…。え、ライターってそんなことにも使えるんだ…っ!!! 指4本って…!!??と思わず自分の指をマジマジ見てしまったくらい…いやあ…当時の私としてはまだBLはまりたてで、アハハうふふ☆的な内容のBLしか読んでいなかったので、これを見たときはかなりの衝撃でしたよ…大人の階段を登った気がしました…いい思い出です。BLCDもこれで初めて聴いた気がします。色々と初体験な漫画でした!かなりストーリーも重く、暗いです。改めて同性同士の恋愛は難しいものですね。絡みがかなりエグく、当時の私はまだBL初心者だったので、そこまで内容を読み取ることができなかったですが。。。色々な意味でBL上級者向けの作品です。くれぐれもご注意を…!自己責任でお願いします!W(2010/10/8)
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    投稿日:2010年10月08日
  • ♪ジョ~ジィ(ジョ~ジィ!)レディ~ジョ~ジィ…愛をっ(Foo~↑)あ~り~が~と~う♪ な、懐かしい~~~!!衛星アニメ劇場で見てましたよ!アニメ版は「レディジョージィ」でしたが。そのあまりに衝撃的な内容に目が釘付けになりました。そして毎回タイトルが率直で面白かった!「ロエルのために必死に働くジョージィ」とか(笑)とてもわかりやすいタイトルでしたw 19世紀、オーストラリアで育った元気でキュートな女の子ジョージィは、母親と2人の兄アベル、アーサーと仲良く暮らしていたが、ロエルと出会って、彼女の運命は大きく変わっていく…。オーストラリアとイギリスを舞台に繰り広げられる、ドラマチック・ラブストーリー! この物語、ヒーローが3人いるんですね。みんなジョージィが大好きです。登場人物のほとんどがジョージィの味方で、ジョージィは本当に周りのみんなに愛されてるなあと感じます。愛をありがとう! さて、ヒーロー3人ですが、ロエルは王子様タイプ、アーサーは優しくて穏やかな男の子、アベルが一番強引で男らしいですね。 最終的には○○と…なわけですが…アニメではハッピーエンドでしたが、原作は軽くビターエンド?でも後味は悪くないので安心しました。脇役ですが、アーウィンの変態ぶりは最高でした…少年趣味で、妹の婚約者のケイン(実はアーサー)を麻薬漬けにして幽閉してました。なんという変態っプリ…!激動の展開に目が離せない!「ジョージィ」、おすすめです!(2010/10/8)
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    投稿日:2010年10月08日
  • 時代劇に登場する忍者は、ジョーカー=切り札のような役割を担っている場合が多いと思う。敵対関係での形勢不利を一発大逆転で打開できる存在なのだ。『仮面の忍者 赤影』はテレビで実写化もされていて、当時の子供たちには爆発的な人気を誇った。少年忍者青影のお馴染みのセリフ、「がってんがってん、しょーち」や「だいじょーぶ」を覚えている人も多いはず。ドラマでは、強い青年リーダー赤影と中年忍者の白影、そしてひょうきんな青影の三人と分かりやすいキャラ立てだったが、原作のマンガはちょっと違う。赤影は少年であり、青影は美少年(!)に描かれていて、基本的にはこの二人がセットで敵と戦う。飛騨忍者の赤影たちは、木下藤吉郎の軍師・竹中半兵衛の指示で敵方に潜入し、忍者同士の戦いとなるのだが、この忍術の掛け合いが醍醐味。赤影が「みだれ髪」や「水花仙」といった妖術を駆使すれば、敵は傀儡(くぐつ)忍法や怪獣もどきの大ガマガエルまで登場して、赤影と青影は絶えず危ない目に…。物語の途中では白影のほかに、黒影や紅影(!)も登場するので、どんなキャラクターなのかは実際にご覧ください。それにしても、城兵たちより圧倒的な強さを誇る忍者なのだから、兵をすべて忍者化したら敵なしなのではと思えるけど、ジョーカーばかりでは物語が成立しないか。
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    投稿日:2010年10月05日
  • バレーが好きで好きでたまらない少年・井口健太! 念願の坂見台高校バレー部に入部したのはいいけど、なんと部員は6員。即レギュラーとなった健太を待ちうけるのは、特訓また特訓…!? 小柄な少年を主人公にして描いたバレー漫画の大作。作者は『MAJOR』の満田拓也先生でスポーツ漫画の醍醐味たっぷりです。あの衝撃のラストはあまりに有名ですね。。。
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    投稿日:2010年10月05日
  • 多野憲二はちょっとそそっかしいが、負けん気の強い度胸のある17歳。幼いころからの夢であるプロ野球選手になることを断念した憲二の今の夢は、競艇選手になること…。競艇の世界を描いた珍しい作品。競艇を知らなくても楽しめます。終盤は、まさかのラブストーリー的展開へ…!
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    投稿日:2010年10月05日