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  • 広告のための航空写真を長く撮ってきた福岡在住の写真家が、仕事を離れたライフワークとして九州を天空から自在に撮った96枚の写真。雲仙普賢岳のように自然の力によって破壊されたものには自然の美が形成されていくが、諫早湾の干潟埋め立てによる人工景観に自然の美はないと著者は指摘しています。空撮の基本は無風、雲のない晴天、つまりピーカン撮影だそうですが、仕事を離れたときはそのセオリーを無視してピーカン撮影にはないものをむしろ多用しています。その一例が斜光線(平たく言えば水平線に沈んでいく太陽の光)を利用した写真でこの写真集のタイトル「Horizon」はここからきていますが、、No.5の「鎮魂の島(普賢岳) 島原 長崎」はそのいい例でしょう。西日の中に黒く浮かぶ山影。1990年11月17日の普賢岳噴火、翌91年6月5日の火砕流惨事後に撮影された写真です。自然の力によって破壊されたものには自然の美が形成されていくという著者の言葉に説得力を与える一枚です。地上を俯瞰した時に初めて見えてくるものがあるに違いありません。多くのことを学べる一冊、96枚の写真です。(2010/07/02)
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    投稿日:2010年07月02日
  • 『何でも見てやろう』が電子書籍版小田実全集の第1弾として刊行されたのを機に再読しました。
     29歳の小田実は同書を、
    〈ひとつ、アメリカへ行ってやろう、と私は思った。三年前の秋のことである。理由はしごく簡単であった。私はアメリカを見たくなったのである。要するに、ただそれだけのことであった。〉
     ――こう書き始めています。とりわけ見たいと心ひそかに憧れていたのが三つあった。ニューヨークの摩天楼、ミシシッピ河、テキサスの原野。なかでもわれわれの文明が二十世紀になって行きついた極限のかたちというべき摩天楼にもっとも心をひかれていたという。
     その心象風景を小田実はこんなふうに綴っています。
    〈二十世紀のわれわれの文明が、われわれの手に負えないほどに巨大な、ばかでかいものになっている、あるいは、そうなりつつあるなら、そのばかでかさというものに、ひとつ直面したい。そいつが重圧となって私の頭上におおいかぶさってくるなら、その下で自分を試したい、コトバを変えて言えば、自分の存在を確かめたい、と。〉

     こうして小田実は1958年の夏、船で太平洋を渡ります。そして大陸を横断してボストンへ。ハーバード留学生生活が始まり、ニューヨークを歩き回ります。また中西部からメキシコにも足を伸ばします。そして滞在期限ぎりぎりの1959年10月7日、アメリカをあとにします。それ以降、60年4月に羽田にたどりつくまで、半年にわたってアメリカと日本の間に横たわるもろもろの国をブラブラ歩いています。その数二十二カ国。
     まだ日本が貧しかった時代に一人の学生が自身の足で歩き、自分の目で見た等身大の世界旅行記です。青春の旅行記としては後に沢木耕太郎『深夜特急』(全6巻、新潮社、2014年6月20日配信)が出ていますが、戦後生まれの沢木耕太郎とはちょうど一世代上の小田実の青春旅行記。陸路、ヨーロッパを目指した沢木耕太郎に対し、小田実はヨーロッパから羽田に帰ってきます。10数年の時代を隔てた二人の日本の若者が何を見て、何を感じ取ったのか、読み比べてみるのも一興です。(2010/07/02、2018/4/2追補)
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    投稿日:2010年07月02日
  • 日本返還前の沖縄を舞台にしたある悲劇。米軍に対する親子の心情を通して、沖縄に存在する基地・米兵の問題を描いているのですが、とても40年以上も前の話とは思えず、現在でもありそうな内容です。確かに米軍の沖縄住民に対する意識は変わってきているのでしょう。しかしながら現在でもそれらの問題はあって、そんなニュースを耳にするにつけて思うことと同じものを、漫画からも感じてしまうのです。この理不尽さに逆らうことはできないのかと。米軍がらみのイザコザがあると、なぜ沖縄の人たちは、ああも被害者意識を持って敵意をむき出しにするのか。今でも薄れる事のないアメリカに対するアレルギーの理由が、この短編からは伝わってきます。ほか「冥土からの招待」「うじ虫の歌」というインパクトのあるタイトルの作品も収録。同様に沖縄と反戦をテーマにした話ですが、こちらは必ずしも反米だけではない視点で描かれているのが興味深いです。
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    投稿日:2010年07月02日
  • このところ揺れ続けている角界ですが、こっちの方のスキャンダルだったら、あまり大ゴトにならなかったかもしれません。「男芸者」の異名を持つ関脇・恋吹雪の活躍を描く物語…、といってもその異名通り、半分は夜の取組のお話です。一夜を共にした女性は艶と運を手にするという噂があり、彼はもちろんモテモテ。しかしおごることなく、土俵でもベッドでも手を抜かない、という信条に従い必ず四股を踏んでからコトに及ぶという、かなりぶっ飛んだ内容です。ただ、これがよくありがちな破天荒力士という方向へいかず、男としての色気、という道を突き進んでいくのがいいですね。土俵上の技でお客に喜んでもらい、さらに女性も満足させて幸福に、という異色のコラボを見事に実現させています。さりげなく”相撲最強”伝説を匂わせてくれるのもたまりません。さらにあのリッキー大和もゲスト出演してるなど、ニクイ演出もありオールドファンには感激ものです。
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    投稿日:2010年07月02日
  • 主人公・幸江さんのどうにも報われない日々。やくざ者の旦那・イサオの暴れっぷりに、あんまりだよといいたくなります。なんでこんな男についていくのか?って不思議になりますが、その理由は二人の過去(これまた悲しい)にありました。業田良家の作品は、辛く悲しいものが多いです。なんでこんなストーリーを描かなければならないのだろうという、作者の苦しみが伝わってくるかのようです。
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    投稿日:2010年06月29日
  • 少年の成長を描いた剣道漫画の超名作。少年時代編が特に良いです。六三四が子どもらしく描かれていて、素直なセリフが心に響きます。六三四かわいい~。剣道の描写も最高。熱いです。読んで損なしの感動作。
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    投稿日:2010年06月29日
  • 藤子・F・不二雄のマンガに出てくるゆかいな「居候」たち……あんな友達がいたらいいなぁなんて子供の頃考えませんでしたか? この作品に描かれているのはそんな「居候キャラ」が当たり前のように存在している世界。ただ、それが「当り前」となるとさまざまな問題や悲哀ももちろんあるわけで。ポップではあるのですが、多分に毒も含んだ異色作です。
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    投稿日:2010年06月29日
  • 1978年に発表された赤塚不二夫の掌編。主人公はタイトルそのまま荷車権太郎。彼が上京してきたところから始まり、キレイなヒロインと出会ったり、右も左もわからないなか騙されたりと、いわゆる「上京もの」によくある展開で話が進んでいきます。しかし! さすが赤塚不二夫。単なる成長物語では終わりません。ほんのちょっとしたいざこざからとんでもない展開が訪れます。唐突かつ極端なそのラストには思わず口をあんぐり。これはきっと打ち切……いやいや、何でもありません。ただ昨今ここまで急激に振りきれたマンガはそうそうないはず。そういう意味で貴重(?)な作品かと。
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    投稿日:2010年06月29日
  • 鳩山前首相の命取りとなった普天間基地問題は、菅政権に代わって突入した参院選挙の争点の一つとなっているが、「県内か県外、国外か」といった直接的な問題がとびかうばかりで、そもそもなぜ沖縄に多くの米軍基地が存在しているのか、なぜ沖縄が過重な負担を強いられているのか、さらにいえば安全保障と基地問題という基本的なことが議論されることは少ない。そうした風潮が色濃い今だからこそ、読んでいただきたいのが本書です。公文書が公開されることなく官僚によって秘匿されているという高い壁によって遮られながらも、沖縄生まれの研究者が「沖縄返還とは何だったのか」を日米交渉史のなかに追究した労作です。現在の沖縄の基地問題は、直接的には1972年5月15日の沖縄返還に始まりますが、その元をさらにたどれば、1951年のサンフランシスコ講和条約に行きつきます。このアメリカとの平和条約によって、敗戦国日本は主権を回復し、一方沖縄はアメリカの施政権下におかれることになりました。そして施政権を握る米軍は基地や軍事施設を自在につくることができるようになったことが沖縄の基地問題を引き起こし、それが本土復帰から38年たった今も続いているのです。外交交渉の名の下にいったい何が進行していたのか。国民の目が届かない密室で何が語られ、何が約束されてきたのか。そうしたことの一つ一つを白日の下にさらしていくことによって初めて「沖縄の基地問題」の解決の道も開けるのではないでしょうか。(2010/06/25)
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    投稿日:2010年06月25日
  •  講談社の文芸書がApple社のiPhoneでも利用できるようになりました。これまでは、パソコンに限定されていたため、通勤電車の中や街歩きの時などには電子書籍を利用しにくかったのですが、最大手の講談社が文芸書のモバイル機器利用解禁に踏み出したことで電子書籍事情は大きく変わりました。
     書斎のパソコンではなく、街歩きの最中にも自在にページを開くことができればなぁ、と残念に思っていた書籍の一つが、今回紹介する水原秋櫻子編『俳句歳時記』。電子化当初は春夏秋冬4分冊されていましたが、2015年6月に紙書籍と同様一冊に統合され、日本の四季を表現する季語1800と例句6000を集めた、文字通りの決定版となりました。
     例えば≪夏の部≫は、初夏、盛夏、晩夏の3章に別れています。初夏の章は梅雨にちなむ季語や例句が多いのですが、その中に「短夜(みじかよ)」があります。春分を過ぎてからは昼が目に見えて長くなり、夏至の頃に夜が最も短くなるところからきた季語で、思うことがあって眠れない夜を過ごしているとき、戸の隙間から朝の光が洩れ入ってきたときのやるせなさを表現するのに用いられたりするそうです。
     日本の自然や伝統を表す言葉の宝庫と言ってもけっして言い過ぎではありません。言葉の宝庫を収録したiPhoneを手に街歩き、自然散策に出てみませんか。(2010/06/25、2018/4/2追補)
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    投稿日:2010年06月25日
  • 原型と別人の顔に仕上がる顔面マスク。呪われた企画の再映画化。その監督の過去に関わる悲恋…。ホラー映画になりそうな話だな、と思ったら、もうされていたんですね。で、あとがきを読んで知りましたが、作者本人も特殊メイクの仕事をかつてしていたとか。どうりで出てくる小道具の種類や監督のしぐさなどが本物っぽいわけです。私は学生時代に自主映画を撮っていたこともあり、勝手に映画にした場合の配役やらロケ地を考えつつ読んで、ずいぶん妄想をかきたてられてしまいました。絵も達者なだけに最後には漫画が絵コンテに見えてしまう始末。顔模型が手前に奥に主人公がいて、構図そのままで手前にピントが移動したときに口元がニイィとなる、なんて、”そうそう”とうなずいてしまいましたもん。そんな部分で感情移入ができ、登場人物も動いて見える映画的な作品だと思います。映画版も見られたら見てみようと思うのですが、配役のイメージが違うので別の意味でコワイなあ…。
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    投稿日:2010年06月25日
  • 坂本龍馬を描いたマンガ作品として、『お~い!竜馬』(原作:武田鉄矢 作画:小山ゆう)を抜きには語れない。この『おれは直角』は、同じく幕末の長州藩を舞台に主人公の石垣直角が、「直角切り」を必殺技としてまっすぐに生きる痛快活劇。“正義”を貫こうとする直角の、躍動感あふれる暴れっぷりに魅了された読者は少なくないはず。コミカルな仕草や表情も加わって、この直角はさんさんと輝き続ける太陽のようでもあります。対比される形で登場する敵(悪)役のキャラクターや陰りとなるサイドストーリーがないにも関わらず、こんなにまぶしく主人公が描かれたマンガは珍しいと思います。快活な気分にさせられるから、心がちょっとお疲れ気味のようなときにもおすすめです。
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    投稿日:2010年06月25日
  • 劇画をけん引し続けた黄金コンビの隠れた代表作で、仲代達也と西田敏行の豪華主演でドラマ化もされた名作。リストラされて絶望の淵に立たされた元同心と元忍者が、残り少ない人生を人間らしく生きようと決意して、不条理な世の中を生きる物語。剣の達人でも一流忍者でもない、どこにでもいそうな二人組が主人公だからこそ、読んでいて自己投影しやすいはず。私もわが身に置き換えてのめり込むように読みました。世にしがつくようにして懸命に生きているのに、なかなか幸せが訪れずもどかしさを感じることもありますが、それも含めてここには人生の真実が描かれているのかもしれません。果たして、二人に春は訪れるのか? 気になってきたでしょう。
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    投稿日:2010年06月25日
  • 1982年より連載が始まり、現在も続いているこの作品。最近ついに連載10000回を迎え、それに合わせてコボちゃんにもミホちゃんという妹が生まれました。そんな国民的4コママンガの主人公コボちゃんは、大人がハッとするような発想をしたり、妙に女の子にモテモテだったり、そうかと思えば子供ならではの可愛い勘違いを披露したりと、連載当初のものを読んでも面白さは変わりません。新聞で連載している4コマならではの時事ネタも「あ~そういえばこの時代、エリマキトカゲが流行ってたよなぁ」といった感じに懐かしい気分になること間違いなしです! そういえば、わが社のホームページのトップで過去のコボちゃんを毎日1話づつ更新していますが、妹が生まれるのは何年後になるのでしょうか(笑)。(2010/06/25)
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    投稿日:2010年06月25日
  • 「IKKI」コミックが大量リリースされました! 嬉しい! オノ・ナツメ、西島大介、岩岡ヒサエ、五十嵐大介、吉野朔実…。何と豪華なラインナップでしょうか!! 中でも今日はついに登場したオノ・ナツメさんの作品をオススメ致します。非常にシンプルでスタイリッシュな絵柄にまず目をひかれますが、そのシンプルな線でとても深い物語が表現されています。正に誰にも真似できない、ワン・アンド・オンリーの世界観を持った業界大注目の作家さん、まだ手にとったことのない人はこの機会に是非ふれてみてください!(2010/06/25)
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    投稿日:2010年06月25日
  • 10年ほど前、「モーニング増刊号」に掲載されていた『PAINT IT BLUE』。読みたくて、ずっと書店で探していたのですが、この『赤い文化住宅の初子』に収録されていることが判明。描かれているのは、地方の町工場で働く男の子・ジッツンの苦い青春。ヘビーな現実が次々押し寄せるなか、それでもまあ、なんとかやってくわ、というようなジッツンの飄々とした空気感が素敵です。笑いと涙が奇妙に入り混じったこの作品、小品ですが個人的に殿堂入りしている作品です!
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    投稿日:2010年06月22日
  • フリーター・コースケの慎ましやかな日常を描いた「大東京ビンボー生活マニュアル」。この作品の初版が発行されたのは、昭和62年、バブルが最高潮を迎えようとする時でした。そんなご時世に「貧乏暮らしは快適だ!」と、世の流れに逆らうかのようなメッセージを掲げスタートしたのです! 都会に住んでるのに、部屋に鍵をかける必要がないぐらいコースケの部屋には何もなし。彼をみていると、私たちがどれだけモノに縛られて生きてるのか、ちょっと立ち止まって考えてみたくなります。
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    投稿日:2010年06月22日
  • 政治家をパロディするマンガはこれまでもあったかと思いますが、それを麻雀マンガでやるってところが圧倒的に異端。主人公は「小泉ジュンイチロー」、タイトルもヒネリなし、普通に考えたらこれは時流に乗った一発マンガですよ。にも関わらず小泉政権後も人気を保ち続け、今年(2010年)の2月にはOVAまで発売されるという快挙を達成。アメリカとの闘牌ではレートが「点F-15」(1000点につきF-15イーグル戦闘機を一機)だったりロシアとの闘牌では使用するのが「劣化ウラン」牌だったりと、ちょこちょこくだらない(褒め言葉です)ネタが入ってくるのがたまりません。麻雀マンガとは思えないほど熱いアクションが多いのも見どころで、1巻終盤、ジュンイチローが大技を繰り出す際には見開き2ページ×2(つまり4ページ)をまるまる使ったシーンまで。車田正美先生もビックリでしょう。個人的には小粋でニヒルな麻生タロー外務大臣が一番好きです(笑)
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    投稿日:2010年06月22日
  • 岡田監督すみません。正直、大会前は3戦全敗、無得点で終わると思っていました。それがどうでしょう。カメルーン戦はまさかの一勝、オランダ戦も最低失点での引き分けと、決勝トーナメントが見えてきてるではありませんか。期待しちゃってますよ、もう。そんな岡田ジャパンにおける“闘将”と言えばこの人。とにかく試合中よく怒鳴る。オランダ戦でも中村俊輔に怒鳴ってましたね。“勝利”、そして“闘う”ということに対する彼のメンタリティはどのように養われたのか? 闘莉王の幼少期からプロデビューまでの軌跡を追う事で、それを明らかにしていく本作。これはいまこそ読んでおくべき!
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    投稿日:2010年06月22日
  • 連発式ではなく玉を一発ずつ打ちだすパチンコ台や、ホールに椅子がなく立って遊戯するなど、今とはパチンコ店を取り巻く状況がまるで違う時代のお話。なので釘師である主人公と対決するパチプロやゴト師の技も、今では考えられない必殺技のオンパレード。フックがついた針金や磁石を使うなんて、前近代的なアングラ臭を漂わせてくれるじゃないですか。もちろん、こんな邪道な技だけでなく、まっとうな技を駆使するパチプロもいて、これがまずは主人公・サブやんのライバルになるわけです。それとの対決を経てサブやんが日本一の釘師になるかと思えばそうではなく、悪のゴト集団に狙われ落ちぶれ、右手を負傷。その使えない右手をなんとかしてパチプロと対決するも、禁断の技を使ったため釘師の大物に破門を言い渡され、寺で修行。そして裏社会にスカウトされ…、とまあ暗くはならないもののいかがわしさ満載で、お腹いっぱいになること間違いなし。私たちが今、気軽にパチンコを楽しめるようになるまでには、こんなウラの歴史もあったのか?と、民明書房(by男塾)ばりに思わせてくれますよ。
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    投稿日:2010年06月18日
  • 小編ながらこれは傑作。地球を守る正義のヒーローが活躍する物語という設定も、石川賢の手にかかれば、SFバイオレンス的な内容に。すっかり手の内に入れてかなりハードな作品に仕上がっています。オリジナルの設定で残っているのはウルトラマンタロウというキャラクターのみ。タロウはウルトラの母によって選ばれた地球人だし、闘う相手も怪獣ではなく、人間の負の精神を受け継いだ奇形獣や宇宙人たち。少年誌連載とは思えない、作者お手のものの残酷シーンや派手なアクションたっぷりで石川節を存分に楽しめます。だから4話で終わってしまったのか?と思わなくもないんですが…。しかし、好きに描いたからこそ特撮ドラマではあまり表面に出ない、「なぜウルトラマンは地球を守るのか」とか、「地球はこのままでいいのか」など、メッセージ色が色濃く出ているのですね。血が流れないと痛みも感じないし、悲惨な未来を見ないと現実を省みることもしない。描かれた時代と対象層が微妙にずれていたのかもしれませんが、現代では正当に受け入れられると思います。
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    投稿日:2010年06月18日
  • 先日、駒田信二「中国妖姫伝」を紹介しましたが、今回は同じ著者の「中国笑話集」です。同名の本(村山吉廣訳編、インタープレイ)がもう一冊あって、昨年8月に取り上げたことがあるのですが、駒田本はそれとはまた趣が異なっていてぜひとも読み比べていただきたいと思います。村山本が明末の「笑府」を中心に採集しているのに対し、駒田本はいわゆる笑話本以外の書物からも多くを採っているので、話の幅と奥行きが違ってきている点で際だっているようです。その例として駒田信二さんは巻末の解説で「助長」や「顰(ひそみ)に效(なら)う」「矛盾」などの成語が孟子、荘子、韓非子の書物にもりこまれた笑話から生まれたとしてその過程をわかりやすく説明しています。笑話が中国社会の深いところに根ざしている庶民の文化であることがわかります。それにしても、ここに集められた600の笑話、拾い読みをしていてあきません。とりわけ「おたのしみ」という見出しでくくられている房事にまつわる笑話の豊かさには脱帽です。「中国妖姫伝」では、寵愛を受けた皇帝の息子の後宮に入ったのが則天武后、皇太子の嫁でありながら義理の父である皇帝の寵愛を受けるに至るのが楊貴妃、ということで驚きだったのですが、この笑話集にはその種の艶笑小咄が山とでてきます。どうやら「息子の嫁」は房事の隠れたキーワードの一つといっていいようです。(2010/06/18)
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    投稿日:2010年06月18日
  • ポツダム宣言受諾、終戦を告げる天皇による放送が行われた1945年(昭和20年)8月15日から19日後の9月3日未明、大本営報道部部員だった陸軍大佐の一家――大佐とその妻、9歳の長女と7歳の長男の4人が東京の自宅で自決した。2日前の9月2日には、東京湾に停泊した米戦艦ミズーリ号上で、降伏文書調印が行われ、第2次世界大戦が終わっていた。大佐一家はなぜ、自決したのか――。著者・澤地久枝は、沖縄の名家出身の大佐がどのように生きて「自決」にゆきついたのか、その示唆するものはなにか、資料を求め、関係した人々を訪ね歩いて調べていく。丁寧に事実を掘り起こし、事実だけを積み重ねて、子どもを道連れにした大佐の自決の真実に迫っていく。そこからは無名の、多くの日本人が直面した「自決」や「沖縄の集団自決」、「玉砕」にも連なる問題が浮かび上がってくる。圧倒的な米軍を前にしたガダルカナル島における死闘を経験している大佐は、しかし大本営報道部員として、国民を鼓舞し続けて敗戦を迎えた。その大佐が友人に語った最後の言葉を澤地久枝は掘り起こしている。「終戦の間際 天皇、皇太后ら全く意気地なし。みずから戦を宣しながら真先に軟化して敗戦に至る。終生の恨事」。子どもたちを残して逝くことは忍びないと悩んだすえのことだったのだろう。サイダーに加えた青酸カリを二人の子どもに与え、妻は夫の拳銃で撃たれた。そして夫は自身の左胸を撃ち抜いて波乱の生涯を静かに終えた。一級のノンフィクションです。(2010/06/18)
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    投稿日:2010年06月18日
  • 幕末に惹かれる人が多いのはなぜでしょう。私は、“攘夷”か“佐幕”かの二極論ではなく、変容するイデオロギーとほとばしるエネルギー、そして明日がどっちにあるのかわからない、という混沌とした世の中に魅力を感じます。近藤や土方、沖田、永倉、原田、斎藤ほか大勢の強烈キャラクターを擁する新選組にあって、この『壬生義士伝』(みぶぎしでん)で描かれる吉村貫一郎こそ“幕末”を体現した侍ではないのでしょうか。また、あくまでも泥臭く、壮絶なその生き方の背景にある、家族への愛は限りなく普遍的な想いのはずです。読み進むにつれ涙腺が緩くなりますので、ひとりでこっそり画面に向かいたいものです。
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    投稿日:2010年06月18日
  • 生き残りを賭けたデパート業界にあって、主人公の玉造創志(たまつくり・そうし)が、その類まれなアイディアを武器に、経営難の一誠堂百貨店の再生を図ろうとする物語。「サービスも商品のひとつ」や「オンリーマイン」等のネームに、不況のもとでどう商売すれば客を呼び込めるのか、ちょっとしたヒントが見え隠れします。不正を働こうとする自社の商品部長やライバルデパートの若手専務等、一筋縄ではいかない悪徳キャラの中で、創志の企てはうまくいくのか目が離せません。キャバ嬢である恋人との濡れ場は、戦士の休息なのでしょうが、過剰なくらいのサービス満載なので、こちらもお楽しみあれ!?
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    投稿日:2010年06月18日