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  • 「バレンタイン&ホワイトデーに読みたい☆恋愛マンガ特集☆」実施中ですっ! 抽選でプレゼントも当たりますので、みなさま是非ぜひ奮ってご応募ください~!(*´∀`*) さてさて、今回ご紹介するのは、イケメン(!)兄弟ショコラティエが働くチョコレート専門店“クーベルチュール”を舞台に繰り広げられる、ラブあり、感動ありのとびきり温かい連作短編集です! 「冬味」「春味」「夏味」「秋味」と、季節ごとにそれぞれ毛色の違った、いろんな形の4つの「愛」のお話が収録されています。どのお話も、甘く心を癒すチョコレートにように、読むとほっと優しい気持ちになれるものばかりです。作者の末次由紀さんはご存じ『ちはやふる』で有名な方ですが、スポコン(?)や恋愛ものだけじゃなく、人と人との優しい繋がりや温かい気持ちの表現がとてもお上手だと思いました。本当に幸せな気分になれます。イケメンショコラティエの兄弟・一郎、ニ郎の2人もとってもかっこよくて、見ているだけで癒されます(*´ω`*) 物語に出てくる宝石みたいに綺麗に輝くチョコレートの数々もホントに美味しそうで…実際にこんな素敵なお店があったらぜひ常連になりたいくらいです!(*゚▽゚*) 末次由紀の描く、ハートウォーミングで人情溢れる、チョコレートのように甘くて優しい、ほろ苦く温かい物語。ぜひ一粒、ご賞味ください☆ あなたの心を優しく溶かします♪(*´▽`)
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    投稿日:2012年02月10日
  • 「なんで、こんな文明の発達した時代にロウソクなんかで仕事を」とつぶやいているのは、節約を命ぜられて照明代わりにロウソクを灯す会社員です。ただし、フツーじゃないのは、会社が宇宙船なのです。『宇宙サラリーマン武蔵野』(見ル野栄司)は、宇宙運送業会社の米山運輸・管理部を舞台に描かれるSFコメディです。『工場虫』や『シブすぎ技術に男泣き!』で知られる著者のオトボケ系ギャグタッチは宇宙が舞台でも健在! 課長という管理職ながらビシッとキメられない武蔵野が竹内とOLの石川さん、そしてなぜか火星人アマノーの3人の部下と、宇宙でドタバタを繰り広げます。例えば、間違った電力の節約で隕石にぶつかる羽目になったり、システム内の全データを消失する等、管理部なのにいつも誰かが何かをしでかしてしまいます。全作が読み切りストーリーなのですが、どの話にも思わず「プッ」と笑わされてしまいます。会社で嫌な事なんかがあったときにも、帰りの電車でスマホ片手に読んでください。落ち込んだ気分が変わるかもしれませんよ。 (2012/2/7)
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    投稿日:2012年02月07日
  • 「やんのか コラぁ」「上等や」「ボケ!!」…セリフだけ抜き出してみると、喧嘩マンガの1シーンのようですが、啖呵(たんか)を切っているのは人間ではありません。『AL(アル)』(所十三)は、今から6500万年以上も前に生きていた、地上最大の生物である恐竜たちの争いの話です。トリケラトプスという3本の角を持つ草食恐竜の子供、アルが本作の主人公。仲間と違って白い体で生まれたアルは、目立つ姿ゆえ仲間はずれで生きます。やっと出来た友達・モノと一緒にいたところ、とんでもない肉食恐竜に襲われて、アルの身代わりのようにしてモノは肉食恐竜の犠牲になってしまいます。襲ったのは、史上最大の肉食恐竜として名高い暴君ティラノサウルス、牙王という名の恐竜です。わけあってトリケラトプスを目の敵にする牙王に対して復讐を誓うアル、というのが大まかなストーリーです。自分より何十倍も大きくて絶対的な強さを持つ相手に対して、アルは本懐を遂げることができるのでしょうか。圧倒的なド迫力が伝わってくるのがこの作品の醍醐味です。バトルコミックは数ありますが、こんなに真に迫った怒涛のバトルは稀だと思います。なにせ体格が10メートル以上もある、本当にこの世に存在した恐竜たちの激突なのですから。ページから飛び出てきそうなほどの、存分にリアリティを感じさせる描写なのです。読み終えて、ああ、こんな恐ろしい生物がいる時代に生まれなくて良かった、と思ったほどです。(2012/2/7)
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    投稿日:2012年02月07日
  • 犬飼ってるよー猫飼ってるよーという人は多いですが、鳥飼ってるよーという人が少ないように、漫画界でも市場がないためか鳥モノはほとんど出てこないみたいですw 今週はそんな貴重な一冊に手を出してみました! 紅丸…(;´Д`)ハァハァ ぼたん…(;´Д`)ハァハァ かわいいなあw しゃべるのに一生懸命になると顔が膨らんできてなぜか体は反対に細くなってく様子などなど、思わずニヤリとしてしまうポイントが満載です。自宅で鳥(文鳥)を飼ってる友人から聞いたところでは、なんと「ほぼ放し飼い状態」だそうです。え~部屋で放し飼いってどんだけファンタジーなのよ?って最初は想像がつきませんでしたが、とある専門誌がありまして、誌面で飼い主のところにパタパタやってきて肩にちょこんと乗っかっている写真をみて、わぁ(゚∀゚)と納得し、それから鳥を飼いたいと企みはじめています…。ちょっと前まで、鳥は観るもの/触れてはいけないもの、という認識が前提にあったので、コンパニオンバードの世界は別次元の存在で、近いようでいてまったく視界に入りませんでした。身近にこんなかわいいものがいたのか……! インコがどれだけ愛らしいいきものなのか、この一冊がゆるりと、しかし熱く伝えてくれます。(2012/2/7)
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    投稿日:2012年02月07日
  • さて、またしてもこやまゆかり作品です(笑)こちらも代表作ですね。ひかるは運命の恋人を追い求める受付嬢。10年ぶりに再会した新堂先輩とラブチャンスを掴んでいくが、ひかるの前に、人の恋愛をこそぎ取る悪女・奈津子が立ちはだかる…!!「こういう女、実際にいる。大キライ!(読者の声より)」――反響の声が殺到した、恋愛の名手・こやまゆかりによる大人のリアル四角関係ストーリー。う~ん、こちらも例に漏れず、続きが気になって気になって夜も眠れないという…思えばこやま作品を読んだのはこれが一番初めでした。それから一気にハマって読み漁り(ry。こやま作品には欠かせない「悪女」の存在・奈津子は、ひかるから新堂先輩を奪うためにあの手この手を尽くし、愛し合っている二人を引き裂いて無理矢理自分のものにして幸せを掴み取ろうとします。ここまで計算ずくで人を陥れて、人に嫌われるようなことを平気でこなす奈津子はすごいな!と素直に感心してしまいますwまさに悪役の鏡!!奈津子の性格がここまでひん曲がってしまったのには家庭環境が起因しているのですが、人の不幸をあざ笑い人を虫けらとしか思わない悪女ぶりには感服ですwどん底を見たものだけが辿り着ける境地…なのか!?いやいや^ω^;そして実際に…いるか!?w周りにいたら超怖いですが…命の危険を感じます><;しかし主人公・ひかるの強いこと!奈津子の件では本当に酷い目にあって可哀想ですが、それがきっかけで社会的に自立していくひかるの輝きには目を見張るものがあります。結末には皆さん度胆を抜かれると思いますが…まあ騙されたと思って最後まで読んでみてください!というか読み終わるまで眠れないと思いますがw
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    投稿日:2012年02月03日
  • 非常に違和感のある表紙…。この涼しげな目元のイケメンは、なにゆえランドセルをしょっているのか…。などど思って読んだら何のことはない、このコ、あつしクンは見た目は大人だけど小学五年生。そんな彼が姉・あつみと巻き起こすドタバタの毎日を描く、というのがこの4コマ漫画なのです。あつみは高校生だけど小学生サイズというのもミソで、この対比がうまく効いていて、大人と子供に見えるのを利用し利用され、見方によっては弟萌えであったり、姉萌えでもあるようだし、ツンデレっぽくもある、といろいろと楽しめてしまうのですね。まあ、やっていることはけっこうワンパターンで、エロ本を買いに行かせられたり、抱きついた巨乳の先生をクラクラさせてしまったり、同級生と歩いていても変質者呼ばわりされたりと、あつしクンはいつもさんざんな目にあってます。ですが、大人に見えてもそこは純真な小学生、泣きわめいたりするのがちょっとほほえましく思えてしまうかも? 4コマ漫画のテンポにこの設定が良くあっているなあ、と読むほどに思えてきます。(2012/2/3)
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    投稿日:2012年02月03日
  • 新聞の社会面にはさまざまな事件を報じるベタ記事と呼ばれる小さな記事が載っています。――区画整理による発覚を恐れて26年前に小学校女性教員を殺害して自宅床下に埋めたと自首した68歳の男、不倫相手の妻の殺害を闇サイトで依頼したとして逮捕された女性、16歳の男子高校生を自宅に誘い、みだらな行為を繰り返していたとして逮捕された38歳の女性、担任教師の給食に薬物を混ぜた女子中学生、介護疲れから86歳の母親を殺害した容疑で逮捕された54歳の長男・・・・・・10行ほどで語られる「事件」が起きるまでにはなにがあったのか。どんな人間関係が背後にあったのか。新聞が伝えない事件の隠された事実を掘り起こし、被害者、関係者の証言を集めることによって「事件」を再構築したノンフィクション作品は少なくありません。しかし、『対岸の彼女』で直木賞を受賞した作家・角田光代は事実を積み重ねることによってではなく、「事件」を幻視することによって、「事件の真相」に光をあてようと試みました。ストレートなタイトルをつけられた短篇集『三面記事小説』の6篇はすべて、ベタ記事として新聞報道された実話を出発点に紡ぎ出されたフィクションです。なにが人を殺人に向かわせ、踏み切らせるのか。数行で語られた三面記事の先に、角田光代は人間の業を、現代のリアルを描き出していきます。なかでも『赤い筆箱』は、ホラー短篇の色彩を帯びて出色です。端緒となった記事の見出しは「中一女子殺される/自室で勉強中/男が押し入り」というもの。そして記事本文がこう続きます。「五日午前六時五十分ごろ、県職員A方に若い男が押し入り、期末テストの勉強をしていた二女(市立中一年)に襲いかかり、包丁ようのもので胸など二カ所を刺した。男はそのまま逃走、警察が殺人事件として捜査している。隣の部屋にいた長女(私立高一年)が二女の悲鳴に驚いて駆けつけると、二女が倒れていたという」この三面記事を拾い上げた角田光代は、『赤い筆箱』をこう書き始めます。〈美智(みち)は赤、奈緒(なお)は青。それはもう生まれたときから決まっている。ピンクやオレンジは美智、グリーンや黄は奈緒。スカートは美智、パンツは奈緒。リカちゃん人形は共有だけれど、美智が独り占めすると奈緒にはあたらしい何かが与えられる。野球グローブとか、サッカーボールとか。その奈緒が、赤いパジャマを着ているのを美智は不思議な思いで眺める。パジャマを染めているのがほとばしる鮮血のようには美智にはどうしても思えない。てらてらと赤黒く光る特別な染料で染められた布地にしか見えない。〉赤を与えられた長女と青を与えられた次女。スカートの長女、パンツの次女。名門の私立高校に通う長女と明るく育ってきた次女――対照的な二人の姉妹の間になにが隠されてきたのか。なにが起きていたのか。話題作『八日目の蝉』で「正しい常識」の枠を超えた「母性」に生きた女の生き方をつきつけた作家の研ぎすまされた感性、ヒトを見据える想像力が描き出す、現代のリアルの怖さ。事実を超えるフィクション故の迫力に一気読みしてしまいました。(2012/2/3)
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    投稿日:2012年02月03日
  • 2巻で早々に終わっているということは大して面白くないのでは、と正直そんな思いで読み始めたのですが原先生すみませんでした!! もっと続きが……続きが読みたいですバスケしたいです(/TДT)/!!! 内容をざっくりご説明しますと、中坊林太郎というマルサ的な捜査官が、葉巻をくゆらせつつ世の悪者どもを叩き潰していく痛快きわまりないストーリー。いわば原哲夫版『ザ・アンタッチャブル』。ショーン・コネリー(?)も登場してます(本編をご覧くださいw)。それにしてもなんなんでしょう、この心を掴んで離さないズッシリ感のある絵。今さら言うことでもないですが原先生の画ってすごいなー…。オフィスはすげえ静かですがテンション上がりました。「天才・原哲夫」にあらためて圧倒される作品です。原哲夫漫画は、やっぱり人を熱くさせますね。(2012/1/31)
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    投稿日:2012年01月31日
  • 年が明けて、もうひと月が過ぎました。歳を取るごとに歳月の経過は加速度的に早く感じるといいますが、本当かもしれません。過去がどんどん積み重なっていくようです。『時の添乗員』(岡崎二郎)は、添乗員が「あなたが行ってみたい、戻ってみたい……と思う過去の一点に、お連れする」物語です。一話完結全8話、つまり添乗員に連れられて過去に戻る人々8人が登場します。初恋の人との最後の別れ際に相手が口にした言葉が思い出せない社長や、失った大切な物を見つけたいと願う老婦人など、それぞれの想いはさまざまです。特に心に残った作品は、老夫婦が新婚旅行で大喧嘩をしてしまった「あの時」に戻る話です。実は老婦人は離婚を胸に秘めているのですが…その意外な結末に心が洗われました。この本を読んで思ったのですが、「誰にでも、ながく後悔することになる過去の体験」は、実は自分だけのかたよった記憶に変容してしまっているのかもしれません。「あの時」には、意外な真実があったのかもしれません。現実の私たちは、この本に出てくる添乗員が現れない限りは、過去は己で消化するしかないのですが…。でも、過去の「あの時」との折り合いのつけ方を教えてくれる、心の浄化作用の高い本なのです。 (2012/1/31)
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    投稿日:2012年01月31日
  • 前にもこのコーナーで述べましたが、ここ数年登山がブームです。山登りはチャレンジ精神が満たされるスポーツのようなので、若い人がハマったら堪えられないのでしょうね。『おれたちの頂』(塀内夏子)は、まるで憑(つ)かれたようにクライミングに燃える若者二人のお話。先に上る者であるトップがルートを作り、二番目に上るセカンドがそれをたどる、つまり「おれたち」ペアで果敢に山に挑戦します。邦彦は小学生の時に目にした恭介の天才的なクライミング技術に魅せられ、そのノウハウを教わりながら、次第に二人で高度な山を目指します。若者らしく、無謀ともいえる登山もしますが、危険を脱するたびにお互いの絆は深まっていくようです。「今やめたら先はないぞ」と焚き付けては励まし、「ぼくがおちたら あいつもおちちゃう…」と相手を思いやります。この本を読んで面白いと思ったのは、リスキーなチャレンジを屁とも思わないでアタックするのですが、根底には「生きて帰ること! それが山のルールだろう!?」とわきまえていることです。二人が迸らせる情熱がビンビンに感じられ、手に汗握るマンガです。(2012/1/31)
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    投稿日:2012年01月31日
  • 薔薇の名前であり、伝説の王様の名前でもあるコードネームを冠したチームが活躍するギャンブルアクション。美女に金、そしてケレン味もたっぷりの王道路線であり、ゲームのルールに疎くても素直に読めます。前半はキャラ紹介的なストーリー。登場人物の設定にはなかなか味があって、主人公・通称ボーイは驚異的な動体視力と暗算能力の持ち主。アンクルことバロンは指先に第三の眼をもつ男。レディことスカーレットはルーレットで赤が出ることを予知することができ、実はもうひとつの秘密も。そして博徒風のグランパこと銀蔵。彼らがその技術を駆使して悪徳同元を退治し、それが後半の世界一ギャンブラー決定戦への布石となる構成です。前半は必殺仕事人的な流れだっただけに、この後半への場面展開はちょっと意外。ですがそれぞれの通り名から連想されるファミリー要素をふんだんに盛り込んで、最後はうまくまとめてくれてます。ま、私にとってうれしいのはイカサマの手口などをきちんと説明してくれているところなんですがね。麻雀でこっそりとか、宴会で使えないものかなあ、なんて…。(2012/1/27)
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    投稿日:2012年01月27日
  • 『悪徳の栄え』に代表されるマルキ・ド・サドの文学を日本に紹介したことでよく知られる澁澤龍彦は、西欧の文化や芸術、宗教に通じた作家として多くの小説やエッセイを残しています。今回紹介する『東西不思議物語』は、「鬼神を使う魔法博士のこと」「肉体から抜け出る魂のこと」「空中浮遊のこと」「女神のいる仙境のこと」などなど古今東西の不思議物語を思いつくまま、気ままに書き綴った新聞連載をまとめたエッセイ集です。著者自身、「もっぱら驚いたり、楽しんだりするために五十篇近い物語を集めた」と前口上に書いているとおり、どのページを開いても「おや、まー、へぇー」と新鮮な驚きがあり、「なるほど、そうだったのか」と感心したり・・・・・・とにかく本を読むことの楽しさを改めて教えてくれると言っても、決して過言ではありません。たとえば、「15 天女の接吻のこと」――。大田南畝の随筆『半日閑話』の「天女降りて男に戯るる事」という項から、何ともユーモラスな奇談を紹介しています。〈松平陸奥守忠宗の家来であった番味孫右衛門という者が、自分の家で昼寝をしていると、天女が空からさっと舞いおりてきて、自分の口を吸ったような気がした。つまり接吻したわけである。目をさまして周囲を見まわしたが、もちろんだれもいない。ずいぶん妙な夢をみたものだな、と孫右衛門は思ったが、武士の身ではあるし、何となく小っぱずかしいので、だれにもいわずにだまっていた。ところが、それからというものは、孫右衛門が何かしゃべるたびに、口からぷーんと良い香りが発するので、みんな不思議に思うようになった。孫右衛門自身も不思議で仕方がない。親しい同僚のなかには、こんなことを言う者もあった。「あなたはじつに身だしなみのよい方ですな。いつでもお口が良い香りです。まるで匂いの玉をふくんでいるかのようだ。まことに奇特なことでござる」〉周囲から好奇と不審の眼差しで見られた孫右衛門、「天女に接吻された夢の顛末」を汗をかきかき告白します。しかし、思いがけない告白を聞かされた同僚たちはまるで狐につままれたような顔をした。というのも、孫右衛門という男、べつに水際立った美男というわけでもなく、どこといって天女に好かれそうなところのない、ごく平凡な男にすぎなかったからなのですが、結局、孫右衛門の口中の香りは一生涯消えることはなかったという話で、澁澤龍彦は、男であるならば、孫右衛門のような経験をしてみたいとだれしも思うだろうと軽くしめたうえで、江戸時代のエピソードからヨーロッパの「キリストやマリアの接吻をうけたという話」へと連想し、彼我の差異を発見します。日本ではこの種の話に宗教的な色彩はまったくないが、ヨーロッパに目を転じると、そこでは必ず宗教的な恍惚感の体験が結びついているというわけです。〈性的オルガスムスと見分けがつかないような、強烈な恍惚感である。〉ジュール・ボワ著『悪魔礼拝と魔術』(1896年刊)によれば、キリストの接吻をうけた娘が恍惚となって口中から甘いシロップやボンボンを吐き出す様が目撃されているという。19世紀末の革表紙の古本を書棚から引っ張り出した澁澤龍彦は東西文化の興味深い差異――西欧の不思議物語では単なる心理や生理の錯覚ではなく、シロップやボンボンのような物質が現れてくる――を発見して「とても科学では説明できない奇怪な話」と締めくくっているのです。49の不思議な物語を紡ぐ澁澤龍彦の豊かな発想力が魅力です。(2012/1/27)
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    投稿日:2012年01月27日
  • BLスキーの皆様に朗報ですよ~!本日1/27~2/23まで「超LOVE特盛♂リブレ出版まつり」開催中です!! 期間中はリブレ出版全作品ポイント増量&1冊以上購入で、悶絶必至のBLドラマCDを抽選で15名様にプレゼントしちゃいます!耳レイプとはまさにこのこと…(*´Д`*)ハァハァ この機会に是非奮ってご購入&ご応募ください~!さて、リブレ出版まつりでもご紹介してますが、知らない人いないんじゃないかな?と思う程有名な作品です!「俺がお前を孕ませる」…ノリ夫は突然、「斑類」に目覚めてしまった!傲慢な野獣系の男・斑目国政に、出会ったその日にガンシャされ…!? 繁殖を志すサイエンス・ラブ・フィクション!奇抜でユニークな発想の未だかつてない斬新なBL作品。斑類ってなんだ?って方は、リブレ出版まつりで簡単にご説明してるので是非ご覧くださいませ(^ω^)メインの国政×ノリ夫の話に加え、いろんな斑類カップルが続々と登場するとても読み応えのある作品です!勿論メインCPは大好きですが、私は3巻に登場する天敵のハブ×マングースの話が特に好きかな!初の斑類ベイビー誕生ですよ!\(^o^)/なぜ男が妊娠できるのかって?それはですね…懐蟲を体内に仕込んで仮腹を作るという何とも衝撃的でセンセーショナルな方法なんですね!!よくこんな生々しい設定考えるよ!リアルに孕めちゃいそうな気がするので不思議ですw弊社の編集Iさんはガチムチ熊さんカポーが好きとおっしゃっていて、うちの母と妹は女好き・米国×眼鏡の優等生・委員長が好き…と、どのカップルが好き?と聞くと皆さんの好みがよく理解できるというwそれだけ多くの属性を網羅しているということで、いやはや頭が下がります。話のテンポがよくコメディかと思いきや、切なくシリアスな内容に胸キュン涙させられたり、さすが寿たらこ先生、魅せ方のバランスがとてもお上手です!思い返せば寿たらこ先生との出会いは桃色ソーセージだったなー…と思いふけってみたり(遠い目…。色々な意味で洗礼を受けた天才(鬼才?)的な作家さんです。
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    投稿日:2012年01月27日
  • (;´Д`)ハァハァハァハァ………………ハッ、すみません我を失っていました(笑)さっちゃんがかわええです。今からおよそ30年前の1980年頃、小学館の少女漫画誌上で尾瀬あきら先生の読切が多数発表されました。その中から選りすぐりの4作品を、このたび電子書籍で復刻させていただきました。今では男性向け漫画誌でおなじみの尾瀬あきら先生ですが、「少女漫画家」の時代があったんですね。復刻作品のひとつ『くたばれ! デート』は、ペンネームが現在の“尾瀬あきら”に変わり、少女漫画家として新たなスタートを切った、ターニングポイントといえる作品です。『祭り白書』は、正統派学園モノ。そして、『海鳥 空へ…』は、まさに珠玉の読切といえます。切ないです。時を経ても色あせない漫画とは、こういう作品をいうのだと思いました。意外なことに、『海鳥 空へ…』はコミックス未収録作品で、現在では探すのが非常に困難な作品といえます。立読みページも多めになっていますので、ぜひご覧いただければと思います。掲載誌「コロネット」の元編集長でもある辻本吉昭氏のコラムでは、この作品の制作秘話や、微笑ましい(!?)エピソードも紹介されています。あわせてご一読ください。尾瀬あきら作品のヒロインに共通しているのは、一生懸命でひたむき、しなやかさと芯の強さを併せ持つ女性であることだと思います。この30年前の読切作品の頃から、すでにそんな魅力的なヒロインが存在しているのを感じることができます。特に『さっちゃん風をきる!』の<さと子>は、おそらく歴代最年少のヒロインだと思われますが、このヒロイン像とストーリーには尾瀬作品のエッセンスが集約されているといえるのではないでしょうか。クライマックスの4ページは本当に素晴らしいです。僕たちが失った何かが、ここにあります! このシーンで描かれる主人公ふたりのやりとりに、きゅんっと胸が高鳴るのでありました。……と、好き勝手に感想を述べましたが、あまり先入観をもたずにお読みいただければ幸いです^^ (2012/1/24)
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    投稿日:2012年01月24日
  • 「絆」という言葉をよく耳にする昨今ですが、一時の流行語にならずに、定着すればいいですね。『上京一週間』(一丸)は、それぞれの夢や希望、またはしがらみを胸に抱いて、地方から東京にやってきた者たちのオムニバス形式の読み切り集。シンガーや大学進学を目指す若者がいれば、家を出て行った妻子会いたさに上京する中年がいます。それぞれの人生を背負って東京へやってきます。この本を読んで面白いと感じたのは、各話の主人公それぞれが自分ひとりでは物事をなし得ないということです。上京して状況が変って初めて、自分を気遣っていた周囲の人間の想いにやっと気づく者もいます。どれを読んでも、胸を熱くさせられる力作ぞろいです。なかでも特に印象に残ったのは、女性陶芸家・芳江が実父の葬式のために上京したストーリーです。ギャンブルに明け暮れて家族に迷惑をかけ続ける父親が嫌で、家を飛び出した芳江は20年近くたって家に戻ったわけです。父をずっと憎み続けていた芳江ですが、父の飲み友達によって始めて芳江への想いを知ることとなります。それは、芳江が始めて作った陶芸作品に大きく関わることなのですが…。いずれの作品も限られた枚数の中でありながら、濃密な感動的人間ドラマを堪能できる、まさに「珠玉」という言葉がぴったりの作品集です。(2012/1/24)
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    投稿日:2012年01月24日
  • 最近、いろんな料理マンガが本になり、その度話題となっています。一人暮らしや駅弁、ラーメン、大食い、果てには奇食をグルメの対象としたり、刑務所を舞台とした人気作品が生まれたりしています。『飯盛り侍』(原作:井川公彦、作画:やまだ浩一)は、織田信長が隆盛を誇る戦国時代が舞台設定です。私、侍が料理についてああだこうだと一言を持つのは、「らしくない」ようなイメージを持っていましたが、このマンガを読んで考えを改めました。肥前・龍造寺家の足軽・弥八は「飯が人間を作る」を信条に、滋味あふれるうまい料理をこしらえて供します。考えてみれば、生きるか死ぬかという戦いに明け暮れる侍たちにとって、活力をみなぎらせる美味しい料理が重宝されないわけがありません。弥八はすぐに主君の目に留まり側に仕えるのですが、弥八の想いは届かずやがて諸国を旅し始めます。お家を出た格好になってしまった侍・弥八ですが、実はここからさらに面白い展開へと流れます。諸国の食材を使った滋味あふれる料理がふんだんに登場するからです。なかでも、瀬戸の小ダイやエビ等の山海鍋にキビやゴマ、イワシ等で作ったキビ団子を入れた「桃太郎鍋」の登場話には、思わず舌なめずりしてしまいました。この鍋は、体力回復と滋養強壮の効果も抜群なのだそうです。時代を超えた戦国グルメマンガ、あなたも心行くまで味わってください。 (2012/1/24)
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    投稿日:2012年01月24日
  • 勝目梓は、純文学同人誌活動を経て、1970年代に入って官能バイオレンス小説を量産してきた作家ですが、1990年代後半には生と性を極限まで突き詰める作品を生み出し、その延長線上に自らの文学遍歴を赤裸々に描く私小説(『小説家』、『老醜の記』)を発表して再評価されてきました。本書『幻花祭』もそうした作品群の一つで、復讐劇をベースとする勝目梓バイオレンス作品群とは肌合いがだいぶ異なります。夏の青森ねぶた祭りの夜――「ラッセラッ、ラッセラッ、ラッセ、ラッセ、ラッセラッ」の掛け声と熱狂の中で男と女が出会い、365日の中に入っていない「幻の夜」をともに過ごすことから始まった、狂おしいまでの大人の恋を描いた作品です。主人公は大手広告代理店を退社して独立、小規模なデザイン事務所を経営する加治修平。事業も順調なら妻と高校生の長女、中学生の長男の4人家族にも問題はなく、平穏な生活を営んでいる加治が恋に落ちた相手は、忌まわしい過去を持ち、女であることをどこかに封じ込めているかに見える女・佐竹真保子。激しい情事の一夜が明けた朝、真保子は加治が眠っている間に姿を消す。「狂っているときだけが花です。醒めた顔を見合わせたくはありません。ほんとうにすばらしい夢を見せていただきました。お礼を言うのは変ですけど、ありがとうと言いたい気持なのです。さようなら。織姫より。 彦星さまへ」ホテルの小さなメモ用紙に達者な文字で書き残されていた。この一夜だけで終わっていれば、妻子ある男と独り身の女の文字通り一夜限りの夢で終わったのでしょうが、9月に入って偶然再会したことで、加治の思いは募り、かたくなに加治を拒み、生きる屍として生きることを覚悟したかに見える真保子の心の内の壁を、そして体を溶かしていきます。再び燃え上がる二人。勝目梓はこの二人を世知に長けた大人の不倫として描いていません。むしろ、生真面目で不器用な男と女が情愛の極地に行きついたとき、何が始まるのか――。生と性の極限を突き詰めようとする勝目梓の表現力に圧倒される思いです。〈・・・・・・加治は待った。心がはげしく高まっていた。それが性的な興奮のせいなのか、それともそのことを二人の心の契りを示す秘密の儀式のように思うことから湧き上がってくる気持の昂揚のせいなのか、加治にはわからなかった。体がふるえだしそうな気がした(中略)・・・・・・加治は思わず吠えるような声を放ち、真保子の肩と首のうしろのところを手でつかんだ。真保子もほとんど同時に喉の奥に声をひびかせて、加治の腰を抱きしめた。体の緊張がゆるむにつれて、加治は心までがやわらかくほぐれていって、甘美な温かいものでくるまれるような思いが生まれてくるのを覚えた。それもまたセックスと同様に、しかしセックス以上に深く強く二人の心を一つにする行為であることを、加治は有無を言わせない思いの中で実感した〉官能バイオレンス小説を量産しながら、現代文学における“性”の描写を開拓してきた勝目梓は、本書で新しい領域に踏み込みました。セックスの歓びだけでは満たされない男と女が行きついた世界とは? セックスとは異なる男と女の交わり――セックス以上の何かとんでもないほどの一体化を求める情愛の世界。その極みで勝目梓は真保子にこう吐露させています。〈あなたとならどんなに恥ずかしいことだってできちゃうのね。どんなことでもしたくなるの〉生と性の極限を描出する勝目梓の恐るべき描写力を堪能してください。(2012/1/20)
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    投稿日:2012年01月20日
  • 少し前、知り合いに「今いちばん熱くなれる漫画って何?」と問われて、ある作品を紹介したのですが…。激しく後悔しています。これを推さずに何が熱い漫画か。初めて読んだときは、興奮して寝付けなったくらいです。主人公・鯉太郎は大相撲巡業のイベントで力士をふっ飛ばし、それがきっかけで空流部屋入り。実直ながら激情家の鯉太郎は兄弟子たちに反発するも、やがてうちとけて新弟子検査へ。そこであるエリート力士との間に因縁が生まれ、それを引きずって初土俵である夏場所の前相撲を迎える、と序盤の流れはこんな感じ。それと並行して鯉太郎の父で、角界を追われた大関・火竜の悲劇が語られています。この親子関係の描き方がていねいで、導線としても非常に効いているのですね。鯉太郎の性格や生い立ち、そして目指すところまでがこの描写を通してストレートに伝わり、一気に感情移入できてしまう。また悪役もとことん悪党ぽく描かれていて心底イヤな奴と思わせてくれる。鯉太郎の私生活の余計な描写も省いてまさに電車道の一直線ストーリー。ひねりはあってもすかしはなし。掛け値なしに燃えます!(2012/1/20)
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    投稿日:2012年01月20日
  • ブサイク受け第2弾です!(笑)こちらはリブレさんのアンソロ『b-BOY Phoenix2 不細工特集』で拝見した時からずっと大好きな作品です!特集の中でも際立って輝いていたこちらの作品。田中鈴木さんいいですよねwどっちが名前かわからないですが(笑)田中鈴木さんはブサイクを可愛く描くのがとてもお上手です!チビでツリ目で全くモテない吉田が、ある日、校内一のモテ男・佐藤から告白されて学園生活が一変!! イケメン×ブサイクという、乙女の夢を叶えた究極のカップリング★でも実はこの佐藤君、小学生時代はネクラデブと苛められていた過去を持ちます。そんな佐藤を、その頃全盛期だった吉田が庇ってあげたことから、佐藤は吉田に好意を抱き、それからずっと吉田の事を想い続けてきたという、とっても一途でピュアなラブコメディです☆佐藤は今や立派なドSに成長し、日々吉田を苛めつつ可愛がり振り回して楽しんでますが、そんな二人のやり取りがホント愛おしい…(*´∀`*)吉田は三白眼で一見するとル○ィに似てますが、私は以前ル○ィ受けにハマったことがあるので全然余裕です!というか吉田は全然可愛いよ!!女子に責められてオドオド泣きそうになってる吉田とか最高に可愛いです♪吉田は喜怒哀楽の表情が豊かで、泣きそうな顔とか困った顔が超絶可愛いので、佐藤がつい苛めたくなっちゃう気持ちわかりますwエロは皆無ですがドキドキして面白くてものすごく萌えます!! 田中鈴木さんの作品は少年漫画っぽいイメージなので、男性でも読みやすいと思いますよ~^□^
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    投稿日:2012年01月20日
  • 日本で最も有名なモンタージュ写真、それは三億円事件のあの写真ではないでしょうか。多くの人が頭の中に、あのイメージ像を描けるはずです。この事件が、いまだに人々の口に上るのはなぜでしょう。現在の貨幣価値にして50億円といわれる、途方もない巨額の強奪事件というインパクトもさることながら、モンタージュ写真や多数の遺留品など犯人に直接結びつくはずの証拠がありながら、未解決となってしまったことへのミステリアスさが大きいと思います。前置きが長くなりましたが、『モンタージュ』(渡辺潤)は、その三億円事件を舞台背景としたクライム・サスペンス。事件から40年近く経った長崎で、鳴海大和(なるみ・やまと)という少年が老刑事の死ぬ間際に放った衝撃的な一言によって幕が開きます。それは、大和の父親が「三億円事件の…犯人…だ…!!」というセリフです。やがて、高校生となった大和は義理の姉のような存在の小田切未来とともに、殺人事件に巻き込まれ手に汗握る展開が繰り広げられます。大和の父親と失踪した小田切の両親の結びつきや悪徳刑事の魔の手、軍艦島に残された三億円事件の物的証拠…謎は深まるばかり。続巻のリリースに期待したいところです。 (2012/1/17)
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    投稿日:2012年01月17日
  • 小さいころは野球がキライでした(;゚Д゚) なぜなら、毎週楽しみにしているアニメがプロ野球中継につぶされてしまうからなのでした。そのうえ小学校は、野球部強制入部・強制丸刈りというところだったので、ますます野球がイヤになったとさ(´∀`) やがて時と共にそんな気持ちは薄れ、野球をやってた頃の記憶は美しき思い出となりますが、上記の理由で決して読まなかった『タッチ』(あだち充)を最近になって初めて読みました。その結果「野球って……最高!」となり今に至ります。それで、この『サッチモ』ですが、「ザ・人情」って感じの野球漫画です。なんと作者は、あの『釣りバカ日誌』のお二人。意外ですね。成績の振るわない弱小プロ野球チームの監督がシーズン途中で解任され、残された消化試合の指揮を押し付けられたのが、スカウトマンをやっていた通称・サッチモこと小川完太郎。一見とぼけたオジサンにしか見えない彼が、チームを一流に育てあげていく、というストーリーです。うだつのあがらなかった選手たちの才能を、つぎつぎ引き出し、徐々に名指導者ぶりを発揮していくサッチモ監督。後先考えず選手をかばって記者を殴ってしまったり、病気の女の子のためにホームランの贈り物!など、お約束すぎる展開にもかかわらず、読めばぐわーっと熱いものがこみあげてきます(笑)。ここぞ、というときに決めてしまうサッチモ監督の姿や粋なセリフに、毎回じ~んときてしまうのです…。これってやっぱり「野球」であるからこその演出なんですよね。。。『タッチ』で描かれるようなまぶしい青春時代のあとには、サマにならない現実が控えていたりします。この『サッチモ』は、そんな中で奮闘する大人たちを描いた野球物語。人間ドラマとして、すごく楽しめる漫画だと思います。(2012/1/17)
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    投稿日:2012年01月17日
  • 2012年がスタートして半月が経ちましたが、この時季は、同窓会が開かれることが多いですね。別人のように変った人がいれば、昔のままの人もいます。『fine.』(信濃川日出雄)は、同じ美大に通っていた若者が6年ぶりに同窓会を開いたことをきっかけに物語が始まります。卒業以来にして集った仲間は、広告デザイナーやプログラマー、中学校教師などさまざまな職種に就いています。そして、主人公の上杉は絵描きであることをやめられずにいます。まれにイラストレーターの仕事をしても、自らの信念を貫こうとするあまり、なかなかうまく立ち回ることが出来ません。純粋に絵画の作家になりきろうとしているのですが、なかなか芽が出ずに、のた打ち回っている青年なのです。年齢的なことを考えて、「オトナにならなきゃ」と覚悟を決めることもありますが、「俺は俺だから、俺の生き方でしか生きられない」という内なる声が、それを妨げます。そして、たまに会った仲間からは、「まだ、描いているの?」という言葉に焦燥感を煽られます。全体を通してもだえ苦しむ上杉ですが、己に対してきちんとした解答を見つけることが出来たようです。著者の始めての連載ということが信じられないくらいに完成度が高く、人の心を打つ作品です。存分に魂が込められているのだと思います。同窓会って、何かが始まったりするきっかけにもなるようですね。(2012/1/17)
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    投稿日:2012年01月17日
  • ちょうど1年前の2011年1月、第144回芥川賞受賞の記者会見で「そろそろ風俗に行こうかなと思っていた」と発言して、一躍時の人となった西村賢太が初めて芥川賞候補(第138回)となったのが本書表題作『小銭をかぞえる』で、初出は「文学界」2007年11月号。藤沢清造という作家の全集を出すことに執着する男の借銭にあがく姿に著者自身が投影された私小説。あられもない金策に奔走する男には卑屈さと厚かましさが同居している。その行き場のない感情が噴出する同棲する女との諍い――出前ピザに支払う金がなく、女が茶葉の空き缶にためた五円や十円の硬貨をフローリングの床にぶちまけるシーン。〈おそらくは百円単位ずつに積んでいるのであろう、ひとつまみ分にした硬貨を何か必死な感じで床に並べている姿を、私はひたすら苦々しい思いで眺めていたが、ふいとそんな彼女に妙ないじらしさみたいなものを覚えてしまうと、突如猫撫で声を上げて背後から力一杯抱きしめてやりたい衝動にも駆られてくる。だが、指先を狂わせた女が、積んだジャラ銭の小山をガチャリと崩すと、この、一瞬の耳ざわりな音がわけもなく私の神経に突き刺さり、再度癇をたかぶらせてもくるのだ。(中略)「――薄みっともねえな。これでこの家じゃ、出前の代金を全部ジャラ銭で払ってくるとの評判が立ってしまうなあ。珍妙な格好をした若づくりのおばさんがよ、十円玉抱えて出てきますってな。おまえのおかげで、ここもすっかり変わり者の巣窟扱いにされちまうよ」〉意地悪い言葉を女は聞こえぬふりをし、無視をする。癪にさわった男はさらに悪罵を投げつける。〈「――おい、その臭せえのは、おまえが全部食えよ。もし残して、そんなものを明日のぼくの昼食なんかに出してきたら、その瞬間に張りとばすからね。それで警察呼びたきゃ、呼んでみろ。どうで呼ぶんならもう面倒だからよ、お巡りが来るまでにはおまえを殴り殺しといてやるから」「・・・・・・」「馬鹿が。なら一生聞こえねえフリをしてろい。えらそうに澄ましてやがると、卵巣を蹴潰してやるぞ」「・・・・・・」「そうだ、それからよ、明日は糞がしたくなったらどこか外へ行って、公園の便所とかで済ませてくれよな。僕の家の後架に、そんな臭せえ食い物が更に悪化したやつをひり出されるのは、随分と迷惑なことだからなあ。これだけは、くれぐれも頼んでおくぜ」〉言い放って4畳半の自室に移動して一人になった途端、男の内部である感情が噴出する。涙を浮かべてジャラ銭を漁っていた女の惨めであさましい姿に、自分自身のケチな稟性、歪んだ性根を図らずも見てしまったような寂しさが、女への憫情となって現れてくる。芥川賞選考委員の山田詠美は西村賢太の受賞作『苦役列車』を「私小説が、実は最高に巧妙に仕組まれたただならぬフィクションであると証明したような作品」と評していますが、本書は自分自身をモデルに人間のいやしさ、あさましさをこれでもか、これでもかと表現する新しいタイプの私小説家の登場を告げた秀作です。西村賢太が『苦役列車』で芥川賞に輝くのは、この作品から4年後のことです。表題作のほかに、「文学界」2008年6月号に発表された『焼却炉行き赤ん坊』が併録されています。(2012/1/13)
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    投稿日:2012年01月13日
  • 遠出をするときは必ず駅弁を買ってしまう。特急の指定席で絶景を眺めつつ食べる駅弁のうまいことといったらもう…。そんな私の至福の時を漫画でも再現してくれるのがこの作品。特急の解説+駅弁レポート、それに食事ポイント付きという構成がニクイです。各話の終わりには乗った特急のコラムを掲載し、豆知識もフォロー。また、巻頭にカラーで作品内で紹介している駅弁がずらりと並べられていて、情報誌のように紹介されているのも、食いしん坊にはたまりません。各話は短めのページ数ですが、その分、ポンポンと駅弁が出てきてギュッと詰め込まれているのもいいですね。冒頭で遠出と書きましたが、私の場合、東京から西は京阪神、東は仙台あたりまでが電車移動エリアなので、新潟や九州までもカバーしてくれているのがうれしい限りです。さすがにこの著者のように特急に乗り駅弁を食べるためだけに日本全国を飛び回ることはできませんが、この地方にいったら紹介されている駅弁はぜひ食べてみたいなあ。なんて思っていたら腹がすいてきた…。こりゃ、夜には読まないようにしないと。(2012/1/13)
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    投稿日:2012年01月13日
  • ズバリ、不倫のお話です。(`・ω・´)キリ…と書くと身も蓋もないのですが\(^o^)/ 以前も書きましたが、こやまゆかりさんの作品に一気にハマった時期がありまして、こちらも例に漏れずハマりました(*ノωノ)  結婚6年目、優しい旦那と3歳児の子供ひとりという、誰もが羨む幸せな家庭を築いている看護婦の主婦・弓子と、患者としてやってきた美形で刺激的なイイ男・品川との運命的な出会いから始まる「純愛」物語です。「浮気」や「不倫」なんて、特別な人がするもの。まさか自分にそんなことが起こるなんて思いもしなかった――次第に抜き差しならない恋愛関係となっていく二人の「未来のない恋」の行く末は…!? いや~ホント、この方の作品は「いったいどうなるんだろう?」と続きが気になって気になって、止まらないんですよね!夜も眠れない!と以前にも書きましたが(笑) この作品は不倫をテーマとした話なので、連載時から賛否両論の渦を巻き起こし、話題をさらったらしいです。不倫相手を本気で愛してしまい、夫と不倫相手の間で揺れ動く女心を描いた「リアルな不倫物語」。主人公が、最後まで夫と不倫相手、どちらを取るのかがわからず、先の読めない展開にハラハラドキドキと純粋に楽しめました。ドロ沼の昼ドラ展開が好きな方にはオススメ!と思ったら本当に昼ドラ化されてましたねw 不倫は純愛か?という究極のテーマに挑んだ衝撃作!! 色々な境遇の男女4人が繰り広げる人情物語です。
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    投稿日:2012年01月13日