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  • 第二次大戦末期の日本では、いくつかの特攻兵器が開発されました。ロケット方式で飛行する「桜花」や人間魚雷の「回天」などですが、どちらも有人操縦によって敵艦に体当たりすることを目的に作られた悲しい兵器です。今回ご紹介する『特攻の島』(佐藤秀峰)は、回天とその搭乗員を描いた連載中の作品です。内容は軍艦マーチが聞こえそうな勇猛果敢な物語ではなく、安直お涙頂戴的なものでもありません。そもそも、この回天自体が実際には操縦することが非常に難しく、「真っ暗闇をブレーキのない車で走り廻れって言ってるような」有人魚雷だったようです。当然、搭乗員の若者たちは苦悩します。これでは、犬死ではないか、と。こんな兵器を一体誰が開発したのだろうと疑問が浮かびますが、開発に関わった実在の人物が史実を織り交ぜながら登場するのもこの漫画の醍醐味のようです。悲しい歴史が二度と繰り返されないように祈ってしまいます。(2012/10/2)
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    投稿日:2012年10月02日
  • あれだけ報道されればいやでも気になってしまう昨今の日中関係。とはいえ中国などいったことはないので実際のところどうなのだろう?なんて思ったりもします。そんなわけで漫画で今の中国がわかるものを…、と探してみると、これが三国志モノばかりなんですね。で、しょうがないよなあ、なにか変わったものないかな、と眺めていたらこんな珍しい作品をみつけました。連環画というそうで、上部に物語の一部が紙芝居ふうに描かれています。そして下部には物語の本文が。詳しい人によると、この手の本は中国人が幼少期に道徳的な意義や価値観を養うために読む本だそうで。確かに、嘘をつく曹操に苦言を呈す許攸だとか、孔明ばかりが重用されてふてくされている関羽と張飛をたしなめる劉備とか、情操教育にぴったりの内容なんです。ただ、じゃあなんで今の中国人はあんなに攻撃的なのよ、とも思うんですけどねー。まあそれはさておき、この絵の情報量はちょっと驚き。細部まで描き込まれた合戦シーンや表情豊かな登場人物たちは、伝統文化的な部分も感じさせてくれて意外に新鮮です。(2012/9/28)
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    投稿日:2012年09月28日
  • ―僕は愛だの恋だのを知らない。知っているのは、あの夏の暑さとロランドの重さ、橘の笑顔、それだけ。― 5つの作品を収録した短編集なんですが、どの話も本当に痛くて、ハッピーエンドではないです。ただ、ものすごくずっしりと重く心に残ります。BLという言葉では片付けられない、壮大なスケールの文学的作品ばかりです。これ、高校の時かな? 「小野塚カホリいいよ~」と友達に薦められて読んでかなりの衝撃を受け、特に表題作の『LOGOS』は、あまりに壮絶なラストに言葉を失いました…。とても思い出深い作品です。『LOGOS』は、70年代の夏を舞台にした、まっすぐな14歳の少年たちが繰り広げるピュアでノスタルジック溢れる物語。主人公・縹(はなだ)の親友の橘は、父を殺して縹とともに、昔約束した地へ逃避行に出る。子供の頃、橘の飼い犬のロランドも連れていつか三人で行こうと約束していた柏崎へ。父の巻き添えでロランドを殺してしまったため、ロランドをトランクに詰めて連れて行くことに。まだ子供でお金がない二人。服や食事は万引きで済ませても、宿代だけは橘が体を売って稼いでいた。それに気付いた縹に対して、「オレはこんなん慣れてんだから」と吐き捨てた橘の台詞から、憶測ですが、父を殺した理由はもしかしてそういうことなのかな、と。まだほんの14歳の子供なのに、大人から辛い傷を負わされてしまった橘。「橘の絶望を描きたかった」という小野塚先生の力量が伺える衝撃のラストは本当に壮絶で、強く心を打たれました…。目的地の柏崎海岸がとても印象的で、これを読んでから柏崎に凄く興味が湧いて、いつか行ってみたいな~と思ってましたが、結局行けず仕舞い>ω<; 暗く重い作品ばかりなのに心に響くのは、小野塚カホリ独特の巧みな心理描写があるからでしょうか。愛に貪欲な、それでいて不器用な「彼ら」の物語の短編集。胸にしみる作品ばかりなので、とにかく一度読んでいただくことをオススメします。
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    投稿日:2012年09月28日
  •  薬師丸ひろ子主演で映画化された『Wの悲劇』で知られる夏樹静子は、女流の第一人者として数多くの犯罪小説、ミステリーの傑作を書き続けています。
     テレビのサスペンスドラマにもしばしばなっていますが、夏木作品で特筆すべきは「犯罪」に走るのは特別な人間ではけっしてないということです。いかにもというような「極悪非道な犯罪者」はでてきません。ごく普通の人々が「犯罪」に走るきっかけ、引き金は何か。夏木ミステリーに一貫しているのは、人間の奥底に潜む “悪意”こそが犯罪を生み出す根源であり、それは誰もが持っているものだという視点です。
     今回紹介する短篇集『乗り遅れた女』収録の「独り旅」の主人公は、渋谷のマンションで独り暮らしするOL。時折出かける独り旅が唯一の楽しみですが、もうひとつ、彼女には秘かな愉しみがあった。行く先々で、わざと忘れ物をして、それが結婚している同僚OLの自宅や、別のOLのフィアンセの元に届くように仕向ける。覚えのないものが届き、中を改めると夫や恋人への不信の念が芽生える・・・・・・年若い同僚OLを相手に「不信の種」を蒔いてくる、独り身の女の密やかな“悪意”。
     しかし、この制御不能な“悪意”から蒔かれた不信の種が思いもよらぬ犯罪を生み出してしまう。それによって“悪意”の矛先とは面識さえもない母子の「希望ある暮らし」があっけなく崩壊してしまう殺人事件が起きる予想外の事態に発展する――“悪意”にちょっとした偶然が重なった時の怖さがいやおうなく迫ってくる一篇ですが、心の奥底で秘かにはぐくまれた意図が綿密な計算の上で実行された犯罪トリックを描いたのが「三分のドラマ」です。
     物語はこう始まります。

    〈「今そこで、人を轢いちゃったんです。すぐ来てください!」若い男の声で一一九番通報がなされたのは、一月二十四日日曜の午後十一時三十八分だった〉

     救急車が現場に到着した時には路上に横たわっている男は既に絶命していた。続いて到着した所轄署の交通課警部補の「事故はどういう状況で起きたんですか」との質問に対し、通報した男は叫ぶような声で説明する。

    〈「寝てたんですよ、あの人が、道路の上に」
    「寝てた?」
    「寝てたのか倒れていたのか、とにかく、道路の上に長々と・・・・・・あんな暗いところに大の男が倒れていたんでは、どうすることもできないですよ」
    「それで轢いてしまった?」
    「葦毛塚に沿ってぐるっと道がカーブしてる格好で、それが終ってすぐのところですからね。あっと思ってブレーキを踏んだ時にはもう間に合わなくて・・・・・・」
    「轢いてしまってから、直ちに一一九番した?」
    「そうです。あそこの電話から」〉

     事故現場で事情確認が行われているところに女が叫びながら駆け寄ってきます。

    〈その時、何かかん高い女の声が聞こえ、コート姿にサンダルをつっかけた女が路上へ駆けだしてきた。
    「ああ、やっぱり事故があったのね・・・・・・ああ、大変・・・・・・」(中略)
    「パパ・・・・・・パパじゃないの・・・・・・」
     女は呆然とした顔で呟き続けている。
    「あなた、この方をご存知ですか」
     係官の問いが耳に入ったのかどうか、女はいきなり地面に膝をついて、無残な遺体にとりすがった。
    「パパ・・・・・・パパ・・・・・・ああ、こんなことになって・・・・・・やっぱり事故に遭っていたのね!」
    「この方は、あなたのご主人ですか」
    「主人ですよ。さっきタバコを買いにいくといって家を出たまま、ちっとも帰ってこないので・・・・・・そのうち救急車のサイレンが聞こえたからまさかと思いながら来てみたら・・・・・・ああ・・・・・・」
    「では、お宅はこの近所ですか」
    「そこを入って、三百メートルくらいのところです」〉

     轢いてしまった若い男と惹かれた男の妻――二人の言い分は真っ向から食い違います。男は「とにかく、死んだように倒れていた」と主張し、被害者の妻は「そんなはずないわ!」「ついさっき元気で家を出た人が、五分もたたずに急病で倒れるなんてはずがないじゃありませんか。嘘ばっかり! あなた、主人を轢き殺しておいて、そんな作り話をして責任を逃れるつもりなのね!」と加害者に詰め寄るようにして叫ぶ――。
     頭部を轢かれている被害者の遺体を解剖した監察医の判断を軸に捜査が進むわけですが、その展開についてはここでは触れません。ただ深夜の交通事故死の深層に実はある意思(悪意といってもいいかもしれません)が存在していて、それが思いもよらぬ結末につながっていくとしておきましょう。
     ここに紹介した2篇、表題作「乗り遅れた女」を初め、収録されている6篇はいずれも秋の夜長に愉しめる夏木ミステリーの秀作です。*新潮社版もあります。(2012/9/28)
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    投稿日:2012年09月28日
  • 月日が経つのは早いもので、大学入試のセンター試験が始まってもう20年以上が経つのだそうです。三田紀房の『ドラゴン桜』は、東大を目指すためのさまざまな受験テクニックを描いたマンガですが、センター試験に役立つ話を抜粋して再編集したのが『ドラゴン桜 特別編集 センター試験対策篇』です。いやあ、私も受験生のときにこのマンガと出遭いたかったです。次から次にセンター試験攻略法が繰り出されるのですが、例えば「歴史は後ろから遡れ」や「センター試験は“もぐら叩き”だ!」など、そのワケがわかれば目からウロコが落ちるようなテクニックが満載。極めつけは、「センターくらいテクニックで解ける試験はない」「テクニックのみでは 本当の学力が身につかないと批判されるが…」「本当の学力なんて誰も知るはずないし」「そんなもん社会が勝手に騒いでいるだけだ」という桜木先生の言葉です。ちなみに、描かれている受験テクニックは言葉を置き換えれば、ビジネス書としても利用できそうな金言ばかりです。(2012/9/25)
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    投稿日:2012年09月25日
  • わ~、すごく懐かしい漫画が発売になりました! 「コミックボンボン」連載のこの漫画、大好きでした。毎月楽しみにしてましたね~。主人公の絵をマネして自作漫画を描いてみたりもしていました。いやー懐かしい。懐かしいなあ…。「コミックボンボン」は今では休刊になってしまいましたが、当時は楽しさがいっぱい詰まってました。ファミコンとかプラモとかラジコンとかプロレスとか、それはもう夢が詰まりまくってましたねえ…。読み返し、当時の思い出に浸ってみたいと思います^^ (2012/9/25)
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    投稿日:2012年09月25日
  • 数年前に実写映画化で話題になりましたね。その時は内容をちゃんと把握してなかったんですが、先月うちで発売される際に、先方から納品されたデータを見て、お!これが有名なデトロイト・メタル・シティか…と、あくまで仕事で中身を確認していたところ、面白くて思わず読み込んでしまい……仕事が進まない\(^o^)/一瞬でデトロイト・メタル・シティの世界に引き込まれてしまいましたwいや~仕事中だったので、笑いをこらえるのが本当に大変でしたよwww 驚異的カリスマ性と過激な歌詞で、音楽インディーズ界において爆発的な人気を誇る悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」(DMC)。ギターボーカルのクラウザーⅡ世は、作詞・作曲も務める地獄の帝王であり、得意技は「1秒間に10回レイプ発言」。築いた伝説は数知れず。幼い頃に両親を殺した後犯した等、残虐な噂が絶えない。だが実際の素顔は、オシャレなポップ・ミュージックが大好きな青年、根岸崇一(童貞)だった。上京して5年、常々「僕がしたかったのはこんなバンドじゃない!」と思っているのに、ライブになるとついテンションが上がってしまい代表曲“SATSUGAI”を熱唱してしまう…。「SA・TSU・GA・Iせよ!」とクラウザーさんの熱狂的信者と一緒に思わず叫びたくなるね!W 理想と現実のギャップに苦悩する根岸くんが哀れすぎる…w とにかく面白いギャグ漫画なので、まだ読んでないという方は是非…!! 絶対爆笑必至ですので!! あ、下ネタ満載なので苦手な方はご注意を★ 「1秒間に10回レイプ発言」は挑戦した方も多いのではないだろうか(笑)(2012/9/21)
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    投稿日:2012年09月21日
  • 2003年2月に旅行作家・宮脇俊三さんが亡くなってまもなく10年です。時刻表を読むのが何より好きだったという宮脇さんの最後のエッセイ集――『終着駅』が先頃、電子書籍リリースされて読みました。著者の「終着駅」への心情が率直に語られていて、「旅」というものへの思いとともに、「昭和」という時代への懐かしさが甦ってきました。「終着駅」について、宮脇さんはこう書いています。〈私は鉄道の時刻表の愛読者であり、それが昂じて国鉄全線に乗ってしまったような人間なので、約一二〇ほどある終着駅のすべてに一度は降り立ったことがある。その経験から言うと、「終着駅の旅情とは、そこに至るまでの線路と旅客との交情によって生まれる」となる。私なりの貧しい定義だが、そう思っている〉その宮脇さんが「終着駅」の代表格としてあげるのが、北海道の稚内(わっかない)です。日本最北端の駅、さいはて、宗谷海峡、カラフト・・・・・・と旅情たっぷりのキーワードが並びますが、改札口を出ると、せっかくの旅情を冷ましかねない町があるという。稚内はじつは道北第一の活気ある漁業都市で、「さいはての町」のイメージとはちょっと違った雰囲気だ――宮脇さんはこう続けます。〈けれども、稚内を終着駅とする宗谷本線は別の顔を持っている。とくに幌延(ほろのべ)から稚内までの車窓は、日本にもこんな寂寞としたところがあるのかと思わせる。おすすめしたいのは、札幌発21時20分の急行「利尻」で、四月から九月までなら、幌延に着くまでに夜が明ける。急行ではあるが、古風な客車列車で、鈍行なみの速度で走ってくれるのもよい。午前五時すぎ、左窓にサロベツ原野が広がりはじめる。牧場と湿原だけの淋しすぎるような原野である。サロベツ原野が終り、六時ごろ抜海(ばっかい)という駅をゆっくり通過する。蒸気機関車の撮影場所として名高かった駅である。クマ笹と這松のような形をしたミズナラだけの無人の丘陵の間から突然崖の上に出ると、窓の下に海、そして朝日を浴びた利尻富士の全景が見える。(中略)抜海から一五分、にわかに赤や青の金属屋根が続々と現れて南稚内に停車、そして6時22分、「利尻」は、さいはてらしくない活気ある終着駅稚内に着く〉残念なことに、この急行「利尻」は2003年3月のダイヤ改正で急行から特急となり、さらに2006年3月には特急も廃止されました。ですから、いまは宮脇さんがこれぞ終着駅への旅として紹介しているような、夜行列車で夜明けの大地を行く旅は残念ながら味わえないようです。そのような意味での「昭和の旅」はもはや望むべくもないのかもしれません。高速化による時間短縮、便利さの追求の一方で、ゆったりした時間の流れや生活のリズムが失われてきました。長い道のりの果てにたどり着く終着駅だからこそ、人々の様々な思いが交錯し、ドラマが生まれてきたのですが、目的地に一直線に向かう飛行機の旅は、おそらくまったく異なる感性をつくりだしていくのではないでしょうか。宮脇俊三さんが歩いた終着駅への旅は、そのまま「昭和への旅」となっています。稚内を例に紹介してきましたが、終着駅はいうまでもなく稚内だけではありません。日本全体では約120あるそうです(もっとも宮脇さんが本書を書いた昭和時代の話ですから、現在では少し変わっているかもしれません)。遠隔地ばかりではなく、例えば、東京駅も大阪駅も終着駅ですが、線路とホームの形状が「終着駅」らしくありません。「通過式停車場」という形式で、線路がホームによって遮られずに先へ延びています。これに対して、映画「終着駅」の舞台になったローマ中央駅(テルミニ)は列車が三方をホームに囲まれた袋小路に突っ込んで停まり、正面に駅舎がある形式です。これが終着駅の原型といわれる「頭端式停車場」で、ロンドンでもパリでも、ニューヨークでも皆この形式です。日本でも明治期の駅は、新橋でも上野でも「頭端式」でした。それが効率化のために通過式もしくは併設型に改造されてきたのですが、大阪の片町駅は原型の頭端式のままとなっている珍しいケースだそうです。最後に都会にある意外な終着駅を一つだけ紹介しておきましょう。宮脇さんによれば「磯の香りのする終着駅」。鶴見線の海芝浦です。ホームの鉄柵の下を覗き込むと、真下に海があるそうです。東京駅から小1時間、横浜駅から20分余り。京浜工業地帯の外れ、どん詰まりの、意外にいい光景です。(2012/9/21)
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    投稿日:2012年09月21日
  • こんなふうに描かれると、榎木津って漫画チックなキャラということがよくわかりますね。原作は京極堂が活躍する「百鬼夜行シリーズ」のスピンオフで、名探偵・榎木津が主役の短編シリーズ。「百鬼夜行」がどっしりとした本格推理ドラマなのに対し、こちらはライトテイスト。そしてこの漫画版はさらにコミカル度がパワーアップしていて肩ひじ張らずに楽しめます。元子爵の父親からの依頼で砧青磁を探すことに…ということで、瓶や壺の分類など小難しい話もあるにはありますが、メインキャラの個性が思っていた以上に強調されていて、それを見ていると細かい話はどうでもよくなります。しょっぱなから「このぐぶぐぶ魔人!!」と言い放ってる榎木津をはじめ、へらへらしている益田君、眼を合わせたら殴られそうな木場刑事、まるで置きものみたいな古物商の今川。そして京極堂は額にしわを寄せて口をひん曲げ、不機嫌さを絵に描いたような感じ。そんな連中がわいわいと事件を片づける。名探偵とその下僕による「これぞ探偵活劇」という雰囲気がたまらないです。(2012/9/21)
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    投稿日:2012年09月21日
  • 最近、無人島の話題を見聞きします。もし、無人島にたった一人取り残されたら、あなたどうします? 『孤島の冒険者』は、『白い戦士ヤマト』や『銀河伝説ウィード』など、犬を主人公にしたマンガの第一人者である高橋よしひろの作品ですが、この本の主役は野原家の少年兄弟二人です。野原一家は、自給自足のライフスタイルを本にするなどの本格アウトドア志向の家族なのですが、天災に遭って兄弟二人が無人島に漂着してしまうというお話です。兄の広が父親譲りの活発でたくましい少年なのに対して、弟の大(まそる)はヘタレ…いえいえ心根優しい男の子。この兄弟が無人島でサバイバルを繰り広げるのですが、読んでいるこちらも一緒に冒険気分を味わえるほどの臨場感にあふれます。二人は、島でいろんな恐ろしい目に遭遇します。そして、少年の力になってくれるのが、やはり高橋よしひろの画には欠かせない、あの動物です。いやあ、こんなに身の危険を感じる無人島にはいきたくないものです。(2012/9/18)
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    投稿日:2012年09月18日
  • 鳥漫画界にあらたな仲間が加わりました。主人公のアヒル(家禽)が野生の世界でがんばります! 舞台は、とある「島」。スズメやハトなど身近な野鳥のほかに、熱帯の鳥や寒帯の鳥たちがボーダレスで棲んでいる夢の島。。。空に国境はないからいいんです(ゝω・) ほんわか漫画に見えますが、予想を超え中身けっこうパンチきいてて、本格的な笑い要素が! これはオススメです~(*゚θ゚)ピヨピヨ (2012/9/18)
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    投稿日:2012年09月18日
  • 日常生活の中で当たり前に使っている言葉、言い回しでも、その言葉の由来、語源となると曖昧な知識しか持っていないことが多いものです。つまり、その言葉がどうして、そのような意味となり、使い方がされるようになったのかは、実は知らずに使っているということになります。そうした具体例を集めて、それぞれの言葉、成句、慣用句の語源や由来を簡潔に解説した面白い本が出ました。書名はずばり『この言葉の語源を言えますか?』前置きはこのくらいにして、興味津々の語源探しを始めましょう。本書から抜き出した以下の10のテスト問題――語源や由来を説明できる言葉はいくつありますか? (1)「非常に簡単」という意味で使われる「へのかっぱ」、漢字で書けば「屁の河童」ですが、どうして「非常に簡単」ということを表す時に使われるようになったのでしょうか? (2)「嘘をつけ!証拠はあがっているんだッ」刑事ドラマの取調室で刑事が容疑者を追い詰めていく時の常套文句になっていますが、「嘘言うんじゃない」という気持を表すのにどうして「嘘をつけ」となるのか、由来を説明できますか? (3)「あいつは上司や先輩社員に対してもタメ口だからね」と使われる「ため口」。自分と同世代、同等の人に対する口のきき方というほどの意味ですが、いつ、どういう人たちが使い始めたのでしょうか? (4)「本日は晴天なり、本日は晴天なり」マイクテストの時の言葉です(最近、若い人はあまり使わなくなっているかもしれませんが)。このマイクテストの言葉はどこで生まれたのか、ご存知ですか? (5)想像もしなかったことから、思わぬ場面が展開することを「ひょんなことから」と言います。「棚からぼたもち」や「ひょうたんから駒」も同じような意味です。不幸な事態になってしまった時には「ひょんなことから」と表現するのは適切ではありません。語源・由来に関係するのですが、理由がわかりますか? (6) 未熟な人やとるにたりない者をののしる表現に「へなちょこ」があります。時代劇の中で、江戸の町人が「このへなちょこ野郎ッ!」と顔を真っ赤にしてののしる場面がよくありますが、実はこれ、時代考証的には「×」だそうです。なぜ「×」なのか、分かりますか? (7) 宴席に誰かが遅れてくると、「駆けつけ三杯」と言って、たて続けに酒を飲ませることがあります。みんなが気持ちよく酔っ払っている宴席に、素面(シラフ)の人が交じると、場がしらけてしまいますから、とにかく酒を三杯くらい一気に飲ませて、メンバー間の温度差を急いで揃えるのが正解、という理由(わけ)です。理屈に合いそうな説明になっていますが、この理解で間違いありませんか? (8)素性がわからず、付き合うに値しない人のことをたとえて言う時に「馬の骨」という言い方をします。「どこの馬の骨だか分からない男に大事な一人娘をやれるものか」という具合です。「馬の骨」というたとえはどこからきたのでしょうか? (9)「今度、真珠のネックレス買ってよ」「豚に真珠だろ」男女間などでよく冗談めかして使われる成句に「豚に真珠」があります。「価値の分からない輩(やから)には、貴重なものも役に立たない」という意味ですが、出典は意外なところにあります。分かりますか?   (10)「腐っても鯛」皆さんも一度は使ったことがある言い回しだと思います。「もともと値打ちの高いものは、多少条件が悪くなっても、その価値を失わない」という意味で、絶頂期を過ぎて輝きを失い始めていたベテラン選手が、代打逆転サヨナラホームランを打った時などに「腐っても鯛!」と言ったりします。意味は分かっている人でも、言葉の由来はどうでしょうか。ご存知ですか? ――いかがでしたか。気になる正解は、解説が実に面白く、簡潔にまとめられていますから、ぜひ本書をひもといてみてください。ここでは(1)の「へのかっぱ」だけ、答えを引用しておきます。〈「へのかっぱ」とは、いったい何のことだろうか? 文字通り、河童のおならのことなのだろうか? たしかに、「へのかっぱ」を漢字で書けば、「屁の河童」となる。しかし、こう書くのは、言葉がなまってからの当て字で、もともとは「木端(こっぱ)の火」といったのだ。「木端」とは、木の端くれのことで、「木端役人」「木端武士」などという言葉があるように、何の役にも立たないという意味がる。そして小さいだけに、簡単に火がつく。つまり「木端の火」とは、「木端に火をつけるように簡単だ」というところから、現在のような意味が生まれた。そしてそれがなまって、河童の屁→屁の河童となったのである〉本書を熟読すれば、あなたは今日から「日本語博士」。雑学を競う人気テレビ番組の「インテリ芸能人」と比べても遜色ないどころか、「月とすっぽん」と言えるかもしれません。(2012/9/14)
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    投稿日:2012年09月14日
  • 遂に出ましたね…!!!\(^O^)/以前、続きが気になって死ねない大洋図書の作品があるとお話ししましたが(2回目)、こちらが最後の一つです!むしろ大☆本☆命です…!!! 月曜日、一番最初に告白してきた人と必ず付き合い、週末に必ず別れると噂されている芹生冬至。高校三年の篠 弓弦は、月曜日の朝、弓道部の後輩である芹生と校門で出逢い、好奇心から「俺とつきあってよ」と口にする…そこから、篠と芹生の一週間限定の恋が始まる――。『セブンデイズ』のタイトル通り、月曜日から日曜日までの一週間の出来事を綴ったお話です。1話がほぼ一日のペースで進んでまして、1巻が月曜~木曜まで、2巻が金曜から日曜までの世にも長~い一週間のお話ですwこれまた2巻発売までに約2年の月日が流れ……\(^O^)/最終回は待ちきれずに雑誌を読んでしまいましたwだって2巻の発売は雑誌の最終回から約半年後なんですもの…(ノ∀`)待てないよ><弓弦は綺麗な外見ばかりに好意を抱かれ、女の子に告白されて付き合うものの、見た目と中身のギャップに失望されて振られ続けてきた。一方、芹生は、中学の頃、兄の彼女を好きになり、それ以上の存在を見つけるために、好きになれる期待をして告白されたらとりあえず一週間付き合い、自分の気持ちが動かなければ見切りをつけるというスタンスを繰り返してきた。普通に考えれば一週間って気持ちが動くには短い期間だと思いますが、設定の斬新さと、透明感溢れる物語の雰囲気に魅せられ、気づいたら作品の世界にどっぷりのめり込んでました。すれ違いながらも日ごとに恋に落ちていく二人の心の変化が丁寧にじっくりゆっくりとドラマチックに描かれ、全体を通したドキドキ感が半端ないです…!Hシーンが一切ないですが、そんなことどうでもよくなるくらい胸がキュンとする、とってもピュアで甘酸っぱいときめき溢れるラブロマンスです。自信を持ってオススメできる作品なので、二人の長くてキラキラした一週間の出来事を、全2巻、合わせてじっくりお楽しみください☆
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    投稿日:2012年09月14日
  • かつては憧れましたよ、ゲーム業界。実は私、憧れただけじゃなくて初めて就職したのは大手ゲーム会社だったのです。ただ、オリエン時に「新しいゲームセンター」というお題で、「海上を移動する島状施設」というのを考え、移動は島を大巨人が頭に乗っけて行う、というのを絵付きでプレゼンしてしまうような輩がごろごろしていた世代で…。で私はドロップアウトしてしまったわけですが、今でもゲーム業界ものを読むといろいろと思うことがあります。この作品でもそうですけど、モノを作っている人たちにはある種の”熱”がある。困難にぶつかっても安易に流れず、理想を求める気質がある。本作の主人公的存在の天川は、前作よりそんな青臭い部分は控えめだけど、魂のある仕事っぷりはあいかわらず。つい、昔のあいつらはまだこんな気持ちをもち続けてるかなあなんて思ったりしてしまいました。また、一般サラリーマンにも当てはまることも多く描かれているので、こういうことはどんな仕事してても忘れちゃいけねえなあ、と自分にも言い聞かせてみたり。少し元気が出る作品です。(2012/9/14)
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    投稿日:2012年09月14日
  • まるで、お笑いの幕の内弁当のような本、それがこの『俺に血まなこ』(おおひなたごう)です。まず、書名からしてただならぬ気配を放っているのですが、有名人や漫画家、漫画作品のパロディがあるかと思えば、ユーモアやエスプリあるいはサイケデリックを効かせたり、と次々に飛び出すびっくり箱のようです。一過性として大笑いするよりも、プッと吹き出してにやけた表情のまま読み続けさせられる、そんな中毒性のある本です。(2012/9/11)
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    投稿日:2012年09月11日
  • 「鳩よ、お前はおれの生き甲斐、青春──」 こんなマンガがあったなんて…! 伝書鳩のレースを描く超マニアックな作品なのですが、連載時は鳩レースのブームの発端になったとのこと。鳩の飼育や生態などすごく本格的に描かれています。途中から鳩たちにセリフがつくようになるのですが、そうすると一層おもしろくなりますね~。そこは『銀牙』と一緒です! レースのシーンでは、海を渡ったり、ワシやフクロウなどといった猛禽類に襲われたりと、なかなかハードな内容でございます。あまりに珍しい漫画だったので、ご紹介させていただきました! (2012/9/11)
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    投稿日:2012年09月11日
  • 作品冒頭に出てくる「レエ……オグロアラダ……ロゴ……」という言葉。何のことやら意味不明で、響きといいとらえどころのなさといい、何とも言えない不安感をあおられませんか。ミステリーの導入としては秀逸だと思います。実際、私はその意味を知って安心したいがために、ページをクリックするマウスを止められませんでしたよ。で、読んでも読んでもどんどん不安感は増していくばかり。いやあまんまと術中にはまってしまった訳です。白峠村を訪れた作家の道尾秀介は児童の神隠し事件を知り、遺体が見つかった場所で奇妙な声を聞く。帰京した道尾は友人の霊現象を探求する真備庄介に相談。偶然にも真備の元には、自殺する前にとられた複数の写真に写る眼についての相談が舞い込んでいた。ここまでは1巻の時点でわかっていることなんですけど、これが霊現象なのかは明らかにされないのがミソなんだよなあ。原作は直木賞作家のデビュー作。で私の大学・学部の後輩ということをこれを書いた後に知って、期せずして前回と大学つながりになっちゃいました。う~ん、ミステリー。(2012/9/7)
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    投稿日:2012年09月07日
  • 人工衛星の打ち上げと称してミサイル発射の実験を行い(見事に失敗してしまいましたが、それはそれで恐いことです)、なにより、多くの日本人を勝手に連れ去っておきながら、「拉致問題は解決済み」と主張する国――北朝鮮はいま、大方の日本人の目には好感度最低、わけのわからない困った国と映っているのではないでしょうか。中断していた日本と北朝鮮の交渉・協議が8月29日から3日間にわたって北京で行われたということで、拉致問題の解決に道が開けるのかに注目が集まっていますが、外務省実務レベルの話し合いを伝えるマスコミ報道もどこか醒めているように見受けられるのも、北朝鮮に対する日本人の意識が反映しているのかもしれません。しかし、本書『「金正恩の北朝鮮」と日本 「北を取り込む」という発想』は、私たちの「北朝鮮観」――国交なき、不可思議な国に対する「日本人の常識」を打破する見方、考え方を提示しています。著者の辺真一さんは1980年代以降、朝鮮半島情勢を分析する情報誌「コリア・レポート」を主宰する一方、テレビなどマスメディアにおいても積極的な発言を繰り広げているコリアウオッチャーです。評論家の高野孟さんや歳川隆雄さんらと議論を重ねることで鍛えられてきた情勢分析力、情報ネットワークを備えた朝鮮半島問題の第一人者として、いま最も気になる「新しい金正恩時代」をどう見ているのか。辺さんの指摘は多岐にわたりますが、そうだったのかと目からウロコの思いがしたポイントを二つだけ紹介しましょう。一つ目は、金正恩は8歳の時、兄の金正哲とともに日本を訪れ、ディズニーランドに行ったという事実です。金正日の長男で、金正恩の異母兄の金正男が2001年5月に妻子らとともに偽造パスポートで日本に入国しようとして露見。一時身柄を拘束された金正男は「ディズニーランドを見物する予定だった」と供述したことは記憶に新しいが、金正日の後継者となった金正恩はそれよりも10年も前の1991年5月に密かに来日して、ディズニーランドに行っていたというわけです。その時、金正恩はブラジル人「ジョセフ パク」名の偽造パスポートを使っていたことが明らかになっているそうです。5月12日から22日まで11日間滞在し、1960年頃に北朝鮮に帰った母・高英姫(大阪生まれの在日朝鮮人)が途中で合流して、新幹線で母の出身地である大阪にも行ったということですが、小学生の金正恩の目に、日本はどんな風に映ったのでしょうか。目からウロコの第二は、北朝鮮は困窮の極にあり、中国の支援があるのでかろうじて崩壊をまぬがれており、その意味で中国は北朝鮮にとって絶対的な存在だという「常識」が必ずしも正しくはないという点です。辺さんはこう書いています。〈ウィキリークスが暴露した米外交文書によれば、金正日は2009年8月に訪朝した現代(ヒュンデ)グループの女性オーナーである玄貞恩(ヒョンジョンウン)会長に「中国は信用が置けない」と洩らしていたと言う。このことを、玄貞恩会長から聞いた米国のキャスリン・スチーブンソン駐韓大使(当時)が、本国に打電していたことで明らかになった。金正日が対中不信を口外したのは一度や二度ではない。(中略)日本のマスコミがよく書いているほど、中国と北朝鮮が強い絆で結ばれているわけではないのである。例えば、これは日本が北朝鮮を唯一評価しても良さそうなものだが、北朝鮮はこれまで中国に基地を貸すこともなければ、中国軍を駐屯させることもなかった。もし、そんなことになっていたら、日本の安全保障は極めて重大な局面に向かうことになっていたに違いない〉竹島をめぐって日本と韓国が対立し、尖閣諸島をめぐって日本と中国の主張がぶつかり合い、日本とロシアの間では北方領土問題に解決の兆しすら見えません。この混沌状況下で、北朝鮮と日本の間には領土問題がありません。中国にとって北朝鮮の港は日本海への出口として喉から手が出るほどほしい戦略拠点ですが、北朝鮮はこれまでそれを中国に対して提供してきませんでした。世襲とはいえ権力構造が大きく変わる過程にある北朝鮮にどう向き合っていくべきか。拉致問題の解決にはどうすればいいのか――本書は次第に明らかになってきた「金正恩体制」のキーマンを示して、新たなアプローチを示唆しています。偏狭なナショナリズムに酔うことなく、極東アジアの地政学を冷静に見極めてこそ、日本の活路が開けるということを痛感させられました。(2012/9/7)
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    投稿日:2012年09月07日
  • 修羅に生きる最強の野球チームとして、純粋培養された少年たちがいた…! そう、これは少年版『あずみ』なのです。衝撃なんだぜ(゚∀゚) 1979年から少年誌で連載された、巨匠・小山ゆう先生の伝説の野球コミックです。物心つかない頃からボールを与えられ、山中で祖父の特訓を受けながら育った少年・武蔵三郎。そんな彼の前に若狭潮という少女が現れ、三郎と同じように史上最強のナインとなるべく育てられた少年たちが日本各地に散らばっていることを知らされ…!? いわゆる一昔前の、少年向けの「魔球モノ」ですが、小山先生です。やっぱり一気読みしてしまいました^^ 「魔球モノ」については、こちらでもご案内しておりますのでご覧ください~→「野球漫画特集」  (2012/9/4)
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    投稿日:2012年09月04日
  • かつて、日本にも「島流し」という刑罰がありました。逃げ場のない絶海の孤島に罪人たちが集められるのですから、考えただけでぞっとしますね。『天獄の島』(落合裕介)は、近未来の日本で死刑廃止の替わりに島流しが復活して、「天獄島」が物語の舞台となります。主人公の御子柴鋭(みこしば・えい)が、家族を惨殺した旧友の榊を追ってこの島にやってきます。流刑地なので、罪人でなければこの島には入れません。御子柴はあえて罪を犯して、島流しとなります。「天獄島」…意味深なネーミングです。冒頭から重々しく暗い場面で進みますが、途中から、この物語が単なる復讐劇ではなく、壮大な背景に裏打ちされたサスペンスであることがわかり、一気に読み終えました。世の中にはいろんな島がありますが、こんな島には行きたくないものですね。 (2012/9/4)
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    投稿日:2012年09月04日
  • 本書『最終退行』は、東京の下町工場地帯である大田区羽田の銀行支店を舞台に展開される男たちのドラマです。一種の社会派ミステリーといっていいでしょう。組織の呪縛にあえぎ、もがく銀行マン、彼らに生殺与奪を握られて追い込まれていく中小企業経営者、そして私欲にまみれた銀行トップをつけ狙う得体の知れない集団が絡み合うスピード感あふれる展開で、読み出したら止まりません。日本のモノ作りを支えてきた町工場の技術や職人魂を描いた『下町ロケット』で、第145回直木賞(2011年上期)を受賞した池井戸潤が2004年に発表した作品で、下町の町工場、中小企業経営者へのまなざしは、『下町ロケット』に受け継がれています。物語は〈朝日新聞 一九四六年四月二〇日(土曜日)[芝浦沖に金塊百三個 米海軍引揚ぐ]〉という新聞記事に始まります。記事の内容はこうです。〈米海軍潜水夫の一隊は一九日東京商船学校敷地に近接する東京湾芝浦沖の海中から八十ポンド金塊百三本を引揚げた、価格にして六万一千八百ドルではあるが、第二騎兵旅団の語るところによれば最初東京湾には二億ドルの価値ある金銀プラチナなどが埋められていたといふ予想は誇張されてをり、現在までにはプラチナや銀は一本も発見されず、また銀がどのくらい海中に埋没されているか予想の限りではないといふことである〉前年の8月に第二次世界大戦が終わり、日本の占領統治が始まって8か月経過した時期に東京湾から大量の金塊が引き揚げられたという記事(一部の旧字を現在のものに置き換えたほかは本で使用されている当時の表記のまま引用)に続いて、32年後の昭和53年に作成された銀行の内部文書が引用されています。〈 [調査報告シキ五三一九七番 参考添付文書] /昭和五十三年三月二十五日/東京第一銀行取締役会御中/審査部 企画室 次長 久遠和彌・・・・・・〉と題され、親密先山友電機の副社長がM資金融資話にのせられて多額の約束手形を振り出したあげく首吊り自殺に至った経緯を詳細に報告する内容で、昭和21年4月に東京湾から引き揚げられた金塊にも言及。M資金の実在可能性を示唆する報告者の久遠次長は、後に東京第一銀行のトップに上り詰め、物語の一方の主役として登場してきます。「M資金」は戦後日本の経済社会の裏側で語り継がれ、さまざまな事件の背景となってきた謎の闇資金話ですが、本書は亡霊のようなM資金をめぐる奇々怪々な展開を縦軸に、バブル崩壊で変質していく銀行の中で銀行マンとしての矜持を保って生きようとする副支店長・蓮沼鶏二の孤独な闘いとそれをとりまく人間模様を横軸に編まれていきます。池井戸潤の作品に共通している正義感は、本書でもいかんなく発揮されていて、作品の強いモチーフとなっています。副支店長の蓮沼の上司、支店長の谷は田宮金属工業に対し「融資予約」をエサに返済を迫ります。支店長の「融資」の言葉を信じた田宮社長はなけなしの3億を返済しますが、結局期待した融資は受けられず、不渡りを出してあっけなく倒産に追い込まれ自殺してしまいます。あろうことか谷支店長はその死亡保険金を差し押さえようとします。その時、蓮沼は初めて「ノー」を言い放ちます。〈「保険金は、田宮さんの遺族が生きていくために必要最低限の金だ。田宮さんはそれを遺すために死んだ。それは差し押さえるべきではない」「くだらん温情か、副支店長。そんなことをしてどうなるかわかっているんだろうな」「「どうぞ。好きにしたらいい。だが、田宮さんの保険金を差し押さえるようなまねは絶対にさせません」蓮沼は断言し、谷と睨み合った末、身を翻して自席に戻った〉倒産会社に対する債権回収を阻害したという理由で、人事から「副支店長失格」の烙印を押された蓮沼は、しかし「銀行員である前に私たちは人間ですよ」とだけ言って人事部をあとにします。書名の「最終退行」とは銀行支店で最後の最後に戸締まりをして退出することを言うそうです。副支店長兼融資課長の蓮沼はいつもいつも「最終退行」となっていました。経営サイドの一員として自身の本当の思いは胸の奥にしまい込んで銀行のための人生を送ってきたのですが、すべてに踏ん切りをつけてコースアウトに踏み切ります。誤魔化し続ける人生にピリオドをうった銀行マンは、人生を賭けて何をするのか。緊迫のラストシーンで何が待っているのか。一気読みした私は、東の空に太陽が昇り始めるなかで衝撃のエンディングページを開きました。なお、電子書籍の場合、紙の文庫にはある解説が削除されているのが一般的です。しかし本書は松原隆一郎・東大大学院教授の「日本型金融システムの崩壊を背景にした社会派ミステリー」と題した解説を収録しています。得した気持になります。(2012/8/31)
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    投稿日:2012年08月31日
  • 島本和彦の「アオイホノオ」と同様、自身を投影した主人公が活躍する漫画家漫画。ただし「アオイホノオ」の焔燃がゴリゴリのプロ志向なのに対し、こちらの八吹ジューベエが向かうのは同人誌の世界。高校の漫画研究会の延長のような、素人っぽさの抜けないアマチュアなのです。漫画化を目指す、というよりさらにマイナー、しかも設定は80年代で、今よりもさらにおおっぴらにできない趣味の分野。青春時代にそんな世界と関わった著者ならではのけっこう赤裸々な話が興味深いです。また、著者はコスプレアイドルのはしりでもあり、女性じゃないとわからにエピソードもあって、ここまで描いちゃうのかーと思うくらい。いろんな意味でよくぞ漫画化してくれたというところです。もう時効だと思うのでついでに書いてしまうと、この著者は私の大学の先輩。で、ある日、同じ授業に出席したことがあって、そこである事件が起きて、その日から彼女(著者)の姿を学校で見なくなってしまって…。そのへんもちゃ~んと描いてくれますかね。(2012/8/31)
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    投稿日:2012年08月31日
  • 2012年12月に実写映画化で話題のこちらの作品!マジメが取り柄のダサダサ女子高生、「昭和女」ことつばきは、高校の入学式の日、同じ名前で学校一のモテ男・椿京汰と隣の席になる。ある事件で、彼にファーストキスを奪われ、京汰はつばきを彼女にすると言い出した。はじめは京汰のことを最低最悪な奴だと思っていたつばきだけど、京汰の隠された一面を見て、次第に惹かれていく。初めての恋をすることで徐々に変わっていくつばき。京汰は過去、女性に2回裏切られたことがトラウマで女性不信になっており、「わざとマジメ女子をオトしてこっぴどく振る」という遊びを繰り返してきた。しかし、今回のターゲットであるつばきの裏表のない素顔に触れ、つばきなら信じてみてもいいと思い、紆余曲折を経て、晴れてちゃんとした彼氏と彼女に。う~ん、まずタイトルが直球でいいですよね!なんかホント……青春です(*´∀`*) 高校時代って、長い人生の中でたった3年間しかない特別な時間なので、大事にしてほしいですね。恋をするトキメキがぎゅっと詰まった高校生同士の純愛ストーリー。精一杯恋愛をして、成長していく二人の姿がまぶしいです(ノ∀`*) 少女漫画のドキドキ感を大事に描かれている作品で、とても好感が持てました。恋するトキメキを感じたい!という大人の方にもオススメです。恋愛面だけでなく、友情や勉強、進路など、高校生ならではの悩みや葛藤などが、丁寧な感情描写と綺麗な絵柄で描かれ、とても読みやすく仕上がっています。
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    投稿日:2012年08月31日
  • 時は幕末、普段はなまくら侍にしか見えない荒場城一膳(あらばき・いちぜん)ですが、剣を持たせれば鮮やかに敵を斬り倒します。相手をやっつけることは、わが身を削ることと同じ、削った分は食事で補う…『けずり武士』(湯浅ヒトシ)は、勧善懲悪と江戸グルメをモチーフとした時代劇コミックです。現代のように飽食とは無縁で、豪華な料理や珍しい料理が登場するわけではありません。しじみ汁と握り飯、香々(こうこ)といった飾り気のない食事場面でも、これがすこぶる美味しそうなんです!! 荒場城は貧乏侍ゆえいつもお腹を空かせ、目の前の料理をわしわしと平らげるので、そう思わせられるのかもしれません。やはり、空腹こそ最大のご馳走でしょうか。勧善懲悪と前述しましたが、それは取次役の由麻が悪人退治の依頼をするからです。ただ、本を読み進めるうちに物語の奥深さに気付かされます。そのひとつは、荒場城の脱藩にまつわる話だと思います。身分制度にあぐらをかいて搾取するものがいれば、理不尽に虐げられる者がいることを描いた話なのですが、胸を打つ展開です。時代劇の醍醐味が凝縮された、とてもおいしい本です。(2012/8/28)
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    投稿日:2012年08月28日
  • 惣領冬実さんは少女漫画誌でヒット作がたくさんありますが、『ES』とか『チェーザレ 破壊の創造者』などなど、「モーニング」を読んでいる方にはお馴染みですよね。この華麗な絵。記憶力のまったくない私ですが、この短編集に収録されている作品、どれも読んだ記憶があります。どれもトラウマティックな部分をはらんでいるからでしょうか。美しいものとドス黒いものがちらほら見え隠れするような。はたから見ればごく普通の日常風景でありながら、当事者はサイコな中にいる・・・っていう世界観でしょうか。好きな方はすごくハマると思います。 (2012/08/28)
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    投稿日:2012年08月28日