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  •  1911年1月24日、明治天皇暗殺を企てたとして幸徳秋水ら12名が絞首刑に処された。判決から1週間後の早朝、厳冬の市ヶ谷監獄刑場でした。世にいう大逆事件です。――この「大逆事件」から100年の時が経過した2011年、『大正霊戦記 沖野岩三郎伝』が電子書籍となってリリースされました。沖野岩三郎は和歌山グループ6名のリーダーとされた医師・大石誠之助(絞首刑)と親交のあった新宮教会の牧師。事件当時、34歳の沖野は大石らとともに、貧しい人々を救済する運動を行っていましたが、そのことが「天皇暗殺謀議」へとフレームアップされ、沖野自身も和歌山グループ「7人目の共謀者」としての嫌疑を受け、厳しい訊問にさらされました。かろうじて逮捕を逃れた沖野は、盟友だった大石医師の遺族の支援をする一方、作家として「大逆事件」の真実を伝えるための執筆活動を展開していきます。
     幸徳秋水、大石誠之助らの処刑から半年後に特別高等警察、いわゆる特高が設置され、社会主義関係者に対する監視・尾行・郵便物検閲といった視察体制が確立されていくなかで、世の人々に真相を伝える執筆活動が困難を極めたことは想像にかたくありません。
     本書は沖野岩三郎の養女を母とする著者が祖父の残した原稿類を初めとする膨大な関係資料を精査し、沖野岩三郎の生涯を再現したノンフィクションです。「大逆事件」を国家権力による集団催眠主義(国権メスメリズム)に基づく冤罪裁判であったとする視点によって貫かれた本書は、大逆事件100周年の今、その衝撃性をさらに増したといっていいでしょう。
     昨年来、検察官による自白強要、証拠物改竄という司法・裁判の驚くべき実態が白日の下にさらされていますが、そうした日本の検察、裁判制度に連綿として続いてきた病根の原点ともいうべき大逆事件はわずか100年前の出来事なのです。作家・猪瀬直樹さんは本書に寄せた跋文で著者についてこう記しています。
    〈関根進さんは、作家としての僕の恩人です。なぜなら僕の処女作『天皇の影法師』(1983年、朝日新聞社刊)を読み、この著者にうちの雑誌(『週刊ポスト』)で連載をやってもらえないか、と編集会議で提案したことがきっかけで若い編集者が僕のところにやってきた。その後、関根編集長と夕飯を食べることになり、僕は『ミカドの肖像』の原案を口頭でお伝えした。(中略)
    『ミカドの肖像』が週刊ポストに連載されるのは昭和六十年(1985年)一月十八日号からでした。翌昭和六十一年八月一日号まで、七十六回である。その年の十二月に分厚い単行本として出版されたのです。(中略)
     週刊誌が新聞や月刊誌の水準以上の調査報道をきちんとやる前例をつくったこと。これは関根さんと僕の誇りです〉
     著者・関根進さんの編集者、ジャーナリストとしてのこうした考え、姿勢はライフワークとして取り組んだ『大正霊戦記』でも貫かれています。(2011/3/25)
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    投稿日:2011年03月25日
  • 「いつ何時、誰の挑戦でも私は受ける」――。強さへの自負と覚悟がこもり、見出しにもしやすいこの発言。エンターテナーとしても非凡な才能をもつアントニオ猪木を象徴する言葉であります。そんな現役時代の魂の叫びや、より洗練された引退後の名言をまとめたのがこの本です。私はレスラー・猪木信者なので、ページをめくるとその当時の情景などが蘇ってきて胸が熱くなっちゃいますね。例えば
    試合に関してならば大巨人、A・ザ・ジャイアントに言い放った「寝れば、体重は関係ない」や、関節技の鬼・藤原喜明に指さしながら言ったという「角度が違うぞ」とか。もうセンス抜群です。ほか「なんだコノヤロー」「1・2・3・ダーッ!」など名セリフの裏話的解説や政治家時代の発言、ユーモアに満ちた迷言集?もあり、ファンならずとも興味深く読めます。また人によっては心に残る言葉を見つけられるのではないでしょうか。最初の言葉は私が猪木語録の中で最も好きな名言です。ですが今の日本にはやはりこの言葉がいいですね。「元気があればなんでもできる」。(2011/3/25)
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    投稿日:2011年03月25日
  • ①「タッチ・ミー・アゲイン」粗暴な攻×内気な受 ②「息を止めて、」嫉妬の攻×ソツのない受 ③「Candied Lemon Peel」オカマな攻×コンプレックスの受…などなど、バラエティに富んだ短編集です。どの作品も、攻が個性的というかなんというか…軽くDVだったり、ノイローゼの変態だったり、いきなり目隠しプレイを強要するドSの変態だったり…と攻の愛が極端に重過ぎです(笑) そして外見が「逆」の受攻が多いですね。オヤジ受や強面受など。でも受は受、攻は攻の性格をしているので、苦手な人でもすんなり受け入れてしまえると思います。そして読んでいると本当に受が可愛く見えてくる不思議。これぞヤマシタ・マジック! 表題作「タッチ・ミー・アゲイン」は8ページのショート×全5話を繋げた短編作品。1話8ページという短さの中で、7年前に一度だけ関係を持った『親友』二人それぞれの視点が交互に、丁寧に描かれています。ストーリーというよりは心象で読ませる作家さんなので、特に繊細な心理描写は秀逸で、独白の痛々しさには胸が締め付けられました。切なさで、何度涙腺が緩んだことか…。言葉の表現が素晴らしく、素直に心に響きます。実在する人物のようにリアリティあるセリフと会話のテンポの良さ、キャラクターの表情や仕草、明るさとギャグセンスも抜群で、それぞれのバランスが絶妙です。ピュアな想いと即物的な欲望が渦巻く、特別な想いを込めた「愛」あふれるヤマシタトモコさん珠玉の作品集をぜひご覧下さい!
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    投稿日:2011年03月25日
  • 先日(2011.3.7)、村野守美先生が亡くなりました。少年誌と青年誌をフィールドとする村野先生ですが、多数のアニメーション制作の現場でも活躍されていました。何度か村野先生のお仕事にお邪魔したことがありますが、柔和な笑顔を絶やさないそのお人柄が素敵な方でした。『職人尽百景』は、村野先生の代表作の一つ。読み切り短編の中で登場する主人公達は、庭師や大工・染物その他、江戸文化の市井の職人たちで、自分の腕に誇りを持つ者ばかり。技は一流なのに世間から認められない職人がいれば、慢心してうっかりと進むべき道を誤りそうな職人もいます。どのお話にも、江戸の職人と周囲の人間たちとの心の機微が細やかに描かれていて、それは現代に通ずる物語ばかりで、心動かされます。そして共通するのは、どの職人も自分の作ったものが他人に喜んでもらえた時こそ、職人冥利に尽きる瞬間のようです。ひょっとしたら、村野先生ご自身を投影されていたのかもしれません。先生の作品を読みながら、ご冥福をお祈りしたいと思います。(2011.3.22)
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    投稿日:2011年03月22日
  • 今回の東日本大震災で被災された方々へ、心からお見舞い申し上げます。私も実家が福島県田村市にあり、大事故の原子力発電所からは30キロ圏内で、とても他人事ではありません。両親や友人に町の様子を聞くと、食料やガソリンをはじめとした物資が極端に不足しているそうです。電車やバスなども動かないので、避難したくても身動きが取れない人も少なくないのだとか。震災の翌々日に、都内のガソリンスタンドに並んだ自分の行動を恥じ入るばかりです。こんな時には、オイルショック時の経験を思い出して、慌てて買い占めてはいけないですね。なにしろ、被災者の皆さんは、海外でも報道されているように、称賛されるべき落ち着いた行動をとっているのですから。今回、ご紹介する『あしたのジョー』はあまりにも有名なタイトルなので、いまさら詳述はいたしません。ただ、常に「あした」を見つめながら闘う矢吹ジョーの姿は、いつの世も人の心を奮い立たせる強烈なキャラクターです。未来に希望を持ちたいですね。被災されたすべての方々に明るい笑顔が戻りますように、心からお祈りしています。(2011.3.18)
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    投稿日:2011年03月22日
  • 時代劇画史に残る名作『子連れ狼』の続編です。拝一刀と柳生烈堂との果たし合いは壮絶な相討ちに終わり、父の側に立ちつくしていた大五郎は、旅をしていた示現流始祖・東郷重位と偶然出会います。重位は、大五郎の宿命を自分のものとして受け入れ、同じ道を歩むことに。「北方水滸伝」の楊志と楊令に重なるところがあります。「生まれ変わりたる次の世でも父は父 次の次の世でもわが子はおまえぞ」。拝一刀と同様、重位もそう思っていたことでしょう。強さと温かさを持った重位の生き様があまりに心を打ちます。父と子の絆を描いた傑作です。
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    投稿日:2011年03月22日
  • 「戦争が始まったかのようだった」1985年8月12日夕刻過ぎ。日航ジャンボ機墜落。死者520人をだした世界最大の航空機事故を追いかけた地方新聞記者の苦闘を描く横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』。横山秀夫自身が群馬県の上毛新聞記者としてこの時の報道を経験しています。その体験をもとに描かれた小説で、現場にいたものにだけ書ける迫真のシーン、苦悩する人間の姿がそこにはあります。冒頭に引用した一行もそうした横山秀夫の体験が凝縮されています。日航全権デスクを命じられた悠木のデスクで電話が鳴った。悠木がもっとも信頼を寄せていた佐山記者が御巣鷹山の現場雑感を送るための電話だったが、すでに朝刊は下版、印刷に回っていた。迫力に満ちた、見事な雑感だった。しかし、新聞には載らない。その一言が悠木には言えなかった。悠木は佐山にもっと書けと指示し、佐山はまったく違う現場雑感を書き上げた。〈若い自衛官は仁王立ちしていた。両手でしっかりと、小さな女の子を抱きかかえていた。赤い、トンボの髪飾り。青い、水玉のワンピース。小麦色の、細い右手が、だらりと垂れ下がっていた。自衛官は天を仰いだ。空はあんなに青いというのに。雲はぽっかりと浮かんでいるというのに。鳥は囀り、風は悠々と尾根を渡っていくというのに。自衛官は地獄に目を落とした。そのどこかにあるはずの、女の子の左手を探してあげねばならなかった――。 悠木は赤いペンを机に置いた。何度も前文を読み返し、それから本文を読み進んだ。感情が収まるのを待って席を立った。それでも、見てきたかのように現場の光景が瞼から離れなかった。整理部長の亀嶋に原稿を手渡した。「カクさん、これ、一面トップで」「どうしたん?赤い目して」悠木は答えず、ネクタイを緩めながらドアに向かった。〉東日本大震災にも通底する記者たちの物語はこれから始まります。(2011/3/18)
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    投稿日:2011年03月18日
  • 観測史上最大、マグニチュード9.0の大地震、そしてその直後の大津波によって蹂躙されてしまった海沿いの町。そのつめ跡を俯瞰的に、あるいは微視的に伝える報道写真に目を奪われて週末を過ごしていて、ある短編小説がひらめくように頭に浮かんだ。浅田次郎の『月のしずく』です。かつては海の近くにあって栄えた漁師町が湾岸コンビナートの町に変わって、そこで30年も働いてきた中卒の43歳。パッキンをトラックに積み込む荷役(かえき)が辰夫の仕事だ。フォークリフトと並んでコンビナートのなかを動き回る様子が似ているところから「蟻ン子」と呼ばれている。そのさえない蟻ン子に、秋も初めの十五夜の晩、椿事が訪れた。シルバー・グレーのベンツが止まり、美しい女が降りた。〈「いいかげんにしろよ。こっちが甘い顔してりゃつけ上がりやがって」「ふん、あんたに亭主ヅラされる覚えはないわ。じゃあね、バイバイ」男はいきなり女の二の腕を引き寄せて、頬を殴りつけた。・・・・・・倒れ伏した女に向かって、男はさんざ悪態をついた。運転席から手提げ鞄を取り出し、乱暴にひと?みの札束抜き出すと、女の上に撒き散らした。・・・・・・ベンツは唸りをあげて行ってしまった〉女がどこの誰で、どうして自分の前にいるのか、そんなことはどうでもよかった。何とかしてやらなくてはと、辰夫は思った。それが十五夜の満月が真上に輝いていた夜、自分には何一つ取り柄がないと思いこんでいる辰夫が、銀座の女リエを背負ってアパートへ帰ることになるきっかけだった。月夜の晩に出会って、コンビナートのずーと先にある海へ、喪われてしまったふるさとの海へ回帰する辰夫とリエの間の癒しのストーリー、表題作「月のしずく」のほか「聖夜の肖像」「銀色の雨」「琉璃想」(リウリイシアン)「花や今宵」「ふくちゃんのジャック・ナイフ」「ピエタ」を収録。短編の名手だからこそ実現した「浅田ワールド」傑作選。(2011/3/18)
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    投稿日:2011年03月18日
  • 村野守美氏が描いたおそらく最後のカラー作品が、14号には掲載されています。当時、このウェブマガジンの刊行ペースや運用などは全く手探りの状況でしたが、とにかく村野氏に夏に向けて戦争もので一作、ということで無理にオールカラーでお願いした作品でした。私、漫画編集の経験はほとんどなかったため、知りあいを頼って僅かばかりの知識を身につけ、村野氏が資料を欲しいといえば、ネットで探し、汗を拭きつつ博物館や図書館をまわったり。それが役に立ったかどうかと言えばそれほどでもなかったようですが、ただ「ありがとう」と言ってもらえたことだけを覚えています。原稿のアップはギリギリで、できたページから急いで会社に持ちかえってすぐ作業して…。ずいぶん暑い夏だった気がします。その後、全3作で完結させるようにプロットも作り上げ、第2回は主人公の疎開地での物語を中心とした構想になっていました。それの仕上がりを見ることはもうありません。2011年3月7日、村野氏は永眠されました。無念でなりません。(2011/3/18)
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    投稿日:2011年03月18日
  • 「男になんて夢はナシ! 堅実に生きていく!」が信条の普通のOL・小鳥遊千和は22年間ほぼ彼氏ゼロ。そんな彼女が、出会って二日の男と突然結婚することになって――…!? 「プチコミ」で大人気連載中のウエディングストーリー!! こんな結婚アリですか!? …いや、全然アリですよ!!(*´○`*) なんと旦那さまは千和が勤める商社の社長・間宮北斗(28)で、女子社員の憧れの的なんです!経済力もあって、スマートでカッコイイ!!  最高じゃないですか~!(*゜▽゜*)玉の輿♪ しかも結婚したことは社員には内緒。大企業の社長と一社員の秘密の結婚……皆さん一度は妄想したことありますよね? そんな誰もが夢見るシンデレラストーリーです☆ 「ウチの奥さん」「奥さま」とか萌えるわ~憧れてしまいます!(*´ェ`*) 話のテンポも良く、内容に入り込みやすくてとっても面白いです! 旦那さまはクールなドSで、いつも上から目線で鼻で笑ってる感じなんだけど、実は優しくて…(*'-'*)え、なにこれツンデレ?ギャップ萌です!素敵な笑顔に胸キュン(//∇//) あんな人と一緒に暮らしたら、そりゃドキドキしますよねん☆ 著者も書かれてますが、北斗が「カタギに見えない」と…確かに(笑) 口調のせいもあるのかな?でもそこが彼の魅力だと思います!契約から始まった結婚ですが、だんだん絆は深まって愛が芽生えていく予感…(*^^*) 二人が本当の「夫婦」になれる日は来るのか!? 今後の進展にも期待大です!
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    投稿日:2011年03月18日
  • 2010年私的ベスト10の発表です。第10位は少女漫画の『春行きバス』。失ったなにかを思い出させてくれる作品。第9位『拳児』。主人公が小さいときから立派です。格闘もののジャンルに入るのでしょうけれど、さわやかでまっすぐな少年の生き様に心が洗われました。第8位『ギラギラ』。闘うお父さんの物語です。第7位『サマーウォーズ』。全3巻というサイズで、まさに映画を見るように楽しめました。中身が濃いです! 第6位『純愛ストリップ』。明るいド変態ぶりについ笑ってしまうラブコメ。男性が読んでもきっと楽しいです。 第5位『パパイラズ』。子どもの健気なかわいさがグッときます。第4位『人造人間キカイダー』。悩める人に、なぜか心惹かれます。第3位『ボールパークへようこそ』。非常に生々しい人間ドラマ。これも悩める人ですが、こちらはより等身大で迫ってきます。第2位『銀河鉄道999』。エピソードのひとつひとつが奥深いです。広い宇宙を想像し、切ない気持ちに…。第1位『デッドマン・ワンダーランド』。2011春アニメ化の話題作。絵にかいたような“ハラハラドキドキ”状態にさせられました。振り返ってみると、この枠で採り上げさせてもらった作品ばかりになりました。以上、2010ベスト10でした。
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    投稿日:2011年03月15日
  • 適度な飲酒は楽しいものですが、ついつい度が過ぎてしまう人っています。そういう私こそが、過去を振り返ると赤面するばかりです。『平成よっぱらい研究所 完全版』は『のだめカンタービレ』でお馴染みの二ノ宮知子の作品。平成よっぱらい研究所・所長として、作者本人がお酒を飲んでのドンちゃん騒ぎのアレやコレや描いています。酒好きには、「そういうこと、あるある」と頷いて仲間を見つけたような安心感を抱く(?)エピソードが少なくありません。大酒を飲んだ翌日、飲んでいた時の記憶の一部がなくなっているというお話も何度か登場するのですが、実は愛飲家にとってはこれが一番の恐怖のような気がします。ひょっとして、とんでもないことをしたのではないのか…ついつい悪い方向へ思いを巡らせてしまいがちです。笑いながら読んでいるうちにも、「お酒はほどほどに」と自戒してしまいました。(2011.3.6)
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    投稿日:2011年03月15日
  • いろんなデバイスが続々と登場して、快適に電子書籍が読める環境が整いつつあります。ここ100年ばかりの間に、劇的に文明は進歩しました。PCやケータイどころか家電製品もなくて、交通手段も限られた100年前の生活なんて、もはや想像すらできないですね。戸田誠二の短編集『WOMAN』の中に収められた「1900」は、主人の会社が倒産したために、家族全員でアルバイトとして1900年の生活をするというお話。炊事や洗濯に掃除…文明の利器が使えないとなると、考えただけでも大変です。でも、不便だから幸せではないのかというと、必ずしもそうではないような気がします。この本の話に登場する主人公は、タイトルどおり女性ばかりです。何気ない日常生活を通して、人の幸せといったものを描いています。ちょっとお疲れ気味のようなときに、ぜひお読みください。 もちろん、男性にもおすすめです。(2011.3.6)
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    投稿日:2011年03月15日
  • さすが原作・雁屋哲。これでもか、といわんばかりに魅力的なエピソードを詰め込んでいいて、その引き出しの多さに脱帽します。終末兵器をめぐる超忍組織・恐車と神魔の壮絶な闘い。そこには敵味方にわかれてしまった者の悲哀があり、鉄の掟に従わなければならない不条理が。ほか、政府の陰謀という政治的な匂いも漂わせつつ、必殺技のグレードアップというエンタメ性も強調し、四天王や巡回処刑人といった言葉のセンスの良さも持ち合わせる。作画が島本和彦じゃなかったら、相当ハードな作品に仕上がっていたかもしれません。ですが、逆にいえば普遍的なテーマなので、シリアス系の作画だとベタな忍者アクションになっていたかも。だからこそ熱血ギャグ仕立てのこの作品は、異彩を放っているんでしょう。当時の島本は新人。片や雁屋は「男組」で名を挙げた一流原作者。その原作をここまで自分流に解釈してしまうとはなんたる度胸か。しかも一時『炎の転校生』と連載時期が重なっていたなんて。その心と体の強さを知ってしまうと、やはり島本和彦にもスゴイと言わざるおえません。(2011/3/11)
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    投稿日:2011年03月11日
  • 電子書籍の販売などという仕事をしてますが、おそらく私、会社内はおろか一般的にみてもコンピュータの扱いについては疎い方です。用語の使い方も、最近までハッカーとクラッカーをごちゃまぜにしていたりして恥ずかしい限り。で、これではいかん!と一念発起して勉強しようと思っていたら、意外に身近なところにこんな良い本がありました。漫画の『BLOODY MONDAY』のスピンオフとでもいうべきこの作品は、ファルコンこと高木藤丸が著者という設定。パソコンに興味をもった人が、ハッカーへの道を歩むことができるよう、基礎的なことから最新のパソコン・ネット事情などをわかりやすく解説してくれる読み物です。一歩目はパソコンの構造や歴史から。次に用語を学び、システム、ネットへと話題は高度化していくのですが、扱っていることが一般的になっていることばかりなので特に抵抗感はなく、するっと頭に入ってきます。本来は元ネタ同様、中高校生向けなのかもしれません。ですが、いまさら聞けないことの多い私のような中高年こそ読んだ方がいいのかも。(2011/3/11)
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    投稿日:2011年03月11日
  • 井上靖が京都大学の学生の頃から夢に見てきたという「西域」への旅が実現したのは、1977年(昭和52年)のこと。8月に新疆ウイグル地区に入ったのを皮切りに、翌78年には敦煌へ。そして1979年(昭和54年)まで繰り返した西域行きを綴ったのが、本書『私の西域紀行』(上下)です。70歳になって初めて新疆ウイグルの地に立った井上靖は、次のように書いています。〈とうとう新疆ウイグル地区に入った。ウルムチに入った。そんな思いが、寝台に入った私を、多少寝苦しくさせていた。往古の西域、今日の新疆ウイグル自治区がいかなるところか。(中略)現在この地区に生活している十三の少数民族は、いかなる風貌と、いかなる習俗を持って生きているか。また日本の四倍半の広さを持つ新疆ウイグル自治区が、天山山脈とタクラマカン砂漠の地帯が、いかに古い歴史の翳りを持ち、いかに現代の呼吸をしているか。それからまたその首府であるこのウルムチが、いかに近代化され、国境に近い町としていかなる性格を持っているか、――すべては明日からのことである〉ちなみに、中国側の招待の形で実現したこの旅には、司馬遼太郎や東山魁夷も同行していたそうです。当時の日本にあって、西域に強い関心を寄せていた最良の知識人たちがともに参加したツアーであったことが井上靖の考察に深みを与えていたであろうことは想像にかたくありませんが、本書のもう一つの魅力は井上靖撮影の壁画、仏画といった新疆ウイグル地区や敦煌などの写真が巻頭口絵として収録されていることです。いうまでもなく、新疆ウイグル地区はアフリカや中東の独裁政権が体制変革、民主化の荒波に襲われるなかで、対応が注目される中国の「弱い環」としてクローズアップされている自治区です。「そこで生きる人々とは?」井上靖が自らの目で見つめ、自らの足で確かめた真実は、決して色褪せることはありません。上下2巻。(2011/3/11)
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    投稿日:2011年03月11日
  • 「われわれは、ネコ権尊重を主張する!!」インテリ風なネコたちが人間世界について議論したりしなかったりする漫画。近所の猫除けペットボトルの数が増加するなど、次々と押し寄せる問題を前に彼らは…? 「モーニング」は、ほんとうにネコ漫画の宝庫です。もっと続いて欲しかった漫画でした。表紙を飾っている林太郎さんは、本当は白ネコなのに、風呂にあまり入らないため黄ばんでいます。そんな林太郎さんが最終回で見せた男の生き様……必見です。
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    投稿日:2011年03月08日
  • いわずと知れた大人気コミック。かれこれ14年ぐらい前、クルマに興味がなかった私も友人にすすめられて読んだらものの見事にはまってしまいました。旧車が、最新のクルマと速さを競うという、その勝負シーンだけでも面白いのですが、“秋名のハチロク”などといったかっこいい通り名だとか、続々あらわれる敵(クルマ)とか、盛り上がる要素がいっぱいなんですね。登場するのが実車なので、詳しくなってしまいますし、次はどのクルマと戦うんだろうと楽しみポイントが増えてくる漫画です。
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    投稿日:2011年03月08日
  •  「思い出すだけで胸のこの辺と脳のこの辺がキリキリと痛み出し、『あ゛あ゛あ゛あ゛』と叫びたくなるような、そんな嫌ぁ~な思い出」を読者に笑い飛ばしてもらおう、という意図でまとめられた清野とおるの『バカ男子』。冒頭から引用してしまいましたが、『あ゛あ゛あ゛あ゛』体験は、誰でも持っているはず。この本は、コマ割りのマンガではなく、文とカラーイラスト、そして著者の当時の写真を交えての『あ゛あ゛あ゛あ゛』の思い出話集。小学生から高校生までの多感な時期に起こった珍事件のエピソードで構成されています。私が一番笑えたのは、小学2年生の時に友達が家から1万円をくすねてきて、二人でそのお金を使うくだり。駄菓子屋へ行ったりメダルゲームを楽しんだりするのですが…その結末に思わず噴き出してしまいました。この本を笑いながら読んで思ったのは、著者が言うように、『あ゛あ゛あ゛あ゛』体験はネタとして人に笑ってもらって浄化すべきですね。(2011.2.27)
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    投稿日:2011年03月08日
  •  書名からして、かなり怪しいです。だって、『そっと好かれる』ですから。中身は期待を裏切らない、小田扉独特の笑いに満ちあふれています。大爆笑するわけじゃないんだけど、最初から最後まで、ずーっと頬と口元が緩みっぱなしのニヤケ状態が続く短編集。説明しにくいんですが、ぬくぬくとした脱力気味の笑いです。とぼけたセリフとカット、キャラクターの表情の変化等、どこをとっても好きです。例えば、「サイボーグ大作戦」は、あの有名SF作品のパロディ。メンバーは「01」から「06」で、お互いの必殺技を打ち明けるシーンは、笑いが止まりません。また、短編集『男ロワイヤル』にも収録されている、野木さん&古野さんコンビが登場する作品も味わい深くて好きですねぇ。スキのない高濃度のお笑い空間を浮遊してみてください。(2011.2.27)
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    投稿日:2011年03月08日
  • 佐木隆三さんに初めてお目にかかったのは、この『復讐するは我にあり』が直木賞を受賞した1976年のこと。私は週刊誌編集者になって4年、「ニュージャーナリズムの時代」の波がアメリカから日本に押し寄せているなかで、ノンフィクション・ノベルの手法がすごく魅力的でした。以来連載小説の取材で中国に同行したり、南米に送り出したり・・・・・・作家と編集者としての付き合いは30年を超え、佐木さんはいまも新しい本を出すごとに署名入りで贈ってくれます。2007年春、佐木さんから届いた一冊は、とくに感慨深いものでした――『復讐するは我にあり 改訂新版』。400字詰め原稿用紙にして800枚の大作を、佐木さんはパソコンを使って最初から書き直したのです。驚き興奮して一気に読みました。実際にあった連続殺人事件をモデルとしていることから、関係者への配慮で旧版では架空の地名としていた事件の現場などが、実在の地名に書き改められています。例えば、最初の事件がおきた「筑橋市」は本来の地名である「行橋市」に戻されて、私のように土地勘のない読者にもずっとわかりやすくなりました。いうまでもなく地名の問題だけでなく、佐木さんが持ち続けてきた「犯罪」をとりまくものを描き出そうという強い思いが、改訂新版の名に恥じない、まったく新しい作品をつくりあげたといっていいと思います。その佐木さんの思いがこもった代表作の電子書籍化を自分の手で行うことができたのは、私にとっても二重の喜びでした。発売は2010年12月でした。日本中を震撼させた連続殺人事件――九州に始まり列島を縦断して五人の男女を殺害した男を綿密な取材で克明に再現するノンフィクション・ノベルの最高傑作です。(2011/3/4)
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    投稿日:2011年03月04日
  • 寺や神社などの参道や境内で店を出して商いをする人を「ロテンショウ」といいますが、漢字ではどう書くか、わかりますか。「露店商」と「露天商」、どちらが正しいでしょうか。店そのものを言うときには「露店」と書きますが、そこで商いを行う人を言うときは「露天商」と書くのが正解だそうです。露天で商売をする人ということから「露天商」と書き、「露店商」は間違いというわけです。言われてみれば、そうかそうか、忘れていたと納得するのですが、日常生活のなかで漢字の使い方、敬語の用い方などなど、日本語の問題に苦労している人も多いのではないでしょうか。本書『日本語の特質』は、言語学を専門とする学者一家の出で、辞典編纂者として知られた金田一春彦先生がNHK大学講座で話した内容を基にまとめたもの。世界の言語と比較しつつ、日本語の発音や、表記法から文法、敬語まで、話し言葉でわかりやすく解説しています。上記の「露天商」はそのほんの一例ですが、もうひとつ、いまいまの日本語を考えてみて、面白かったのが「男言葉と女言葉」。少し長くなりますが。引用します。〈日本の流行歌に「二人は若い」というのがあって、その中に「あなた」「なんだい」という会話が入っていますが、一方が女で、一方が男だとすぐわかります。外国の小説では、男と女の対話になっていて、一行おきに男の言葉と女の言葉とが出てくることがありますが、そういう時に一ページくらいめくったらどちらが男のことばかわからなくなってしまうことがあるようです。そうすると、前へ戻って、一番はじめから、ワン、トゥー、スリー、フォア・・・・・・と数えまして、これは偶数番目だからこっちが女の言葉だろうと見当をつけて読んでいます。日本のものにはそのようなことは起こりません。どれが男の言葉か女の言葉かひと目見てわかるわけです〉昨今の男女差がなくなってきている若者言葉の状況を今は亡き金田一先生、どう見ているでしょうか。とまれ、碩学が遺してくれた好著――日本語力アップに役立つはずです。(2011/3/4)
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    投稿日:2011年03月04日
  • ストーリーの骨子はまさにど真ん中のストレート。なんちゃって野球部が、ふとしたきっかけで目覚め、甲子園を目指すというもの。これだと、なんだ普通の野球漫画かと思われていまいますが、この作品はなかなかあなどれない。いくつも変化球を投げてきているのですよ。まずは主役がかつての野球部マネージャーで、10年ぶりに故郷に戻ってきた女性教師ということ。設定に変化をつける、さしずめスライダーといったところ。そして意味深なタイトル。わざわざ「みんなの」という文字に×をつけ「私の」にしてあり、これは最後のオチにも関係しているので、決め球のフォークといえばいいでしょうか。さらにもうひとつ、魔球クラスの球がありまして、これがなんと幽霊。???ですが、この幽霊、特に物語の導入部で、過去と現在の橋渡し役となる重要な存在なのです。物語が進むにつれだんだん出番も減りますが、それは生きている人間の存在感がでてきているから。そして「みんなの」につながっていくという流れ。ちょっと違うと思っていたらなんとなく打ち取られた、そんな感じです。(2011/3/4)
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    投稿日:2011年03月04日
  • いや~、長かった。やっと発売することができて感無量です。2年くらいかかったのかなあ…。いつ電子書籍化してもいいと言われてから。チェック用の本は会社にあって、時々読んでいたんです。しょっちゅう意見は対立するものの、互いを認め合っている父・勘太郎と息子の文吾。そして個性豊かな下ノ町警察署の面々。そこには泣ける人情話もありクスリと笑える楽屋落ちもある。一話完結で読みやすく、恋も友情も出会いも別れもあって、どんな年代でも楽しめるはずだからと、何度出してしまおうと思ったことか。でも待った甲斐はありました。現存するカラーページをすべて復刻した完璧版としてリリースすることができたのですから。ちょっと内情をばらすと、別件で大島プロに伺ったときにカラー原稿の補正の真っ最中だったんです。肌の色などをすべて合わせたり、汚れを落としたり。またそのカラー原稿の美しいこと。こんなもん見せられたらやっぱり復活させたくなりますよねえ。ということで、ことし最高の出来栄えになり、スタッフに感謝、大島プロにも感謝したいです。(2011/3/4)
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    投稿日:2011年03月04日
  • 「このマンガがすごい!2010」オンナ編・第6位&「このマンガを読め!2010」第5位をW受賞し、注目書として本屋に平積みにされ話題になった作品。表紙を並べると一枚の絵になっているんですね。東京の大手電機メーカーに勤めるつぐみは、田舎の祖母の家で長期休暇を過ごしていた。入院中の祖母は間もなく亡くなり、つぐみは仕事を在宅勤務に切り替え、そのまま祖母の家で暮らすことを決めるが、翌朝家にいたのは、見知らぬ中年の男性・海江田。大学教授の海江田は祖母の教え子で、祖母から離れの鍵をもらっていたと言うが? 東京で仕事と不倫に疲れた30代半ばのヒロインと祖母の愛人疑惑のある50代男性…なんとも奇妙な二人の同居生活の始まりです。一人で生きていける力があるつぐみは、結婚しないで一生一人で生きていこうと考えていた矢先に海江田と出会う。過去の恋愛で傷つき、失うことを恐れる臆病なつぐみの心を、ゆっくりと溶かしていく海江田。海江田がまたカッコイイおっさんで。つぐみも所作もキレイでいい女です。ええ乳やなあ! いい大人同士のかわいい恋愛。西炯子独特ののほほんとした空気を感じてください。
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    投稿日:2011年03月04日