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  • アンブローズ・ビアス著『悪魔の辞典』をご存知でしょうか。約100年前、1911年にアメリカで発表された、一風変わった“辞書”で、大きな反響を呼びました。辞書のスタイルはそのままに、収録した言葉をすべてひっくり返すような再定義をして、ブラックユーモア、痛烈な皮肉に満ちた語釈を展開。作家の筒井康隆氏など、何冊もの日本語訳が出版されています。本家の『悪魔の辞典』の電子版は残念ながら出ていませんが、この辞典のビジネス用語版ともいうべき『ビジネス版悪魔の辞典』(電子版)が日本経済新聞出版社からリリースされています。著者は、早稲田大学商学学術院の山田英夫教授。経営戦略論専攻で、企業現場の最新事情にも通じている経営学者です。その山田教授が、世界的名著である『悪魔の辞典』を発想のベースとして、日本のビジネスの現場で起きている様々な事象をわかりやすく説明することを目的に執筆したのが本書です。山田教授のはしがきにはこうあります。〈「現実の日本企業を見た場合、本書の用語説明の方が、教科書の定義よりも正しい」というのが、本書の基本コンセプトです。ですから、わざわざ教科書の間違った定義は書いてありません〉どうやら、経営学の教科書には間違った説明もずいぶん載っているらしく、山田教授は本書でそうした誤りをわかりやすく、かつ正しい説明・再定義を行っているという。読者が経営の勉強をもっとしたくなるように、自己啓発の手がかりになるように工夫したとも書いています。本家のビアスのように風刺やパロディが目的ではないとことわってもいるのですが、どうしてどうして山田教授、学者離れした風刺精神の持ち主のようです。経営用語の再定義がそのまま、現実を逆さまから見直すとどうなるのか、高名な経営学者の説を無批判に受け入れることが、どれほど滑稽なことになっているのかなどの視点は、思わず笑ってしまうこともたびたびです。とまれ、山田教授は本書のもうひとつのポイントとして、読者の「会社人間度」の測定ができることをあげています。本書をすべて読み終えたあとで、以下の基準で自己採点してみてくださいというわけですが、ここでは、20語による簡易診断を試みてみました。山田教授の測定基準は以下のとおりです。●用語の三割以下しか理解できず、かつ笑えなかった方 →恐らく、ビジネス経験がない方だと思います。一度働いてみて下さい。できれば古い大きな会社で。●用語の半分程度が理解でき、半分程度笑えた方 →そろそろ「会社人間」も板についてきた頃かと思います。●用語の七割程度が理解でき、かつ笑えた方 →立派に大企業病を理解されている方です。●用語の七割程度が理解でき、かつ笑えなかった方 →大企業病にかかっています。至急治療が必要です。●用語の九割以上理解でき、かつ笑えた方 →経営コンサルタントかビジネススクールの教授に転職をお勧めします。●用語のすべてを理解し、すべて笑えた方 →ちゃんと会社で仕事してますか? さあ、山田教授の『ビジネス版 悪魔の辞典』から抜粋した用語に挑戦してみてください。【リーダー】部下が作った書類を棒読みする人。【36(さぶろく)協定】(1)残業が、労働基準法に違反しないための例外的措置のはずが、協定の上限までは残業させてよいに読み替えられた協定。(2)サービス残業が始まる基準点。【有能な社員】上司の指示の何を聞き流すかの判断ができる人。【無能な社員】上司の指示をすべて受け入れる人。【権限委譲】能力のない上司が、部下に仕事を丸投げするときの常套句。実際は「責任」委譲で、「権限」は委譲されないことが多い。【ファミコン言葉】「ファミレスやコンビニでバイトしているだけで身につく丁寧語」でよろしかったでしょうか?【ディベート】できない上司に対して発揮してはいけないとされている、相手を論破していく能力。ということは、この能力は一体いつ使うのだろうか?【取締役】(1)社長の思いつきの発言を、何の翻訳もせずに部下に伝える人。発言の真意を社長に尋ねるよりも、推測することが多い。(2)不祥事を起こすと、取締まられる役。【取締役の報酬】だんだん開示が進み、従業員は次のどちらかの感想を持つ。(1)「え~、こんなに貰ってるの!」 (2)「え~、これしか貰ってないの?」【リスク・マネジメントの3C】Command(指揮・命令)、Control(統制)、Communication(コミュニケーション)のはずが、有時には、Chaos(混乱)、Crush(衝突)、Charge(責任のなすりあい)に転化する。【ミッション】(1)多くの場合、インポッシブル。(2)歴史のある鉄道会社が、余剰人員対策として、駅ソバ事業を始めた。事業はスタートしたものの、赤字が続いていた。そんなとき、ある企業がソバをゆがくロボットを売り込みに来た。ある駅でそれを導入したところ、黒字になった。ただし二人が職を失った。この事業は成功と言えるのだろうか。【KPI(Key Performance Indicator)】この指標が戦略目標とリンクしていると錯覚してモニターする指標。【交際費】(1)二〇パーセントの人が総額の八〇パーセントを使う資金枠。(2)効果測定不能な「投資の顔をした無駄遣い」。(3)いつも有力な得意先の名前が出てくる伝票。注意してチェックしないと、別々の部署から一日に三回接待を受ける人も出てくる。【納品】製品の欠陥の発見が、ユーザー側に委ねられること。【返品】明確な理由があって返すのが日本、持っている明確な理由が見つからないと返すのが米国。【ロイヤル・カスタマー】米国では最も恩典を与えられる顧客であるが、日本では最も損をしている顧客。【調査会社】(1)一流の調査会社は、事実と推定をきちんと分けてくる。(2)二流の調査会社は、事実と推定を混同させてくる。(3)三流の調査会社は、事実を推定してくる。【テスト・マーケティング】静岡県民・広島県民がいかに平凡かを確認するもの。【稟議書】(1)根回しの後に、念のため回覧される確認書。(2)印鑑の数と内容の濃さが反比例する書類。【会議メンバー】(1)銀行の会議:五分前に全員着席している。(2)IT企業の会議:五分前には誰もいない。定時には全員が揃う。(3)伝統的企業の会議:五分経つと事務局が電話をかけまくる。以上、20語を駆け足で列記してみました。自分の会社を思い浮かべて内心「そうだ、そうだ」と同意してしまった言葉もあれば、「けしからん」と怒り心頭に発した用語もあったと思いますが、とまれ、あなたの「会社人間度」はいかがでしたか。判定結果に疑問ありの場合は、ぜひ本書収録のすべての用語でご確認いただくことをお勧めします。(2014/1/24)
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    投稿日:2014年01月24日
  • 超ハマってます!!面白い!!マンガ好きの皆さんには今更でしょうが、ここはまだ読まれていない方に向けて、是非是非オススメしたいマンガです!主人公は東京下町に1人で暮らす17歳の少年・桐山零。彼は将棋のプロ棋士なのです。しかし事故で家族を全て失ってしまった過去を持っています。孤独な生活を送っていた彼は、3姉妹あかり・ひなた・モモ(あと和菓子職人のおじいちゃん、が最高!)と出会います。下町の雰囲気が羽海野さんのやわらかいタッチで描かれていて、本当にずうっーと見ていられる絵ですし、物語も本当に素敵な内容になっています!サブキャラたちもよくて、例えば、零のライバル二海堂晴信とかやられますよ!!見た目やキャラとは裏腹なエピソードが出てきて…キュンキュンします!島田研究会の島田さんもいいし、宗谷名人も人間離れしてるし、もう布陣が完璧!そして将棋マンガは「ハチワンダイバー」などある中で将棋を選んだところも興味があります。正直「ハチクロ」は設定があり得ない感じだなぁ…と思うところもあってあまり好みではなかったのですが(面白いのですがっ)これはど真ん中!!ど真ん中になる人続出だと思っております!!!
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    投稿日:2014年01月24日
  • 本の上に頭をちょこんと乗せて、陽光の中で気持よく昼寝をする猫の表紙写真を見ると、猫の写真集かと思わされますが、書名は『ねこできちゃった!』。実は本物の猫ではなく、キャット・カービング、つまり木彫の猫というから驚かされます。この本は、キャット・カービングの大家、西誠人の作品集です。本に収められた愛らしい猫達のいずれもが、表情豊かで生き生きとしていて、見るものの目を釘付けにさせます。なかでも、12ページの「反抗期」という作品は、運動靴にじゃれる猫の躍動感がヒシヒシと伝わってきます。運動靴まで木でできているというのですから、にわかには信じられません。本には、キャット・カービングのノウハウが篠原千絵の漫画で紹介されていたり、「ビッグコミックオリジナル」の猫の表紙で知られる村松誠との対談のページが収録されているなど、猫好きには堪えられない内容。ページをめくる度、自分でも作りたくなってくるほど、ワクワクさせられるのです。(2014/1/24)
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    投稿日:2014年01月24日
  • 凍てつきそうな寒い日が続いて、朝はぬくぬくの布団からなかなか起きられないですね。猫好きはもとより、猫が好きじゃなくても心をポカポカあたためてくれるのが、山田さんと愛猫しまの物語『ぬくぬく』です。年老いた山田さんとしまの、しみじみほのぼのとした毎日が短編で描かれているのですが、読んでいて目が離せなくなるのがこのふたりの関係性と、しまの行動の細やかな描写です。しまに対してあふれんばかりの愛情をそそぐ山田さんなのですが、しまは猫特有の甘えとしらんぷりを繰り返し、そのツンデレぶりがまたまた山田さんの愛情を高めていくようです。しまのおねだりの仕草やじゃれ方ひとつとっても猫なりに感情の表し方に違いがあって、本に見入っていると、しまと一緒に暮らしているような錯覚に陥るほどです。寒い日はあなたも、ぬくぬくしませんか。(2014/1/24)
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    投稿日:2014年01月24日
  • おもしろかった!
    ちょっと濃いめの絵ですが、読み始めるとそれにも愛着がわき、おしゃれに恋に敏感なチナのかわいさにもはまりました。音楽をやっているチナは感情表現もたっぷりで甘え上手。彼女の激しい情熱をぶつけられるボーイフレンド・イズミはかっこよくて大人。甘えて来るチナにはまってしまいながらも全てを見せようとしないイズミに、チナは不安を感じながらもいつも全力でぶつかっていきます。毎回のようにエッチもあるし、現実にこんな2人がいればいいなぁって思う理想的なカップル。8巻くらいまで読みましたが、つきあって2年経ってもまだドキドキさせられるカップルです。
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    投稿日:2014年01月22日
  • 匿名希望
    作家が別人??
    子供の頃に読んでいたときめきトゥナイトが懐かしく、購入しました。ストーリー自体は面白かったし、オリジナルに沿っていたと思います。でも、あまりにも絵柄が変わりすぎていて愕然としました。ほかにも、絵柄がだいぶ変わった作家さんはいますが、この人の場合、まるで別人です。というか、以前に比べてあまりにも下手になっている気が....。アシスタントさんが名前を借りて書いているとしか思えないような絵柄で、正直がっかりしました。昔の作品が好きな人が購入したら、私と同じようにかなりがっかりするのではないでしょうか。
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    投稿日:2014年01月21日
  • 街中でカブを見かけない日はありません。新聞や郵便の配達、そば屋や中華料理屋の出前、おまわりさんの警邏。そして一般の人々も普通に乗ってますよね。かく言う私も、十年来のカブ乗りです。ちょっと近所に出かけたり、近くのホームセンターに買い物に行ったり、春には近所の公園に桜を見に行ったり、梅雨にはお寺にアジサイを見に行ったり、夏になれば土手に花火を見に行ったり、秋には雑木林に紅葉を見に行ったり、冬には屋根から落ちた雪の塊がフロントフェンダーを直撃したり(真っ二つに割れました)、一年を通して生活に密着したその存在は、もはや家族と言っても差し支えありません。維持費もそんなにかかりませんし、燃費もいいので頻繁に給油する必要もありません。そしてそのたたずまいのかわいらしさ。愛着を感じずにはいられません。そんなカブへの愛を詰め込んだ今回のレビューなわけですが、本作『親愛なるカブ』にもカブへの大いなる愛がたっぷりと詰まっています。カブ乗りにしかわからない“あるあるネタ”は、読んでいるとつい微笑んでしまいます。
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    投稿日:2014年01月21日
  •  年末年始に実家の田舎に帰りました。夜中に友人と二年参りがてら深夜徘徊をしましたが、いや、とにかく星がキレイでした。実家にいた頃には気づきませんでしたが、夜でも明るい東京とは比べ物になりません。ああ、宇宙へ逃避したい…。齢30にして逃避願望は第二宇宙速度をついに超えました。
     私にとって宇宙物の漫画といえば手塚治虫の『火の鳥』の宇宙編や望郷編、藤子・F・不二雄の「一千年後の再会」など、果てない宇宙の冷たさが強調された作品ばかりを思い出してしまいます。けれど今回紹介する『宇宙家族ノベヤマ』は少し違う。宇宙を旅する地球の一家族のお話です。
     それは、地球の天文台が地球外文明から発信された電波を受信したことからはじまります。そこには宇宙へ飛び出すための技術と、文明がある他星系へ渡ることができるスターゲイトの座標が記されていました。電波を解読した地球人は、そこにただ一つの条件があることを知ります。その条件とは「メッセンジャー遺伝子と呼ばれる特定の遺伝子配列をもった人間を使者にせよ」というもの。日本では、まだ8歳の野辺山翔太がメッセンジャー遺伝子を持つものとして発見され、家族と一緒に5年に及ぶ宇宙旅行へ飛び立つことになります。
     しかし、この作品の主人公は野辺山翔太ではありません。彼の父親、野辺山雄一です。雄一が仕事ばかりに熱中していたために、野辺山一家は崩壊寸前。家族との絆をとりもどすのも旅の目的の一つです。
     旅をしていくなかで、地球よりはるかに進んだ文明を持つ異星人とノベヤマ一家と出会います。
     群を抜いた科学力を持ち、公平な判断と高潔な精神で指導者となっているルゴウフ人。性はなく、雌雄同体で子供を育てるホルン人。精神的退廃を防ぐために紛争の種を残し続けるチクチルン人。異形な宇宙人を前に大人が尻込みする中、翔太だけは天真爛漫にコミュニケーションをとっていきます。
     先進宇宙文明との数々の邂逅から、メッセンジャー遺伝子の意味に雄一は気付き始めます。なぜメッセンジャー遺伝子を持つ宇宙人は皆、友好的なのか?姿形の違う宇宙人に感じる共感の正体はなにか? それは、DNAにとってどのような意味があるのか?
     その答えを知っていくくだりは圧巻です。遠く宇宙へ旅立って得た答えを胸に、ノベヤマ家はまた地球に戻ります。自分で得た答えと与えられた宿題を胸に、雄一はどのような行動をとるのでしょうか?
     火の鳥を読んだ時のような、宇宙と自分が一体化するような本当に壮大作品ですよ!これは!
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    投稿日:2014年01月17日
  • 〈この人になにかをしてあげたいという気持ちがわいてきて、私は長谷川コトミをふりかえる。「なん?」「ソプラノがここにおるねえ」私はそして桑原サトルを見る。「男声パートもここにおる。私はアルト。じゃあ、歌うしかないなー!」「え? ここで?」桑原サトルが聞いた。「もちろん」「しかたなかねえ」長谷川コトミは苦笑いする。伴奏も指揮もないけれど、まあなんとかなるだろう。私たちは、桑原サトルのお兄さんの前にならぶ。(中略)「用意はいい?」長谷川コトミと、桑原サトルがうなずいた。「じゃあ、いくよ。いち、に、さん、はい!」伴奏もなにもないから、いきなり歌い出す。声がうまく重なっておらず、出だしがみっともなかった。でも、コンクールでも何でもない場所での合唱だから、そんなことは気にしない。私たちはただ、歌うことをたのしめばいい。たった三人だったから、さきほどまでホールにひびいていた歌声にくらべて弱々しいかもしれない。けれど、体の奥から、音楽があふれてくるのを感じた。 周囲にいた人々がふりかえり、好奇の視線をむけてくる。会話を中断し、足を止めて、私たちに視線をそそぐ。階段は幅がひろく、そこを中心に人があつまってきた。そのうちにざわめきがしずまって、歌声だけがひろがっていく。・・・・・・〉ライトノベルから出発して、その領域にとどまらず気鋭作家として多彩な才能を発揮する乙一が中田永一の名前で書いた小説『くちびるに歌を』のエピローグに入って数ページのところで、ふいに胸の奥深いところがあたたかな気持で満たされて、ページをめくる手をとめました。内部分裂の危機に直面し、人にいえない悩みを十五年後の自分にあてた手紙で告白するなど生徒たちのコンクールまでの道のりは決して平坦ではありません。それでも合唱への思いを胸に、生徒たちはコンクールの舞台に立ち、声を合わせて歌いました。クライマックスだ。誰もがそう思う。しかし、中田永一はその先にもっとあたたかな、そして合唱を通じて成長した生徒たちの、とっておきのシーンを用意していたのです。本書『くちびるに歌を』は、長崎県五島列島にある中学校合唱部の一年間を二人の生徒――仲村ナズナと桑原サトルを語り手につづった物語です。4月の新学期から合唱部顧問となった臨時教員・柏木先生と合唱部員たちの目標はNHK全国学校音楽コンクール(NHK合唱コンクール:Nコン)の長崎県大会。電子書籍の底本となった小学館文庫版に収録されている解説(残念ながら電子版には収録されていません)で、作家のねじめ正一さんは二人の主人公について「ナズナは末期ガンの母を捨てて愛人の元へ走った性格破綻者の父親のせいで男性不信に陥っている。桑原サトルも、自閉症の兄を愛しながら、両親が死んだ後で“兄の面倒を見させるために“自分が生まれてきたことを、心の中で整理できずにいる。サトルはそのために学校でいるかいないかわからない透明な存在であろうとし、いつも一人でいる“ぼっち”を選ぶ」と要約しています。そんな彼ら、彼女たちは「合唱」という共通の目標をもっていますが、ぶつかり合っていきます。美人の臨時教員に憧れて合唱部に入ってきた男子部員をめぐる女子生徒の分裂。合唱とは徹底的にみんなとひとつになることなのですが、男子のレベルでコンクールにでるのは恥ずかしいとして女声三部合唱に切り換えるべきだと主張するグループと、男子生徒を加えて一緒にやろうと考えるグループに意見が分かれて練習さえまとまりを欠くようになります。男子反対派の生徒たちの前で柏木先生がコンクール参加申込書に「混声三部」と書き入れ、「これが答。だれも切り捨てない。全員で前に進む。そう決めたんだ」と宣言します。「どうしてですか」部長の辻エリの問いに、柏木先生は自嘲気味な顔をしていう。「昔の自分だったら、みんなの意見に賛成していたと思うよ。勝つためにはしかたないって。でも、それじゃあ、何のために歌っているの?」職員室を出た男子拒否派の生徒たちは不満の声をあげますが、今度は部長の辻エリがみんなを諭(さと)します。「先生が決めたことやけん、しかたなかよ。先生の悪口ば言う子、私は好かんばい」辻エリを慕っている部員たちはそれ以上、柏木先生の悪口を言うことはなかったが、部員たちの間にできた深い溝が埋まったわけではありません。男子肯定派と反対派の内部分裂の影響は、如実に合唱へはねかえっていきます。たとえば全員で歌っている最中、周囲で歌っている仲間の声を聞いて、それに自分の声を合わせる瞬間があって、それこそが合唱の面白さだ。経験の薄い男子部員はともかく、これまで女子部員はそれができていたはずなのに、急にできなくなってしまった。そのあたりを中田永一はこんな比喩をもって描いています。〈自分と異なるかんがえを持った人の声は、無意識に避けるようになるらしい。人間とはそういうものだ。結果として合唱の統一感が失われてしまったのである。その様子はまるで、空の上を飛んでいる最中に分解しはじめる飛行機を連想させた〉「空の上を飛んでいる最中に分解しはじめる飛行機」という比喩は、内面の困惑、希望、不満・・・・・・様々な気持を整理できないまま、合唱に取り組む生徒たちの姿そのもの。その不安な表情が目の前に浮かんできて、鮮烈な印象を残します。緻密な構成をあたえられたエピソードのひとつひとつが重なり合いながら、物語を深化させ、時に想像を超えた展開に読者を引きずり込んでいきます。解説のねじめ正一さんは、中田永一を「手練れの作者」と評価しています。その指摘を紹介しておきましょう。〈小説の中に周到に置かれた挿話の数々――たとえばサトルの兄とナズナを結ぶサクマ式ドロップスのエピソードや、合唱コンクール出場のために佐世保に遠征したサトルとコトミが先輩の下宿している家に行くシーンなどは、どれも強い印象を残すとともに、そのひとつひとつが重なり合い、絡み合って、読者をぐいぐい引っ張っていく。その意味で『くちびるに歌を』はまさに「読みはじめたら止まらない」小説である〉まだ若い、30代半ばの作家にささげられた最大限の讃辞といえるのではないでしょうか。ねじめさんはさらに「手練れであるだけでは、人々はこれほど感動しない。作者はどこかで自らの手練れを抑制している。そのストイックさが、読後感の爽やかさ、すがすがしさにつながる。小説を読む最大の喜びであるカタルシスにつながる」としめくくっています。2012年に小学館児童出版文化賞を受賞。青春文学の新たな傑作の誕生です。(2014/1/17)
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    投稿日:2014年01月17日
  • それは突然、両親の不敵な笑顔から始まった…。ある日告げられた両親の離婚。しかももうお互いに次のパートナーが居て、2家族一緒に暮らすことに!!さらに、向こう側の夫婦にも光希と同じ歳の男の子がいて!?年頃の男女で一緒に住んじゃうの!?しかもこの男の子、表の顔と裏の顔があって、すごくいじわる!初めは離婚にも再婚にも、ましてや同居にも大反対だった光希ですが、徐々に家族と向き合い、打ち解けていきます。同い年の男の子・遊とも徐々に距離が縮まっていくなか仲間だと思っていた同級生から告白されたり、親友と遊との間で何か秘密があったりなどハプニングがたくさん!最後にはまさかの展開が!?1992年からりぼんで掲載され、1994年にアニメ化された、小学生の女の子をドキドキさせたなつかしの大人気コミックです!
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    投稿日:2014年01月17日
  • 聲の形
    主人公は、聴覚障害を持つ少女・硝子と、硝子をいじめたことで、やがて自らもいじめの標的となってしまう少年・将也。心に傷を負う二人の、出会いと別れ、再会と再生の物語です。痛々しいほどリアルな心理描写に、きっと心が揺さぶられるはずです。事実、様々な意見がネットを飛び交い、編集部の電話が鳴り、お手紙が届き続けています。多くの読者が、作品に感情移入している証拠だと思っています。この作品を読むと、もしかしたら、ズーンと悲しい気持ちになるかもしれません。心がモヤモヤするかもしれません。やり場のない怒りが込み上げてくるかもしれません。ただし、きっと最後には、誰かに優しくしたくてたまらなくなるはずです。身近な大切な人達を、ぎゅっと抱きしめたくなるはずです。絶対に読むべき傑作です。
    投稿日:2014年01月17日
  • ももプロZ
    「ももいろクローバーZ」の公式コミックだからといって「ももクロZ」ではない。「ももプロZ」である。ももクロのメンバーらしきキャラがプロレス界でNo.1を目指す物語である。いや、ギャグ漫画である。もちろん、試合はほとんどしない。控室でうだうだしているばかりである。しかしながら作者・小城徹也氏と編集担当者の偏執的こだわりによりすべてのももクロファンが納得する出来である。もちろんファンでなくても楽しめる出来で、学校推薦図書に選ばれるのではないかと密かに思っている。
    投稿日:2014年01月17日
  • にこたま
    ワンテーマ・マガジンFRaUでは、2008年以降、少女マンガ・男性マンガといったジャンルの枠を越え、大人女性にフィットするマンガを「女子マンガ」と呼ぶことにして、その普及に務めてきました。2013年の7月号で「女子マンガ大賞」を新設したのですが、その栄えある第1回大賞に輝いたのが、この作品です。9年もつき合っている彼から、ある日突然、浮気相手との間に子供ができたと告げられ……産む、産まない、産めない、結婚する、しないetc.とてもヘビーなテーマを扱いながら、なぜか爽やかな読後感を持たせてしまうところに、渡部ペコさんのスゴさを感じます。全5巻で完結している、FRaUお墨付きのこの作品、男性も女性も、ぜひ読んでください!
    投稿日:2014年01月17日
  • のだめカンタービレ
    「Kiss」でこの作品の連載がスタートした当時、私はKiss副編集長として、デスクをしていました。デスクという仕事は、言葉や絵など表現に誤りや問題はないかなど、どちらかといえばネガティブチェックをします。ですから、作品を楽しむ視点や余裕はありません。しかし、ある回、ゲラをめくると、ウソ偽りなく、「音」が鳴り響きました。オーケストラが演奏しているシーンでした。もちろん私はクラッシックは門外漢で、曲名を聞いてもメロディは浮かびません。でも確かに、音は脳内にありました。聞こえないはずのものが聞こえる、しかも仕事として読んでいる者を圧倒させる力を持つ作品。もちろん、この作品がその後、不朽の名作となったことはご承知の通りです。テレビでもヒットしましたが、やはり、「マンガ」ならではの味わい深さを感じてほしいと思います。
    投稿日:2014年01月17日
  • ノラガミ
    あなたの前に「私は神です」という男があらわれたら、どうします? しかもジャージの若いやつ。でもその男、夜ト(やと)は、電話一本でどこにでも駆けつけてくれ、あなたの悩みを解決するデりバリーゴッドなんです! 彼岸と此岸の間に横たわる怪異の輩を、まとめてぶった切る! 1月からアニメ化も決定しているこの作品、まずは読まなくてもいい、ただ「見て」欲しい。表紙だけでも見ていただければ、美麗を極めたそのアートワークに魅せられるはず。見れば、必ず読みたくなり、読めば必ずトリコになる、そんな作品。自信を持っておススメします!
    投稿日:2014年01月17日
  • 亜人
    エリート高校生がある日突然事故死! と思ったら直後にまさかの蘇生! それは主人公・永井圭が国内3例目となる不死身の新生物・亜人に認定され、1億円の懸賞金目当てに世界中から追われることが決定した瞬間だった……この物語はそんなお話です。永井圭はその後、家族からも同級生からも自動的に絶縁されますが、たったひとり味方がいます。幼友達のカイです。ケイは全てを失ったかわりに、本当の友達をただひとり得ました。これって最悪の状況? それともちょっと羨ましいですか? 奇想天外だけど他人事じゃない、「亜人」はそんな物語です!
    投稿日:2014年01月17日
  • ALL OUT!!
    高校生男子2名(1人は素人!?)がラグビー部で頑張る、という王道スポーツ漫画です。まずラグビー漫画ってのが珍しくないですか? 担当曰く「歴史上存在した全てのラグビー漫画を既に超えた」そうです。つってもラグビー漫画自体そんなに存在してないし(笑)。ラグビーに何の興味もない私が読んでも相当ハマったので、スポーツ漫画が好きな方なら誰でものめりこめると思います。あと、ガタイのいい男が好きな女性にもお勧め!
    投稿日:2014年01月17日
  • Dreams
    高校野球界に現れた孤高のヒーロー・久里武志。苛烈な気性により、所属するすべてのチームでつまはじきにされた異端児が、信頼できる監督とチームメイトに出会い、輝きを放ちはじめる! 「Dreams」のはじめの1巻、とりあえず、これだけでも必ず読んでくださいm(__)m。主人公・久里の圧倒的なヒロイズム。そして少年漫画らしいまっすぐな熱気、その二つに加えて最先端の野球理論が見事に融合した稀有な作品です。僕は今まで10冊は買って、新人作家に漫画のお手本の一つとして渡しました。心がふるえて、野球が見たくなる、したくなる。つまり傑作です。
    投稿日:2014年01月17日
  • 屍活師
    “法医学”――この言葉を聞いて生きている自分に関わりがある、と思う人は少ないはず。しかし、この『屍活師』は変わり者の准教授・桐山ユキと医学生・犬飼一が紡ぎだす、生きる者の糧となる物語なのです! 作者の杜野亜希先生は薬学部を卒業した医療畑出身の漫画家さん。そんな杜野先生が描く“法医学”が面白くないわけがない!! 情死・転落死・医療ミス…あらゆる死因に隠れた、死者の最期の声を残された人間へ届ける。それが法医学の役目でもあるはず。きっと読後にはユキの決め台詞を呟きたくなるでしょう…『屍は活ける師なり』と。
    投稿日:2014年01月17日
  • COPPELION
    原発事故で完全封鎖された旧首都を舞台に、3人の女子高生が生存者救出のため絶望的な情況に立ち向かう「禁未来SFアクション」です。
    遺伝子操作によって生み出された放射線耐性を持つ子どもたち、通称『COPPELION(コッペリオン)』。フランス人形劇「コッペリア」に由来するコッペリオンは、その名の通り〝人形〟扱いされ、汚染地域での任務のため旧首都に派遣されます。そんな悲しい存在にも関わらず、人命救助のため全力を尽くす姿に、とにかく胸を打たずにはいられません。特に、どんな時も前向きな笑みを忘れない主人公・荊(いばら)には、いつもいつも元気もらってます!
    5年前、2008年に連載を開始してすぐに大反響、2010年にはTVアニメの製作が決定、そしてついに昨年10月、TV放送されました。様々な悲劇を経験した今だからこそ、『COPPELION』を一人でも多くの日本人に読んで欲しいと、心より願っています。
    投稿日:2014年01月17日
  • バラ色の聖戦
    専業主婦の真琴は夫の浮気を機に、失われた“美”を取り戻すため雑誌「VENUS」のモデルオーディションに応募する。運よく雑誌掲載のチャンスを得た真琴だったが、「離婚」「シングルマザー」「ライバルの罠」「親友の死」…これでもかと真琴の前には“試練”が訪れる。真琴は自らの力で“運命”を切り開き、トップモデルになれるのか――!? TVドラマ化され話題にもなったこの作品。稀代のストーリーテラー・こやまゆかりさんの描く、ハラハラドキドキのシンデレラストーリーです! ぜひ、ご覧ください!!
    投稿日:2014年01月17日
  • 初恋モンスター
    「で…俺、小学生だけど どうする?」 好きになってしまった人への告白の答えがこれだったら……どうする? 昨年ARIAの編集長になりましたが、ARIAの中でいちばんの衝撃だったのがこの作品でした。内気で自信のない女子高生、夏歩が恋をした超イケメン。ここまでは王道のラブコメですが、恋した相手は実は小学5年生。この小5、高橋奏は「ドッジボールも俺が考えたし、うまい棒の新しい味も俺が考えた」とか、素で言っちゃいます。でも「知りたいって思う気持ちが好きってことだ。」「私なんかとか言うな。言葉には力があるらしい。言ってることは本当になるんだ。」悩める人を勇気づけてくれます。ちょっと馬鹿(?)、だけど大人の男が失くしてしまった純粋さを持っている。こんな男、ちょっといません。高橋奏に2014年は注目してください!
    投稿日:2014年01月17日
  • PとJK
    P=Policeman(警察官)とJK(女子高生)の恋物語、それが「PとJK」。出会いは、女子高生のカコが年をサバ読んで参加した社会人合コン。そこで出会って、ふつうに恋が始まるかと思ったら、功太はPだった…。どこかのアンケートで見たのだが、警察官は少年少女の憧れの職業№1らしい。こういう危なっかしい時代だから、人身を守る仕事に憧れと敬意を持つということなんだろう。この物語でも、警察官の功太は女子高生のカコをある時は全力で守り、ある時は説教し、そして強く抱きしめる。想像以上のハイスピードで二人の恋が進んでいく。こう書いていくと、なんだかすごいいい話のようだが基本バカップルのラブコメディーです。でも、感動もします。こんな恋があれば、恋は1回でいいと思えます。ぜひ、お読みください。よろしくです。
    投稿日:2014年01月17日
  • 放課後カルテ
    私は健康診断から逃げ回っている人間で、おかげで入社以来三度も入院するはめになりました。そんな私が言っても説得力ないですが、人間、健康が一番。それは大人だけでなく子供も…。今時の小学生の心と体に肉薄する「放課後カルテ」の主人公・牧野は、まさに現代の救世主。口も態度もデカい、小学校の校医にはおよそ似つかわしくないドクター。でも、症状を見つける目は確か。子供たちが戸惑いながらも、牧野の本質に惹かれ、救いを求める姿に強烈なリアリティを感じます。舞台は小学校ですが、大人も共感できるエピソードあり、子供の心に寄り添えるエピソードあり、なので、老若男女にオススメします。牧野の健康診断なら、ちょっと怖いけれど逃げずに受けますよ!
    投稿日:2014年01月17日
  • 甘い悪魔が笑う
    投稿作が掲載されて、アンケート№1! 即連載化で、コミックスにも火がついて……! そんな初連載伝説をなしとげた作品が『甘い悪魔が笑う』。あこがれていた名門校の一心が、主人公ハルヒだけの執事に……。別にHなシーンがあるわけじゃないのに、一心のセリフ・行動すべてが、女子心をがしがし攻めてきます! 現在連載中の『百鬼恋乱』にも通じる魅惑男子の魔力に虜(とりこ)にされそう。非現実な甘過ぎ時間を、お楽しみあれ!!
    投稿日:2014年01月17日