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  • 私が定期的にこの作品を読み始めてもう10年以上経ちますが、この手のオカルトっぽい作品が長く続くというのは、ほんとに珍しいのではないでしょうか。それは、恐怖報告という副題がついているにもかかわらず、怖がらせることに重点を置いていないからなのではと思います。著者である山本まゆりと友人で霊能力者の寺尾玲子が出会った奇妙な現象や、玲子の元に寄せられる心霊相談を受けての話を漫画化した構成。山本まゆりは他雑誌で霊能力者もののオリジナルを執筆していますが、本作では実録ということもあり、エンタメ要素を極力排除して怪異の核心を突くように描いています。で、読後に感じるのは、世の中不思議なことがあるもんだな、ということと、こういうことをするとこんな良くないことが起こるんだ、ということ。怪談落語や昔話にも通じる訓話めいた味わいがいいのですね。もちろん、魔を祓うという部分でのカタルシスもたっぷり。ひょっとしたら漫画にできないような失敗も…、なんて思わせない玲子のスーパーウーマンぷりがカッコいいです。
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    投稿日:2010年04月02日
  • 東海林さだおさんが食べることへの徹底的な執着心、率直の塊のような好奇心を発揮しまくってものにしたエッセイです。抱腹絶倒、です。もともとは「ビールから熱かんへ」の季節に書き始めたものなので、本の冒頭からではなく、「味付け海苔の陰謀」の章から読み始めるのがオススメです。大連休を間近に控えたこの季節にふさわしいテーマというだけでなく、知っておいて損のない、いや知っておかないと大変なことになりかねない「和風旅館の陰謀」をたった一袋、朝食の膳の後ろのほうに控えめに置いてある味付け海苔から解き明かしていくのです。東海林流の観察と分析・推理が冴えわたります。さらに文章を補ってあまりある、一こまマンガが3点も入っています。高級料亭が客の食べ残した刺身を他の客に出していて社会問題化したことがありましたが、わが東海林さだおはもう何年も前に味付け海苔をめぐる和風旅館の陰謀を見抜いて、それに対してどう対処するかを大まじめに考え、悩んでいたことがわかります(まさか、と思う人はぜひご一読を)。もうひとつ、人間ドックから解放された直後に何を食べるべきかを思い描いて町に出た東海林さんが胃にドシンとくるものを求めて辿りついた「ドックあがりのトンカツ」が秀逸です。本当にうまそうなトンカツ、生ビールでした。(2010/4/2)
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    投稿日:2010年04月02日
  • 様々な職業を転々としながら小説を書き続け、芥川賞候補(1967年、「マイ・カアニヴァル」)、直木賞候補(1969年、「花を掲げて」)となったものの受賞を逃した勝目梓が娯楽小説に転じて出版した5冊目の単行本が本書「獣たちの熱い眠り」で、1978年の大ベストセラーとなった、記念碑的作品です。その後、中間小説雑誌を中心にバイオレンス官能小説を量産していくことになるのですが、その支えとなったのは若い頃からの同人誌活動で培ってきた文章の巧みさ。書き出しにその巧みさが表れています。〈どれくらい眠っていたのか――。服を脱がされる気配で三村は目を覚ました。〉巧妙に仕掛けられた罠によってスキャンダルに巻き込まれ選手生命を失ってしまったトッププロテニスプレーヤー三村浩司が謎を解き明かし復讐を遂げるまでを描くエロス&バイオレンス・ストーリー。男と女の欲望、性愛をときに激しくときに妖しく描く技巧がなにより本書の特徴ですが、じつはそれ以上に魅力的なのは罠を仕掛けた側の裏の顔が明かされていく社会派的な展開力で、それがバイオレンス小説としての迫力を感じさせます。勝目梓は2006年に私小説ともいえる「小説家」、2007年に「老醜の記」を相次いで出版し、純文学を諦めて通俗小説へと転じて今日に至った内面を明らかにして注目を集めていますが、そうした作家としての葛藤の中から生まれた作品でもあり、その意味でも勝目梓の代表作としてお薦めしたい小説です。(2010/4/2)
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    投稿日:2010年04月02日
  • 子供の頃、クラス中でホラー漫画が流行していました。私ももちろん、怖がりながら愛読していました。大人になるにつれ、ホラー漫画そのものをあまり読まなくなってしまいましたが、伊藤潤二だけは今も新刊を楽しみにしています。端正な美男美女が登場し、とっつきやすい絵柄なのですが、「その突飛な設定は一体何!?」という発想力は、ホラーに興味が無い人も虜にする引力があります。代表作「富江」もオススメですが、ホラーな子供を描いた「双一の楽しい日記」シリーズは、怪奇な雰囲気を作りながら、ギャグも描くことに成功していて、より一層独特の空気感が楽しめてオススメです!
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    投稿日:2010年04月02日
  • 軽く読み始めてみたところ、衝撃を受けた作品です。たった1冊の作品なのに、大長編作品を読んだかのような読後感です。それだけ、内容が濃いです。レディース誌で連載された異色のボーイズラブ作品、恋愛の深み、とでも言いましょうか、恋愛関係における人間の業みたいなものが、痛々しいほどよく描かれています。少女漫画には珍しいことですが、この作品では、主人公のサラリーマン・恭一の性格上の欠点がかなり丁寧に描かれています。そうすることによって、今ヶ瀬の「貴方の欠点も含めて愛する」という言葉がよりリアリティを持って心に残りました。
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    投稿日:2010年04月02日
  • 極道ギャグにハマリました。

    昼間は下着会社の冴えないサラリーマンで上司にこきつかわれ、夜は国内1・2を争うほどの大組織を束ねるヤクザの親分でめちゃくちゃ強い。
    2つの顔を持つ主人公が繰り広げるストーリーは展開が早く、面白いです。
    本心はヤクザなんてしたくない。しかし、浮き世のしがらみがそれを許さず、逆にヤクザ社会でなぜかうまくいき、ヤクザを束ねる能力が開花していく主人公に笑えます。
    主人公は最終的には、ヤクザ人間になるのか? 平凡な社会人になれるのか?

    話の展開に飽きを感じない意外性ある作品で、一度読むと最後まで読みたくなると思います!
    何よりキャラクターが皆個性的で、主役と同じくらい脇役たちに愛情さえ感じてしまいます。
    エピソードが短く区切られているので読みやすく、恋あり、闘いあり、人情あり、笑いありで、男女問わず後を引く面白さはオススメです!
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    投稿日:2010年04月02日
  • 春のセンバツまっさかり。そして、プロ野球も開幕。今年も野球のシーズンが始まりました。野球関連の漫画で
    おすすめなのが、この『鉄腕ガール』。終戦後の混乱の中、強く生きるひとりの女性・加納トメの生涯が描かれ
    ています。作者は高橋ツトムさん。この人の描くキャラクターは、ほんとにカッコイイです。デビュー作、『地雷震』も大人気発売中です。
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    投稿日:2010年03月30日
  • 伝説のギャグマンガ『まことちゃん』がついに発売です。それにちなんで、ちびっ子モノをひとつご紹介します。『よいこの星!』は小学校が舞台。この作品は、かわいらしい絵とはうらはらな、衝撃のサスペンス・ドラマです。小学生たちが繰り広げる、大人顔負けの壮絶な駆け引き。感情のゆらぎや変化、いじめが生まれる瞬間など、実に生々しく描かれています。作者の人間観察力が光る作品です。
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    投稿日:2010年03月30日
  • “よるきしものがたり”ではなく“ナイトナイトストーリー”と読みます。このセンスにまず脱帽ですね。女に恨まれて殺されたホストの父とは違う生き方をするため、「女性を幸せにしてやろう」と自らもホストになった主人公・心。誠心誠意で女性を幸せにし、店のNo.1を守っていたが、そこに心とは真逆の考え方(つまり、「女は喰い物」という考え)を持ったホスト・流華が現れ、激しい売上の戦いが…というのが物語の基本線。「父と違う生き方」のために同じホストを選ぶのかが個人的にはなんでだよって感じです。それにしてもホントに別世界ですね。1本2500万円の酒って僕の給料何年分ですか? こういう世界に全く興味のない僕にとっては正直全員「アホか」としか思えません。いや、フィクションの物語として読めば面白いんですけど。現実でも夜な夜なこういうことが起きてる(らしい)わけですからね。すごいすごい。この話がどれくらいリアリティを持っているのか、詳しい人に聞いてみたいです。
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    投稿日:2010年03月30日
  • 思えば僕が最初にリビドーを感じたのは清酒「黄桜」のCMに出ている小島功の“カッパ”だったような気が。素っ裸のカッパの絵に、なんだかドキドキしていたもんです。そういう意味では深層心理に深く食い込んでいる小島功。この『ヒゲとボイン』は連載30年を超える超・長寿連載。毎度毎度変わらない、サラリーマンやOLのちょっとした艶っぽい“イタズラ”とそれに対する“オチ”。これはもはや職人芸ですね。特に何が面白い、何が凄い、ってわけではありませんが、たま~に読んでクスっとする作品。のんびり読むのはいかがでしょうか?
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    投稿日:2010年03月30日
  • 『蝉しぐれ』などの長編もいいが、藤沢周平の時代短編には長編とはまた違う味わいがあって、読む者を引きずり込んでしまう力があります。江戸時代を舞台にしてはいますが、そこで描かれる人間の営みはそのまま現代の私たちをとりまく人間模様に通底しています。表題作「雪明かり」では、密かに想ってきた義妹のために、武士が全てのしがらみから跳んで家との絶縁、許婚者との破約を決意するまでの葛藤がテンポのいい文体で描かれています。また「恐喝」では、たった一度の恩義を受けた娘が博打の借金のかたとして売り飛ばされようとするところを命がけで逃がしてやるやくざな男が胸を揺さぶります。一度は捨てた娘を救うために人を斬り、喜んで縄を受ける父が描かれる「入墨」。かけがえのない女のために命を投げ出す男たち、そしてその思いを受けとめる女たちの心情。一人静かに読みたい大人のための物語です。(2010/3/26)
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    投稿日:2010年03月26日
  • 携帯電話を常用し始めて何年になるか。とにかく電話番号を記憶することがなくなった。かつては数件の番号は覚えていて、手帳などをみることなくかけることができました。ところが、今はケータイの便利さが暗記を必要のないものにしてしまい、まったく電話番号を覚えない――と思っていたのですが、はたして必要がないから覚えないのか?もしかしたら、覚えられないのではないか・・・・・・。そんな思いから、本書「もの忘れ外来」を開きました。京都大学付属病院で外来診察・治療に携わった医師たちが執筆した新書で、「痴呆」や「アルツハイマー」について素人にもわかりやすく解説されています。その中で診察のごく初期に使われる簡易テストが紹介されています。たとえば、「言われた3つの数字を逆からいう」とか「3つの言葉(植物・動物・乗り物)を示されて、数分後にそれらの名前をいう」というような具合です。9項目のテスト内容が並んでいますが、文字で見ている限りでは問題なくできそうですが、口頭試問で試されたらどうか、ちょっと難しいかなと思うものもあります。「老人ボケ」についての俗説や誤った情報に踊らされないためにも、一度目を通しておいて損はない一冊です。(2010/3/26)
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    投稿日:2010年03月26日
  • なんとか、格好がつくくらいならテニスはできます。しかし体力の続く限りガンガン打ち込むだけなので、相手に「テニスをしてない」と言われる始末…。で、そんなときに思い出すのがこの作品。一応テニス漫画ですが、作者自ら「あの漫画はテニスなどいやっていない」といっている、そのまんまの内容です。生き別れた父と再会するため、勝ち続ける事を宿命づけられた主人公・狭間武偉。彼はルールも知らずにテニスを始め、インターハイ、そして4大大会で頂点を目指す。なんて書くのもばかばかしいほどで、実際にやっていることといえば、ダブルスを一人で戦ったり、ストリート・テニスなるもので日銭を稼いだり、あげく必殺技は相手の体を狙う技…。テニス漫画として読んではいけません。でも、テニスに格闘(熱血では無い)要素を取り入れて、笑いも涙も盛り込むなんて、凄いことだと思いません? 後の『逆境ナイン』や『無謀キャプテン』などより、テニスというスポーツを突き抜けているこちらのほうが全然いい。最近、作者のこの手の作品はないようなので、ライバル・赤十字の息子編とか描いてくれると、また燃えるんだけどなあ。
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    投稿日:2010年03月26日
  • がーん、やってしまった。タイトルに惹かれて読みましたが、この作品は完結しておりません。正確には第一部完であります。3巻目あたりで薄々感じてましたが…。しかし、それを承知していても、この作品は途中で読むのを止めることはできないと思うのですよ。氷河期が訪れようとしている世界。自然界では多胎妊娠や先祖がえりが起こる。そして、暴動鎮圧のため特殊部隊が結成され、石油は使用を禁じられることに。そこに現れる謎の修験道者と超能力を持つ赤ん坊。これらを下手に料理するとB級パニック映画になってしまいますが、作者はその全てを消化して、正面から未来に突き進む人間の物語を描こうとしているのです。中盤までは世界観構築に重きを置いた構成。そして赤ん坊に導かれる人々を、梁山泊の108の魔星になぞらえ、本気で108人のドラマを作ろうとしている。さらに対立の構図として修験道者=キリストと12人の使徒を配置し、どちらが正義なのか最後までわからず…と、もうそそられまくり。本当に続きを教えてもらいたい。あらすじだけちょこっとでもいいです。大きなことは言いません、「60億のシラミ」の一匹としては。
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    投稿日:2010年03月26日
  • 前から気になっていた作品でした。
    ホラーだけあって、妖怪や虫、人が殺されるシーン等、ちょっと怖い描写もありますが、それ以上にストーリーに引き込まれす。


    生き生きとした女の子・実花(じっか)と、実花を守ってくれる黒狐の妖怪・唱(となう)のコンビから目が離せません。
    実花や、友達、学校を狙って様々な妖怪が襲ってきます。
    唱の実花への一途なところや妖怪達の意外な純粋さに感動しました。
    ただ恋愛するだけでなく様々な問題にぶつかりながら、自分で決断して進んでいく物語にとても惹かれました。
    唱がヒーローなのですが、あくまで妖怪で、無条件に人を救うお話になっていないところが新鮮でした。


    苦手なホラーでしたが、体が千切れても、狐さん達が不死身に近いから安心して読めました。
    ただのホラーって感じではなく、人との関わりや教訓などこの作品からいろいろと学べると思います。
    読後の後味も悪くありませんでした。和風妖怪ものホラーが好きな方はオススメです。
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    投稿日:2010年03月26日
  • お見事!としかいいようがない。うまいなあ衿沢世衣子。漫画界に革命をもたらした天才、高野文子や岡崎京子と同じような空気が感じられます。女子高を舞台にした作品ですが、同じく女子高を描いた名作「櫻の園」とは全く違う読後感です。ガールズラブも、恋の噂話も無い女の子たち。見つけた凧を揚げてみたり、唐突にお茶に興味を持ってみたり、変なカードゲームをやってみたり。些細で、こんなことあったかも、なんて気分にさせられますが、それはきっと天才のなせるわざなのではないかと。高野文子も岡崎京子も、残念ながら現在新作を読むことが難しいのですが、衿沢世衣子の新作は読むことができる幸せをかみしめつつ。
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    投稿日:2010年03月26日
  • 大爆笑! 笑いすぎてお腹痛いよボロリンw しっかり者でプライドが高い姉・やよいとだらしなくて惚れっぽい妹・ユーコ。2人の共通点は男運が悪いこと。男運っていうかその前に出てくる男、出てくる男、変な人ばっかりw 2人の前に次々と現れる変人たちとの、爆笑婚活話は単純に面白いのですが、元ネタに色々な漫画が登場していて、漫画好きは二度笑える構成になっています。ボロリン(漫画家志望・童貞)作の4コマ漫画とか、男前・翔さんがくれたラブレターとか、特にツボでしたw さわやか(?)な笑いをありがとう!
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    投稿日:2010年03月26日
  • 外交の表と裏を描いた本格政治ドラマ。外交官ってこんな仕事してるのか…とたいへん勉強になる作品です。そしてこの漫画にはもう一つの顔があります。萌えっていうことばがありましたが、実はこの作品、その道の傑作です。女性キャラがだんだん色っぽくなっていくのはなぜなのでしょう。どんどんタレ目になっていくのはどうしてでしょう。作者のかわすみさんは、次第に女性を描くのが楽しくなっていったのではないかと読んでいるとそう感じられます。『大使閣下』の後、社会人版『BOYS BE…』みたいな連載やってましたし。
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    投稿日:2010年03月23日
  • 拝啓 島耕作様

    あなたの登場する漫画を始めて読んだのが学生の頃でした。活躍するあなたの姿を見て、「仕事」って楽しいんだ、「サラリーマン」ってかっこいいんだと思いました。ゆくゆくは私も、早く一人前の人間になって仕事をがんばるんだ、と密かに志を抱きました。社会にでれば人付き合いが大事。ゴルフも少しは練習しておかないとと思い打ちっぱなしに行って練習したり、接待にそなえてマナーを勉強してみたり。で、実際に会社入ってみたら、誰もゴルフやってないじゃないですか! 接待なんてすることもされることもないじゃないですか! 不景気のせいですか? 島さん、なんか話、違くないですか!? ……というのはさておき、やはり私たちの延長線上に感じることができる課長時代編がいちばん好き、という方が多いのではないでしょうか。
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    投稿日:2010年03月23日
  • 「F1マシンのシートを得る」っていうのは、他のプロスポーツでレギュラーになることに比べても超ド級に難しいんですよね。だってプロサッカー選手ならひとつのチームにレギュラーは11人。野球でも9人。でもF1は「全てのチーム」で“20人”なわけですから、その競争たるや、でしょう。この『capeta』では小学生のカートから始まりフォーミュラ・ステラ(ジュニア・フォーミュラ)、F3と、F1へと続く厳しい競争の階段を主人公の勝平太が登って行く様を熱く描いています。モータースポーツというのはべらぼうに金がかかるのですが勝平太の家は父一人子一人でとてもじゃないが裕福とは言えない環境。その大きなハンデを親子の絆で乗り越えていくさまにはグッときます。現在物語はF3を舞台にしていますが、勝平太はF1まで駆け上がることができるのか? まだまだ先が長いようで、それがもどかしいような、まだまだ楽しめるワクワクがあるような、そんな矛盾した気持ちになってしまいます。
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    投稿日:2010年03月23日
  • 物語は大雑把に言うと2部に別れており、前半~中盤までは監督・喜多条を主役に、後半はエース・江崎を主役に進行します。喜多条は元甲子園優勝投手だったにも関わらず、当時のことは「ただただ暑かったとしか覚えてない」そうで、それはなぜかというと、指導者の“勝利至上主義”によるチーム内の不協和音や、学校側の“大人の事情”のせいで楽しく野球が出来ていなかったから。そんな過去を持つ男が今度は自分がチームを率い、改めて甲子園を目指すわけですが、いい雰囲気の中で快進撃を進める部員たちを見て「俺もお前らの一員でいたかった」とひとりごちる監督のモノローグが切なくてたまりません。ただ後半、主役がエース江崎になってからは結構な鬱展開が待っており、個人的には前半のノリで最後まで行って欲しかったなぁ…というのが正直なところ。同じく高校野球をテーマにしたものでは『かんとく』(コージィ城倉)もそうでしたが、物語前半と後半とで大きく読後感の変わる作品です。
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    投稿日:2010年03月23日
  • 会社近くの書店(丸善・お茶の水店)に「知」の巨人特集として小林秀雄とその関連書籍を並べたコーナーがあります。昭和を代表する知識人を見直す機運があるようです。代表的著作として「本居宣長」「ドストエフスキイの生活」「無常といふ事」などがよく知られていますが、今回紹介する「考えるヒント」シリーズ(全4巻)は、講演記録などを中心に編集したもので、批評家・小林秀雄の思考方法、ものごとを観察する視点、発想のヒントなどを平明な語り口で明かしています。その意味で、小林秀雄入門書として多くの読者に親しまれてきたシリーズです。とくに第1巻の冒頭、「常識」についての指摘は半世紀前のものとは思えないほど、現在の状況を適格に表しています。「現代の知識人の多くが、どうにもならぬ科学軽信家になり下がっているように思われる。(中略)どうしてどんな具合に利(き)くのかは知らずにペニシリンの注射をして貰う私達の精神の実情は、未開地の土人(注:原文ママ)の頭脳状態と、さしたる変りはない筈だ。一方、常識人をあなどり、何かと言えば専門家風を吹かしたがる専門家達にしてみても、専門外の学問については、無知蒙昧であるより他はあるまい。この不思議な傾向は、日々深刻になるであろう」ネット社会に生きる若い人たちにこそ、読んでもらいたい一冊です。(2010/3/19)
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    投稿日:2010年03月19日
  • 通勤電車の座席にすわってiPod Touchで再読しました。大きくてきれいな文字、組版で、非常に読みやすい点を特徴とする講談社電子文庫のなかでとくにiPhone.での使用を許諾されている文芸文庫収録の作品。パソコンに最適化されたサイズでiPodではやや文字が小さいものの、電車内で読むのに苦になるほどではありません。快適なモバイル読書をした本書は太平洋戦争中、陸軍に徴用されて宣伝班員としてシンガポールで過ごしたときの経験に基づく短篇によって編まれています。シンガポール体験はその後の井伏文学に大きな影響を与えたといわれていますが、たとえば表題作の一つ『軍歌「戦友」』。軍歌「戦友」といわれてもピンと来ない人でも「ここは御国を何百里・・・・・・」と聞けば、あああれか、と思い当たるのではないでしょうか。井伏鱒二はこの軍歌を二つの場面で登場させています。一つは〈このごろ陸軍では「ここは御国を何百里」という軍歌が禁止になったそうですね〉という玉砕直前の硫黄島に物資を運び込んだ海軍中尉と守備隊の陸軍大佐(ロサンジェルス五輪の馬術で金メダルをとった西大佐)の会話。そして二つめが、戦後、サラリーマンになった元海軍中尉が定年で子会社に移籍し熱海で開かれた新人歓迎宴会の場面。部屋に残しておいた財布の現金が盗まれてしまうが、そのころ熱海では「ここは御国・・・」の間に盗難が多発していた。14番まであってたっぷり30分はかかるので、合唱が始まるのを待って泥棒に入ることが横行しているというのが、話の顛末。ゆっくりとすすむ軍歌合唱の間は誰も席をたたない、たてない、という当時の日本人の心情、それを逆手にとる人間模様。ユーモアにくるんだシリアスな仕掛が読み取れる秀作です。(2010/3/19)
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    投稿日:2010年03月19日
  • やっと出せたなあ、と感無量。おそらく私が読んだ漫画単行本の中で、最も読み返したのがこの作品。あらためて読まなくてもエピソードはソラで出てきます。ガラスのクレア、戦士の銃、合成ラーメン、泥のメ―テル、サケザン、ホロホロ、時間城の海賊、化石化ガス雲、トレーダー分岐点、蛍の街…。本がボロボロなるまで読みましたからね。なぜ、そんなに好きだったかというと、まずはコンパクトだったから。基本は一話完結。停車駅の滞在時間はその星の一日で、その日に事件が起きて解決する。そして冷静で大人のメ―テルと、希望に燃える若者・鉄郎というわかりやすい構図。さらに人類の愚かな歴史に見立てたストーリー・ライン。自分の精神が柔らかいころに、この物語はどんな教科書より多くの刺激を与えてくれました。自分にとっていい時代に巡り合えたのでしょうね。ですから、この作品を読むときは、いつも少年に還ったような気がします。なので我が心の999はこの14巻までのみ。このアンドロメダ編以降はもはや違う作品だと思うのですが皆さんはどうでしょうか。
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    投稿日:2010年03月19日
  • それは私がまだ小学校低学年だった時の話。風邪を引いてしまい学校を休んで寝ている私に、母が一冊のマンガを買ってきてくれました。それがこの『妖華―アルラウネ―』だったのです。母は中身を見ないで「あら、綺麗な表紙ね」と軽い気持ちで買ってきてくれたのだと思うのですが……。この話、初っ端から主人公の少女は人生に悲観し、自殺をしてしまいます。ところがそこから祟りの化身・アルラウネとして蘇り、自分を不幸に追い込んだ人々や、自分の妨げになる人々を次々と不思議なチカラで不幸のどん底へ落としていく……という恐ろしいマンガです。うーむ、やはり人の嫉妬心や猜疑心て怖いです。しかも絵が綺麗なので余計に怖さが引き立っている感じがします。 このマンガの中で、手作りクッションの中に、人の血を吸うポプリが仕込んであるというストーリーがあるのですが、昔に読んだときからずっと忘れられません。良い匂いに包まれて知らないうちに身体が弱っていくという。。。読んだ時、ちょっと怖くなって家のクッションの中身を疑ったのは今となっては良い思い出です(笑)。
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    投稿日:2010年03月19日