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  • 連発式ではなく玉を一発ずつ打ちだすパチンコ台や、ホールに椅子がなく立って遊戯するなど、今とはパチンコ店を取り巻く状況がまるで違う時代のお話。なので釘師である主人公と対決するパチプロやゴト師の技も、今では考えられない必殺技のオンパレード。フックがついた針金や磁石を使うなんて、前近代的なアングラ臭を漂わせてくれるじゃないですか。もちろん、こんな邪道な技だけでなく、まっとうな技を駆使するパチプロもいて、これがまずは主人公・サブやんのライバルになるわけです。それとの対決を経てサブやんが日本一の釘師になるかと思えばそうではなく、悪のゴト集団に狙われ落ちぶれ、右手を負傷。その使えない右手をなんとかしてパチプロと対決するも、禁断の技を使ったため釘師の大物に破門を言い渡され、寺で修行。そして裏社会にスカウトされ…、とまあ暗くはならないもののいかがわしさ満載で、お腹いっぱいになること間違いなし。私たちが今、気軽にパチンコを楽しめるようになるまでには、こんなウラの歴史もあったのか?と、民明書房(by男塾)ばりに思わせてくれますよ。
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    投稿日:2010年06月18日
  • 小編ながらこれは傑作。地球を守る正義のヒーローが活躍する物語という設定も、石川賢の手にかかれば、SFバイオレンス的な内容に。すっかり手の内に入れてかなりハードな作品に仕上がっています。オリジナルの設定で残っているのはウルトラマンタロウというキャラクターのみ。タロウはウルトラの母によって選ばれた地球人だし、闘う相手も怪獣ではなく、人間の負の精神を受け継いだ奇形獣や宇宙人たち。少年誌連載とは思えない、作者お手のものの残酷シーンや派手なアクションたっぷりで石川節を存分に楽しめます。だから4話で終わってしまったのか?と思わなくもないんですが…。しかし、好きに描いたからこそ特撮ドラマではあまり表面に出ない、「なぜウルトラマンは地球を守るのか」とか、「地球はこのままでいいのか」など、メッセージ色が色濃く出ているのですね。血が流れないと痛みも感じないし、悲惨な未来を見ないと現実を省みることもしない。描かれた時代と対象層が微妙にずれていたのかもしれませんが、現代では正当に受け入れられると思います。
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    投稿日:2010年06月18日
  • 先日、駒田信二「中国妖姫伝」を紹介しましたが、今回は同じ著者の「中国笑話集」です。同名の本(村山吉廣訳編、インタープレイ)がもう一冊あって、昨年8月に取り上げたことがあるのですが、駒田本はそれとはまた趣が異なっていてぜひとも読み比べていただきたいと思います。村山本が明末の「笑府」を中心に採集しているのに対し、駒田本はいわゆる笑話本以外の書物からも多くを採っているので、話の幅と奥行きが違ってきている点で際だっているようです。その例として駒田信二さんは巻末の解説で「助長」や「顰(ひそみ)に效(なら)う」「矛盾」などの成語が孟子、荘子、韓非子の書物にもりこまれた笑話から生まれたとしてその過程をわかりやすく説明しています。笑話が中国社会の深いところに根ざしている庶民の文化であることがわかります。それにしても、ここに集められた600の笑話、拾い読みをしていてあきません。とりわけ「おたのしみ」という見出しでくくられている房事にまつわる笑話の豊かさには脱帽です。「中国妖姫伝」では、寵愛を受けた皇帝の息子の後宮に入ったのが則天武后、皇太子の嫁でありながら義理の父である皇帝の寵愛を受けるに至るのが楊貴妃、ということで驚きだったのですが、この笑話集にはその種の艶笑小咄が山とでてきます。どうやら「息子の嫁」は房事の隠れたキーワードの一つといっていいようです。(2010/06/18)
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    投稿日:2010年06月18日
  • ポツダム宣言受諾、終戦を告げる天皇による放送が行われた1945年(昭和20年)8月15日から19日後の9月3日未明、大本営報道部部員だった陸軍大佐の一家――大佐とその妻、9歳の長女と7歳の長男の4人が東京の自宅で自決した。2日前の9月2日には、東京湾に停泊した米戦艦ミズーリ号上で、降伏文書調印が行われ、第2次世界大戦が終わっていた。大佐一家はなぜ、自決したのか――。著者・澤地久枝は、沖縄の名家出身の大佐がどのように生きて「自決」にゆきついたのか、その示唆するものはなにか、資料を求め、関係した人々を訪ね歩いて調べていく。丁寧に事実を掘り起こし、事実だけを積み重ねて、子どもを道連れにした大佐の自決の真実に迫っていく。そこからは無名の、多くの日本人が直面した「自決」や「沖縄の集団自決」、「玉砕」にも連なる問題が浮かび上がってくる。圧倒的な米軍を前にしたガダルカナル島における死闘を経験している大佐は、しかし大本営報道部員として、国民を鼓舞し続けて敗戦を迎えた。その大佐が友人に語った最後の言葉を澤地久枝は掘り起こしている。「終戦の間際 天皇、皇太后ら全く意気地なし。みずから戦を宣しながら真先に軟化して敗戦に至る。終生の恨事」。子どもたちを残して逝くことは忍びないと悩んだすえのことだったのだろう。サイダーに加えた青酸カリを二人の子どもに与え、妻は夫の拳銃で撃たれた。そして夫は自身の左胸を撃ち抜いて波乱の生涯を静かに終えた。一級のノンフィクションです。(2010/06/18)
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    投稿日:2010年06月18日
  • 幕末に惹かれる人が多いのはなぜでしょう。私は、“攘夷”か“佐幕”かの二極論ではなく、変容するイデオロギーとほとばしるエネルギー、そして明日がどっちにあるのかわからない、という混沌とした世の中に魅力を感じます。近藤や土方、沖田、永倉、原田、斎藤ほか大勢の強烈キャラクターを擁する新選組にあって、この『壬生義士伝』(みぶぎしでん)で描かれる吉村貫一郎こそ“幕末”を体現した侍ではないのでしょうか。また、あくまでも泥臭く、壮絶なその生き方の背景にある、家族への愛は限りなく普遍的な想いのはずです。読み進むにつれ涙腺が緩くなりますので、ひとりでこっそり画面に向かいたいものです。
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    投稿日:2010年06月18日
  • 生き残りを賭けたデパート業界にあって、主人公の玉造創志(たまつくり・そうし)が、その類まれなアイディアを武器に、経営難の一誠堂百貨店の再生を図ろうとする物語。「サービスも商品のひとつ」や「オンリーマイン」等のネームに、不況のもとでどう商売すれば客を呼び込めるのか、ちょっとしたヒントが見え隠れします。不正を働こうとする自社の商品部長やライバルデパートの若手専務等、一筋縄ではいかない悪徳キャラの中で、創志の企てはうまくいくのか目が離せません。キャバ嬢である恋人との濡れ場は、戦士の休息なのでしょうが、過剰なくらいのサービス満載なので、こちらもお楽しみあれ!?
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    投稿日:2010年06月18日
  • おやっさんヤイチ、フェロモンすず、キャリアウーマン香。全くタイプの違う、でも仲良しの女の子3人組を描く爆笑4コマ。かなり愛読していましたが、ふと気付いてみたら3人とも年下になっちゃったのね…(遠い目)。自分に似てる!っていうキャラはなくても、趣味も生き方も全然違うのに、何故か気が合う女友達って共感しながら読んでました。フェロモンすずちゃんに憧れます。すずちゃんの技を練習したかったけど相手がいなかったな~(再び遠い目)。男を虜にするという幻の技は是非本編でご確認下さい!
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    投稿日:2010年06月18日
  • (1)主人公・作馬は小学校教師で、その教え子たちが実は“魔王”。(2)作馬が原因で世界は変質し、その世界を救えるかどうかも作馬次第。(3)世界の存亡がかかっているわりに直接描かれるのは小学校からせいぜい数km範囲内での出来事。と、いわゆる「セカイ系」に属し、いかにもゼロ年代らしい作品。年齢を重ねるにつれてだんだん楽しめなくなるジャンルですね。食わず嫌いをしていたのですが、いざ読んでみるとこれが意外と面白い。作者は結構若いのだろうなと調べてみたら…今年でデビュー14年なんですね。作品以上にそこが一番衝撃的でした。
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    投稿日:2010年06月15日
  • この作品の凄さは一重に“熱量”ではないでしょうか。主人公・すばるが踊るシーンでは、動かないはずの絵が動いて見え、その息遣いや体温までが読み手に伝わってくるような気がします。本当に凄い。正直すばるは身勝手でわがままで、あまり共感できるところが無いのですが、それも「天才」ゆえかと納得してしまう説得力が物語にはあります。そもそもすばるがバレエを始めることになる1巻のエピソードが強烈すぎますからね…。バレエに興味なくても絶対楽しめると断言できる作品です。
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    投稿日:2010年06月15日
  • 戦で妻・サキを亡くしてから心を病み、感情までも失ってしまった稀代の人形師・辻村幻蔵。技量の限りを尽くして妻の姿を再現することに没頭していた幻蔵は、鬼九姫との出会いを期に、怨念うずまく数々の怪事件に共に立ち向かっていくこととなる──。「3×3EYES」で多くのファンを虜にした作者が描く、伝奇アクション時代劇です。傀儡(くぐつ)を駆使して駆け引きする、頭脳的バトルが斬新な本作。スリリングな展開に目が離せなくなります! 
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    投稿日:2010年06月15日
  • 戦中、そして戦後、二つの国の狭間で揺れ動いた沖縄の悲劇──。「カジムヌガタイ」とは、沖縄の言葉で「風が語る」という意味なのだそうです。「沖縄が戦後米軍支配下にあったことを初めて知った」と、海外の読者が語るのを見たのですが、この作品がなければ、沖縄の悲劇は彼らに永遠に知られることはなかったかもしれません。作中で描かれる戦争の真実は、まさに息を飲む凄惨さですが、目を逸らさずに、多くの人に読んでもらいたい作品です。
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    投稿日:2010年06月15日
  • 著者名の徳冨健次郎は「不如帰」などの著作で知られる徳冨蘆花の本名。明治の終わり頃に、東京の青山高樹町から武蔵野・千歳村(現在の世田谷・芦花公園近辺)に一家で移り住んだ蘆花が、村での暮らしぶりを書きとめたエッセイ集が本書(上下2巻)。随筆ですが、文中では蘆花自身を「彼」としています。蘆花の終の棲家となった千歳村は三里東に東京という位置にあって、京王線は工事中でまだ走っていません。三里はおおよそ12キロ。蘆花は時折歩いて人口200万の東京に出かけたようですが、晴耕雨読というか、彼の言葉によれば「美的百姓」――趣味の百姓として、甘藷(さつま)や南瓜(とうなす)、胡瓜(きゅうり)、馬鈴薯(じゃがいも)などをつくる日々をおくったようです。「生年四十にして初めて大地に脚を立てて人間の生活をなし始めた」と書く、いま流行(はやり)の「田舎暮らし」の先駆者で、季節のうつろいを細やかな目で観察しています。上巻136ページから引用します。「6月初旬は、小学校も臨時農繁休(のうはんきゅう)をする。猫の手でも使いたい時だ。子供一人、ドウして中々馬鹿にはならぬ。初旬には最早(もう)蚕(かいこ)が上がるのだ。(中略)空ではまだ雲雀が根気よく鳴いている。村の木立の中では、何時の間にか栗の花が咲いて居る。田圃の小川では、葭切(よしきり)が口やかましく終日騒いで居る。杜鵑(ほととぎす)が啼いて行く夜もある。梟が(ふくろう)が鳴く日もある。蛍がでる。蝉が鳴く。蛙が出る・・・・・野菜につく虫は限もない。皆生命(いのち)だ」今の東京からは想像もつかない千歳村の情景はまだまだ続きます。田植え、養蚕の季節には小学校が臨時休校となり、鳥や虫など生物が出す音が終日鳴り止まない。100年たらずの間に、私たちは何を失い、何を得たのでしょうか。(2010/06/11)
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    投稿日:2010年06月11日
  • 「くそお。なんでこんなに楽しいことにいままで気づかなかったのだ」…身体の不調を水泳で解消し始める主人公・和雄は、プール通いがエスカレート。500mが1km、そして一度に2kmを泳ぐヘヴィ・スイマーへと変貌する…。どんどんプールのトリコとなる感覚は、日曜スイマーの私にもよくわかります。水の中にいる安心感と心地良さ、遊泳中の頭空っぽさ感と達成感は、プール好きにとってまさに至福の時間だから。和雄につられて水泳にはまった主治医の伊良部先生とふたりで、プールを独占したくて夜中に忍び込む描写は秀逸です。これを読んだらカナヅチのあなた(!?)も、明日からスイマーズ・ハイになったりして!?
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    投稿日:2010年06月11日
  • やっぱりこの時期に読むんじゃなかったかな。人生で一度だけ、頭の中が真っ白になったことがあるんですが、その当時のことを思い出してしまい、朝まで一気に読み返してしまった。明日、仕事になりませんw。主人公・和也が成長して、高校選手権を制し、Jリーグ昇格を目指し、日本代表に入り、そしてW杯最終予選へ。そこに至るまでのドラマチックな展開と並行して、私は仕事でどっぷりサッカーに浸ってました。読んで学んで見て聞いて探して選んで行って試して頼んで待って集めて賭けて書いて書いて書いて…。今回より次の試合、今日より明日、今より一秒後。日本代表が確実に強くなっていくことを信じていた時代。高揚感がダブるんですよ。全然違うのに、31巻の伊武が見た光景は、私が真っ白になった後に見た光景そのままに思えてくるんですから。私でもこうだから、あの熱狂をリアルタイムで体感した人にとって、感極まるシーンは必ずあるはずです。1巻と最終巻の表紙を同じ構図にするとか、成長物語としての演出も粋で、もう感涙モノの一作です。
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    投稿日:2010年06月11日
  • 鬼太郎シリーズに次ぐ、水木しげるの代表作といえばこれですね。ほかに貸本時代の作品集「水木しげる貸本傑作選 悪魔くん」というのもありまして、こちらはその後年に執筆されたもの。実はストーリーやテーマの部分では、前者の暗い雰囲気のほうに惹かれる部分が多いのです。しかし、やや一般的にアレンジされた後者のこちらを選んだのは、圧倒的な描写力、特に絵画的に描かれるようになった背景にシビれたから。貸本時代に比べて月日がたっているので、描写力が上がるのは当然なのかもしれませんが、この質感のある背景のド迫力は何なんでしょう。スクリーントーンを使わず(この時代にはなかった?)、描き込みだけで表現された濃淡。真骨頂である点描の美しさ。巨大な妖怪や異様にうねる蔓、異世界の風景などは匠の技の賜物です。それでいて、あのペーソス感のあるメインキャラと平行して存在しているからすごいよなあ。悪魔くんは千年にひとりの天才という設定ですけど、それは作者にもあてはまるというのは言い過ぎでしょうか。
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    投稿日:2010年06月11日
  • 2009年度本屋大賞受賞作のコミック版が早くも電子書籍で登場です! 原作者の湊かなえさん、何とこの作品が長編デビュー作。デビュー1作品目でのノミネートと受賞は共に本屋大賞初の快挙とのことです。「娘は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。」女性教師の告白から始まる衝撃のミステリー、映画も大ヒット中の本作を是非この機会にコミックでもお楽しみ下さい!
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    投稿日:2010年06月11日
  • 「性同一性障害」については、ある程度認識がありましたが、「男でも女でも無いインターセクシャル」については、この作品を読んではじめて知りました。重いテーマではありますが、丁寧にわかりやすく描かれていて、しかもエンターテインメントとしても素晴らしい作品でした。気付いたら号泣しながら一気読みでした。一人でも多くの人に手にとってもらい、まだ認知度が低い「IS」について知ってもらいたいです。絵柄が苦手、などの理由で敬遠されるにはあまりにも惜しい名作。立ち読みからでも是非お試しください!
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    投稿日:2010年06月11日
  • 恋人である刑事のオトリ捜査の犠牲となった松島ナミが、投獄と脱走を繰り返す女囚物語。最近では、アメリカTVドラマ『プリズン・ブレスク』も、これに似た物語の展開で大ヒットした。この『さそり』はいわば、「女囚プリズン・ブレイク」。TVドラマと大きく違うのは、松島ナミが刑務所で暮らす女囚の日々が、これでもかとばかりに凄絶に描かれていること。数々の隠語や女囚同士のいじめ、そして看守と女囚の関係など、真偽はともかく閉ざされた塀の向こうの世界がヒシヒシと伝わってくるはず。それは、悪いことをしてお縄にだけはなりたくない、と読者を思わせるアンチテーゼなのかもしれない。
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    投稿日:2010年06月11日
  •  上質な小咄が11編並んだ感じのする、星新一のショートショート傑作集です。人の思いこみや「常識」が、どれほどバカバカしいものか、人の行動や言葉には表と裏があって、「じつは・・・・・・」という話は思いっきり眉に唾してきかなければならないなぁ、と妙に納得してしまいます。
     若く美人のバーのマダムをざーます言葉連発でやっつけている中年の婦人――2号さんのところに夫人が怒鳴り込んだものと思ったら、じつは反対でバーの美人ママが奥さんで、怒鳴り込んだ中年婦人が2号だったという、表題作「おみそれ社会」の逆転ぶり、常識的見方が次々にひっくり返されていくストーリー展開は言うまでもなく面白いのですが、じつは「女難の季節」「ねずみ小僧六世」「はだかの部屋」の3編が私のお気に入りです。いずれも言葉巧みに相手を誘い込み、迷わせ、行動に駆り立てておいて、最後には仰天の結末が待っているという趣で、ほんとの話だったらこわいなーと思いつつ、思わず笑ってしまうような、独特の味わいがあります。
    「女難の季節」では社長の娘との縁談が持ち上がっているエリート青年社員、「ねずみ小僧六世」では銀行の支店長、「はだかの季節」では豪華マンションの留守番役を頼まれた甥。この3人の男たちが陥った同情すべき状況。明日は我が身かもしれませんよ。(2010/06/11)
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    投稿日:2010年06月11日
  • 「悪いこと!? ──悪いことってなんだ!? おれたちは命令されたことをやるだけだ!!」機械人間にとっては、主の命令が絶対で善悪を判断する必要はありません。しかし、「良心回路」を不完全なかたちで組み込まれてしまったキカイダーことジローは、善と悪の狭間で苦しみ続け孤独な闘いを続けます。そんなジローの姿が心を打つ作品です。一方、敵として描かれる機械人間も、よく考えると一途に任務を遂行してるんですよね。腕をもがれようが、ツノを折られようがおかまいなしに。。。そんな風に読んでみたら、また違ったおもしろさがあるかもしれません。
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    投稿日:2010年06月08日
  • 痛快任侠アクションが登場。まるで鋼のような最強ボディを誇る主人公・不動が、その身ひとつを武器に大暴れ! 序盤は王道のストーリーですが、8巻からストーリーが一変。無敵の極道・不動が、とあることから学校の先生になってしまいます。ここからは、悪徳ヤミ金業者から美人教師を守るため、正体を隠し獅子奮迅の大活躍…と半分コメディになってくるのですが、「特命係長」的なノリが見事にハマっています!
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    投稿日:2010年06月08日
  • 2週連続でこのコンビ。いやーハマっちゃっいました。先週の『サンクチュアリ』もそうでしたが何で主人公こんなにかっこいいんでしょう。舞台は現代の日本で、特にぶっとんだ設定があるわけでもないのに、「主人公があまりにもハイパー」というその1点によってリアリティが無くなってます(笑)今の日本にこんな男がいるわきゃあないですよ…残念ですが。そんな主人公・唐沢は、やってることはムチャクチャなのに、関わった人間は誰しもが“熱く”なり、男だろうが女だろうがその人間性に惚れてしまう…という「これぞ主人公!」というキャラクター。最初は歌舞伎町のいちチンピラにすぎなかった唐沢が己の才覚でどんどんデカくなっていく様はかなりグッときます。将来息子が生まれたらこんな男になってほしいですね。いや、正業で、の話ですが(笑)
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    投稿日:2010年06月08日
  • 『ヤング島耕作』ばかりが若年サラリーマンの現実じゃない! こんなサラリーマンだっているんだぞ! というわけでこの作品。著者の田中圭一が玩具メーカーに勤めていた時の実体験を描いているのですが、決してビジネスマンガではありません。「こんなくだらないことをしていた」「こんな同僚たちだった」という内容で、著者得意の下ネタも連発。ここに描かれた様子だけ見ると、何とまあ自由な社風の会社なのかと羨ましくなります。ただそうは言ってももちろん仕事上で大変だったことや人間関係の面倒くささ等、社会人であれば誰もが感じるようなこともユーモアに包んで描いており、そういう意味じゃ「リアル」なビジネスマンガと言えないことも…ないかな?
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    投稿日:2010年06月08日
  • サイゴン(現在のホーチミン市)陥落、南ベトナムの崩壊を特派員として見届けた新聞記者が、特派員生活をおくったサイゴンで子連れのベトナム人女性と結婚。親子3人で日本に帰国。その東京生活を綴ったのが本書「サイゴンから来た妻と娘」。第10回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品(1979年)です。見知らぬ国での生活にとまどったかと思うと、意外な共通項に安心したりして、二人のベトナム人母娘とその夫・父となった中年新聞記者が織りなす、ユーモアにみちた、あたたかい気持ちが通い合う暮らしぶりが、上質な私小説を読んでいるような気分にさせてくれます。なれない日本での生活は小事件の連続です。フランスの学校に通う娘の成績が低迷していることに発憤した父親が、思わず怒鳴りつけてしまう。「こんな計算は、日本人なら幼稚園の子供だってできるぞ。お前、いったい幾つだ、恥を知れ、恥を」。蒼くなって震えていた彼女が歯を食いしばって父をにらみつけた。両眼から無念の涙を流し、そしてそれまで見せたことのない形相で、猛然と問題に取り組み始めた――。どうやら「メンツ」にこだわるベトナム人の血が逆流したのだと、娘の泣き所をつかんだ父は、その後この手を時に使い始めるが、後味は悪く、悩む。そんな夫をベトナム人妻は怒鳴ったあとでくよくよするなんて最低、怒鳴る方の気合いが足りないと叱咤激励するタイプ。平均的日本人の感覚からすると、え、何それと思ってしまうような、「わが家の性教育」。思春期を迎えた娘との間でかわされる、ほほえましくもきわどい会話。そんな身辺雑記の中に異文化を受け入れる、やさしい目線の大事さがあふれています。(2010/6/4)
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    投稿日:2010年06月04日
  • 中国文学界にあって押しも押されもせぬ存在だった吉川幸次郎「水滸伝」の誤訳を批判したことで知られる中国文学の異才、駒田信二が、中国歴代王朝を後宮にあって裏で動かした7人の女たちを描いた列伝です。後宮とは、日本で言えば「大奥」。そこで男と女、宦官の間で繰り広げられる、陰謀、権謀術数、欲望のすさまじさ。今の中国も歴史的に受け継いできているのだとすれば、日本の「草食性」政治家や経済人ではとてもとてもたちうちできないだろうなぁ、と感心してしまいます。なにしろ、書名からして「中国妖姫伝」で、著者による、妖姫たちへの形容句がすさまじい。唐の則天武后には「則天楼の妖帝」、漢の呂太后は「血ぬられた女権」、秦の朱太后は「邯鄲の妖媛」という具合で、いったいどんな物語が紡がれているのか、興味はつきません。則天武后は高宗の寵愛をうけて影の漢力を握っていきますが、もとをただせば、14歳の若さで高宗の父、先帝の太宗の後宮に迎えられた娘。父の存命中に息子と情を交わして、太宗の死後、29歳で高宗の後宮の主となっていきます。世に有名な楊貴妃(唐)の場合はさらに波瀾万丈です。皇太子妃、つまり息子の妻を見初めた玄宗が一計を案じて自らの後宮に迎え入れます。その元皇太子妃が後の楊貴妃です。息子には別な女性を妻として与えるのですから、常識はずれの、むき出しの欲望がうごめく世界です。後宮三千の美女が顔色をなくしたといわれる、楊貴妃22歳の時で、湯を賜(たま)うため浴室をつくらせた玄宗は、豪華絢爛たる浴室で湯浴みする若き楊貴妃の肢体をつぶさに覗き見したそうです。中国三千年の歴史をいろどった妖姫を通して中国の文化を体感させてくれる一冊です。(2010/6/4)
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    投稿日:2010年06月04日