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  • 去る4月初旬(2011年)に、福島の実家へ帰省しました。東日本大震災から3週間余り、東北に近づくにつれて、「災害派遣」を付けた自衛隊の車両がどんどん増えていき、この時ほど自衛隊の存在が頼もしく思えたことはありませんでした。災害や事故のために救助にあたるスペシャリストの存在は、感謝の念に堪えない思いです。今回ご紹介する『トッキュー!!』(原作:小森陽一)を描いたのは、話題作『モテキ』でも知られる久保ミツロウ。主人公の神林兵悟は、父親が海で遭難したことをきっかけとして、佐世保海上保安部の海上保安官になりました。「絶対、連れて帰る」をモットーにする神林は、より高度な活動を行う海難救助のスペシャリストチームである特殊救難隊…いわゆる「トッキュー」を目指し、救助活動の最前線に立ち向かっていきます。「死んだ方がマシだとさえ思えるほど過酷な訓練の数々」をこなすことで、「身体の中に生と死の境が刻み込まれる。海の中で人を助ける為に必要な刻印」を得ようとする、男たちの熱いハートを感じ取ってください。読み進めるうちに、ついついコブシを握りしめてしまいます。現実の世界では救助のスペシャリスト達には、現場に急行する機会が訪れず、退屈にしていてほしいものです。
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    投稿日:2011年05月10日
  • 『極楽町一丁目』は、第21回日本漫画家協会賞大賞にも輝いた、名作です。扱っているテーマは、家庭内の普遍的問題である「嫁と姑」。その後、シリーズ化されて「嫁しゅうと残酷編」「極楽町一丁目界隈」等が当社でも配信されています。今回の「嫁姑永久戦争」編は、著者の二階堂正宏渾身の描きおろし作品。「お義母(かあ)さまが寝たきりになってもう五年。あたし、死ぬほど疲れたァ」のお馴染みのフレーズが帰ってきました。のりこが、お義母さまの世話をして、お義母さまの「いつも、すみませんねェ」の返答を合図に、バトルは勃発します。「嫁姑永久戦争」編は、当初のサブタイトルを「嫁姑最終戦争」と予定していただけあって、内容は一段と過激です。それにしても、なぜ嫁と姑はバトルを繰り広げるのでしょうか。そんな疑問に応えるかのようなエピソードが最終話近くに登場します。珍しく、お義母さまが自らの心情を吐露するのですが、これが嫁姑問題の真理なのでしょう。
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    投稿日:2011年05月10日
  • 「芳子が常に用いていた蒲団(ふとん)――萌黄唐草(もえぎからくさ)の敷蒲団と、綿の厚く入った同じ模様の夜着(よぎ)とが重ねられてあった。時雄はそれを引き出した。女のなつかしい油のにおいと汗のにおいとが言いも知らず時雄の胸をときめかした夜着の襟のビロードの際立(きわだ)って汚れているのに顔を押し付けて、心のゆくばかりなつかしい女のにおいをかいだ。性欲と悲哀と絶望とがたちまち時雄の胸を襲った。時雄はその蒲団を敷き、夜着をかけ、冷たい汚れたビロードの襟に顔を埋(うず)めて泣いた。薄暗い一室、戸外(おもて)には風が吹き暴(あ)れていた」自然主義文学を代表する明治期の作家・田山花袋の代表作『蒲団』のエンディングシーンです。『蒲団』は島崎藤村『破戒』(1906年〈明治39年〉)に刺戟をうけて、『破戒』出版の翌1907年に出されて、日本における私小説の出発点となったとされる作品です。時雄は田山花袋自身、芳子は田山花袋の弟子として同じ屋根の下で暮らしていた岡田美知代のことで、時雄は妻と三人の子どものある身でありながら、若く美貌の女弟子に密かな恋慕の情をいだき、それゆえ芳子の恋人の同志社大生が東京に出てきてからは二人の関係や行動が気になってしょうがない。結局時雄は芳子の監督者として芳子の父を郷里から呼び寄せ、芳子は国元に帰ることになる。そして冒頭に引用したシーン――芳子のいなくなった部屋の空虚な空間で、時雄が女の匂いの残る蒲団に顔を埋めてひとり泣く――でこの中編小説は終わります。自らの性を赤裸々に描き出した田山花袋『蒲団』は当時の文壇やジャーナリズムに衝撃を与えました。それから100年の時を経て、一人の新人作家が、田山『蒲団』を『FUTON』として打ち直しました。2010年に『小さいおうち』で直木賞を受賞した中島京子のデビュー作です。100年の間に、何が変わり、何が変わらなかったのか。『蒲団』を下敷きに『FUTON』を書くという行為が生み出したものは?『FUTON』は5月6日に講談社電子文庫からりリースされました。『FUTON』も『蒲団』も、iPad、Android端末、いずれでも楽しめます。ぜひ読み比べてみてください。(2011/5/6)
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    投稿日:2011年05月06日
  • 舞台は世界各地。好きなんですよね、こんな展開。ただ、これだけだと、”わりと好き”レベルなんですが、この作品は時間も遡ってしまう。時代背景の描写など、描き手の力量が問われますが、期待以上の仕上がりで、”わりと”ではなく、とても好きになってしまいました。内容、の前にまずクリオについて解説しますと、これは表紙に書いてある通り。クリオダイバー=骨とう品や美術品などの物の中に蓄えられている過去の情報世界に潜る人、ということです。そのクリオの男が、世界各地のワケあり物品に込められた過去の因縁を暴き、現代に害をなさないようにする、というストーリー。展開は非常にダイナミック。そして立体的な描写が物語にさらに奥行きを加えています。戦闘機の翼の上、屋上から落ちるさま、素潜りの海中などのシーンが目白押しで、映画っぽいなあ、と思っていたら、著者はそっち方面を目指していたこともあるんだとか。映像的視点もいいですね。これも加えるとまたレベルが上がるなあ。結局、大好きなお話になってしまいました。(2011/5/6)
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    投稿日:2011年05月06日
  • あの「さえ」が今度は主役になって帰ってきた!!∑('◇'*) そう。「ピーチガール」ではももちゃんに意地悪しまくって読者をヤキモキさせてくれた伝説の悪役…さえです。天使な見た目と裏腹の、超悪魔的小悪魔キャラ! 今回の物語はちょっと成長して大学に入学したところから始まります。さえも花の女子大生!…っと思ったら……さえはこの春、高校留年……??? この屈辱を完全否定したさえは、ラブ×2バカップル(←さえ視点)・もも&カイリの通う大学で、今日も『バラ色学園生活(キャンパス・ライフ)』を満喫中。だが、彼女の背後には、あり得ない厄災が迫っていた……! 華麗なる逆転(リバース)で、ついにさえがオモテに回る! さえがももちゃんのライバルだった時は超絶ムカつきましたが、さえが主役だと、男を取り合う恋愛シュミレーションゲームみたいな感覚で面白いですね(笑) さえの思考回路がよくわかって純粋に楽しめました~! さえ視点の「ピーチガール」番外編も入っています。うーん、さえが捻くれた原因がよくわかりますね。。「ピーチガール」の時はこれでもか!というくらいももちゃんをどん底に貶めてくれて、悪役としては最強最悪でしたが、でもやっぱりなぜか憎めない愛嬌のあるキャラクターです(笑) この子実は相当面白い子だと思いますw ウルトラポップなラブ・エボリューション! 進化する“裏”ピーチ伝説をぜひご覧あれ!\(^▽^)/
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    投稿日:2011年05月06日
  • 読者の気持ちをとっても明るくしてくれる、田舎家族4人の日常をショートコメディで描いた作品です。全編通して福島弁なのが特徴で、美人お母さんの八重子からして、「~だべ」「んだんだ」とかなり訛(なま)っています。読み始めは少し違和感があるかもしれませんが、すぐに福島弁のやわらかい口調になごむはずです。時代設定が1970年代らしく、今と比べればちょっぴり貧しくて(でも、この頃の東北地方の田舎ってこんな感じ)、小学生のさゆりと幼稚園児あきらの姉弟は、町のレストランでの食事が大きな楽しみで、初めて友だちの家で食べた「マルシンハンバーグ」の美味しさに目を白黒させます。さゆりが、新しいズックやホットパンツ等の日用品が欲しいと八重子にせがむシーンも少なくありません。飽食とは無縁の世界ですが、八重子の太陽のような明るさが、家族の毎日を楽しくしているようです。元気な姉弟は、桜が咲けば「お花見しながら食べっぺ!」と弁当を持って裏山に繰り出し、セミしぐれの中「バゲツ持ってくべ」と川遊びに出かけ、ぼたん雪が降ってくれば、「雪合戦すっぺー」と外に駆け出します。お金や物がなくても、豊かな自然に囲まれている子供たちは、毎日がイベント尽くしなのかもしれません。心があったがぐなっから、読んでみねがい?
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    投稿日:2011年05月03日
  • 「町工場萌え」が静かなブームなのだそうです。私の隣町にも町工場がありますが、カメラを持った若い人が工場前でウロウロしているのを見かけて、「あっ! 本当なんだ」と思った次第です。私も通りすがりに、中をちらちら眺めることがありますが、鉄溶鉱炉の真っ赤な炎や大音量の旋盤の響き、そしてあの鉄臭さは、「モノづくりの現場」そのもので、なぜか胸躍らされるようです。中国からも日本の町工場の高い技術が、熱いまなざしを集めているのだそうです。コメディタッチの『工場虫』は、モノづくりの現場で勃発するお笑いに焦点を当てています。作者の見ル野栄司が元々エンジニア出身というだけあって、リアリティを感じさせる笑いです。私が最も笑ったのは、フライスで1000分の1ミリ単位の製品を作るベテラン工員の話です。40年かけて身に着けた高度な技術は、余人にはとてもマネができないワザなのでした。モノづくり日本を支える男たちが繰り広げる、汗と涙とユーモラスな世界を覗いてみませんか?
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    投稿日:2011年05月03日
  • あの“北方『三国志』”がついに漫画化。これを待っていた、願っていたというファンの方は多いのではないでしょうか。作画を担当するのは韓国漫画界の第一人者、河承男(ハスンナム)氏。まさに日・中・韓、「三国」の大プロジェクトですね! 独自のアレンジが加えられた主要キャラたちが、今後どんな活躍をみせるのか。小説の漫画化には賛否両論がつきもので、期待と不安でいっぱいですが、非常に楽しみ。今後の展開に注目です!
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    投稿日:2011年05月03日
  • 「成功者は皆自己の意志や知慮や勤勉や仁徳の力によって自己の好結果を収め得たことを信じて居り、そして失敗者は皆自己の罪ではないが、運命の然(しか)らしめたがために失敗の苦境に陥ったことを嘆じて居る。即ち成功者は自己の力として運命を解釈し、失敗者は運命の力として自己を解釈して居るのである。成功者には自己の力が大に見え、失敗者には運命の力が大に見えるに相違ない」――明治の文豪・幸田露伴が遺した名言です。仕事がうまくいかないことも、いい仕事につけないことも、すべては運命だからしょうがないと簡単に諦めたり、努力を放棄したりしがちな私たちには耳の痛い言葉です。本書『努力論』は、運命論的な風潮がはびこった明治末に幸田露伴が人の生き方を考え抜いて書き残した、ある種の「幸福論」です。いわゆるハウツー本とは一線を画した人生哲学です。文語的な文体で、辞書にのっていない言葉もしばしば出てきます。決して易しい本ではありませんが、大意はつかめます。要は、ままならぬことの多い世の中にあって、いたずらに悩み苦しまずに、のびのびと生きるにはどうしたらよいかを、明治の知性が説く基本は、運命を切りひらくのは自分自身だということ。加持祈祷や新興宗教のあやしげな託宣に頼っていてはいけないということ。いつまでも昔のままのダメな自分に留まっていては運命は切りひらけないということ。いわれてみれば当たり前のことのようですが、それを実践できる人はそう多くありません。露伴はそのための道を具体的に説いていきます。露伴によれば「福」には「有福」「惜福」「分福」があり、この三つの福はそれぞれ大事な考え方なのですが、いずれも一個人の心に関わる問題です。そして露伴はこれら三つの福以上に貴い、究極の幸福として「植福」を勧めています。自分だけが幸せになったのではだめで、社会に生きる人皆に幸せをもたらすことが理想の福だというわけです。露伴の説く「植福」こそは、3.11後の日本再生のキーワードではないでしょうか。露伴の娘として、その考え方を受け継いだ作家・幸田文の言葉シリーズ(全6巻)が4月29日にリリースされました。露伴の幸福論をわかりやすく伝える著作です。あわせてお読み下さい。(2011/4/29)
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    投稿日:2011年04月29日
  • 走るキリンって生で見たことあります? 私、ここで見てビックリしたんですよね。ってことでこの作品、テレビ番組や書物で有名になりました、”北の奇跡”旭山動物園のドキュメント風漫画です。この作品、全3巻まるまる使って、廃園の危機から復興するまでを描くのかと思ってましたが、そのあたりは第1巻に集約。第2、3巻は人間と動物の関わり合いを中心にしており、フィクションを織り交ぜた展開。なので2、3巻は目新しい話ばかりで、動物の生態を解説したガイドブック的な内容も数多く含まれています。地元の人以外にとって簡単に行けるところではないですが、これを読むと行ってみたくなりますね。しかしながら私、第1巻は社会人、特にサービス業に携わる人によく読んでもらいたいとも思っています。ただ工夫しました、だけでなく、それをいかにして知ってもらうか、味方を増やすにはどうすればいいのか。現在の人気を勝ち得た努力もしっかり描かれていて、このお話に、そういう側面もあることを感じてもらえると思うのですがいかがでしょう。(2011/4/29)
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    投稿日:2011年04月29日
  • もぉ~~><かわええーーー!!! あまりの可愛さに身悶えてしまいました!(*>x<*) 兎似の臆病なお医者様と虎の彫り物のある強面ヤクザとの、とにかく可愛い弱肉強食ラブ☆ 大学病院に勤務する医師の卯月は、ある夜、銃創を負ったヤクザの野浪を助ける。次の日、病院に現れた野浪に、銃創を見られたことを口封じにきたのでは…と恐れる卯月だったが、野浪はそのとき名乗った卯月を「スズキ」という女性だと勘違いしており、その女性に惚れたからと舎弟を強引に入院させ、院内で「スズキ」捜しを始めるが……!? 兎ちゃん(・ x ・;)が牙を剥いた虎さん(ミ@x@ミ)に睨まれて、ぷるぷる震えてる(ように見えるw)姿がとってもかわいいんです~(*>ω<*)!物語の中にところどころ出てくる虎と兎の擬獣化心理描写(?)のイラストも本当に愛らしくって和みます~(*´ω`*) 内容としても、猛獣虎系ヤクザ×小動物兎系医師という対照的な二人の王道BLで、萌えもたっぷりで面白い(*^ω^*)! ヤクザの野浪も権力者でカッコいいです!獲物かどうかは背中の虎の入れ墨で判断する…もといナニが勃つかどうか(笑) 一見どう猛な肉食系、でも実は優しい虎さんは、おどおどビクビクしてる兎さんが可哀想で殴れないし襲えない>< 男を好きになったのもはじめてだし、可哀想で手も出せない虎さんの苦悩は続く……。自然界の法則どおり、虎が追えば兎は逃げる。なかなか進展しない二人のもどかしさと可愛さに胸キュンです!!O(≧▽≦)O …そしてまさかの寸止めっすかーー!Σ(|||▽||| ) 続きがめちゃめちゃ気になるんですけど!! あーほんとこの可愛さ、たまらんです!
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    投稿日:2011年04月29日
  • 謎の物体“ユニットG”を偶然手にし、殖装体“ガイバー”となった高校生・深町晶は、秘密結社クロノスと戦うことになり──。あしかけ25年にも渡って連載が続く人気作品。練り上げられたストーリー、緻密な描写…ややこってり感ただよう濃厚なキャラクターたちが読んでるうちにクセになってきます。読み応え満点のSFアクション。「ガイバー」の戦いは、いったいどこまでスケールアップしていくのか!? 
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    投稿日:2011年04月26日
  • 津軽(青森)の若者が上京して演歌歌手を目指すという、地味に思われがちなテーマですが、かなり魂を揺さぶられるマンガです。純朴で吃音症気味の主人公・海鹿耕治 (あしか・こうじ)は、歌手としての才能に気づき、自分にとっての「武器」は歌を歌うこと、と道をまっしぐらに突き進もうとするのですが、世の中簡単にはできていません。相棒の通称・オキナワとふたりで、酒場の流しから歌の道を歩み出しますが、日々けんか騒ぎ等に巻き込まれながらアンダーグラウンドで、泥臭く生きていきます。圧巻は、海鹿が本気になった時に歌う時の、凄味のある表情です。私が最も好きなのは物語の中盤、フィリピン人の恋人・テレサが故郷に帰っていく時に海鹿が「北国の春」(千昌夫)を歌うシーンです。海鹿は、歌手になれたのかどうか、ぜひ足跡を辿ってください。一見不器用に見えるけど、どんな逆境にあっても、しぶとく根強く自分の道を踏み外さない、そんなガッツのある生き方が描かれています。
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    投稿日:2011年04月26日
  • タイトルから、なんとなくストーリーのイメージが浮かぶ作品ですが、まず凄いのが、大ヒット映画『ロボコップ』や『ターミネーター』よりも、すでに20年近く前にこの作品が発表されていることです。石ノ森章太郎作品といえば、『サイボーグ009』が有名です。サイボーグとして誕生した時のエピソードから、その因果を含めて大河的なストーリーに発展していきます。ところが、この『ロボット刑事』は最初から警察組織の一員として、当たり前に捜査しているところに面白味があります。もろちんロボット特有の能力を最大限に生かすのが、ロボット刑事の役割です。しかし、描かれているロボット刑事は、礼節や純情さを兼ね備えていて、可愛らしくも思えてくるから不思議です。この作品を読んでいると、ロボットが人間に危害を加えることを危惧するよりも、人間の方がよほど罪深い生き物なのかなと思い始めてきます。
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    投稿日:2011年04月26日
  • 3.11の東日本大震災から1か月が過ぎ去った今も、10万人の自衛官が被災地にある。そこはまさに「戦場」だ。その戦地で闘う彼ら、彼女たちの献身が、どれほど多くの人々の心をうち、勇気を与えてきたか。神戸でも新潟でも、大災害が起きるたびに多くの自衛隊員が急派され、黙々と救援と復興に力を尽くしてきたが、その素顔がよくわからない「顔のない組織」。憲法との関係から「日陰者」とまで言われている。その自衛隊員を生身の人間として描いた異色短編集が本書『歩兵の本領』だ。筆者の浅田次郎自身、高校を卒業後、自衛隊に入隊しており、内部にいたからこそわかる自衛隊員の素顔があますところなく描かれていて、興味はつきない。収録短編の一つ「小村二等兵の憂鬱」にこんなくだりがある。〈「何でおまえ、自衛官になんかなったんだよ」「知るかよ、そんなこと。大学落ちてフーテンやってたら、地連に拾われた。おまえは?」同期生は溜息をついて、少し言い躇(ためら)った。「ここだけの話だがよ、俺、田舎から出てきて、上野でテキヤやってたんだ。ポリバケツでタコ焼きの粉といてたら、地連に肩叩かれて」「へえ。そこまでやるんか。すげえな、地連の勧誘も」「足を洗うチャンスだぞ、って言うわけ。俺もまあ、考えてないわけじゃなかったから、お願いしますって言ったら、たちまち事務所に乗り込んでよ、親分と兄貴たちにナシつけてくれた」〉自衛隊の猛烈なリクルートぶりがよくわかるが、ただかき集めるだけではない点を浅田次郎はちゃんと見ている。小村二士の述懐。〈フーテンもヤクザも家出少年も、力ずくで鍛えられた。社会の落ちこぼれをかき集めたのに、そこから落ちこぼれたやつは一人もいなかった〉リクルートの状況も今はずいぶん変わっているのだろうが、「軍隊」の基本性格にそう大きな違いはないのではないか。本書を読み進めるなかで、思いはいやでも被災地という「戦場」に立つ自衛隊員たちが背負っているものへと向かう。3.11後の日本を考えるとき、読むべき本のリストに必ず加えたい一冊だ。(2011/4/22)
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    投稿日:2011年04月22日
  • 噂には聞いてましたがここまで凄まじいとは…。この作品、いきなりクライマックスという感じで、しょっぱなから第1巻のほとんど最後まで、ひたすらハードなアクションが続いているんです。マッド・ドッグの異名をとる傭兵・岩鬼将造は暴力団組長の息子。父の暗殺を知り帰国、落とし前をつけに黒幕の元へ――。ということで殴り込みになるのですが、そこは極道ならぬ極道兵器。ドスやチャカ程度の戦闘では収まらない。戦場土産のバズーカやミサイル、果ては核兵器まで飛び交うのですからもはや戦争。著者の真骨頂である狂気の演出と相まって、ハリウッド映画も真っ青のバイオレンス作品に仕上がっています。最初は極道物と思わせておいて、SF的な改造をされて名実ともに極道兵器になる、という設定なのですが、それはこの際どこかに置いといてほしい。許嫁の姐さんや、さらに凶悪な兄貴分もでてきますがそれもどうでもいい。とにかく主人公・将造の暴れっぷりを見て欲しいですね。ついでに、またしても広げた風呂敷を畳まない展開も忘れてほしい…。(2011/4/22)
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    投稿日:2011年04月22日
  • 劇場版も絶賛公開中!! 劇場版は今年で15周年、記念すべき第15作目です。実は私は第4作目から毎年欠かさず映画館に足を運んでいます!コナンの映画は本当に面白いんです!!!!手に汗握る興奮と感動の本格探偵アクション、ハラハラドキドキの推理サスペンスは、息をもつかせぬ展開と面白さで、一度見ると絶対ハマります!また少年マンガを紹介して~って思ってます?でもジャンルなんて関係ない!実はコナンは女性が読んでも楽しめる作品なんです!なんといっても登場人物が格好いい!!!新一も服部も白馬も…みんな本当に格好良すぎて困る!その中でも私の一押しキャラは怪盗キッドです!そうです、あのキザなコソ泥です!もうね…キッド様は本当に格好イイ!!!!!私の理想のタイプの男性です!!!あんな人三次元にいないってーーー!テレビアニメでもキッドが登場するだけで私たち姉妹は興奮状態になり「キャー―!!!!!キッド様~~~!!!!!!!!」と叫びまくりテンションUPして、近所迷惑な人達ですみません…m(uu)m。キッドってなんでこんなに格好いいの!?と登場する度に自問自答し、それはキッド様だからね!という結論になる。いや、読めばわかるんだって!本当に格好いいんです!そこでっっ!!!皆様にぜひお願いしたいのですが、現在コナンではキャラクター人気投票受付中なので、どうか、どうかキッド様に熱い1票を……!1票と言わず、2票でも10票でも毎日投票していただけるとさらに嬉しいです!!><壁紙欲しいんです!!!おっと、興奮しすぎて内容について触れてませんでしたね。青山先生って本当にすごいなって思います!特に本筋の話が黒の組織とコナンの対決なんですが、もうね。緻密に練られたストーリー構成と、随所に散りばめられた伏線には感服します。一つ一つ伏線が回収される度に、そういうことだったのか~~!と驚きと感激の嵐!!これはもう読むっきゃない!そしてコナンファンの間で必ず話題になるのが「あの方」とは誰か?という疑問。巷では様々な見解で推理されてますが…正体が明かされる日が楽しみです。絶賛連載中ですが、結末が物凄く気になる作品です!!コナン好きなので終わらないで欲しいですが><
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    投稿日:2011年04月22日
  • 就活生にもおすすめ第2弾です。その内容は、カリスマ的企業の代表を迎え豪華な食事、ジャンケンで負けた人が自腹という、お笑い企画なのですが、インタビューの内容が素晴らしいです。某「プロ○ェッショ○ル」的に近い感じでしょうか。しかしテレビとは違って、かなり砕けた雰囲気で取材がされていたためか、続々登場するトップの方々の中には、相当あけっぴろげなトークをしてる方もいて、余計なお世話ですが企業イメージが心配になってしまいほどです(笑) また、社員食堂が紹介されていたりと、その会社の雰囲気がすごく伝わってくる内容が盛りだくさん。「え、あの会社ってそうなの!?」とか、有名企画の裏話とか、驚くべき発見がきっとありますよ。
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    投稿日:2011年04月19日
  • かつて、東京駅が東北新幹線の終着駅となるまでは、上野駅が東北地方からの玄関口でした。その上野駅のすぐそばに、数年前まで「聚楽台」という昭和の香りが漂う大衆レストランがあって、上野のランドマーク的な存在でした。東北から東京に出て、初めて入った思い出のお店として語られることもしばしばです。古くは、集団就職で上京した少年少女も数多く来店したのだとか。初めて食べた東京のレストランの味は、どんな味がしたのでしょう。この「聚楽台」を連想させる舞台設定の作品が『衆楽苑』(小山田いく)です。物語は各話が読み切りで、主人公は衆楽苑を訪れるお客さんです。短いエピソードの中に、それぞれの人生の空模様を見事に描ききっていて、度々心揺さぶられます。私が好きなお話は、いわきから上京した営業マンが、衆楽苑で知り合った老人から高価と思しき宝石を預かって、逡巡するエピソードです。劇画の大家から、短編にひとつの話をまとめる労苦を聞かされたことがありますが、秀逸揃いの短編をこれだけ連作したというだけでも、ちょっとした奇跡ではないでしょうか。聚楽台…じゃなかった、衆楽苑のようなお店に明るい笑顔が満ち溢れている光景って本当に素晴らしい、そう思わされました。
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    投稿日:2011年04月19日
  • タイトルを見て懐かしく感じる読者は、40代以上のおっさん世代です。私もそうです。『月とスッポン』を表しているのは、背の低い土田新一と大柄な花岡世界のことで、ふたりは幼馴染以上で恋人未満という微妙な関係。作者である柳沢きみおの初期の代表作であり、柳沢が近年よく描く翳りのあるキャラクターや性描写を見慣れた若い読者には、新鮮かもしれません。物語は、二人が中学生から高校生にかけて成長していく過程を描いたもので、ギャグを交えているとはいえ、全体的にさわやかで健康的に明るいのであります。でも、この世代特有の悩みごとなんかもしっかり押さえているから、リアルタイムで読んでいて、共感を抱いたのかもしれません。30年ぶりに読み返しても、少しも色褪せていないどころか、あらためてこの作品に魅了されたような気がします。それは、この世代が持つみずみずしい感性やはち切れそうなトキメキ、挫折しかけているときの滅入った気分を随所に描き切っているからだと思います。そうです。おっさん世代には、何もかもが懐かしくて、目もくらむほど眩しい世界がここにあるのです。
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    投稿日:2011年04月19日
  • 本書『それぞれの終楽賞』は、阿部牧郎(あべまきお)が8回目の挑戦(ノミネート)で射止めた直木賞受賞作です。受賞時、54歳。官能小説などを量産し、中堅作家として脂がのりきろうという時代で、遅咲きの直木賞作家といえるかもしれません。1968年に『蛸と精鋭』で初めて候補となってから、1973年まで毎年のように候補となりながら直木賞の栄誉を逃し続けてきましたが、1987年に受賞、しかもほぼ満票でした。黒岩重吾、藤沢周平、平岩弓枝、陳舜臣ら名だたる名文家選考委員がこぞって高評価を与えていたことからもわかるように、完成度が高い、見事な作品です。主題は、高校時代の親友の葬儀で故郷秋田に帰った作家が、その急死の謎をたどりながら、自身の来し方を思い返し、友人たちの人生を描こう、描かなければならい、彼らを生かすことで自分も生きることができるという境地に至るまでの心のうつろいです。高校時代に興じた野球の記憶、万引きをして退学となった苦い想い出、今は亡き父の愛情、連れ添ってきた妻の献身・・・・・終楽章に入って、人生にとってもっとも大事なものの存在に気づいていく男の心情が、簡潔な文体で綴られていきます。選考委員の黒岩重吾は選評にこう書いています。「『それぞれの終楽章』が抜群で、受賞作は阿部氏以外にないだろう、と感じた。贅肉が取れた文章で描かれた人間模様には今の氏の年齢でなければ凝視できない人生への慈愛が滲み出ている。旧友の死を作為的なストーリーで追わず、彼の性格を抉って小説に構築したこともこの作品の格調を高めた」約500万人といわれる団塊世代の定年退職はすでに始まっています。人生の最終コーナーを曲がったとき、彼らは何に気づくのでしょうか。阿部牧郎が自身の体験を元に描いた男たちの終楽章。私たちの琴線にふれる感動作です。(2011/4/15)
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    投稿日:2011年04月15日
  • 前回ご紹介した『シグナル』に登場する鬼畜眼鏡(笑)・榊が主人公のお話です。ゲイとノンケの恋を切なく描き、「このBLがやばい!2009年版」でも4位にランクイン!榊は真性ゲイで、学生の時初めて本気で好きになった相手は、芦原の妹と結婚したノーマルの田町。学生時代の苦い経験から、男同士のドライな恋愛関係を好み、普段はノンケに手を出さない榊だが、仕事の取引先でタイプの男・岡田が現れ…。しかし榊のタイプわかりやす!『シグナル』では村上君にアタックしてましたしね!榊は職場とか親しい人にはカミングアウトしてるみたいです。ゲイのパートナー(セフレ?)も普通に職場に遊びに来ます。でも本気の相手には、軽蔑されるのが怖くてカミングアウトできない。ノンケの岡田の事も好みなだけで本気になるはずないと油断していたが、だんだんと学生時代の強く揺れる嵐のような感情が高まってくる榊。この気持ちはいつか静まる。そう信じて嵐をやり過ごそうとしていたが……ゲイがノンケに恋をすると、こんな風になってしまうのね。臆病で前が見えない。とんだヘタレ眼鏡です(笑) 学生時代の感情がよく出てくるのですが、榊がここまで田町に本気だったとは知らなかった。『シグナル』では割と嫌なキャラで鬼畜っぽかったんで、こんな切ない想いを抱えていたとはびっくりです。岡田はノンケですが、無自覚に思わせぶりな態度をとって、榊の感情をかき乱す。榊がカミングアウトして決裂した時、ピリピリと伝わってくる二人の緊迫感は凄まじかった――こっちまで緊張してしまいました。間のとり方というか、空気や雰囲気の表現が本当に上手い作家さんです。リアルな話と作りこまれたキャラ、綺麗な絵柄で多くのファンを持つ日高先生の描く、ゲイとノンケの切ない恋が胸に迫る、嵐のような大人の純愛の行方をそっと見守ってください。
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    投稿日:2011年04月15日
  • 最近、64巻収録の「2万5千年の荒野」という原発事故に絡んだストーリーが注目されているそうです。この話、確かにいまの日本の緊迫感を重ねてしまっても不思議ではありません。やっぱり実体験に近いということは強いですね。で、私にはほかに同じような意味で妙に思い入れのある話があります。それは90巻の「F1サーカス」というエピソード。舞台は90年鈴鹿。そう、セナとプロストが1コーナーで絡みクラッシュ、鈴木亜久里が日本人で初めて表彰台に上ったレースです。ホンダ(劇中ではサワダ)排除の動きを止めるため、澤田社長がゴルゴに依頼したのはポイントトップであり自社ドライバー・セナ(劇中ではレネ)のマシンの狙撃。ゴルゴは思慮の末、1コーナーでマシンのアップライト部のボルトを撃ち抜く――。どこか遠い世界の話ではなく、リアルに体験した事実の裏にゴルゴが、というのが印象的でした。狙撃ラインを考えるお楽しみもありましたし(見つかりませんでしたが…)。裏側ではこんなこともありそう、という雰囲気が漂っていて、当時のF1を感じさせてくれるのも良いです。(2011/4/15)
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    投稿日:2011年04月15日
  • サラリーマンにとって通勤時に座れるかどうか、それはちょっとしたヨロコビの境い目かもしれません。『流星課長』(しりあがり寿)に登場する流星課長は、電車の座席に座ることに対して達人技を繰り出し、命がけで自分の座席を確保します。その俊敏な動きは忍者やSFの加速装置をほうふつさせる、まさに人間離れしたお笑い超美技なのです。ロシアの金メダル級体操選手やロボット、そしてなぜか総理大臣を相手にしても、一歩も引くことなく座席を確保しようとします。流星課長は、くたびれたサラリーマンの希望の星なのかもしれません!? ぜひ、通勤の車内でご覧になって、疲れを癒してください。
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    投稿日:2011年04月12日
  • 就職活動の実態をリアルに描いた珍しい漫画。就職指導の名人といわれる、大学就職課の野々山を主人公に、様々な学生たちの奮闘や成長していく姿が描かれています。企業でも学生でもない、第三者である野々山の言葉が心に刺さります。いま活動中の学生さんも、一度読んでみられては。
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    投稿日:2011年04月12日