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  • 漫画家が自らを主人公として描く「漫画家マンガ」のご紹介です。またもや、ですが面白いから仕方がありません。今回の『僕の小規模な生活』(福光しげゆき)が他の漫画家マンガと決定的に違うのは、高名な漫画家による過去を振り返った自伝的内容ではないことです。「モーニング」への掲載時に行われた編集者と漫画家と細々としたやりとりと漫画家の日常生活そのものが余すところなく描かれています。そもそも、この作品が「モーニング」で始まるてん末が波乱含みです。他誌とバッティングするような形で作品掲載を引き受けることになり、大モメする件は読んでいる方もちょっとドキドキしてしまいます。繊細というか、やや優柔不断気味な「僕」の慌てっぷりがリアルに伝わってくるからです。そして、忘れてならないのは「妻」の存在です。ちょっと、ずんぐりむっくりに描かれた「妻」の可愛らしいキャラクターぶりに惹かれるファンの存在も作品の支えのようです。「僕」は「小規模」といいますが、この本には間違いなくドラマが存在するようです。そもそも、何をやってもうまくいくサクセスストーリーなんて、ドラマとしては成立しないですからね。(2011/11/15)
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    投稿日:2011年11月15日
  • 今だから話せますが、数年前にこの作品がドラマされたとき、黒田硫黄という漫画家の存在を知りませんでした。当時の私はテレビ誌の記者をしており、ドラマの企画書をパラパラと見ていたら、漫画の切り抜きがいくつか貼ってあって。「絵のうまいプロデューサーもいるもんだなあ」と思っていたという…、そんなことがありました。なんでそう思ったかというと、決め台詞に芝居がかったカッコよさがあって、絵も動きを意識した絵コンテのように見えたからなんですね。そんなことを思い出しながら読み返しましたが、そのときに感じたことはまったく的外れではなかったようです。主人公は「スパイか占い師になりたい」という14歳の少女。頭脳は明晰、行動力もあり、数々の事件に首を突っ込んでくるくると動き回るのがとにかく小気味良い。ごちゃっとした構成、絵柄も魅せるときは魅せてくれて、謎の老人と初めて出会う、テーブルひとつ間に挟んだ会話シーンなんて、映画のシーンみたいでため息がでるほど。ただロボは漫画ではダメ男すぎ。なんでドラマでは松山ケンイチだったのか、とても不思議。(2011/11/11)
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    投稿日:2011年11月11日
  • 2008年4月に講談社学術文庫として刊行された『イザベラ・バードの日本紀行』(上・下)が電子書籍化され、先頃リリースされました。イザベラ・バードは1831年生まれのイギリス人紀行作家で、「ヴィクトリアン・レディ・トラヴェラー」(女性旅行家)として、世界中を旅してまわりました。そのイザベラ・バードが1878年(明治11年)に西洋人女性として初めて東北から蝦夷(北海道)を歩き、3か月間、のべ1400マイル(2240キロメートル)の旅を、イギリスに暮らす妹宛の手紙という形で綴った記録です。書名は『Unbeaten Tracks in Japan』で、初版は1880年ですが、じつは1885年に出版された普及版の翻訳本が『日本奥地紀行』のタイトルで平凡社の東洋文庫に入っていて、その電子書籍版がイーブックジャパンでもすでに販売されています。ただ、この普及版は日本全土に及んだイザベラ・ハードの旅のうち、東北・蝦夷(北海道)に絞ったもので、それ以外の京都・奈良・大阪の旅は収録されていませんでした。その点、講談社学術文庫版では、関西圏を含む彼女の日本紀行のすべてが完本から訳出され上下2巻に収められています。彼女が旅した明治初期の日本は西洋人にとってはどんな位置にあったのか。イザベラ・バードの興味深い叙述があります。上巻から引用してみます。〈船で米国から一六日、英国からは四二日、香港からは四日かかる日本はカムチャッカからわずか二〇マイル[約三二キロ]の位置にあり、アジア大陸にある朝鮮からは木造帆船で一日かければ着く。日本帝国は三八〇〇の島々でなるといわれ、北緯二四度から五〇度四〇分、東経一二四度から一五六度三八分に位置する。つまり最北端は英国南西端にあるランズエンド岬より少し南で、最南端はアフリカ、ナイル川上流のヌビア地方よりやや北に当たる。緯度で二六度分を上まわってまたがっており、北回帰線から三〇マイル内まで伸びているので、屋久島ではほぼ常夏の気候を楽しみ、蝦夷の北部ではシベリアなみの冬の酷寒に震えることになる〉アメリカから16日間の船の旅というのは意外に近いという感じがしないでもありませんが、イギリスから42日と聞けば、やはり遠い辺境の地であることは間違いありません。その辺境の地の、さらにUnbeaten Tracks(人跡未踏の道)へと彼女をかりたてたものは何か。未踏の地への旅支度は思いの外簡単なものだったようです。荷物の重量は約50キロ。一人ついた従者の荷物が約40キロ。柳行李(やなぎこうり)二個は紙で内張りがしてあって防水カバーの役割をはたしたそうです。折り畳み椅子(日本家屋は床しか座るところがなく、寄りかかれる壁もない)、ゴム製浴槽、軽い棒にキャンバス地を張った折り畳み式ベッド(わずか2分で組み立てられた)などが必携アイテムでした。食料についても――〈私が買ったのはリービッヒ製肉エキス少々、レーズン四ポンド[約一・八キロ]、食べるのと飲むのにチョコレート少々、必要時に備えてブランディ少々、それだけです〉食生活も違えば文化も異なる異境の、人跡未踏の地に踏み入ろうという女性作家の旅支度とはとうてい思えないほど簡単なもので驚きます。さて、辺境の地でイザベラ・バードは何に触れ、何を目撃したのか。明治期の日本を知るうえで貴重な文献として研究者の間でも高い評価を得ている名作です。(2011/11/11)
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    投稿日:2011年11月11日
  • 昔お隣に住んでいた幼馴染で今は高校の先生・若菜さん×女の子に間違われる程可愛い高校生・隆の初恋物語「一途なの」シリーズと、一見遊び人風のゲイのサラリーマン・熊木×片思い中のノンケのデザイナー・尚人さんのラブコメディ「ままごとキッチン」シリーズの2本を収録した大満足の一冊です!! まず、「一途なの」。門地かおりさんといえば、基本的に芋系平凡受けと超絶可愛い美形受けの2種に分かれると私の中で勝手に認識していますが、「一途なの」の受けは、後者の超絶可愛い美形受け。しかも年齢差があるので若干ショタコン?入っちゃってます。子供の頃、隣に住んでいたお兄さん(若菜さん)に恋をしていた隆は、入学した高校で偶然、教師になっていた若菜さんと再会。隆は今でも若菜さんが大好き。でも若菜さんはある理由から、隆への想いを封印して……。門地先生の、ちょっぴりシリアスなピュアラブ★これはくっつくまでがすっごい切ないんですよ~~隆が本当に一途で…感極まって泣いちゃうところがもう可愛いのなんのって!!そして若菜さん。「喪失感がたまらない…もう嫌なんだ、たまらない……」と縋りついて拒絶する若菜さんを隆が後ろからギュッと抱きしめて「もう、俺……自分で考えて選べて決められる年なんだよ――…」というシーンが一番の見せ場ですが、ここがもう切なくて胸が詰まります…門地さんはキャラクターの表情や仕草で感情を表現するのが本当にお上手です。雰囲気作りがとてもうまくて、ドキドキ感がたまらないです!そして、その後素直になった若菜さんのタガの外れ様と言ったら…ただのツンデレのヘタレだったんだなとw隆が意外と男っぽい性格で、実は隆に一途なのは若菜さんなのでした^^そして「ままごとキッチン」。受けは実は隆のお兄さんで、タイプは2種のどちらでもなく、というか微妙にリバ?最後までの表現がないので不明ですが、見た目はどちらも攻めって感じです。これはいつもの残念なイケメンが主役。イケメンなのに、ヘタレのゲイです。そして隆のお兄さんが実は乙女で可愛い!コメディっぽくて楽しく読めます。合体の話はもうおかしくって笑っちゃいましたw1粒で2つの味が楽しめる作品、超オススメです!
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    投稿日:2011年11月11日
  • 南洋の孤島・唄美島で、ある時、ただ一人の小学生が転校し島を出ていくことになった。村の唯一の公的機関である「学校」がなくなると、廃村も危ぶまれる状況になってしまう。島の存続のため、洋平は東京で暮らす甥の光を、島に連れて来ようとするのだが──。森口豁氏のルポルタージュ『子乞い』を原案として描かれた作品です。やがて島の小学校に入学した光の健気な姿に心を打たれます。洋平は、故郷を守りたいという思いと、光の人生を犠牲にしているのではないかという思いの痛切な葛藤にさいなまれ、光少年もまた、島がどんどん好きになり、一方では、やはり親に会いたい気持ちの板挟みになり……。「もっと島が東京に近ければいいのに!」と無茶なことを何回思ったことでしょうか。また、本作では、村の問題と並行して、登校拒否になり、島の小学校へ転校してくる子供たちの物語が描かれていきます。深刻な過疎化を抱える島の大人たちと同様に、自らの力では乗り越えがたい困難な状況に向き合い、戦い続ける姿です。その描写は迫真です。学校にいかなくなった理由は千差万別で、子供たちの心情が、読むのが苦しいほどに痛々しいまでに描かれます。問題児というレッテルを貼られてしまった子供たち。型にはまることができない個性が周囲との行き違いをうんでしまったり、愛情は持っていても、それを向ける方向が少しずれている親との関係をどう保てばよいのか分からなかったり。どちらかが「悪」ということはなく、それがまた辛く歯がゆい現実であることを突き付けられます。しかしながら、なにか事が起これば、イニシアティブは、常に大人の側のものであることに変わりなく、「問題児」という言葉は一方向からしか見ていない決めつけであって、危ういものだとあらためて思いました。考えさせられることの多い作品です。ぜひご一読ください!(2011/11/8)
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    投稿日:2011年11月08日
  • 今回ご紹介する『失格人参上』(原作:小池一夫 作画:西村つや子)の表紙の絵を見て、「おやっ!?」と感づかれた方は、かなりの劇画ファンです。小池一夫と小島剛夕のゴールデンコンビの代表作『子連れ狼』や『乾いて候』の絵のタッチとそっくりだからです。実はそれもそのはず、作画の西村つや子は小島剛夕のチーフアシスタントとして小島作品を長く支え続けてきたマンガ家なのです。かつて、マンガとは全く違う職に就いていた若き日の西村が、小島のアシスタント募集の告知を目にして、応募したのがこの世界に入るきっかけだったそうです。それまでは、マンガを描いたことが全くなかったそうですから、西村の天賦の才もさることながら、小島の才能を見抜く眼力はやはり巨匠ならではのものなのでしょう。さて、『失格人参上』に登場する主人公は「世捨て人」になろうとしながらも、四つの「四捨て」である最後のひとつが捨て切れない、失格人です。「四捨て」のうち三つは「家」と「名前」と「金」なのですが、捨て切れなかった最後のひとつが何であるかは、本書を読む楽しみを奪うので明かしません。世の中からこぼれ落ちてしまいそうな男と女の哀しい物語を描く西村のタッチが絶品なのです。
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    投稿日:2011年11月08日
  • いや~、この発想はないです。主人公は手ですよ、手。解説にはおばけなんて書いてありますが、そんなオバQ的なかわいらしさはまるでなくて、ひたすら不気味。これで酒は飲むはおねしょはするはでシュールという次元も突き抜けてしまっています。元ネタはおそらく「アダムス・ファミリー」か、とは思いますが、後の漫画につながっているかというと…、まさか『寄生獣』!?なんてことはないですよね。日本漫画界において唯一無二の存在なのではないでしょうか。お話はいたってほのぼのしたホームコメディ。なぜか浜辺に埋まっていたところを、潮干狩りにきていたキヨシに掘り出されて、そのまま居候することになった手っちゃん。一見するとペットのようですが、いたずらはする、恋もする、歯も抜け変わるし、エリートサラリーマンにもなって、最後は子供まで…。書いていてもよくわからないんですが、やんちゃな少年の成長記という印象で心が温まります。それにしても手っちゃんに目がある、というくだりは絶句もの。あ、これなら『寄生獣』につながるか?(2011/11/4)
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    投稿日:2011年11月04日
  • 「日本の機械工業は諸外国に全部負けているけれども、自分はオートバイの製造を天職と思い、こればかりは諸外国に劣らぬ絶対に美しい姿で実現したい。必ず実現したいと思っている」――第2次世界大戦後の焼け跡が残る1948年(昭和23年)9月、「本田技研工業株式会社」が設立されました。それから4年が経過した1952年に本田宗一郎が書いた一文です。奇しくもホンダ設立の翌月に生まれホンダと同い歳だという作家の戸井十月さんは、本書『Honda DESIGN Motorcycle Part1 1957~1984』巻頭に「兵(つわもの)たちの武勇伝」と題する文章を寄せて、本田宗一郎の“美しさ”へのこだわりをこう指摘しています。〈ただオートバイをつくるというのではない。「諸外国に劣らぬ絶対に美しい姿で実現したい」というのだ。いまから57年前にこういうことを書くのが本田宗一郎という人だった。敗戦後の焼け野原にようやく草が生え始めて7年、日本国憲法が施行されて、まだ5年の時である〉本田宗一郎の一文はこう締めくくられているそうです。「この意味から、現代の卓越した技術者は、優れた技術者であると同時に秀でた芸術家でなければならない。科学者の知恵と芸術家の感覚とをあわせ持たなければならない」戸井十月さんが続けます。〈これらの短いフレーズの中に、誕生から現在にまで至るホンダの挑戦と探求の精神(スピリット)、さらには、技術を裸のままでは放り出すことはしないという矜持(プライド)が凝縮されている。そう、美しくなければ、カッコよくなければホンダではないのである。技術と美は分けられるものではなく、科学者の知恵と芸術家の感覚を併せ持たなければ良いモノをつくることはできないと本田宗一郎は信じていたし、その点についてブレることは一切なかった〉このような精神(スピリット)と矜持(プライド)から生まれた、数々の美しい形(フォルム)のことをHONDA DESIGNと呼んで、その原点となったデザイン画を集積・編纂したのが本書です。「1958ホンダスーパーカブC100」「1967ホンダモンキー」に始まり、「1984ホンダNS250R/F」に至るホンダフォルムの粋が連なる本書は文字通り、「美しくなければ本じゃない」を実践したこだわりの編集力とそれを忠実に再現した画像フォーマットによる電子書籍化の成果といっていいでしょう。アップル創始者スティーブ・ジョブスの評伝『スティーブ・ジョブス』(上下2巻、講談社刊)が発売から1週間足らずで85万部を突破して2011年出版界最大の話題となっています。イーブックジャパンでも今日11月4日に第1巻が発売されました。10月6日に死去した直後の世界同時発売ということもあって関心を集めているのでしょうが、多くの読者を魅了してやまない、この創造型経営者のモノづくりの思想は、実は本田宗一郎が半世紀前に考え、実践したモノづくり――精神(スピリット)と矜持(プライド)に重なります。本田宗一郎とスティーブ・ジョブス――両者の“美しさ”に対する徹底した姿勢、妥協しないスピリットとプライドは見事なまでに重なります。そう、時代を超えて共鳴しているかのようです。(2011/11/4)
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    投稿日:2011年11月04日
  • 2011年世界体操で内村航平選手が見事個人総合金メダルを獲得しましたね!史上初の3連覇ということで世間を大いに沸かせました。そういえばebookにも体操漫画があったな~と真っ先に思い浮かんだのが『ガンバ! Fly high』。考えることは皆同じのようで、世界体操が開催されていた時期からebookでもこの作品が上位にランクインしていました。といっても私が思い出したのは原作ではなく、子供の頃にアニメで見た『ガンバリスト!駿』。原作とタイトルが違うのですね。妙に懐かしくなり、これを機に原作を一から読んでみよう!と全34巻を昨日読み終わったところです。主人公・藤巻駿の体操人生は、中学入学時、逆上がりもできない運動音痴の身でありながら「オリンピックで金メダルをとりたい」と県最弱の平成学園体操部に飛び込んだところからスタートしました。逆上がりもできないのにいきなり金メダル?と、三馬鹿トリオの先輩たち、内田、真田、東をはじめ周囲の人間は失笑しますが、非凡な才能の持ち主の駿は、三馬鹿トリオをあっという間に追いこし、自分の夢に向けてどんどん階段を駆け上っていきます。駿は体操の才能だけでなく、自分がガンバることで周りの人々に勇気と希望を与える才能も持ち合わせています。どんなスポーツでもそうですが、選手が自分と向き合い、ひたむきにガンバる姿は人々に感動をもたらします。そんな駿に感化された内田と真田。てっきりこの2人は、言葉は悪いですが駿が成長していくための踏み台的存在かと思ってましたが、それは全く違います!彼らが成長していくために天才の駿がいました。天才とは、1%の才能と99%の努力といいますが、この1%というのがとてつもなく大きく越えられない壁で、1%の才能を持たない内田や真田が、駿に対して強く対抗意識を持ち、天才の背中を見ながら追いつこうと一生懸命努力し、がむしゃらにガンバっている姿には心を打たれます。天才だけでなく、こうした普通の人間にもスポットライトを当てたところが読者の共感を呼び、一大ブームを巻き起こした秘訣なのかもしれません。
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    投稿日:2011年11月04日
  • \よう/ 一大ムーヴメントを巻き起こしつつある『ひらめきはつめちゃん』。eBook版もついに登場 \バーン/ 発明家の平目木親子と「はこ」がおりなすシュール&キュートなハートフル4コマ。天才小学生、はつめちゃんが作った『はこ』は『ネジ』を差し込むことで、おっきくなったり爆発したり、色んなことが起こっちゃう! \わくわく/ この面白さ、ほんとにやばい! \やべえ/  (2011/11/1)
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    投稿日:2011年11月01日
  • “3.11”の日付以降、どれだけ多くの人がふだんの生活を奪われてしまったことでしょう。『3.11東日本大震災 君と見た風景』は、被災地・宮城県在住の著者・平井寿信と4歳の一人娘、そして震災当時妊娠9ヶ月の妻が体験した、東日本大震災の貴重なルポマンガです。このマンガには、大震災の発生現場と直後に被災者が見たこと感じたことがつぶさに描かれています。震災直後には、著者の実家に一時避難し大勢の親族と暮らした著者ですが、ここで著者の兄の行動には驚かされました。「町の知り合いのところ回って 水だの米だの置いてくる」と車ででかけたことです。たまたま、震災直前に生活物資を購入していたこともあったようですが、なかなか真似が出来ないような気がします。また、幼い子供とこれから生まれる命を気遣う著者ならではの「未来」に対しての責任感もヒシヒシと伝わってくるのです。それは、後半の原発事故に触れたページに、あふれる想いとして綴られています。多くの読者が共鳴するのではないでしょうか。貴重な記録と記憶として、未来に残さなければならない書籍です。(2011/11/1)
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    投稿日:2011年11月01日
  • もうすぐ、空気が澄んで星の輝きが美しい季節がやってきます。もし、天体望遠鏡があったなら、オリオン座の星雲や土星のリングを眺めたいですね。『土星マンション』(岩岡ヒサエ)で描かれているのは、地上35、000mで地球をリング状に取り巻く人々の住む建造物が舞台です。人々はそのリング状に作られた人工の都市で一生を終えます。それは、「地球全体が自然保護区となり、降りることが許されなくなったから」なのです。主人公のミツは学校卒業と同時に職に就きますが、その職業はリングの外壁に当たる透明な窓をふくこと。物語は同じ職業であった父親が窓拭き作業中に死んだ“事故”の状況を探ることも軸のひとつとして進みます。面白いと思ったのは、窓拭き作業中に好奇心旺盛にミツが目にする、窓の向こうに暮らす人々の生活です。そこには、遠い未来の高度文明社会でありながら、人々が生々しい感情を持ちながら生きている光景がありました。地球に住めなくなっても、人は人らしい感情を持って生き続ける、ファンタジックな物語です。(2011/11/1)
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    投稿日:2011年11月01日
  • 朝の髭剃りの時に、カミソリの刃がちょっと皮膚を傷つけてしまった。出血。そんな瞬間に、あなたはどんな連想が働きますか。われらが東海林さだおさんの場合は、さすがは漫画家、連想力が鍛えられています。こんな具合です。傷→出血→破傷風菌→入院→収入の途絶(とぜつ)。ここまで一気に迅速かつ、なめらかに連想が拡がっていきます。そしてその次にくるものは貧窮。ここから再び発想の連鎖が始まります。貧窮→借金→親子三人路頭に迷う→一家離散→行き倒れ。“借金”と“親子三人路頭に迷う”の間に生活保護を入れてもいいナ、などと考えている一方で、東海林さんの頭の中では、縦方向の連想力だけでなく、横方向への豊かな空想力も遺憾(いかん)なく発揮されていきます。例えば、”親子三人路頭に迷う”のところでは、アカにまみれたオヤコサンニンが、路頭をうろつく光景アリアリと目に浮かぶ。折しも降りしきる師走の雪。背中で泣き叫ぶ幼児・・・・・・。そして夫に行き倒れられた女房は、一念発起して子供を捨て、夜の蝶になり果てる。凍てついた冬の夜、棄てられた幼児は、空の哺乳ビンしっかり握りしめて、破れ障子の中で息たえる。そのそばには歯形のついたカボチャが一つ・・・・・・。つまりカミソリ傷一筋の発端から破れ障子に歯形つきカボチャにまで、連想は止めどなく発展してしまうというわけですが、鍛えに鍛えた発想力、ここで留まるわけではありません。ちょっとした頭痛が起きれば、たちまち”脳溢血”に連想が及ぶのです。そして連想力の暴走といってもいいくらいの勢いで、脳溢血→体不自由→貧窮→一家離散→親子三人路頭に迷う→女房夜の蝶→歯形つきカボチャまで一気呵成に到達してしまいます。目がちょっと充血したら、たちまち“失明””貧窮“”一家離散“”女房夜の蝶“ときて、最後はやっぱり”歯形つきカボチャ”です。発端はいろいろであっても、行き着く先は一定していて、問題は発端から結末に到達するまでの時間が恐ろしく短縮されてきたこと。コホンと空咳(からせき)ひとつすると、すぐ”歯形つきカボチャ”という具合に中間がなくなって、どうにも悲惨な状況になっている。どうにも息がつまりそうだ。息がつまると、やはりすぐに”心筋梗塞“”カボチャ“となる。これじゃあ、たまらない。だれか助けてください――という東海林さだおさんの哀願で締めくくられているのが、ずばり「助けてください」と題して、本書『ショージ君のニッポン拝見』に収録されている傑作エッセイ。鋭い感性、豊かな連想力、空想力。創作の源となる才能の持ち主の知られざる”葛藤“を垣間見て、やっぱり抱腹絶倒して、楽しんでしまいました。もともとは『漫画読本』『オール読物』の連載企画として書かれた文章です。斯道(しどう)の大家、田中小実昌さんとともに立川に出かけた「ストリップ観劇行」、炭鉱からフラダンスに大転換して3年目のハワイアン・センターを訪ねた「東北のフラ娘たち」、園内での結婚が盛んに行われているという奈良県の養老院を訪ねた「ジジババ結婚地帯をゆく」などなど、29のエッセイはいずれも特異な連想力が発揮されて出色の読み物となっていて、東日本大震災で社会状況が一変した2011年の今読み直してもその内容は決して色褪せてはいません。文春ウェブ文庫ですからiPad読書も可能。おなじみのショージ君のイラストも多数収録、あわせてお楽しみいただけます。(2011/10/28)
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    投稿日:2011年10月28日
  • ああ、足首を首にひっかけてクルって回るプロレス技の…というボケが、タイトルの意図として近いのか遠いのか。解説には史上最大の親子ゲンカ勃発!とありまして、おやおや『グラップラ―刃牙』ですか、とまたしてもボケを入れてしまいますが、これ正確には親娘ゲンカ。不良娘・美矢と政治家の父との凄絶なバトルなのであります。といっても暴れているのは美矢だけなのですが。あらすじをかいつまむと、ちょっとしたコミュニケーション不足で一方的に父を憎むようになった娘の反抗…、と、普遍的テーマの話。悪く言えばありきたり。けれど、こんな一直線に突っ走る漫画って結構好きなんですよね。「ドカッ」とか「ゴゴゴゴ」とか擬音もたっぷり、絵も動きがあってしなやかで展開も早い。また、そんなハデハデしい中、場面に応じて美矢の瞳に演出を入れている細やかさもいいなあ、とも思ったり。つまらないオヤジギャグをかましてしまう、そんなオッサンでも気分が高揚したり感心したりする勢いのある漫画。若さがあって気持ちがいいです。(2011/10/28)
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    投稿日:2011年10月28日
  • くぅ~~~~~これ、やばいです!可愛いです!ツボです!萌えまくって大変でした!!!!クールなイケメンとおバカなカワイコチャンの素直になれずにすれ違う恋愛模様を描いた人気シリーズ!タラシの山口は、石川の知る限りこの1年で12人の女と付き合っている。そんな二人になぜ、体の関係があるかというと…!? さあ、なんででしょうね!?\(^o^)/それは以前、山口が女にふられた直後、石川が酔った勢いで「俺がカラダで慰めてやるよ」と言ってしまったことから始まりました。以来、山口は石川を「失恋した時のなぐさめ係」と認識してしまったのです!そして山口は女にふられまくる→ふられた山口を石川がなぐさめるという関係に。要するにセフレですね。さて、ではなぜイケメンの山口がこんなに女にふられるのか?勘のいい方はお分かりかと思いますが、そう、それはつまり……ふられるのが目的だったわけですね!はい王道!!\(^o^)/そして両想い(?)になった二人は見事なバカップルに!というか山口が甘い!甘すぎるよー!萌えるよー!山口は石川が可愛すぎて他のものが見えていません。盲目です。執着攻めです。変態です。大好きです!!!あの頃のクールなイケメンはもうどこにもいません。どんどんキャラが崩壊していく山口。そして石川は、私のツンデレレーダーが振りきれんばかりに反応するほど意地っ張りなツンデレちゃんで、まるでキャンキャン吠えまくる小型犬みたいでめちゃくちゃ可愛いです!!うん、私やっぱりツンデレ好きなんだわ\(^o^)/恋人になったのを素直に認めずにセフレだと言い張ったり、好きって言わないくせにヤキモチ焼かせたがったり嫉妬したりで、ツンデレのお手本みたいなキャラです!!いや~本当にお腹いっぱいになる王道BLです!さすがです国枝さん!ごちそうさまでした!
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    投稿日:2011年10月28日
  • 何気ない毎日を送っていたある日、突然異世界へ飛ばされてしまった……ときの主人公というのは、普通、特にこれとったとりえのない、内気な少年であることがデフォルトですが、この人は違いました。暴走族のヘッドでした。筋金入りのヤンキーが、剣や魔法のファンタジー世界にいったら、いったいどうなるの!? なんと、強大なドラゴンと素手でバトルです。尋常ならない強さの主人公・山口ですが、あくまで人間ですから、この設定でどこまでいくのか!? 進化しないで、人間を貫いてほしい…! 「ヤンクエ」、すごく注目しています!! (2011/10/25)
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    投稿日:2011年10月25日
  • かつては、正義のシンボルだった検察ですが、残念ながらその権威が落ちているのは、誰の目から見ても明らかのようです。『ざこ検(潮)』の主人公、潮貞志(うしお・ただし)は、「雑魚(ざこ)」のような小さな事件ばかり担当する若い検事の物語。高田靖彦の作品には、情熱をほとばしらせる真っ直ぐな男が時々登場しますが、マルチョウこと潮も持ち前の正義感で、表立っては浮かび上がらない真実を突き詰めようとします。ある事件で、「たかが痴漢って思えばそれで済んじゃうことかもしれないけど。そう思った瞬間、俺自身、終わっちゃう気がすんだよなぁ」というセリフにもあるように、「検察のエース」と言われるような巨悪と対峙するエリート街道とは縁がない生き方をしています。エースといえば、この潮は学生時代からピッチャーをしていたのですが、ある悲劇を通じて検察の道を歩むようになりました。深みのあるサイドストーリーで、自分を戒めることができる人間だから、上っ面だけの正義漢ではないことがよく伝わってきます。時には「俺は自分が検事って仕事に向いている人間なのかどうか…ひとつひとつ確かめていきたいんだ」なんて、弱音というか本音を吐くのも魅力のひとつです。現実の検察にもこういう検事がいるのかな、などと考えさせられました。(2011/10/25)
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    投稿日:2011年10月25日
  • 1975年5月、梶山季之(かじやま・としゆき)は取材中の香港で客死した。45歳、社会派、産業小説では当時、松本清張よりも梶山季之といわれた大流行作家だった。1950年代後半に始まる出版社系週刊誌の創刊ラッシュのなかで、トップ屋と呼ばれて数々のスクープ記事を飛ばしたのが梶山季之で、その経験を土台に産業スパイを題材とする娯楽小説を量産した。『影の凶器』は初版が1964年。10月1日に東海道新幹線が開通し、10日に東京オリンピック開幕――日本経済は高度成長時代に突き進み、昨日より今日、今日より明日が豊かになるという確信を日本人が持ち始めた時代だ。『影の凶器』も「特急〈第一こだま〉は、午前七時に東京駅を発車する。朝早いせいか、あまり混ではいなかった。だが、横浜、熱海、静岡と停車していくたびに、九分通り満員となるのは不思議である。それは〈第一こだま〉がビジネス特急として、重宝がられている証拠かもしれなかった」と書き出されている。社会の新しい潮流を巧みに取り入れながら、梶山は企業社会の裏舞台に登場してきた「産業スパイ」を見事に描き出していきます。発端は極秘開発してきたカラーテレビの青写真を鞄にいれて大阪工場に出張する技術研究所の部長がその重要書類を何者かに盗まれてしまう事件。当日の夜半、役員が揃って対策を協議している場に、謎の男から電話が入る。ライバル会社が盗み出した青写真を取り返して手元にあると告げた男は、社長と1対1で話がしたいと要求。その場所として極秘としていて秘書と運転手しか知らないはずの赤坂の愛人宅を指定してきた。その日の夜、指定通り愛人宅に現れた男を見て、愛人は立ちすくむ。髭は濃く、剃り跡が青々としている。暑いのに、きちんと蝶ネクタイをつけていた。服の仕立てもいい。目はさすがに鋭かったが、どことなく女性的な感じが漂っていて、その濃い剃り痕と、ちぐはぐな感じもした。鼻筋がきれいに通っていて、どことなく素性の正しい人物のような気品があった。唇だけが、朱(あか)かった。男は旧陸軍中将を父に持つ片桐七郎と名乗った。大阪出張の部長の鞄から青写真を盗み取ったのはライバル会社の産業スパイだと説明して片桐が大型の書類袋から取り出したものは、まぎれもなく社の命運をかけたカラーテレビの青写真だった。それにしてもどこで、どうして盗まれ、この男はどうやってそれを奪い返すことが出来たのか、そしてそれをもって今晩ここに来た目的は・・・・・・。社長の不安なまなざしをよそに片桐は産業スパイとして契約をしないかと持ちかける。秘密事項の数々をずばり指摘して、自分の手腕を誇示するその表情は自信に満ちている。それもそのはず、すべては周到な準備を重ねた片桐による策略だったのだ。片桐の狙いは「産業スパイ」として契約すること。彼の工作・策略のキーとなっているのは「女」だ。大阪出張も同行したバーの女から詳細を聞き出していたし、妾宅の内情も事前に情報を入手していた。青写真盗難事件は物語のほんの始まり。「産業スパイ」として契約を取り付けた片桐がどんな仕掛け、策略をめぐらすか、面白いのはそこからです。梶山季之は工作対象の女性秘書との情事の時、さりげなく、フランスの詩人・作家にして映画監督ジャン・コクトーの言葉を忍び込ませています。「暗い方がいい。政治と恋愛は暗闇を好むものだからね」 並の娯楽小説ではありません。(2011/10/21)
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    投稿日:2011年10月21日
  • 「LOVE☆フェスティバル」開催中!! ということで、ピュアなラブがぎっしり詰まったこちらの作品をご紹介☆ 恋愛シュミレーションゲームが趣味の梶ことりは、現実の男の子とはほとんど話したことがなく、男に免疫がない内気な女の子。高校入学前のある日、ゲームの中の男の子キャラに振られてしまったところを、生身の男の子に目撃されてしまう。そして入学した高校で、その男の子・梶雪斗と同じクラスに! さらに自分と同じ名字で席も前後の雪斗は、やたらとことりに突っかかってきて!? 男の子との接し方が分からず、些細なことでドギマギして戸惑ってしまうウブなことりと、遊び慣れてる風の元ヤンと噂の雪斗。真剣なのかふざけてるのかわからない雪斗に振り回されっぱなしのことりですが、少しずつ会話もできるようになり、だんだんと距離が近づいていく…正反対な二人が織りなす純粋なラブストーリー。青春時代の甘酸っぱい恋愛、いいですね(*´ω`*)心が洗われるようです。これは意外と展開が早く、2巻では両想いになり、お付き合いがスタートします。冒頭の「恋をして知った、自分のズルさと欲の深さ」というキャッチから察するに、恋人になってからの話がメインなのかと思います。ことりにとって初めての経験。ゲームや想像とは違う、制御不能な想いを胸に、未知の世界へと踏み出したことり。雪斗も女慣れしてるのかと思えば、意外とヘタレだったりしてギャップがいいですねw 宮坂先生は絵がとても綺麗で、女の子もキラキラしててとっても可愛いのですが、特に先生の描く男の子は華があり、色っぽくて素敵です!! ことりと中学時代に何かあったらしい雪斗の親友の登場や、謎の美少女の出現でますます広がりを見せる王道青春ラブストーリー! ことりと雪斗の進展が気になるところです☆
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    投稿日:2011年10月21日
  • 表紙を見て何が描いてあるのかさっぱりわかりませんでした。さらにページをめくって数ページ読んでも何が何やらわからない。こりゃとんだ一杯食わせもんか、と思っていたら…、さすがマンガ大賞ノミネート作だけのことはあります。ストーリーが進む中での静から動、動から静への転換があまりにも劇的で息を飲んでしまいましたよ。失業中の佑河樹里と父・貴文と兄・翼、そしてじいさん。序盤はこの家族のちょっといや~な日常でスタート。そこに甥・真が加わり、ある事件が起こります。そして佑河家に代々伝わる術の使い手であるじいさんは、その危機から脱すため力を使うのですが、ここでの間のタメが実に見事。一瞬何が起こったのかよくわからない、とはまさにこのこと。そして表紙に描かれていた異形の存在・管理人の出現。このあたり、人がたくさん出てきてよくわからなくなってきた場面でしたが、そこにピシッと楔を入れられた感じ。止まった時の中が舞台だけに、このメリハリのつけ方は効いたなあ。これで序盤(現時点)ですからね。今後もまだまだ目を釘付けにしてくれそうです。(2011/10/28)
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    投稿日:2011年10月21日
  • 愛する子どもが、もし、血のつながらない他人の子だと分かったら? そして、本当の親から「返せ」と言われたら……? 子どもが生まれて間もなく夫を亡くしたゆう子。残された子どもの笑顔が救いだった。やがて息子の翔太が、小学生になったばかりのある日のこと、突然、訪ねてきた弁護士に、翔太は病院で取り違えられた他人の子なのだと知らされる。そして、翔太の実の親もまた、辛い過去を抱えていることを知ったゆう子。どっちが子どもにとってよいことなのか? 苦しみの末に、ゆう子がたどり着く答えは…!? 表題作「空への約束」に涙ボロボロです。。。親子の絆に胸が熱くなる珠玉の作品。「あなただったらどうする?」という問いを突き付けられるようで、ほんとうに切なくなります。(2011/10/18)
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    投稿日:2011年10月18日
  • ちょっと耳慣れない言葉ですが、「サキュバス」は女の悪魔の一種で、男性が睡眠しているときに、淫猥な夢で現れ男性を誘って精を奪い尽くすのだそうです。厄介なのが、自分の好みの女性像で現れるため、誘惑を断ち切れないということです。禁断の快楽、といったところでしょうか。作者の岡崎つぐおは『ジャスティ』『ただいま授業中!』など多くの著書で、魅力的なヒロインを登場させました。『サキュバスⅠ』には、磨かれた妖艶の美を放つ「夢魔」が描かれていて、思わず息を飲み込んでしまうほどです。こんな女性が本当に現れたら……うーん、くわばらくわばらです。実は、うれしいお話があります。今後、岡崎先生に『サキュバス』の新作をwebマガジンKATANAで連載で発表していただけます!! 話数がたまりましたら、もちろん電子書籍にもなりますので、こちらもお楽しみに!! (2011/10/18)
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    投稿日:2011年10月18日
  • 発展著しい中国。少し前にこの国を訪れたことがある人なら、あまりの変貌ぶりに目を見張るかもしれません。森優子の『旅くらげ ゆらゆら』には1980年代後半に中国を訪れたときのルポが描かれていて、当時流行ったバックパッカーにはとても懐かしく、中国を旅したことがない人をも惹きつけるネタが満載です。例えば、日本と中国を結ぶフェリー『鑑真号』のお話。当時は航空運賃が高嶺の花で、お金のない若者が海外に行こうとする場合に目をつけるのが、この格安の船旅です。どんな船旅なのかは、本書をご覧いただくとして、思わず声を出して笑ってしまったのが、上海で見かけたTシャツの話です。かつて、私も実際に上海でこのTシャツを着て歩いていたおじさんを見かけましたが、目にした瞬間に思考回路が一瞬停止しました。Tシャツには、日本語のある文字がプリントされていたのですが、興味がありましたらやはり本書をご覧ください。でも、日本を訪れる欧米人からも、同様に思われているのかもしれませんね。いろんな意味で、ガイドブックも兼ねた楽しい本なのです。(2011/10/18)
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    投稿日:2011年10月18日
  • 10月9日、北京の人民大会堂で辛亥革命100周年の記念式典が開かれ、「死亡説」が流れていた江沢民前国家主席が出席して健在ぶりを示したことが大きな話題となっています。古代から続いてきた中国の王朝制に終止符をうち共和制への移行を実現した辛亥革命から100年――いまや中国は世界経済のプレイヤーとして極めて重要な立場にあることは言うまでもありません。現代中国が王朝制から共和制へと移行した重要な出来事が辛亥革命です。この革命を主導した孫文は日本とも関係の深いリーダーでした。現在、日本では遠い歴史上の出来事として関心が薄れてきているようですが、現代中国を理解するうえで極めて重要な出来事であり、人物です。その辛亥革命の時代に中国にあって事態の進行をつぶさに見聞きしたフランス人社会学者が一冊の見聞記を遺しました。『辛亥革命見聞記』(東洋文庫所収)です。当時アジアにおけるフランスの拠点となっていたインドシナに接する雲南省から中国に入り、2年間にわたって東奔西走。中国における共和制への移行過程、中国革命の真相を一歩一歩、追っていった労作です。著者ファルジュネルは中国革命の始まりをこう書いています。〈それから一〇日後、恐るべき爆発がロシア租界をゆり動かす。秘密工場で製造されていた爆弾が、不手際のために爆発したのである。この際に、闘争にそなえていた革命派の巣窟が発見される。総督は二人の革命派の首を斬らせ、その首を持って町を歩かせる。疑わしい多数の兵士もまた逮捕され、将校たちの切願にもかかわらず斬首される。しかし、これらの厳しい手段は、死刑にされた人々の同志である兵士たちをおびえさせはしない。反対に、彼らは立ち上がり、町のすべての満州人を虐殺する。武昌は彼らの手中に落ちる。この日、一九一一年一〇月一〇日、大革命がはじまったのである〉武昌は現在の湖北省武漢。「革命」は銃口から生まれる――毛沢東の言葉を彷彿とさせる光景です。この町でおきた蜂起が上海その他に次々と拡がっていきます。そして清王朝は崩壊に向かい、ついにはアメリカから上海に帰着した孫文を臨時大総統とする中華民国が成立。古代から25の王朝が君臨してきた中国の国家体制が共和制へと歴史的な大転換をとげていきます。ファルジュネルは自国の国会議員の求めに応じてこの歴史的大転換の真相を報告しますが、その叙述内容を元にまとめられたのが本書です。日本とも関係の深い孫文(孫逸仙)が果たした歴史的役割とは何か。犬養毅ら孫文と深く関わった日本の政治家たちは何を考えていたのか。そして中国大陸への野望を抱いた日本の軍部はどう立ち回ったのか。フランス、ヨーロッパ列強は日本をどう見ていたのか。アジア現代史の謎を解く、多くの視点や事実がこの本には盛り込まれています。世界、とりわけアジアにおける現代中国のプレゼンスを考えると、この本の今日的価値ははかりしれません。その意味で辛亥革命に関する日本人の関心の低さは気になります。訳者たちがこの本の翻訳を思い立った理由もそこにあります。あとがきに訳者が書いています。二人でテレビを見ていた時のことだそうです。〈いちおう名の知られている解説者が、話の途中で「シンイ革命」と言った。私たち二人は、あっけに取られて言葉もなく顔を見合わせたものである。(中略)なるほど、辛亥革命の亥は、十二支の最後のイであり、イの刻だのイ年だのとは、よく言われている。しかしシンイ革命とは!いっそのこと、カライ革命と言ったらどうだ!〉(2011/10/14)
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    投稿日:2011年10月14日