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  • 2011年6月2日、結局は否決でけりがつけられた「菅内閣不信任案」をめぐる永田町の騒動――成熟した市民社会における「政治闘争」とはかけ離れた「我欲」むき出しの醜悪さに、愛想がつきたという想いを多くの人が持ったのではないでしょうか。もともと、政治屋がやることはこんなものと達観している人も少なくなかったのかもしれません。そんな「選良」たちの言動を見ていて、今なぜ「ブッダ」がブームになっているのか、の理由がそこにあるのではないか、そんな思いがしてきました。手塚治虫の漫画を原作とするアニメ映画「手塚治虫のブッダ-赤い砂漠よ!美しく-」がヒットし、映画公開に先駆けて4月26日に東京国立博物館で始まった「手塚治虫のブッダ展」も多くの人を集めているそうです。イーブックジャパンでも4月頃から手塚治虫『ブッダ』(全14巻)が売上げを大きく伸ばしています。ブッダの何が日本人の心をとらえているのでしょうか。今回紹介する『ブッダの人と思想』は、インド哲学、仏教思想研究の第一人者であった中村元(東京大学名誉教授)が死の1年前に残した貴重な著作。とっつきにくい学術書とは違って、最高レベルのブッダ論がなじみやすい口語体で展開されていることが特筆すべき点です。中村教授によれば、ブッダの教説の根本は「自らその意(こころ)を浄める」清浄行にあります。清浄行とは、人間存在に深く巣くう無明煩悩の浄化です。ブッダはこの我執、妄執の克服を繰り返し繰り返し説きました。これこそがあらゆる仏道の根本で、言い換えればブッダは「我有り」の自己から「我無し」の自己への転換を説き続けたのです。今日私たちの文明は、「我有り」の欲望充足を基本とした文明です。この消費を基本とした生活様式は、必ずや資源の無駄遣い、環境破壊、動植物の乱獲、海洋や大気汚染などへ突っ走る危険をはらんでいます。利益と権力のあくなき追求は、人種差別を生み、さらに宗教のエゴイズムと結びついて、内乱や戦争に発展していきます。こうした暴走を止めるには、私たちの価値観の根本的転換が必要だというわけです。「我有り」の価値観から「我無し」の価値観への転換であり、「我有り」の文明から「我無し」の文明への転換です。ブッダこそは、今私たちが必要とし、そこに再生への可能性を求めようとしている価値観を体現した存在と言っても言い過ぎではありません。一方、菅首相も鳩山前首相も、小沢一郎氏も、永田町のすべてのプレイヤーは「我有り」の自己そのものというべき姿をさらけだしました。その妄執が深ければ深いほど「ブッダ」が灯す一条の光は輝きを増します。私たちが今「ブッダ」に惹かれるのはその意味で自然なことなのではないでしょうか。(2011/6/10)
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    投稿日:2011年06月10日
  • アニメ放送を観たんですけどね。正直、う~ん…、って感じました。だからそのフィルムコミックであるこの作品にも、大きな期待はしてなかったんです。ところが読んでびっくり、同じ素材なのにこれほど受け取り方がかわるものなのか、と。評価は180度変わりました。アニメ版で特に気になったのは声の質や動きの硬さ。それがなくなっているのは当然として、確実に感じたのは専門用語の意味がちゃんと頭に入ってくるということです。やっぱりイノベーションやトップマネジメントなど専門用語の意味は、朗読されるより自分のペースで文字を追った方がはるかに理解しやすいのだな、と痛感しました。で、こっちが理解できると、高校野球というたとえがしっくりくることがよりわかるんですよね。アニメでは説教臭く感じましたが、集団活動であり劇的な展開もあるというところが経済活動にうまく重なりますし、またドラッカーの言葉が見事にはまっている。原作は未読なのですが、人気になった理由がこの一冊でわかった気がします。(2011/6/10)
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    投稿日:2011年06月10日
  • いや~~懐かしいですね!ヽ(;▽;)ノ私が中学生の頃、初めて買った山田ユギ作品です!これ読んで当時発売されていた山田ユギ作品全部集めました(笑)今思えば私のBL人生を大きく変えた記念すべき一冊です。どこで買ったかまで覚えてますよ…今は無き地元の本屋ですが…当時は田舎だったため本屋さんの数も少なく、BLを置いているところも限られていたので、手に入れるのに苦労しました…(´ー`*)シミジミ…。それが今では電子でいつでも買えますもんね(゚∀゚*)!いい時代です(*^ω^*)。さてさて、こちらのお話は田舎に住む幼馴染同士のラブコメディです。のどかな田園地帯で兄弟のように育った泣き虫の新太郎とやんちゃな悟志。高校を卒業し、18歳(彼女いない歴18年)になった新太郎はシイタケ農家を営む祖父母と3人暮らし。ある日、酔ったふりをした悟志に押し倒され、「一緒に東京に行かないか」と誘われる。ところが祖父母の早とちりで、死んだと思っていた母が実は生きて東京にいるという事実を知らされ、あれよあれよという間に単身東京に乗り込むことに…。東京に住む高校時代の先輩を頼り家を訪ねるが、実は先輩はゲイで大学デビューをしていた…!? 天然ボケの新太郎は目まぐるしく起こる出来事に戸惑うばかり…新太郎の明日はどうなる!? コメディタッチで描かれる、笑いあり涙ありのドタバタBLコメディ!登場人物みんなが暖かく、心がほっこりします。どこか切なく、青春の甘酸っぱさを思い出させてくれる一冊。この作品で私の「幼馴染萌え」が新規開拓されましたw 山田ユギが鮮やかに描く不朽の青春ボーイズラブ決定版!等身大の18歳の青年たちが大切なものに気づいていく成長物語。ぜひご賞味あれ!(*^ー゚)v
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    投稿日:2011年06月10日
  • 『茶の涙』。そうです。お茶のマンガです。某ワイン漫画を彷彿とさせますが、こちらもまたマニアックの極みといえましょう。品種・生産から流通まで、たいへん本格的です。お茶というのは、三国志の時代には、庶民は飲むこともできない超高級品だったそうです。劉備は母のためにお茶を手に入れようと何年も必死に働きました(横山光輝『三国志』より)。そんなお茶ですが、現在はあまりに身近でありすぎて、深く考えたことがありません。お茶の葉をトラックで運ぶバイトをしていたことがあるにも関わらず…です! この本で紹介される、茶の奥深さ。「氷出し」など、すぐにでもできそうなお茶の淹れ方も出ていたので挑戦してみるのも面白いかなと思います。ちょっとしたことで、いつものお茶がすごく贅沢なものに変えられるかもしれません。
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    投稿日:2011年06月07日
  • 思わず、表紙を見ただけで買ってしまいたくなる素敵なタイトルの本です。表題作『はれた日は学校をやすんで』を柱とした、西原理恵子の初期短編集です。小学校や中学校を舞台にした作品がほとんどですが、幼少の登場人物の目線で描かれているので、大ヒット作の『毎日かあさん』とはかなり印象が異なります。読み進めていると、 「大人」になって忘れてしまった、子供の頃の気持ちが蘇ってくるようです。大胆で繊細で純粋で残酷で…心の抑制がうまくできなかった、あの頃の想いがです。この本で特に印象に残ったシーンは、『はにゅうの夢』に登場するげんちゃんの家が焼けてしまった時のげんちゃんの表情です。西原作品の持ち味ともいうべきカットではないでしょうか。知らず知らずのうちに、心が浄化させられていく本なのです。(2011.5.29)
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    投稿日:2011年06月07日
  • テロ、機動隊、公安、アジト、大江健三郎…高度経済成長を背景に、若者達が怒りを伴って強烈に主張していた時代がありました。1960年代後半の東京が舞台のこの作品には、主人公のNをはじめとした登場人物の若者達が連続射殺事件や連合赤軍事件、そして三億円事件の当事者として描かれています。その登場人物は、N以外にヨウコ、Tなど、原作者が言う「パブリックイメージ」を巧みに表出させて描かれています。他にも画を見れば、「ああ、あの人か」と思わされる著名人達が少なくありません。私の好きな場面は、映画を撮りたがっているTが、「映画の脚本か犯行計画か」という三億円強奪の筋書きを完成させて、実行するあたりからです。全体を通して、当時を知らない私が読んでも、その時代の空気がひしひしと伝わってきました。日本晴れのような天気よりも、梅雨のような雨がしとしと降り続く日に読んでみたい作品です。(2011.5.29)
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    投稿日:2011年06月07日
  • 「小鳥一羽がそこにいるためには、肉食昆虫が一二万匹、草木が一九五万本必要だという。想像もつかない量である。たかが虫や菜ッパを食って生きている小鳥一羽の命は、それだけの自然に支えられてある。(中略)菜ッパ少々ですますことのできない私たち人間の朝、昼、晩のごちそうを考えたときに、人間ひとりが生きるためにはいったいどれだけの自然を必要とするか、これは思いもつかない」――歌人にして埼玉県妻沼で農業を営んでいた田中佳宏さんは、その著『食う。百姓のエコロジー』で、地球環境についての興味深い知見を紹介しています。食物連鎖の考え方に基づいて行われたアメリカの研究をひいているのですが、小鳥一羽が存在するためには肉食昆虫が一二万匹、草木がなんと一九五万本も必要だというのです。自然の生態系は弱肉強食そのものです。しかし弱肉強食でありながら、誰をも絶対的強者にはしませんでした。そのようなものが現れれば、生きものの世界全体が潰れるからです。そのような生態系のなかにあっては五〇億を超える人間はそもそも生存を許されない存在なのだというのが著者・田中佳宏さんの立脚点です。人間はいったいどんな工夫をしてこれだけの数を持つに至ったか、人間が食うということは、人間以外のほかの生きものと、どこでどうちがってきたのか、そのことで何が起きたか、に思いを巡らせてほしい、というのが本書で著者が訴えている点です。生態系の基にあるのが「土」で、著者は百姓としてその「土」にこだわります。土はすべての生きものの遺体を分解します。遺体ばかりでなく、動物が餌としてとった余り物である排泄物、糞尿をも分解します。この分解によって、土は草木を育てるエネルギーを持ちます。この働きをしているのが、私たちの目には見えませんが、地中の微生物で、ですから地中の微生物こそは地上の生きものの運命を握っているのです。微生物が棲む、もう一つの生きものの世界である「土」は地上で生きるものにとって決定的な存在だというのです。その「土」が原発事故によって脅かされている3.11後の日本。自然界に存在しない放射性物質による汚染は今も止むことなく続いています。本書はその根源的な意味を問い直し、その罪を告発しているように思えます。(2011/6/3)
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    投稿日:2011年06月03日
  • もう30年近くになりますか、映画「時をかける少女」が公開されたのは。主演・原田知世の雰囲気が映画の世界観にピタリとはまっていて、これ以外考えられない組み合わせだなあと、しばらくは思っていました。ところが月日は流れて、内田有紀主演のドラマ版を見たところ、あれ?これもいいじゃないの、ヒロイン像って時代ごとに変わっていいんだ、と認識を改めた次第です。だから、数年前に公開された同じ名を継ぐ実写やアニメ映画に、初代のイメージがなくなってしまっても、変に別物と意識せずに楽しめましたね。で、これらを原作にした漫画は本家も含め3作品あります。3作とも現代が舞台、またはアレンジがなされており、それぞれ良い部分がありますが、完成度の高いのはやはりこの作品。評判になったアニメ版のコミカライズであるものの、こちらも負けず劣らずの出来で、明るく伸びやかな主人公が、新しい時代のヒロインを演じてくれてます。また、巻末にはちょっとしたサービスが。これは初代を見ていないと?なエピローグなので、初代ファンはホロっとしてしまうかもしれませんよ。(2011/6/3)
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    投稿日:2011年06月03日
  • あの有名な『鋼の錬金術師』の作者・荒川弘がおくる、血と汗と笑いの知られざる農家エッセイ・コミック!! 荒川先生はマンガ家になる前は実家の北海道で7年間、農業に従事されていたのですね。この本の存在で初めて知りました!荒川先生の自画像?である牛にはそんな意味があったのですね(笑) この本には、荒川先生の農家での実体験をもとに、年中無休のハードな農業仕事の実態が、ギャグテイストに楽しくわかりやすく描かれています。農業って本当に大変なんだな~と改めて実感しました。酪農と畑作を両方やっている荒川家の過密スケジュールには驚き!休む時間あるの!?ってくらい過酷です。牛の世話や野菜作りに没頭する毎日…本当に肉体労働ですね。農家の方はみんなタフだな~と感心してしまいます!私だったらきっと音を上げてしまう><でも大自然の中で育まれる美味しい牛乳や無農薬野菜を毎日のように贅沢に食べられるのは農家の特権ですね。そこでこのタイトル「百姓貴族」です!野菜なんて買ったことねえ!という農家の方々。野菜の価格が値上がりしているこの時代に羨ましい限りですが、一年中、牛や野菜にへばりついて世話に明け暮れ、やっとの思いで収穫した牛乳や野菜ですから、それだけの苦労の末に得られる対価ですよね。まさに等価交換…!錬金術ですね!?(無理矢理w)そんな農家の方々の汗と涙の結晶である牛乳や野菜を、もっと感謝していただこうと思いました。自分たちの血や肉になるわけですからね。年中無休の畜産の辛さ、行政に左右される不安定さ、日本の食料自給率や農業高校時代のエピソードなどなど、農業の実態を面白おかしく学べてタメになる本なので、ぜひ読んでみてください!!(・ω・)
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    投稿日:2011年06月03日
  • 2年連続で箱根駅伝のスーパースターとなった「山の神」柏原竜二は、福島県いわき市出身です。登りが続く5区で、ダントツの速さでごぼう抜きにするシーンを覚えている方も多いでしょう。箱根駅伝は、いつ見ても感動させられます。『ハイアーグラウンド』は、箱根駅伝を目指す飛龍院学院大学の駅伝部の物語。そもそも駅伝部の成り立ちからして、波乱含みです。箱根駅伝での挫折の借りを返さんばかりに、監督として復帰した小田切は、崩壊寸前の駅伝部の部員集めに奔走します。部員の中には、駅伝どころか長距離走未経験者も少なくありません。しかも、復帰した部員達との間で確執が生じ始めて……。その部員達が一つにまとまり始めて、切磋琢磨していく過程が面白いと感じました。それは、「想い」が込められたタスキを繋ぐ、という駅伝の醍醐味なのかもしれません。続巻のリリースも楽しみです。そして、柏原選手にも活躍してもらって、福島県民を元気づけて欲しいですね。(2011.05.22)
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    投稿日:2011年05月31日
  • 『キリコ』は、目の前を映像が流れていき、音が聞こえてきそうなほどのダイナミックと疾走感を味わえる作品です。弁護士である兄を殺害したキリコを遊佐刑事が、どこまでも追って行くのが本筋です。闘う都度、サイボーグのようにたくましくなっていく遊佐と、華麗な女暗殺者キリコが己の過去の秘密に触れ始めていく描写が見どころです。ライブ感にあふれているので、私はついつい没頭してしまいました。兄が殺されたワケ、キリコが暗殺者として育てられた理由、遊佐刑事のキリコに対する想いの変化や複雑な背後関係等、展開はめまぐるしくスピードアップします。斬新な表現方法にあふれているせいか、多くの血が流れるストーリーなのに、それを感じさせないのが、また素晴らしいです。(2011.05.22)
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    投稿日:2011年05月31日
  • みなさんこんにちは。ドロドロ恋愛ものからほのぼのワンコものまで、多様なジャンルをカバーする「JUDY」にこのごろハマっているシダです。『きっと、ずっと宝物』は、その「JUDY」から、男性にもオススメしたい作品です。主人公の聖子は、浪費・散財がたたって通帳残高ゼロ、しまいには豪華なマンションからぼろアパートに引っ越しを余儀なくされてしまったというかなりダメな女子。貧乏なのが同僚にばれないように涙ぐましい努力(見栄を張る)を続ける彼女でしたが、通い始めた銭湯の番台に、どういうわけか、会社では避け続けてきた恐怖の課長・星野の姿が!? 秘密がばれてしまった聖子だったが、星野もなにやらワケアリな様子。普段は隠している互いの素の部分に触れ、やがて二人の距離は近づいていったりいかなかったり…と、ざっくり・さっぱりなコメディ主体のめちゃめちゃ楽しいラブストーリー。ラストは思わず涙がほろり。聖子も最後にいいトコ見せます! 課長の江戸っ子っぷりにも注目。
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    投稿日:2011年05月31日
  • 5月6日に食道がんで亡くなった団鬼六(だん・おにろく)は、「SM小説の第一人者」として知られ、その特異な世界を描く多くの作品を残した。とくにアウトローの人々を見るまなざしは温かく、本書『外道の女』表題作はやくざの女の生き様に惚れ込んだ団鬼六の傑作の一つです。ある親分の情婦だった女が組の若い衆と駆落ちをした。苦み走ったいい男と二人、逃避先の三浦三崎でアパートを借り、女は三崎で英語教師をしていた団鬼六が顔を出すことがあるバーのやとわれマダムとなった。それから10年以上の時を経て、その女が団鬼六の前に現れる。テキヤの文学青年・井上くんによればやくざの女にしておくのは惜しい、いい女がいるという。手ホンビキの胴師を務めることもあって、藤純子の「緋牡丹博徒」を彷彿させるような情感のある美女で、機会があれば是非会わせたいという。その機会がやってきた。井上くんがやくざの親分の襲名式の招待状を届けに来た。その美女――織江姐さんもその会場に来ると聞いて、団鬼六は招待を受ける気になった。熱海のホテルで行われた襲名式、そしてその後地元の山梨石和温泉に移っての慰労会で親分の女としての存在感を存分に発揮する織江姐さんはどこか、見覚えがある。三浦三崎のバーから突然姿を消した美女・・・・・・いったい10年の間に何があったのか。駆落ちの相手は、ペナルティとして拳銃自殺を強要され、彼女は背面一杯に羽衣天女の刺青を彫られ、仲裁役の老親分に譲り渡され妾になったという。男が自殺させられたと聞いたとき、彼女も自殺を図ろうとして大変だったようだが、背中の刺青が完成すると女として生まれ変わったような面が出てきたという。地元山梨を車で移動しているとき、一寸失礼しますとだけいって彼女は花を持つ若い衆とともに河原に下りていって30分近くも戻らなかった。そこは拳銃自殺の場所で墓参りだったことが、後にわかる。団鬼六は「渡世に生きる女のはかなさ、哀しさといったものが何となく感じられるのだった」と物語を終えています。この作品には団鬼六らしいSMシーンは出てきません。アウトローの世界に生きる魅力的な女の風情、気配りを描き、その陰のはかなさ、哀しさを感じる団鬼六のやさしい視線が作品を貫いています。表題作のほか『神楽坂物語』『楽園』『夜想曲』『SM劇団・紅座』の4篇が収録されていますが、こちらは皆、緊縛あり、剃毛あり、羞恥責めありの濃厚な団鬼六ワールドです。(2011/5/27)
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    投稿日:2011年05月27日
  • 競馬好きにはたまらない、ダービーまでの1週間=ダービー・ウィーク。私もこの時期は仕事が手につかないんですよねえ。で、この文章が公開されるのは金曜日。なので、もう一気に盛り上がっていいと思うのでこの作品を紹介しましょう。これは競馬学校を卒業した主人公が、プロとして歩んでいく過程を描く成長物語。原案はダービー4勝の武豊で、走らせる側の心理描写は説得力あり。でもこの作品の特筆すべき所はそこではありません。異様に高い競馬濃度、そして深い競馬愛があるということが競馬好きの心をくすぐってくれるのです。全編ほぼ競馬のことのみに終始し、余計な日常はそぎ落とされています。主人公親子の団らんやデート場面でも話題は競馬オンリー。描写も渾身の一筆という体で、競走馬はあくまで大きく力強く、コースのラスト100mは本当に長く険しく見える。そんな舞台で研ぎ澄まされるジョッキーのたくましい精神。読めば間違いなく気合いが入ります。競馬を知らない人でも、きっと熱狂するファン心理がわかるのではないでしょうか。(2011/5/27)
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    投稿日:2011年05月27日
  • 「お前を買ってやろう。いくら欲しい?」 ホストクラブ『レオパード』の人気ホスト・絢に、強烈な王様オーラを放つ男・真行寺が声をかけた…そこから始まる24時間で、真行寺が絢に仕込んだのは、花嫁修業に調教系セックス…!!? という、ウエディングシーズンにぴったりの(!?)、フェロモン溢れるラブストーリです。とにかく真行寺の頭がぶっ飛んでる(笑) お偉いさん方が集まるパーティで、どう見ても男の絢にドレスを着せて「私の愛する妻です」とか平気で紹介しちゃう奴ですwあほすぎるwww 一目で絢に恋に落ちてしまった真行寺は、その後も金にモノを言わせて強引に絢に付き纏い、やってることは完全にストーカーの犯罪者ですw 粘着系超俺様御曹司×山猫系銭ゲバ美人ホストの、金とカラダから始まる、セレブでビッチなNo.1ラブセリエ!扇ゆずは先生、久々の超攻×攻という印象がありました!可愛い受もいいけど、カッコイイ攻な受もイイ(*・∇・)b ちなみに2巻は別のCPが主役です。絢と同じホストクラブで働くホスト・燐花(実は高校生)と、その教師・薬師寺のお話です。燐花は19歳にしてセックスに飽き、暇つぶしに出た補習でドーテーっぽいメガネの教師・薬師寺が男とデキているのを知った。からかうつもりで手を出すと、野暮ったいヘタレだと思っていた薬師寺が挑発系俺様暴力受(苦しいw)に豹変し…!? 噛み付くようなキス、乱暴な愛撫…。でも薬師寺は好きな相手(不倫オヤジ)には依存し、丸裸で縋り、一途で純粋な涙を流す…。そんな二面性のある薬師寺が気になって仕方がない燐花は!? オラオラ系高校生ホスト×二重人格依存系枯れ専ゲイ教師の、ケンカとセックスから始まる燐花篇!! こちらは3巻まで続いています~(^^)
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    投稿日:2011年05月27日
  • (;´Д`)ハァハァハァハァ………………ハッ、すみません取り乱しました。カボチャくん(♀)に、まるっと心を持っていかれております(笑) 人の目をクギ付けにしてしまう多彩な表情やしぐさ。猫が見せるいろんな顔が、ありったけ描かれてます。ネコといるとこんなに楽しい。豊かな自然に囲まれて、猫と一緒にのんびり暮らす。なんとも素敵な生活…と思ったら、これって、作者の五十嵐さんの日常を描いたものなんだそうです。実際、北国の冬はたいへんな寒さですけど、マンガだと、雪が降っていてもなぜかあまり冷たく感じないためか、こんな生活いいな~って思いました。カネがあれば移住します。それにしても猫の描写が見事です!! 獲物に集中している目とか、抱っこしたときのぐにゃぐにゃ感とか、実物を見てるかと思うほど生き生きとしていますよ。
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    投稿日:2011年05月24日
  • 「笑う門には福来たる」…素敵なことわざじゃないですか!! 嫌な事ばかりがあったりすると、ついつい暗い顔になったり、眉間にシワが寄ってしまいます。そうすると、ますます「負」を招きかねないですからね。ツライ時にこそ、笑顔で過ごしたいですね。『WARAKADO-笑門- 笑う門には福来たる』の蛸庵和尚(たこあん・おしょう)は、暗い顔が大嫌いな住職。リストラされた会社員や崖っぷち人間の、ため息やグチを聞くと、「心に太陽 持たんかいっ!!」と発破をかけたり、「世の中の人が、みんな笑(わろ)ててみいっ。そら~幸せな世の中になんでェ」「いやな事も、悲しいことも、みんな笑い飛ばすぞォ~ッ」と励ましたりするのです。蛸庵本人がえびす顔に大きな耳たぶをぶらさげでいて、ニコニコ毎日笑っていて、福々しいのです。やや、オーバー過ぎるほど感情表現が濃厚に描かれていますが、このくらいの方がタイトルに負けない勢いを感じられて、私は好きです。よーし、笑顔笑顔で暮らさなくっちゃ!!(2011.5.19)
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    投稿日:2011年05月24日
  • 「奥の細道」ならぬ「大陸の細道」。何とも人を食ったタイトルです。しかし、田山花袋、志賀直哉らの系譜に連なる私小説家・木山捷平は、自身の「戦争体験」を主人公・木川正介を通して見事に書ききったのではないでしょうか。夫人の木山みさをさんは本書あとがきに〈私は彼が生きて帰国出来たうれしさもあって、新京(筆者注=旧満州国首都)の生活が知りたかったので、折にふれてきくと、「難民生活の一年は百年を生きた苦しみに相当する」としかいわなかった〉と述懐しています。敗色濃厚な昭和19年の満州に農地開発公社の広報係として渡った文筆業の中年男のもとに白い召集令状が届けられたのは8月12日。すでにソ連軍は国境を越えて満州に攻め込んでおり、その夜のうちにも新京に届くという状況下です。「赤紙」といわれた召集令状が白かったのは紙が不足していたからとかで、とにかく物資の不足ぶりは限界まできていた様子。〈(召集令状には)必携持参品として「米三合、ビール瓶、凶器」と書いてあった〉主人公の木川正介は、凶器として子供への土産に買っておいた鉛筆削りのナイフをもって入営するのですが、急遽召集されたのは四十を過ぎた老兵ばかりで、彼らに課せられた任務は迫るソ連軍戦車に爆薬を詰め込んだビール瓶を抱いて突っ込む自爆作戦です。実話なのか創作なのか判然としませんが、当時の状況を正確に映していることは間違いありません。自爆テロで世界中を震撼させるイスラム原理主義者は、半世紀前の、わが日本軍の戦車飛込特攻隊に学んだのかもしれません。数時間後に迫る戦争を前に行われた訓練は、まさにパロディです。〈乳母車の発車係の軍服兵は(中略)乳母車をすうッと緩やかに発車させた。乳母車はころころと無心に二本の白線の間をころんだ。と、その時入り口の方から一人の別の軍服兵がまっしぐらにかけて来て、野球のランナーが塁にとび込む時の要領で、バタリと床の上にぶっ倒れた。と思うと、腕に抱えていたフットボールを乳母車めがけて投げつけた。その勢いに乳母車がガタンとひっくり返った。「よーし、成功」と軍曹が叫んだ。それから軍曹は新兵の方に向き直り、「今やったあの要領でやる。(中略)訓練開始――」四十過ぎの老兵たちはしかし、そうそううまくはやれません。訓練の場を離脱しようとした正介を見とがめた士官による制裁をうけながら、正介は何を思うのか。私的状況のディテールにこだわり続けることで「戦争」という大状況を撃つ傑作です。1962年(昭和37年)芸術選奨文部大臣賞受賞。(2011/5/20)
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    投稿日:2011年05月20日
  • タイトルからしてミスリード、ってことなんでしょうか? またこの表紙絵の意味深なこと。何やら低俗な想像をしてしまいますが、実はこの作品、錬りに練られたまっとうなサスペンスなんですね。発端はダム建設中止を掲げた町長候補の事故死。その隠ぺい工作の裏に隠された謎、そして遺された未亡人・桃肢にまとわりつく不穏な視線、やがて明らかになる田舎町の実態、というのがドラマの核になります。海外ドラマの「ツインピークス」や「LOST」を思い浮かべてくれればわかりやすいのではないでしょうか。クマも出てきますしね。じゃあこれらのドラマのように、けっこう頭を悩ますか?というとそんなことはなし。絵柄はまるっこく、キャラの動きがよくわかり読みやすい。そうだったのかという満足感と、続きが気になるという飢餓感のバランスも絶妙。さらに桃肢の危機一髪の寸止め具合がハンパじゃなく…。とにかく一読してみてください。ハラハラドキドキ、桃肢の貞操…ではなくて、ドラマの行方が気になって仕方がなくなるはずです。(2011/5/20)
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    投稿日:2011年05月20日
  • (;´Д`)ハァハァハァハァ………………ハッ、すみません我を失っていました(笑)超マイペース高校生・平介のところにある日突然やってきた従弟の幼児・秋(通称あっくん・5歳)。スイーツ作り&食べることが趣味の平介の甘い匂いに誘われて、あっくんは平介にフォーリンラブ!(違…w詳しくは信太さんのオススメを読んでくださいw)あっくんは誰がどう見ても可愛い…もちろん可愛いんですが!私はそれと並行して、あっくん同様、平介の魅力に虜です(えー)。なんですかね、マイペースで面倒くさがり屋、若干無神経で周りのことなんてお構いましですが、平介の周りに流れる空気が穏やかなこと!いわゆる癒し系? 平介のあっくんに対する葛藤や愛情の芽生え、慎重な態度や接し方、言葉を選んで真摯に向き合う姿などを見ていると、本当はとても思いやりのある心の優しい高校生なんだなあ~と思います。だから周りのみんなも見放さない。なんだかんだで、平介はみんなから愛されてます。のほほんとしたあの穏やかで優しい空気を幼いあっくんも敏感に感じ取って、ラブラブ光線出しまくってるんじゃないかと(笑)!しかしあんな可愛い男の子に懐いてもらえるなんて、平介ったら羨ましいっ(●゚σд゚)!!私も可愛い男の子に懐かれたいです(;´ω`)ハァハァ あ、別にショタコンじゃないよ!(o´∀`)個人的には、あと10年経って、あっくんが成長した時の話が気になりますwこれは脳内妄想しますけど~きっとあっくん×平介になるんではないかと!忍耐高校生×のほほんサラリーマン(予想)年下攻め!美味しすぎます(´¬`*)ジュルリ 話が逸れましたが(^^;)とにかくっっ!高校生が小さい子供に翻弄される、2人まとめてとっっっても可愛らしいほのぼの癒し系マンガです(*´∇`*)
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    投稿日:2011年05月20日
  • えっ!赤羽ってこんなにディープな街だったんですか?『東京都北区赤羽』を読み始めたら、最後まで目が釘づけになりました。お腹の皮が、よじれんばかりになりつつです。美味しい呑み屋がいくつもある街で、私もたまに足を向けますが、こんなに濃い街だったなんて。この本は、赤羽在住の清野とおると、赤羽に棲む怪人物!?たちとの濃厚ふれあいコミックエッセイなのです。路上の芸術家ペイティさんや居酒屋ちからのマスターとママ、ジョージさん、その他次から次に濃厚キャラクターの競演で、ページをめくるのが本当に楽しくなります。ときおり、写真交じりなので臨場感もヒシヒシです。あっ、今度赤羽に行く時はiPhoneに忘れずにこの本を入れなくっちゃ! 赤羽未体験の方でも、抱腹絶倒間違いなしです。(2011.5.17)
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    投稿日:2011年05月17日
  • 「一杯いきますか!!」、それは、サラリーマンの一日を癒す合言葉。サラリーマン漫画は数あれど、毎回同じシチュエーションと登場人物で展開される作品は少ないはず。サンズ商事の嶋さん、タカさんの団塊世代と若手カツノが、居酒屋はせがわで繰り広げるサラリーマンならでの会話には、思わず吹き出しながらも点頭しきりです。団塊コンビが、「吐ける愚痴の大きさは、信用のバロメーター」とカツノに半強制的に愚痴らせた時のセリフには、お腹を抱えました。この漫画を読んでいると、なんだか自分もそこで一杯飲っているような気分になるから、不思議です。(2011.5.17)
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    投稿日:2011年05月17日
  • これは面白いです。はじめは、そのタイトルから、死に瀕した人たちが人生を振り返りその生涯にそれぞれの意味を見出す……ような人間ドラマかと思い興味をひかれて読み始めたのですが、そんなエピソードの回を含みつつも基本はミステリー。あの名作TVドラマ「世にも奇妙な物語」テイストです。走馬灯株式会社というところには、生まれた瞬間から現在まで、すべての時間が映像で保管されているという設定で、そこを訪れる登場人物たちは、忘れてしまった出来事や知らなかった過去という真実を突き付けられる……というのがエピソードの軸です。人の記憶はあいまいで、自分の都合のいいように歪曲されているものが結構多いといわれています。きっと自分にもそういうことがあるんだろうと読者にも思わせ、ある種の恐怖感を与えてくるのが見事ですよね。まるで、他人の人生のすべてをのぞき見ているような、悪趣味な(笑)趣向もありますが、そんな異次元体験ができるのも漫画ならではです。ただ、エピソードには身につまされるものもあって、あらためて自分の人生を省みるきっかけになりうる漫画でもあると思いました。……もしも、この走馬灯株式会社が実在したら? 私は忘れたいことがいっぱいあるので行くことはありません。
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    投稿日:2011年05月17日
  • 5月6日、新聞各紙は一斉に菅首相による「中部電力浜岡原発停止要請」を大々的に報じました。日本の最高責任者が東日本大地震から2ヶ月というタイミングで、高い確率で予測される東海大地震の震源域に立地することを理由に、防潮堤が出来上がるまでという限定付きながら「停止要請」に踏み切ったのですから、地震多発の国土のどこへ行っても原発だらけという日本列島の危機的状況にいやでも目が向きます。なにしろ、問題は目には見えない「放射線」です。それだけに、3.11以降、福島原発がもたらす放射線被害をめぐっては何が問題で、何は問題ではないのか――最も肝心なところが錯綜し、わかりにくいというメディア状況が続いています。校庭での活動を控えるように求めた政府に対し、ならば校庭の表土を削りとればいいだろうと工事を進めた福島県地元側の対立や、その問題に端を発して内閣参与の辞表を叩きつけた東大教授と政府見解に問題はない、教授の誤解だと切って捨てた菅政権側の茶番劇などはその最たる例でしょう。さて今回オススメの『放射線と健康』(岩波新書)――3.11後の日本社会にあって最も気になる放射線という問題を私たちの健康との関わりの視点から説明した好著です。2001年に出版されていましたが、東日本大震災直後の4月に緊急増刷と同時に電子化されました。著者の舘野之男(たてのゆきお)さんは議論の出発点として、「確定的傷害」と「確率的障害」とを分けて考えるように説いています。前者(確定的影響)は被曝量がある値(しきい値=閾値(いきち))を超えて初めて影響がではじめるタイプの影響です。逆にいえばこの値を超えなければその種の影響はでません。被曝量が増えれば増えるほどその影響の程度はひどくなります。「しきい値」というのは部屋の区切りのあの「敷居」からきた言葉で、安全と危険を分ける境界の線量という意味。放射線火傷などがこれにあたり、したがって確定的影響について著者は「放射線傷害」という言葉を用いて区別しています。これに対し、しきい値をもたないものが確率的影響で、これがいま不安の元になっているわけです。具体的には遺伝的影響と発がんで、普通の意味の「病気になる」とはかなり違って、「リスク」という考え方を基礎においた話になるというわけです。いうまでもなく、これはしきい値のない話で、どこまでは大丈夫という問題ではないというのが基本です。時代とともに変容してきた放射線障害について感情論を排して、わかりやすい言葉で説明している必読の書です。(2011/5/13)
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    投稿日:2011年05月13日
  • 表紙とタイトルだけではいまいひとつ内容がわからず、ドラマ化されてから読み始めて好感をもった作品です。ハンマーセッションとはメキシコ系ギャングの俗語で、新入りがきた時、しきたりや掟を脳天に叩き込む、という意味だそう。ですが、この作品では「衝撃的授業」という言葉が当てられています。つまりは教育モノ。型破り教師が生徒を更生させていくという定番の設定ながら、その教師が脱走した詐欺師というところに新味があるわけです。この教師、問題のある生徒に接する時は、詐欺のテクニックを使う。それは人心掌握術だったり、調査の上でのハッタリだったり。ほか法律も知っているし、簡単な心理トリックも仕掛けられる。これらプロの技がビシッと決まるのがいいんですよね。で、この辺の能力って、現実の生活や仕事上でも重要なことなのでは、て思ったりしてしまうのです。知識を蓄えたり、頭を使って行動して人の心をつかんでいるわけしょ? ビジネスマンでもナルホドと思うことだらけですよ。少年向けと侮ることなかれ。(2011/5/13)
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    投稿日:2011年05月13日