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  • 薔薇の名前であり、伝説の王様の名前でもあるコードネームを冠したチームが活躍するギャンブルアクション。美女に金、そしてケレン味もたっぷりの王道路線であり、ゲームのルールに疎くても素直に読めます。前半はキャラ紹介的なストーリー。登場人物の設定にはなかなか味があって、主人公・通称ボーイは驚異的な動体視力と暗算能力の持ち主。アンクルことバロンは指先に第三の眼をもつ男。レディことスカーレットはルーレットで赤が出ることを予知することができ、実はもうひとつの秘密も。そして博徒風のグランパこと銀蔵。彼らがその技術を駆使して悪徳同元を退治し、それが後半の世界一ギャンブラー決定戦への布石となる構成です。前半は必殺仕事人的な流れだっただけに、この後半への場面展開はちょっと意外。ですがそれぞれの通り名から連想されるファミリー要素をふんだんに盛り込んで、最後はうまくまとめてくれてます。ま、私にとってうれしいのはイカサマの手口などをきちんと説明してくれているところなんですがね。麻雀でこっそりとか、宴会で使えないものかなあ、なんて…。(2012/1/27)
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    投稿日:2012年01月27日
  • BLスキーの皆様に朗報ですよ~!本日1/27~2/23まで「超LOVE特盛♂リブレ出版まつり」開催中です!! 期間中はリブレ出版全作品ポイント増量&1冊以上購入で、悶絶必至のBLドラマCDを抽選で15名様にプレゼントしちゃいます!耳レイプとはまさにこのこと…(*´Д`*)ハァハァ この機会に是非奮ってご購入&ご応募ください~!さて、リブレ出版まつりでもご紹介してますが、知らない人いないんじゃないかな?と思う程有名な作品です!「俺がお前を孕ませる」…ノリ夫は突然、「斑類」に目覚めてしまった!傲慢な野獣系の男・斑目国政に、出会ったその日にガンシャされ…!? 繁殖を志すサイエンス・ラブ・フィクション!奇抜でユニークな発想の未だかつてない斬新なBL作品。斑類ってなんだ?って方は、リブレ出版まつりで簡単にご説明してるので是非ご覧くださいませ(^ω^)メインの国政×ノリ夫の話に加え、いろんな斑類カップルが続々と登場するとても読み応えのある作品です!勿論メインCPは大好きですが、私は3巻に登場する天敵のハブ×マングースの話が特に好きかな!初の斑類ベイビー誕生ですよ!\(^o^)/なぜ男が妊娠できるのかって?それはですね…懐蟲を体内に仕込んで仮腹を作るという何とも衝撃的でセンセーショナルな方法なんですね!!よくこんな生々しい設定考えるよ!リアルに孕めちゃいそうな気がするので不思議ですw弊社の編集Iさんはガチムチ熊さんカポーが好きとおっしゃっていて、うちの母と妹は女好き・米国×眼鏡の優等生・委員長が好き…と、どのカップルが好き?と聞くと皆さんの好みがよく理解できるというwそれだけ多くの属性を網羅しているということで、いやはや頭が下がります。話のテンポがよくコメディかと思いきや、切なくシリアスな内容に胸キュン涙させられたり、さすが寿たらこ先生、魅せ方のバランスがとてもお上手です!思い返せば寿たらこ先生との出会いは桃色ソーセージだったなー…と思いふけってみたり(遠い目…。色々な意味で洗礼を受けた天才(鬼才?)的な作家さんです。
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    投稿日:2012年01月27日
  • (;´Д`)ハァハァハァハァ………………ハッ、すみません我を失っていました(笑)さっちゃんがかわええです。今からおよそ30年前の1980年頃、小学館の少女漫画誌上で尾瀬あきら先生の読切が多数発表されました。その中から選りすぐりの4作品を、このたび電子書籍で復刻させていただきました。今では男性向け漫画誌でおなじみの尾瀬あきら先生ですが、「少女漫画家」の時代があったんですね。復刻作品のひとつ『くたばれ! デート』は、ペンネームが現在の“尾瀬あきら”に変わり、少女漫画家として新たなスタートを切った、ターニングポイントといえる作品です。『祭り白書』は、正統派学園モノ。そして、『海鳥 空へ…』は、まさに珠玉の読切といえます。切ないです。時を経ても色あせない漫画とは、こういう作品をいうのだと思いました。意外なことに、『海鳥 空へ…』はコミックス未収録作品で、現在では探すのが非常に困難な作品といえます。立読みページも多めになっていますので、ぜひご覧いただければと思います。掲載誌「コロネット」の元編集長でもある辻本吉昭氏のコラムでは、この作品の制作秘話や、微笑ましい(!?)エピソードも紹介されています。あわせてご一読ください。尾瀬あきら作品のヒロインに共通しているのは、一生懸命でひたむき、しなやかさと芯の強さを併せ持つ女性であることだと思います。この30年前の読切作品の頃から、すでにそんな魅力的なヒロインが存在しているのを感じることができます。特に『さっちゃん風をきる!』の<さと子>は、おそらく歴代最年少のヒロインだと思われますが、このヒロイン像とストーリーには尾瀬作品のエッセンスが集約されているといえるのではないでしょうか。クライマックスの4ページは本当に素晴らしいです。僕たちが失った何かが、ここにあります! このシーンで描かれる主人公ふたりのやりとりに、きゅんっと胸が高鳴るのでありました。……と、好き勝手に感想を述べましたが、あまり先入観をもたずにお読みいただければ幸いです^^ (2012/1/24)
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    投稿日:2012年01月24日
  • 最近、いろんな料理マンガが本になり、その度話題となっています。一人暮らしや駅弁、ラーメン、大食い、果てには奇食をグルメの対象としたり、刑務所を舞台とした人気作品が生まれたりしています。『飯盛り侍』(原作:井川公彦、作画:やまだ浩一)は、織田信長が隆盛を誇る戦国時代が舞台設定です。私、侍が料理についてああだこうだと一言を持つのは、「らしくない」ようなイメージを持っていましたが、このマンガを読んで考えを改めました。肥前・龍造寺家の足軽・弥八は「飯が人間を作る」を信条に、滋味あふれるうまい料理をこしらえて供します。考えてみれば、生きるか死ぬかという戦いに明け暮れる侍たちにとって、活力をみなぎらせる美味しい料理が重宝されないわけがありません。弥八はすぐに主君の目に留まり側に仕えるのですが、弥八の想いは届かずやがて諸国を旅し始めます。お家を出た格好になってしまった侍・弥八ですが、実はここからさらに面白い展開へと流れます。諸国の食材を使った滋味あふれる料理がふんだんに登場するからです。なかでも、瀬戸の小ダイやエビ等の山海鍋にキビやゴマ、イワシ等で作ったキビ団子を入れた「桃太郎鍋」の登場話には、思わず舌なめずりしてしまいました。この鍋は、体力回復と滋養強壮の効果も抜群なのだそうです。時代を超えた戦国グルメマンガ、あなたも心行くまで味わってください。 (2012/1/24)
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    投稿日:2012年01月24日
  • 「絆」という言葉をよく耳にする昨今ですが、一時の流行語にならずに、定着すればいいですね。『上京一週間』(一丸)は、それぞれの夢や希望、またはしがらみを胸に抱いて、地方から東京にやってきた者たちのオムニバス形式の読み切り集。シンガーや大学進学を目指す若者がいれば、家を出て行った妻子会いたさに上京する中年がいます。それぞれの人生を背負って東京へやってきます。この本を読んで面白いと感じたのは、各話の主人公それぞれが自分ひとりでは物事をなし得ないということです。上京して状況が変って初めて、自分を気遣っていた周囲の人間の想いにやっと気づく者もいます。どれを読んでも、胸を熱くさせられる力作ぞろいです。なかでも特に印象に残ったのは、女性陶芸家・芳江が実父の葬式のために上京したストーリーです。ギャンブルに明け暮れて家族に迷惑をかけ続ける父親が嫌で、家を飛び出した芳江は20年近くたって家に戻ったわけです。父をずっと憎み続けていた芳江ですが、父の飲み友達によって始めて芳江への想いを知ることとなります。それは、芳江が始めて作った陶芸作品に大きく関わることなのですが…。いずれの作品も限られた枚数の中でありながら、濃密な感動的人間ドラマを堪能できる、まさに「珠玉」という言葉がぴったりの作品集です。(2012/1/24)
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    投稿日:2012年01月24日
  • 勝目梓は、純文学同人誌活動を経て、1970年代に入って官能バイオレンス小説を量産してきた作家ですが、1990年代後半には生と性を極限まで突き詰める作品を生み出し、その延長線上に自らの文学遍歴を赤裸々に描く私小説(『小説家』、『老醜の記』)を発表して再評価されてきました。本書『幻花祭』もそうした作品群の一つで、復讐劇をベースとする勝目梓バイオレンス作品群とは肌合いがだいぶ異なります。夏の青森ねぶた祭りの夜――「ラッセラッ、ラッセラッ、ラッセ、ラッセ、ラッセラッ」の掛け声と熱狂の中で男と女が出会い、365日の中に入っていない「幻の夜」をともに過ごすことから始まった、狂おしいまでの大人の恋を描いた作品です。主人公は大手広告代理店を退社して独立、小規模なデザイン事務所を経営する加治修平。事業も順調なら妻と高校生の長女、中学生の長男の4人家族にも問題はなく、平穏な生活を営んでいる加治が恋に落ちた相手は、忌まわしい過去を持ち、女であることをどこかに封じ込めているかに見える女・佐竹真保子。激しい情事の一夜が明けた朝、真保子は加治が眠っている間に姿を消す。「狂っているときだけが花です。醒めた顔を見合わせたくはありません。ほんとうにすばらしい夢を見せていただきました。お礼を言うのは変ですけど、ありがとうと言いたい気持なのです。さようなら。織姫より。 彦星さまへ」ホテルの小さなメモ用紙に達者な文字で書き残されていた。この一夜だけで終わっていれば、妻子ある男と独り身の女の文字通り一夜限りの夢で終わったのでしょうが、9月に入って偶然再会したことで、加治の思いは募り、かたくなに加治を拒み、生きる屍として生きることを覚悟したかに見える真保子の心の内の壁を、そして体を溶かしていきます。再び燃え上がる二人。勝目梓はこの二人を世知に長けた大人の不倫として描いていません。むしろ、生真面目で不器用な男と女が情愛の極地に行きついたとき、何が始まるのか――。生と性の極限を突き詰めようとする勝目梓の表現力に圧倒される思いです。〈・・・・・・加治は待った。心がはげしく高まっていた。それが性的な興奮のせいなのか、それともそのことを二人の心の契りを示す秘密の儀式のように思うことから湧き上がってくる気持の昂揚のせいなのか、加治にはわからなかった。体がふるえだしそうな気がした(中略)・・・・・・加治は思わず吠えるような声を放ち、真保子の肩と首のうしろのところを手でつかんだ。真保子もほとんど同時に喉の奥に声をひびかせて、加治の腰を抱きしめた。体の緊張がゆるむにつれて、加治は心までがやわらかくほぐれていって、甘美な温かいものでくるまれるような思いが生まれてくるのを覚えた。それもまたセックスと同様に、しかしセックス以上に深く強く二人の心を一つにする行為であることを、加治は有無を言わせない思いの中で実感した〉官能バイオレンス小説を量産しながら、現代文学における“性”の描写を開拓してきた勝目梓は、本書で新しい領域に踏み込みました。セックスの歓びだけでは満たされない男と女が行きついた世界とは? セックスとは異なる男と女の交わり――セックス以上の何かとんでもないほどの一体化を求める情愛の世界。その極みで勝目梓は真保子にこう吐露させています。〈あなたとならどんなに恥ずかしいことだってできちゃうのね。どんなことでもしたくなるの〉生と性の極限を描出する勝目梓の恐るべき描写力を堪能してください。(2012/1/20)
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    投稿日:2012年01月20日
  • 少し前、知り合いに「今いちばん熱くなれる漫画って何?」と問われて、ある作品を紹介したのですが…。激しく後悔しています。これを推さずに何が熱い漫画か。初めて読んだときは、興奮して寝付けなったくらいです。主人公・鯉太郎は大相撲巡業のイベントで力士をふっ飛ばし、それがきっかけで空流部屋入り。実直ながら激情家の鯉太郎は兄弟子たちに反発するも、やがてうちとけて新弟子検査へ。そこであるエリート力士との間に因縁が生まれ、それを引きずって初土俵である夏場所の前相撲を迎える、と序盤の流れはこんな感じ。それと並行して鯉太郎の父で、角界を追われた大関・火竜の悲劇が語られています。この親子関係の描き方がていねいで、導線としても非常に効いているのですね。鯉太郎の性格や生い立ち、そして目指すところまでがこの描写を通してストレートに伝わり、一気に感情移入できてしまう。また悪役もとことん悪党ぽく描かれていて心底イヤな奴と思わせてくれる。鯉太郎の私生活の余計な描写も省いてまさに電車道の一直線ストーリー。ひねりはあってもすかしはなし。掛け値なしに燃えます!(2012/1/20)
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    投稿日:2012年01月20日
  • ブサイク受け第2弾です!(笑)こちらはリブレさんのアンソロ『b-BOY Phoenix2 不細工特集』で拝見した時からずっと大好きな作品です!特集の中でも際立って輝いていたこちらの作品。田中鈴木さんいいですよねwどっちが名前かわからないですが(笑)田中鈴木さんはブサイクを可愛く描くのがとてもお上手です!チビでツリ目で全くモテない吉田が、ある日、校内一のモテ男・佐藤から告白されて学園生活が一変!! イケメン×ブサイクという、乙女の夢を叶えた究極のカップリング★でも実はこの佐藤君、小学生時代はネクラデブと苛められていた過去を持ちます。そんな佐藤を、その頃全盛期だった吉田が庇ってあげたことから、佐藤は吉田に好意を抱き、それからずっと吉田の事を想い続けてきたという、とっても一途でピュアなラブコメディです☆佐藤は今や立派なドSに成長し、日々吉田を苛めつつ可愛がり振り回して楽しんでますが、そんな二人のやり取りがホント愛おしい…(*´∀`*)吉田は三白眼で一見するとル○ィに似てますが、私は以前ル○ィ受けにハマったことがあるので全然余裕です!というか吉田は全然可愛いよ!!女子に責められてオドオド泣きそうになってる吉田とか最高に可愛いです♪吉田は喜怒哀楽の表情が豊かで、泣きそうな顔とか困った顔が超絶可愛いので、佐藤がつい苛めたくなっちゃう気持ちわかりますwエロは皆無ですがドキドキして面白くてものすごく萌えます!! 田中鈴木さんの作品は少年漫画っぽいイメージなので、男性でも読みやすいと思いますよ~^□^
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    投稿日:2012年01月20日
  • 小さいころは野球がキライでした(;゚Д゚) なぜなら、毎週楽しみにしているアニメがプロ野球中継につぶされてしまうからなのでした。そのうえ小学校は、野球部強制入部・強制丸刈りというところだったので、ますます野球がイヤになったとさ(´∀`) やがて時と共にそんな気持ちは薄れ、野球をやってた頃の記憶は美しき思い出となりますが、上記の理由で決して読まなかった『タッチ』(あだち充)を最近になって初めて読みました。その結果「野球って……最高!」となり今に至ります。それで、この『サッチモ』ですが、「ザ・人情」って感じの野球漫画です。なんと作者は、あの『釣りバカ日誌』のお二人。意外ですね。成績の振るわない弱小プロ野球チームの監督がシーズン途中で解任され、残された消化試合の指揮を押し付けられたのが、スカウトマンをやっていた通称・サッチモこと小川完太郎。一見とぼけたオジサンにしか見えない彼が、チームを一流に育てあげていく、というストーリーです。うだつのあがらなかった選手たちの才能を、つぎつぎ引き出し、徐々に名指導者ぶりを発揮していくサッチモ監督。後先考えず選手をかばって記者を殴ってしまったり、病気の女の子のためにホームランの贈り物!など、お約束すぎる展開にもかかわらず、読めばぐわーっと熱いものがこみあげてきます(笑)。ここぞ、というときに決めてしまうサッチモ監督の姿や粋なセリフに、毎回じ~んときてしまうのです…。これってやっぱり「野球」であるからこその演出なんですよね。。。『タッチ』で描かれるようなまぶしい青春時代のあとには、サマにならない現実が控えていたりします。この『サッチモ』は、そんな中で奮闘する大人たちを描いた野球物語。人間ドラマとして、すごく楽しめる漫画だと思います。(2012/1/17)
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    投稿日:2012年01月17日
  • 2012年がスタートして半月が経ちましたが、この時季は、同窓会が開かれることが多いですね。別人のように変った人がいれば、昔のままの人もいます。『fine.』(信濃川日出雄)は、同じ美大に通っていた若者が6年ぶりに同窓会を開いたことをきっかけに物語が始まります。卒業以来にして集った仲間は、広告デザイナーやプログラマー、中学校教師などさまざまな職種に就いています。そして、主人公の上杉は絵描きであることをやめられずにいます。まれにイラストレーターの仕事をしても、自らの信念を貫こうとするあまり、なかなかうまく立ち回ることが出来ません。純粋に絵画の作家になりきろうとしているのですが、なかなか芽が出ずに、のた打ち回っている青年なのです。年齢的なことを考えて、「オトナにならなきゃ」と覚悟を決めることもありますが、「俺は俺だから、俺の生き方でしか生きられない」という内なる声が、それを妨げます。そして、たまに会った仲間からは、「まだ、描いているの?」という言葉に焦燥感を煽られます。全体を通してもだえ苦しむ上杉ですが、己に対してきちんとした解答を見つけることが出来たようです。著者の始めての連載ということが信じられないくらいに完成度が高く、人の心を打つ作品です。存分に魂が込められているのだと思います。同窓会って、何かが始まったりするきっかけにもなるようですね。(2012/1/17)
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    投稿日:2012年01月17日
  • 日本で最も有名なモンタージュ写真、それは三億円事件のあの写真ではないでしょうか。多くの人が頭の中に、あのイメージ像を描けるはずです。この事件が、いまだに人々の口に上るのはなぜでしょう。現在の貨幣価値にして50億円といわれる、途方もない巨額の強奪事件というインパクトもさることながら、モンタージュ写真や多数の遺留品など犯人に直接結びつくはずの証拠がありながら、未解決となってしまったことへのミステリアスさが大きいと思います。前置きが長くなりましたが、『モンタージュ』(渡辺潤)は、その三億円事件を舞台背景としたクライム・サスペンス。事件から40年近く経った長崎で、鳴海大和(なるみ・やまと)という少年が老刑事の死ぬ間際に放った衝撃的な一言によって幕が開きます。それは、大和の父親が「三億円事件の…犯人…だ…!!」というセリフです。やがて、高校生となった大和は義理の姉のような存在の小田切未来とともに、殺人事件に巻き込まれ手に汗握る展開が繰り広げられます。大和の父親と失踪した小田切の両親の結びつきや悪徳刑事の魔の手、軍艦島に残された三億円事件の物的証拠…謎は深まるばかり。続巻のリリースに期待したいところです。 (2012/1/17)
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    投稿日:2012年01月17日
  • ちょうど1年前の2011年1月、第144回芥川賞受賞の記者会見で「そろそろ風俗に行こうかなと思っていた」と発言して、一躍時の人となった西村賢太が初めて芥川賞候補(第138回)となったのが本書表題作『小銭をかぞえる』で、初出は「文学界」2007年11月号。藤沢清造という作家の全集を出すことに執着する男の借銭にあがく姿に著者自身が投影された私小説。あられもない金策に奔走する男には卑屈さと厚かましさが同居している。その行き場のない感情が噴出する同棲する女との諍い――出前ピザに支払う金がなく、女が茶葉の空き缶にためた五円や十円の硬貨をフローリングの床にぶちまけるシーン。〈おそらくは百円単位ずつに積んでいるのであろう、ひとつまみ分にした硬貨を何か必死な感じで床に並べている姿を、私はひたすら苦々しい思いで眺めていたが、ふいとそんな彼女に妙ないじらしさみたいなものを覚えてしまうと、突如猫撫で声を上げて背後から力一杯抱きしめてやりたい衝動にも駆られてくる。だが、指先を狂わせた女が、積んだジャラ銭の小山をガチャリと崩すと、この、一瞬の耳ざわりな音がわけもなく私の神経に突き刺さり、再度癇をたかぶらせてもくるのだ。(中略)「――薄みっともねえな。これでこの家じゃ、出前の代金を全部ジャラ銭で払ってくるとの評判が立ってしまうなあ。珍妙な格好をした若づくりのおばさんがよ、十円玉抱えて出てきますってな。おまえのおかげで、ここもすっかり変わり者の巣窟扱いにされちまうよ」〉意地悪い言葉を女は聞こえぬふりをし、無視をする。癪にさわった男はさらに悪罵を投げつける。〈「――おい、その臭せえのは、おまえが全部食えよ。もし残して、そんなものを明日のぼくの昼食なんかに出してきたら、その瞬間に張りとばすからね。それで警察呼びたきゃ、呼んでみろ。どうで呼ぶんならもう面倒だからよ、お巡りが来るまでにはおまえを殴り殺しといてやるから」「・・・・・・」「馬鹿が。なら一生聞こえねえフリをしてろい。えらそうに澄ましてやがると、卵巣を蹴潰してやるぞ」「・・・・・・」「そうだ、それからよ、明日は糞がしたくなったらどこか外へ行って、公園の便所とかで済ませてくれよな。僕の家の後架に、そんな臭せえ食い物が更に悪化したやつをひり出されるのは、随分と迷惑なことだからなあ。これだけは、くれぐれも頼んでおくぜ」〉言い放って4畳半の自室に移動して一人になった途端、男の内部である感情が噴出する。涙を浮かべてジャラ銭を漁っていた女の惨めであさましい姿に、自分自身のケチな稟性、歪んだ性根を図らずも見てしまったような寂しさが、女への憫情となって現れてくる。芥川賞選考委員の山田詠美は西村賢太の受賞作『苦役列車』を「私小説が、実は最高に巧妙に仕組まれたただならぬフィクションであると証明したような作品」と評していますが、本書は自分自身をモデルに人間のいやしさ、あさましさをこれでもか、これでもかと表現する新しいタイプの私小説家の登場を告げた秀作です。西村賢太が『苦役列車』で芥川賞に輝くのは、この作品から4年後のことです。表題作のほかに、「文学界」2008年6月号に発表された『焼却炉行き赤ん坊』が併録されています。(2012/1/13)
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    投稿日:2012年01月13日
  • ズバリ、不倫のお話です。(`・ω・´)キリ…と書くと身も蓋もないのですが\(^o^)/ 以前も書きましたが、こやまゆかりさんの作品に一気にハマった時期がありまして、こちらも例に漏れずハマりました(*ノωノ)  結婚6年目、優しい旦那と3歳児の子供ひとりという、誰もが羨む幸せな家庭を築いている看護婦の主婦・弓子と、患者としてやってきた美形で刺激的なイイ男・品川との運命的な出会いから始まる「純愛」物語です。「浮気」や「不倫」なんて、特別な人がするもの。まさか自分にそんなことが起こるなんて思いもしなかった――次第に抜き差しならない恋愛関係となっていく二人の「未来のない恋」の行く末は…!? いや~ホント、この方の作品は「いったいどうなるんだろう?」と続きが気になって気になって、止まらないんですよね!夜も眠れない!と以前にも書きましたが(笑) この作品は不倫をテーマとした話なので、連載時から賛否両論の渦を巻き起こし、話題をさらったらしいです。不倫相手を本気で愛してしまい、夫と不倫相手の間で揺れ動く女心を描いた「リアルな不倫物語」。主人公が、最後まで夫と不倫相手、どちらを取るのかがわからず、先の読めない展開にハラハラドキドキと純粋に楽しめました。ドロ沼の昼ドラ展開が好きな方にはオススメ!と思ったら本当に昼ドラ化されてましたねw 不倫は純愛か?という究極のテーマに挑んだ衝撃作!! 色々な境遇の男女4人が繰り広げる人情物語です。
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    投稿日:2012年01月13日
  • 遠出をするときは必ず駅弁を買ってしまう。特急の指定席で絶景を眺めつつ食べる駅弁のうまいことといったらもう…。そんな私の至福の時を漫画でも再現してくれるのがこの作品。特急の解説+駅弁レポート、それに食事ポイント付きという構成がニクイです。各話の終わりには乗った特急のコラムを掲載し、豆知識もフォロー。また、巻頭にカラーで作品内で紹介している駅弁がずらりと並べられていて、情報誌のように紹介されているのも、食いしん坊にはたまりません。各話は短めのページ数ですが、その分、ポンポンと駅弁が出てきてギュッと詰め込まれているのもいいですね。冒頭で遠出と書きましたが、私の場合、東京から西は京阪神、東は仙台あたりまでが電車移動エリアなので、新潟や九州までもカバーしてくれているのがうれしい限りです。さすがにこの著者のように特急に乗り駅弁を食べるためだけに日本全国を飛び回ることはできませんが、この地方にいったら紹介されている駅弁はぜひ食べてみたいなあ。なんて思っていたら腹がすいてきた…。こりゃ、夜には読まないようにしないと。(2012/1/13)
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    投稿日:2012年01月13日
  • 地球の温暖化が叫ばれ始めて久しいです。残念ですが、状況は歯止めがきかないようです。『ON・DAN・BATAKE』(内田春菊)は温暖化でさまざまな現象が起こり始めた未来の話。大量の鳥が発生したり妙な植物が生い茂る2107年の地球に住むシータとタビタは、ある日「こちらは2007年 未来のあたし 応答して下さい」という不思議な音声を受信します。声の主は、2007年に住むサクヤ。と、ここまで書くとハードなSFストーリーのようですが、内容はファンタジックで暖かい物語。22世紀と21世紀の二人の女子学生が、それぞれの住む身の回りの現状を音声通信で伝え合い、友情を深めていきます。清廉なシータと科学好きのサクヤ、思いやりのあるそれぞれのボーイフレンド、嫌味のないカップルです。登場人物の好感度が高く、ついつい読みふけってしまいます。物語はシータの友達サランが行方不明になったところから、少しずつ緊迫していきます。そして、このサランをめぐってのシータとサクヤのやりとり、感動的でした。そして、22世紀のシータの印象的なモノローグがありますので、最後に引用します。「私の町ではあまり手っ取り早く 何かをしようという人はいません 『自然が怒らないかどうか』をまず考える…そういう人が多いです」。(2011/12/27)
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    投稿日:2012年01月10日
  • 先行きが不透明な不景気感、なんだか嫌ですね。活況を呼ぶというか、ビジネスマンが元気になりそうなマンガ、それが『透明アクセル』です。著者の三田紀房は、東大受験をテーマに描いた大ヒット作『ドラゴン桜』で有名ですが、『透明アクセル』は大手広告代理店に就職した新社会人・青木智也がプロジェクトの成功を追い求める物語です。芸能界のドンとよばれる実父のコネで就職した青木が、初仕事である競艇の宣伝のためにフィギュアスケートで活躍する山田麻美を競艇選手に転職させ、やがて一大プロジェクトの中心メンバーとなっていくのが骨子ですが、営業マンのみならずビジネスマンにとって刺激的な内容です。それは、どうすればモノが売れるか、人の心を動かすことが出来るのかという命題に対する作者の答えが描かれていて、逐一納得させられるからです。例えば、情報過多の時代に単に宣伝するだけでは、企業は消費者に信用してもらえません。ならば、どうするか。それは「空気を作る」ことだと描かれています。そのために、「話題をつくり こちらが言いたいことを 消費者自身の口から言わせる!」ことで、情報が浸透して共有されるのだそうです。青木は、この方法論を実践すべく、額に汗して走り始めるのですが、時にはつまずきます。その度、一つ一つ学んでいくのですが、そのノウハウが心を打ちます。壁にぶつかっているビジネスマンにもおすすめのコミックです。(2012/1/10)
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    投稿日:2012年01月10日
  • オーダーメイドでスーツを仕立てる「テーラー」の世界を描いた漫画です。いわゆる薀蓄もの。職人気質の男社会に挑む花梨(かりん)の物語でもありますが、そんなジェンダーのような大変そうな問題はとりあえず横に置いといて(最低\(^o^)/)その薀蓄というのが、なんとも高貴で優雅な空気が漂っているためか、なかなか知る機会のない情報でいっぱいです。ポケットのフラップが付いているのは何のためか、とか、新品のジャケットは、ぐたぐたになるまで壁に叩きつけてから着る、とか(こっちは裏ワザ?)。さすがに、着道楽人物伝とかは、別世界って感じではありますが、やっぱりどんな世界でも突き詰めていくと深いものがあって、いいなあって思いますよね。読めば間違いなく、自分にぴったりで世界にひとつだけのスーツが欲しくなると思いますよ^^ (2012/1/10)
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    投稿日:2012年01月10日
  • 旅行先の台湾で乗り合わせた飛行機が墜落して、向田邦子が死去して30年。2012年の正月、向田邦子原作のTVドラマや向田邦子の軌跡を女優がたどるドキュメント番組が放送されるなど、今も向田作品は私たちの中に生き続けているようです。「昭和の家族」の有り様を生き生きと描いたその作品群は古びることなく、今も私たちの琴線を刺激し、読む者に深い感銘を残してくれます。本書『あ・うん』は初版が1981年5月ですから、1981年8月の突然の死の直前に出版された代表作の一つ。日本が1937年(昭和12年)の盧溝橋事件から日中戦争、第二次世界大戦(太平洋戦争)へと突き進み、庶民の生活にも「戦争」が影を落とし始めた時代を生きた二組の家族の物語です。「寝台戦友」と称する水田仙吉と門倉修造。水田は製薬会社に勤めるサラリーマン。一方の金属工場を経営する門倉は軍需景気に乗って羽振りがいい。東京に帰任する水田のために、門倉は貸家の世話をし、二十歳近い娘のある水田の女房にどうやら二人目の子供が出来たみたいだと聞くと、その子がもし女の子だったら養子にくれと頼みこみ、水田は水田でその申し入れを女房に確かめることもせずに承諾するほどの親友同士。「寝台戦友」とは、初年兵時代をともに過ごし、苦楽をともにしたということを意味しているそうです。この二人、ただ仲がいいというだけではなく、じつは門倉は水田の女房、たみを思っている、そしてそのことを水田も門倉の女房の君子もちゃんとわかっている。わかっていながら、何事もないかのように付き合い、面倒を見合っている。微妙なバランスの上に立って暮らす夫婦がかもし出す人情の機微を描きだす向田邦子のうまさ。たとえばこんな具合です。〈その夜、門倉は、はやっている「ダイナ」を口ずさみ、ステップを踏むような足どりで君子に上衣を渡した。「子供、もらうことにした」君子は、上衣を抱えてしばらく立っていた。洗面所でシャボンで手を洗う門倉のうしろから声をかけた。「子供もらうなんて、うまい言い方、なさるもんね」水を出していたので、これは門倉に聞こえないらしかった。「もらうんじゃなくて、引き取ると、はっきりおっしゃたらどうなんです」「そうじゃないよ。もらうんだよ」「子供あなたの子でしょ」こんどは門倉が棒立ちになる番だった。「いま、なんて言った」「子供あなたの子でしょ、と言ったんですよ」門倉の濡れた手が、君子の頬で鳴っていた。「なんてことを言うんだ。おれは指一本触れたことはないよ。子供はあいつと奥さんの子供だよ」「「あいつ――」「水田のとこだよ」と言ってから、「口、大丈夫か」詫びともいたわりともつかぬ声になった。「水田さんとこ、生まれるんですか」「十八年ぶりだってさ。テレてたよ」門倉はタオルを君子に渡して、「お前が反対なら、おれひとりでも育てるからな」「誰が反対だなんて言いました」「賛成か」鏡に君子の笑い顔がうつっていた。左の頬が指の形に赤くなっている。哀しみと嫉妬はみたくない。門倉は、いつもそうするように、知らん顔をした。「いつなんですか、予定日」多分、この秋だろうという返事は、背中で答えた。寝室で着替えをしたが、君子はすぐには来なかった。やりかけの刺繍の、きりのいいところまで刺してからくるのである〉「昭和」という時代を生きる普通の人々の息遣いが聞こえてくるようです。2度にわたってTVドラマが制作され、映画化もされた名品。「昭和」の匂い漂う向田ワールドをお愉しみください。(2012/1/6)
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    投稿日:2012年01月06日
  • そろそろ大衆的なものを食べたくなる時期ですね。そこでカレーなんかいいんじゃないかと思いご紹介するのがこの作品。最初に登場するのがお雑煮カレーですから、ちょうどいいでしょ? …そんな小ネタはさておき本作の内容ですが、本作は味平全5シリーズのうちの4つめの章。デパートの売上競争の代理戦争に巻き込まれた味平が、カレーの味でどれだけ客を集められるか、というものです。ライバルは6000種類のスパイスを嗅ぎわけるカレー将軍・鼻田香作。この恐るべき男を相手に味平の策は?ということでまさに戦争がはじまります。でこの作品、特筆すべきは料理漫画ではあるものの、おいしく見せることを追求しているのではないんですね。ミルクカレーにスパカレー、しょう油入りカレーと一歩間違えばゲテモノです。ただ、これが食べたく思ってしまうんだなあ。そう、この作品の胆はここ。説明などどうでもよく食べてみたいという幻想がここにはあります。最後に出てくるブラックカレーなんてもう、一度は…。あ、でもこれはちょっと禁じ手かぁ。(2012/1/6)
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    投稿日:2012年01月06日
  • (o´ω`)ノ・゜・☆★明けましておめでとうございます★☆・゜・ヽ(uωu*)今年もよろしくお願いいたします!最近BLが豊作すぎて、何をご紹介しようか悩むのですが…とりあえず、新年一発目のBLはこちらですヽ(*'v`)ノ 去年、大学時代の友人の結婚式で、大学時代の友達(既婚者)と久々に再会しました。その子は昔から腐の気質があったようで、当時は「高校で卒業した」と言っておりましたが、最近再発したらしく(笑)物凄いハイテンションで興奮していかがわしい内容の長文BLメールを送ってくれるのですが(歓喜)、その子が最近読んで面白かったと言っていた作品がこちらでしたwその子曰く、「陰部や汁の描き方は他の追随を許していない」らしいです…www…うん、確かに!データが私の手元にきた時に、「あ!この作品は…っ!」とピンときまして、どれどれ、確認しよう!陰部陰部…φ(●_● )と読んでいたところ・・・見事に萌えました!\(^o^)/とにかくエロが激しく萌えますw汁が…www 地味でチビな主人公・あゆむは、超イケメンの幼なじみ・隼人と龍二が「デキてる」との噂を聞き、ショックをうけるが!? いやいや、どう考えてもイケメン二人→主人公にフラグ立ってるでしょうwと思いながら読んでいるとまさにそうで…やっぱ王道最高です+(*´∀`)b°隼人は明るいムードメーカー的存在、龍二は寡黙でクールなむっつりスケベと、とっても美味しいキャラ設定(゚▽、゚*)ジュル♪そんな見た目も中身も完璧な幼なじみのイケメン二人が、地味でモテない主人公を溺愛して共有し合うという…3Pありの究極の三角関係☆超ド変態コミックです!! まさにお約束な内容で、安心して楽しめました(●´w`○)テンポも良く絵も綺麗で読みやすいです!主人公はブサメンというかフツメン?ですが、とってもキュートで可愛いです☆続きがあるらしいので、今から2巻が楽しみです(´▽`)
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    投稿日:2012年01月06日
  • 漫画家漫画にはずれなし、とはよくいったもの。「まんが道」然り、「バクマン。」然り。確かに傑作といわれる作品は多いです。でも、私が本当に読みたかったのは、昔過ぎず最近でもないこの作品の時代の話。80年代ノスタルジーですね。PCやビデオデッキがいまほど一般的じゃなく携帯電話もない、そんな時代が背景なら共感できないわけがない!ってなもんです。そして主人公は著者の若きころがモデルであり、フィクションと断りながら著名人も実名でポンポン飛び出すのですからそりゃあ興味をひかれますよ。当時の売れっ子になりつつあったあだち充に高橋留美子、ライバルの庵野秀明とガイナックス&ボンズの面々、矢野健太郎岡崎つぐお、そしてこれはコアミックスの社長さん? 本気出していないモードの主人公の毒舌的な漫画批評やその文化に対する風刺と相まって楽しいことこの上ない。年代的に漫画やアニメ・SF関係でネタになりそうな出来事は目白押しなので、それをどんなに面白おかしく料理してくれるのか、まだまだ楽しみです。(2011/12/30)
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    投稿日:2011年12月30日
  • 「天は二物を与えず」という諺がありますが、二物をちゃんと持っている才人もいるものです。本書『シモネッタのデカメロン イタリア的恋愛のススメ』巻末に対談が収録されているイタリア語の田丸公美子さんとロシア語の米原万里さん(故人)の二人はその代表といっていい存在です。英語の木幡和枝さんを加えて、戦後生まれのほぼ同世代に属する三人の女性がそれぞれの言語における通訳者として目覚ましい活躍をする一方で、文筆家としても秀でた創作・評論活動を展開しているのは偶然とは思えないのですが、本書著者・田丸公美子さんと親しい友人でもあった米原万里さんの巻末対談がとにかく面白い。本の読み方としてはルール違反の禁則でしょうが、巻末の二人の対談から読むことをオススメします。才ある二人の女性が気兼ねなく、素のままに、等身大のイタリア男を語り、おおらかにシモネタを語り合います。〈米原 ・・・ほら、よがり声が漏れないように寝室の壁をコルク貼りにした社長の話とか、以前田丸が話してくれたもっと赤裸々な話を入れるべきだよ。まあ、次回のお楽しみってとこかな(笑)。/田丸 イタリア男は女を見たらくどくのが礼儀とか言われてたじゃない。ところがEUに組み込まれたせいか、彼らもかなりビジネスライクになったなと思ってたの。先日仕事をした社長も、そばで訳す私に一切関心を示さなかったのよ。ところが午後、すごく美人のインタビュアーがきて、「まず来日の目的をお伺いします」と言ったら、「あなたに会うためです」(笑)。「それでは第二の目的は?」「あなたを夕食に誘うことです」(笑)。やっぱり変わってないのよ。女を選び始めただけなの。三〇年経ってやっと黒子の通訳になれたと、喜ぶべきなのかな。/米原 イタリアではセクハラをしないことがセクハラだって書いているよね。日本だと、「Aさん、今日のスーツ素敵だね、口紅も新しくしたんじゃない?」と言っただけでセクハラになる。BさんにもCさんにも言わないで、美人のAさんにしか言わないから。イタリア男は、美人だろうとブスだろうと、職場の女全員に声をかける。/田丸 だからブスも誤解してブスだという自覚がなくなり、幸せに過ごせる。〉シモネタも、才媛の手にかかれば、立派な社会論、文化論になっていきます。米原さんが「もっと赤裸々な話を入れるべき」と言っていますが、他のところで「すっごく面白かったけど、勿体ないよ。四冊くらいのネタをギューッと詰め込んでるんだもん。もっと稀釈して嘘もいれたらいいのに・・・・・・読者はお得だけど」と語っているように、田丸さんが30年の通訳生活で聞かされてきたイタリア男のシモネタがエスプリの衣をまとって、文字通り凝縮されています。しかも嘘、作り話はないというから、得はしても読んで損はありません。「実話」を一つだけ紹介しておきましょう。著名デザイン事務所の経営者ロドルフォ。名うてのプレイボーイ、百戦錬磨のイタリア男が卒倒するほど驚いたシャンパンの使用方法とは?ニューヨークの高級ホテルのバーで出会った謎のマダム。最上階のスイートルーム、一泊四、五十万円するという部屋を年間通して借りているという夫人との一夜は、ドンペリ・ロゼ3ダースをバスタブに投じた「シャンパン・ジャグジー」で始まった。〈彼女はゆっくりと舌をからませてきた。・・・・・・キスまでシャンパンの味がした。二人はそのままバスタブで愛し合った。最高に刺激的だったのは、究極の贅沢をしているという、しびれるような快感があったからだ〉嘘のような本当の話、です。なお、米原万里さんの著書『ガセネッタ&シモネッタ』も電子書籍になっています。(2011/12/30)
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    投稿日:2011年12月30日
  • 「20歳のときは焦っていた。25歳のときはさみしかった。31歳になった。――ただ怖い。」………「なにこのキャッチ怖いーーーーーーーー」と同僚にメールで送ったところ、「冒頭だけ見てキクチさんが壊れたかとおもって、寒気がしたよ!」と返ってきたキクチですどうもこんにちは!\(^o^)/2011年も残すところあとわずかとなりました。一年てほんと早いですね!寒気がします!!(((((´゚ω゚`寒)))))) さてさて、今年ご紹介する最後の作品はこちらです!⇒『このマンガがすごい!』2011オンナ編第1位!! ということで、読んでみました!ヤマシタトモコさんの『HER』。女たらしの男性客に不穏な妄想を抱く美容師、白髪のレズビアンのキスシーンを見てしまった高校生処女、母の秘密を心に秘めて“一夜限り”を繰り返す地味女…ほか、オンナたちの本音を描く可憐で獰猛な全6篇の連作オムニバス。とりあえず読んで思ったのは…女の子って怖いです…w でも、それぞれの主人公の気持ちがなんとなく理解できる気がします。いろんな女の子たちの不安や焦り、孤独や痛々しさが、鮮明に、切実に描かれた作品。この話は女性に限っていますが、実はとても人間らしい感情なのかなって思いました。転んで泥まみれになって泣きながら自力で立ち上がって走り出す。迷いながら、もがきながらも這いつくばって今を生きる女の子たちの、醜くも懸命な姿をぜひご堪能ください! それでは皆さま、また来年お会いしましょう!(●´・∀・`)ノ”よいお年を~☆
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    投稿日:2011年12月30日
  • 前回、赤塚不二夫の担当編集者によるノンフィクションをご紹介したら、赤塚ギャグを読みたくなってしまい、面白かったのでご紹介します。『ギャグ21世紀』(赤塚不二夫)は1980年代前半に21世紀を予見して、それをギャグにした「予言」のマンガです。「21世紀」とタイトルにあること自体が時代を感じさせて、ギャグの風化を心配して読み始めたのですが、のっけからやはり赤塚は天才だと思い知らされました。1話目は異常気象による食糧不足のため、厳しい食事制限をされるという話です。自由に食事が出来ない主人公は、マグロのトロやイクラの「写真」に大喜びしてギャグを繰り出します。ほかに、超高齢化社会や警察官の犯罪、捕鯨問題に某プロ野球球団の傲慢経営者など、現在の世相をブラックギャグにしたような話も並びます。全体を通すとほとんどの話がそこまで時代は進んでいない、というギャグではありますが、何度も言いますけど風化していないことに目を丸くしました。これからも、思い出したように何度も赤塚ブームはやって来るのだと思います。だって、「天才は忘れた頃にやってくる」と言いますからね。あっ、違うか。(2011/12/27)
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    投稿日:2011年12月27日
  • 主人公の泉は、美人すぎて、普通の生活すらままならないという不幸な女性。働こうとすると、女には疎まれ男はみんな泉のストーカーと化し、刃傷沙汰もしばしば発生するため、基本的に無職。美貌を自分の武器にすることができない控えめな性格、というのが泉というキャラのポイントです。作者である東村アキコさんの目の付け所、ほんとすごいです。自分の意志ではない先天的なものや環境に翻弄される人生っていう設定、魅かれませんか。すなわち『進撃の巨人』と同様です(マジかよ)。どうにもならないことに、主人公はどう向き合い、自分の歩む道を切り開いていくのか、そこに読者を惹きつけるドラマが生まれるのだと思います。一巻のラストはトリハダもの。連載が単行本になったとき、巻の終わりにこのストーリーとセリフがくるのか~っていう、この構成にしびれました。ぜひ読んでみてください~。2巻からは寸劇多めでちょっと錯そう気味な感じもありますが…。個人的には「こもも」ちゃんがキャラ的にそして造形的に衝撃で、初見で吹きました。 (2011/12/27)
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    投稿日:2011年12月27日