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  • 「朱よりも赤く、炎より深い――」それが、緋色です。陶芸の世界では、その緋色を出すことは至難の業であって、名工たちの見果てぬ夢なのです。これは『緋が走る』(原作:ジョー指月 漫画:あおきてつお)の序文からの受け売りですが、この作品は陶芸の町である萩を舞台に、緋色の器を目指す女性陶芸家の物語なのです。急死した陶芸家の父の遺志を継いだ美咲(みさき)が、陶芸の世界へ入るのですが、それは厳しく果てのない道のりで、それだけに人生をかけるやりがいもあるようです。原作者の綿密な取材の裏打ちと陶芸に対しての熱い思いが伝わってくるようです。それは、萩城の通称を表すユニークなペンネームにも込められているのかもしれません。緋色を作り出すような窯の炎のように胸を熱くさせられる作品なのです。(2013/1/8)
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    投稿日:2013年01月08日
  • 〈・・・男たちは前後から角川を挟み込み、ひとりがいきなり物もいわず、角川の両肩をつかんで局部に膝蹴(ひざげ)りをくれた。顔をしかめて前に屈(かが)む角川の頬(ほお)に拳が叩(たた)き込まれ、角川は後ろに足をもつれさせてたたらを踏んだ。「おっさん、悪いけど、きょうはゴルフどころやないで。命もらいに来た。死んでもらうで」上の歯左右に金歯の光る男が、左手で角川の肩をつかんで支え、同時に右手はベルトから拳銃を抜き出して角川の脇腹に銃口を押しつけた〉溝口敦のドキュメンタリー小説『民暴の帝王』は、関東一円に根をはる広域暴力団・稲森会幹事の角川孝が早朝、自宅前で襲われ拉致される迫力シーンで始まります。1992年に光文社カッパノベルスで出版され、翌93年には小林旭、渡瀬恒彦主演で映画化されました。著者のノンフィクション作家・溝口敦は、この作品の直前、1990年に東京都新宿区高田馬場の仕事場の前で何者かによる襲撃を受けています。山口組関係の著書が引き金となったと見られていますが(犯人は逮捕されず時効となっています)、そうした経験もあってか、暴力団など日本の裏社会、地下帝国を徹底的に追究するノンフィクション作品を世に問うてきた溝口敦が、フィクションとして描くことで「業界」の深層にせまろうと試みて、注目を集めたシリーズ第1作です。2006年には、東京三鷹市の路上で著者の長男がハサミを持った指定暴力団山口組元組員に太腿を刺されて重傷を負うという事件が発生していることからも、その著作がいかに真相に迫っていて業界にとって「危険」なものであるか、わかろうというものです。さて『民暴の帝王』です。映画では小林旭扮する「大和会理事長・江田晋」は原作では稲森会の石毛晋です。民暴、すなわち民事介入暴力で大きな力を持つ経済ヤクザですが、稲森会の名前からは実在の広域暴力団・稲川会の存在が容易に思い浮かびます。また、対抗勢力として日本最大の暴力団、大阪に本拠を置く「山内組」が登場してきますが、これはいうまでもなく山口組を想起させます。そして何より、ストーリーの根幹をなすのが、太平洋相互銀行――資金量1兆円、首都圏100店舗の相互銀行界の雄であったが、創立者の大規模リゾート施設構想が引き金となって経営危機と内紛が表面化、右翼や暴力団の食い物にされてきた――をめぐる東西の民暴の利権争奪戦争。太平洋相銀は結局、三友銀行によって吸収合併されるに至るわけですが、こうした設定は、かつての住友銀行による平和相銀吸収合併の経過がそのまま下敷きとなっているかのようで、暴力団組織同士の思惑を秘めた交渉、駆け引き、権謀術数などのディテールは、さすがと唸らせるリアリティです。民暴はいかにして、つけ狙った企業に入り込み、食い物にしていくのか――。太平洋相銀=三友銀行のゴルフ場計画に食い込もうと企む稲森会の石毛を乗せた車が非上場とはいえ宅配便で急成長を遂げたウドウ輸送本社の玄関口に乗り付けたシーン。〈石毛はノックもせずに会長室に入り込むと、いきなり立ったまま切り出した。「きょう来たのは、会社ごとゴルフ場を買わないか、と思ってね。いや、冗談。買うのは私で、あんたは名義貸しだ。会社の名前で株を買ってもらいたいし、あんたの名前で役員にもなってもらいたい。ものはゴルフ場だけど、変な会社じゃない」あずさみカントリーを所有するためのダミーは茂木が探すということだったが、石毛にしてみれば気の置けない仲間の方が便利である。あずさみ開発社長の名義人としては有働がよかろうと石毛は考えたのだった。(中略)石毛は茂木信夫が持ち込んできた話をかいつまんで有働に伝えた。ウドウ輸送は宅配便で急激に伸びている会社だから、社会的な信用という点では問題がない。有働には否も応もない話だった。石毛のいうことなら何でも聞く金庫みたいな存在である〉自らは経済活動の表にはけっして出ることはなく、一般社会で堂々と活動できる企業経営者を名義人として裏で操るようにして利権を手にしていく。いうまでもなく、これは第一歩で、利害が衝突する邪魔な存在が現れれば、あらゆる手段――暴力の行使も含めて――を用いてこれを排除することもいとわない。いまや民暴は一般社会と切り離された特別な世界ではありません。見るからに暴力団員という存在ばかりではありません。どう見てもできるビジネスマンという存在が知恵も暴力(力)をもつ民暴であったりする時代。あなたの隣にある危機、民暴の世界を描く迫真作。大きな文字で読みやすい小学館eBooksから2012年秋にリリースされた注目書です。(2013/1/4)
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    投稿日:2013年01月04日
  • この作品が大ブレイクした当時、モデルになった北海道大学能獣医学科の受験者が激増したそうで。バブルのしっぽの時期でもあって、シベリアンハスキー犬を飼うことがブームにもなってましたね。で、少し落ち着いたころに、ドロップアウトした人が多かったとか、犬が大きくなりすぎて困ったとかというオチがあって…。私も相当ハマっていたので、流行ったころが受験前だったら、下手をすればこの人たちと同じ運命だったかもしれません。チョビみたいな大型犬と遊びたいなあとか、こんな感じの人と研究できたらいいよなあ、とか本気で思ったかも。ただ、そのころ私は同じように生き物を扱う農学部に在籍しており、変に憧れるところがないぶん、けっこう冷静に読んでいた気がします。特に登場人物の個性的な設定については、菱沼さんや漆原教授みたいな人が身近にいたこともあり、実際いたらとんでもなく迷惑、と実感してましたから。むしろ、そんな人たちをコミカルに描けるなんて、漫画恐るべし!と感じた作品です。きっと『銀の匙』でも同じような現象が起こるんだろうなあ…。(2013/1/4)
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    投稿日:2013年01月04日
  • 高久尚子さん大好き!ヽ(=´▽`=)ノ これはねえ~…ホント色々面白くて笑い転げましたよwww 服の上からでも下半身を見ただけでアソコの形や大きさまではっきりと鮮明にわかる包茎整形治療の名医・犀川千博が、ケータイショップの販売員・浅野歩の「絶世の美チン」に一目ぼれ!! …という、とても斬新なお話です…!!!!(* ̄∀ ̄) 千博は「君(のアソコ)は世界一美しい」と猛烈にアプローチするけど、歩は複雑な気持ちで素直に喜べなくて…!? うーん、これだけ書くと完全にギャグだよなあwww でもこれコメディとしても(!?)すっごい面白いんです!! 千博の歩に対する(下半身にだけではない)愛もちゃんと伝わってきますよ!W そして名医だけあって、アソコのお取り扱いはお手のもの…(笑) 歩は幸せ者ですね~(*´∀`*)ウハウハ しかしそんな幸せな歩にも悩みは尽きない! 千博は仕事で毎日、他の下半身と接しているし、中には美チンもいるわけで…いつ他の下半身に目移りしてしまうかと、心配でたまりませんw でも大丈夫! 千博は醜い下半身を見る毎日にうんざりし、歩の美しい下半身とかわいい笑顔に癒しを求めているわけで…うん、てかやっぱ書くとギャグだなあwww いえいえ、でもちゃんと恋愛の切なさも甘さも、エロも萌えもあってホントに面白い作品でオススメです!D=(´▽`)=b♪
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    投稿日:2013年01月04日
  • 三ノ輪生まれということもあってか、荒木経惟氏は東京の街並をよく撮影しているように思います。この『東京風』に収められているのは新宿、池袋、六本木、浅草の街と外国人労働者を中心とした人々の日常です。撮影されたのは1992年。繁華街の風景は今よりももっと猥雑で混沌とした印象を受けます。石原慎太郎さんが「ゲロのような街」と表現した東京の街もこの20年で少しは洗練されたのだな、と感じます。そんな猥雑な世界にあって、そこに写る人々の表情にはどこか間が抜けていて微笑ましい印象をうけるのは、荒木さんの力でしょうか。好景気のなせる業なのでしょうか。ここに笑顔で写っている人たちは今何をしているのだろう。故郷へ帰ったのだろうか。どこかでこの時代の生活を懐かしんだりしているのだろうか。「東京」のアウトサイダーであり、一方で当時の「東京」を象徴するような存在だった外国人労働者たちの日常の姿を見ていると、ついそんな想像をしてしまいます。(2013/1/4)
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    投稿日:2013年01月04日
  • 老嬢――「未婚のまま婚期を過ぎた女。年とった未婚の女。オールドミス。老処女」と辞書(日本国語大辞典)にあります。林真理子『初夜』は、そんな老嬢の人生を描く11の物語からなる短篇集。東京から急行で2時間ほどの地方都市に暮らす老嬢の、鬱屈した生活、心の奥底に秘めた思いを見つめる林真理子の視線は、表向きの笑顔に隠されたオンナの本音を射貫いてみせます。「女は恐い」という言い方がありますが、独身アラフォーのどこにでもあるような日常をさりげなく描きながら、密やかにしまい込まれていた本音が出口を求めて蠢くような、彼女たちの物語を読み進めていくうちに、この「女は恐い」という言葉がゾッとする思いとともに浮かんできました。なかでも9番目に収録されている『帰郷』が出色です。東京での暮らしに区切りをつけて生まれ故郷の町に帰ってきた幼なじみの二人の葛藤を通して、オトコには見えてこないオンナという生きものの奥に潜む悪意を描き出して不気味です。〈私は子どもの頃から松子が大嫌いであった。彼女も私と同じぐらい、いや、それ以上に私のことを嫌っていた。その原因に名前のことがあると誰かが言ったものだ。彼女の松子という名前は、当時の田舎でも珍しいほど古めかしいものであった。松子は私の“絵里果”という名前に激しく嫉妬したらしい。他の友達のようにエリカちゃんとは呼ばず、エッちゃんとわざと平凡に発音した。そんな私たちがどうして一緒に遊んでいたかというと、そのあたりで同い齢の女の子は私たちだけだったからだ〉二人しかいない同年齢の友だちだが、自分の古めかしい名前に比べていまふうの名前が羨ましいを超えて妬ましくてしょうがない、だからみんなと同じように「エリカちゃん」とは呼ばず、平凡に「エッちゃん」と呼んだというのです。子どものときから、底にある種の感情を秘めながら表向きは友だちとしてフツウに遊ぶ二人に、忘れられない事件が起きます。暑い夏の日、遊びに来た絵里果を松子は川原に行こうと誘います。真新しい大人もののサンダルを借りて履いた絵里果が川に入っていった時のことです。〈私はスカートの裾をさらにたくし上げ、そろそろと真ん中に向かって進んでいった。大人もののサンダルは、私の足に合わず、非常に歩きづらい。一歩一歩踏みしめて歩く。水の冷たさが、私たちの遊んでいた小さな流れとはまるで違う。底の石も意地悪く尖(とが)っていると思った瞬間、私は流れに足を取られた。私はとっさに近くの岩に手をついた。水が太ももから入り、下着まですっかり濡らした。気がつくと左足の裏にしっかりとした石の感触があった。目の前を赤と白のサンダルがぷかぷかと浮いている。手を伸ばしたが届かなかった。サンダルは急にスピードを早め、水に抱かれて進んでいく。夏の光の中、それはまるで悪夢のようであった。映画の一場面を見ているようで、とても現実のこととは思えない。大人のものを勝手に借り、それを紛失してしまったということに、ようやく私は気づいたからである〉松子の母はサンダルのことを聞くなりいきなり娘をぶった。絵里果の目の前で、松子の髪をつかんで思いっきり打擲(ちょうちゃく)した。許してと泣き叫ぶ松子。絵里果も体を震わせて泣いた。おばさん、許してあげて。悪かったのは私なの。ぶつなら私をぶって・・・・・・。〈いま思い出してみると奇妙な出来ごとであった、新品といっても、たかが普段履きのサンダルである。後に私の母親が新しいものを買ってわびに行ったが、近くの下駄屋で似ているようなものをいくらもしない値段で買えたという。松子の母親はどうして私の目の前で娘をあれほどまでに折檻したのだろうか。そして激しく泣き叫んだ松子。あれは私をいたぶるために、母子で仕組んだ芝居だったのだろうかとふと思うことがある〉中学、高校と進み、離れていった二人が、それぞれの事情をかかえて故郷の町に戻ってきます。そして松子の末娘・理沙が、絵里果が開いた英語塾に入室して、二人の思いが再び交錯します。松子はたくさんのものをもって町に帰ってきたという絵里果の嫉妬心。絵里果の前に、保育園の黄色い帽子を被った理沙の姿。「先生」と近づいてくる理沙。〈「理沙ちゃん、川原に行こうか」こっくりと頷いた。(中略)川原の水は冷たい。濃くなった闇の中でいっそう冷たく感じる。理沙は私に寄り添って傍らにいる。私が水の中に手を入れると真似て小さな手を入れる。「もっと真ん中まで行ってみようか」〉恐るべし、女の制御できない悪意――。(2012/12/28)
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    投稿日:2012年12月28日
  • おそらく最初に読んだ少年誌掲載漫画の単行本だと思います。小学生高学年のころかな?友達の家に7巻ぐらいまであって、遊びに行くたびにみんなでむさぼるようにまわし読みしていました。この作品を見て、子供ながら東京の下町に憧れましたっけねえ。その影響は後々まで残っていて、上京したとき、まず最初に浅草見物にいったほどです。そんなこともあり、かなり思い入れのある作品。特にお気に入りは幼少のころ読んだ初期の劇画タッチの時代です。当時、両さんは現在のキャラとは違っていてワイルド、というよりもバイオレンス警官。消えてしまったキャラである、どこから見ても反社会的勢力の人のような戸塚とともに、はちゃめちゃな行動をしていたものです。両さんに憧れるタバコ屋の娘・佐々木洋子なんてのもいて、どこか映画の寅さんチックでした…。とか言いながらも、機会あるごとにちょこちょこと現在まで読み続けてるんですけどね。せっかくこんなにリリースできたのですから、未読のエピソードをつぶすために、少しずつ読んで完全制覇を目指すことにします。(2012/12/28)
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    投稿日:2012年12月28日
  • 古代遺跡などが存在する有名な観光地に行くと必ずといっていいほど「日帰り遺跡巡りツアー」なるものが存在します。僕は歴史に興味がないというわけではないのですが、過去に遺跡を眺めて興奮した、楽しかった、という経験があまりないため、今日までほとんど参加したことがありません。本書は若かりし立花さんが40日間に渡ってギリシャの島々を訪れ、そこに点在する遺跡の数々を巡りながら感じたこと、考えたことが美しい写真とともに綴られています。その中で遺跡の楽しみ方、というものを立花さんはこう言っています。「遺跡を楽しむのに知識はいらない。黙ってそこにしばらく座っているだけでよい。大切なのは、「黙って」と「しばらく」である。できれば、二時間くらい黙って座っているとよい。そのうち、二千年、あるいは三千年、四千年という気が遠くなるような時間が、目の前にころがっているのが見えてくる。抽象的な時間ではなく、具体的時間としてそれが見えてくる。」 なるほど、遺跡を楽しむにもコツがあるようですね。今までもったいないことをしていたのかもしれません。そのほかにも、ただの旅行ではない、立花さん流「思索紀行」のコツがたくさん入っています。
    それと、この電子書籍版『エーゲ 永遠回帰の海』には電子版のみの特典として、「立花隆 エーゲを巡る」と題した増補写真集(50ページ以上!)も巻末に収録されています。eBookJapan編集部が選び抜いた「思索の旅」を語る写真たち。こちらもどうぞお楽しみください。(2012/12/28)
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    投稿日:2012年12月28日
  • 組織として結果を出すために、組織を統率するリーダーに必要な資質とは何か?経営者、部長、課長、バイトリーダー等役職のレベルの違いはあれ、仕事で責任を持つ立場になったタイミングで、誰しも考えるのではないでしょうか?積み重ねた経験、決断する意思、豊富な知識、詳細に分析する能力などが頭に浮かびますが、もっと基本的なことがあることを気づかせてくれたのがこの作品です。低迷が続いているかつて所属していたプロサッカーチームの監督に招聘された達海猛。組織として結果を出すために達海猛が行ったことは選手・スタッフ・サポーター・スポンサーなど携わる人々すべてに対して「関心」を持つことでした。「関心」を持つことで、それぞれの人々の思考・感情・プライドを知り、組織を統率していきます。「関心」の持ち方、それを活かす手法などビジネス書では得られないマネジメント実践方法を学べる作品です。(2012/12/28)
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    投稿日:2012年12月28日
  • 1995年のある日の深夜のことです。その男性は人生で初めて抱腹絶倒という状態を体験しました。彼は深夜、コンビニでアルバイトをしていましたが、地方都市ということもあってか、ほとんどお客様はおらず、手持無沙汰になったので、売り物のヤンマガを手に取り、絵のタッチが独特ではあるが、セリフが少なく読みやすそうなこの作品を読み始めました。様々なマンガを読んできた彼にとっても史上最高に笑える作品で、彼以外誰もいないコンビニに彼の高笑いがこだましました。ちなみにこの男性とは、当時18歳であった私です。この作品は日頃のストレスを発散させる笑いの力が満載ですので、過度なストレスを覚えている方々にオススメです。作品の舞台は中学ですが、中学生には刺激の強い場面数多くあるので、私の子供には中学を卒業してから読んでほしいと切望しています。
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    投稿日:2012年12月28日
  • 今は亡き有名なオペラ歌手の娘として、明るくまっすぐな性格をもつ資産家の娘・麻見史緒と、貧困の中で育ち、暗くネガティブな性格をもつ緑川萌。正反対の二人の少女がオペラ歌手を目指す…一条ゆかり先生の描くドラマチック・ラブ&バトルです! う~ん、とにかくドロッドロの女の戦いの世界です…怖いです…。゜ヽ(゜´ω`)ノ゜。主人公の史緒はプライドが高い世間知らずのお嬢様でしたが、父の会社が倒産したことを機に、今まで自分がどれだけ恵まれた環境の中で育ってきたかを知ることになる。厳しい世間に揉まれ、次第に人間味あふれる女性へと成長していきます。一方、萌は、片親で母に愛されずに育ち、金と男にだらしない母親を殺したいほど憎んで生きてきた不幸な貧乏少女。自分とは正反対の史緒と出会い、なんでも持っている彼女を妬み、憎むようになっていく。不幸な生き方をしてきた萌のオペラは人間味にあふれ、技術はいまいちだが感情表現が非常に豊かで、聴く者を自分の世界に引き込み、圧倒する力強さを持っている。史緒のオペラは、歌手としての技量はかなりのものだが、感情に乏しく、綺麗なお人形のような歌い方。互いの欠点を補い合い、ともに成長し、認め合っていく二人の姿は必見です…!誰も予想できなかった衝撃と感動のラストを見逃すな!!
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    投稿日:2012年12月28日
  • アウターゾーン……それは現実世界の外側に存在する世界。謎の美女ミザリィが、あなたをこの奇妙な世界に誘います。一話完結タイプのオカルト、ホラー作品。少年ジャンプ連載当時は、他の連載作品とは趣が異なっていて、毎週楽しみにしていました。お色気シーンも意外と多いですしねw あんまり怖すぎないところがちょうどよい感じです。超能力や魔法、幽霊っぽいものや怪物などなど、毎回趣向を凝らしたものが出てきて飽きません。人の心の闇を描く毒のあるストーリーが多くて、そこがツボなのかも。 (2012/12/25)
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    投稿日:2012年12月25日
  • 原作者の青木雄二は『ナニワ金融道』が代表作として知られていますが、『桃源郷の人々』は青木の自伝的な内容として描かれた小説のコミカライズです。「桃源郷」というからには、俗世間を離れた素敵な理想の土地をイメージしがちですが、ここで描かれている「桃源郷」とはどんな場所でしょうか? 第1話の見開き扉絵で描かれているのは、橋のたもとで自由に暮らす人々の生活…勘のいい読者なら「桃源郷」の正体がピンとくるかもしれません。少しだけあらすじをご紹介すると、四色印刷会社社長の元木が印刷を請け負っていた大型スーパーの倒産によって連鎖倒産に陥るハメとなって、 「桃源郷」の村長と助役の力を借りて窮地から逃げようとするのですが…。社長はどんな風に逃げるのか、逃げるまでのプロセスと、社長のその後を最後まで追い続けてください。それにしても「桃源郷」というものは、人それぞれによって、こんなに違うものだと思わされました。(2012/12/25)
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    投稿日:2012年12月25日
  • 2012年に出版された本で、唯一100万部を突破してミリオンセラーとなった『聞く力』。著者の阿川佐和子さんは作家・阿川弘之の長女で、エッセイスト。「週刊文春」の連載対談企画はなんと900回を超え、土曜朝のテレビの対談番組も好評。いまや「対談のスペシャリスト」となった著者が「対談企画」を始めた時、つまり「初心」に立ち返って、人から話を聞くということについて考え、悩み、失敗を繰り返しながら、「聞き上手」の境地にたどりつくまでをまとめたのが本書『聞く力』です。阿川佐和子さんは、なぜ、人の話を上手に引き出せるのか。彼女が相手だと、どうして人は気持ちよくしゃべってしまうのか。「週刊文春」の対談企画がスタートする前に別の雑誌の企画で今は亡き作家・城山三郎にインタビューした時に「聞き上手」の大事さを知ったと、阿川さんはこう書いています。〈初対面だった城山さんにご挨拶をすませると、私はさっそく、「ご本(引用者注:『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』)、とても面白かったです」と申し上げました。遅読の私にしては珍しく読了して、本当に面白かったと感動していたからです。その本は、ビジネスマンとして成功を遂げたカナダ人の企業家が、これから社会でもまれていく息子に宛てて、ときに厳しく、ときに愛情深く、あるいはウイットを交えて、仕事や人生についてのさまざまなアドバイスを綴ったものでした。「面白かった」と発言した私に城山さんはニッコリ微笑みかけて、シワシワの顔でおっしゃいました。「そう? どこが?」え、どこがって言われても・・・・・・。読んだのは事実ですが、的外れなところを指摘したら、ご機嫌を害されるかもしれない。どこにしよう。なんと答えよう。「えーと。これは父親が息子に宛てた手紙という形になっていますが、女の私が読んでも納得できる教訓がたくさんありました。ビジネスマン向けアドバイスというよりは人間としてどう生きるかという根源的に大切なことがたくさん鏤(ちりば)められていましたし。だからこれはビジネスマンだけでなく、女性でも子供でも、誰が読んでも面白い本だと思います」「そう、あとは?」あとは? もっと言わなきゃいけないの?「あと、そうですね。最後のエピソードが好きでした。むさぼらない。どんなにお腹が空いていても、人を押しのけて料理を取ろうとするなんてみっともない。人生も同じだ。どんなに欲しいと思っても、まわりを押しのけて手に入れようなんて下品な真似をしてはいけないという、あのエピソードが心に残りました」すると城山さんは、「いい読者だねえ」とニコニコなさる。なんだかもっとニコニコしていただきたくなって、「あとはですねえ。あの章の・・・・・・」と話しているうちに、気づきました。そうだそうだ、今日は私が聞き手だったんだ。喋っている場合じゃない〉インタビュアーの立場に帰ろう帰ろうと意識すればするほどに、ニコニコ顔の城山三郎先生のさりげない返し技に、阿川さんはとうとうと喋りだしてしまいます。気がついてみれば、熱中症でお腹を壊して唸って寝ていたとき――ふすまの外で母に向かって父が「産婦人科を呼べ、産婦人科だ!」意味がわからず、後日、腹痛が治まってから「あれはどういう意味ですか」と父に抗議すると、フンと一つ鼻で笑って、「女が腹が痛いといやあ、相場は決まってる」と一言。つい、ああ、そうなんだと納得してしまったという秘話まで明かしてしまっていた始末。反省しきりの阿川さんでしたが、このとき城山三郎の「聞き上手」ぶりに気づいたことが、のちの長寿対談連載の出発点になりました。〈城山さんのどこが、聞き上手なのだろう。城山さんは私の前で、鋭い突っ込みや、こちらがドキッとするような質問はなさいませんでした。ただひたすら、「そう」「それで?」「面白いねえ」「どうして?」「それから?」と、ほんの一言を挟むだけで、あとはニコニコ楽しそうに、私の世にもくだらない家庭内の愚痴を、穏やかな温かい表情で聞き続けてくださったのです。「そうか!」私は合点しました。(中略)私にできることがあるとすれば、城山さんほど穏やかな優しい性格にはなれないけれど、本当は知識も教養も豊富なのにそんな気配をおくびにも出さぬ「能ある鷹」の城山さんとは比べものにならないけれど、でもとりあえず、面白そうに相手の話を聞くことくらいはできるはずだ。いや、それしか私に打つ手はないと思ったのです〉「城山さんを目指す」を目標に連載対談を始めた阿川佐和子が「聞き上手」になるまでのノウハウがたっぷり詰め込まれた優れもの。一度は目を通しておく価値ある一冊です。(2012/12/21)
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    投稿日:2012年12月21日
  • 何年も文字を扱う仕事をしていてもちっとも文章がうまくならず語彙も少ない私にとって、言葉を巧みに操れるこの著者のような存在に出あうと、心の底から嫉妬してしまいます。虚と書いてホロウと読ませたり、破面と書いてアランカルと読ませたりといった、漢字のイメージを外国語と被せる表現や、和洋中取り混ぜた登場人物の名前など、真似ようったってそうそうできませんよ。そしていちばん凄いと思うのが、ものの見事にその体を表す斬魄刀のネーミング。刃が繋がった鞭状の刀である蛇尾丸(ざびまる)、刀身が無数に出現する千本桜、疋殺地蔵(あしそぎじぞう)に清虫(すずむし)、双魚理(そうぎょのことわり)、そして主人公・黒崎一護の斬月。見ただけで何となく能力がわかるし、音の響きが心地よい。ただただ感嘆するばかりです。それともうひとつ特筆しておきたいのが、詩的な表現のかっこよさ。海外小説のように話の冒頭にさりげなく配置される詩や、コマの間のモノローグ。少年漫画ではあまり見ないクールな表現だと思いませんか? そのセンスを少しでいいから分けてもらいたいです。(2012/12/21)
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    投稿日:2012年12月21日
  • な、なつかしい・・・!(。´Д⊂) 春抱き!! この作品で私は攻×攻&リバに目覚めました(笑)w 思い出深くて大好きな作品です!\(^▽^)/ やっぱり初期は絵が古いですが、読み応えは抜群です! 題材がAV男優同士の話なのでとにかくエロスエロスエロス!!! 映画のオーディションで主役を決める為にSEXをすることになった岩城と香藤だけど…!? 冒頭からいきなりこんな話ですが、これがまた見応えありましてね~…( ̄ー ̄)ニヤリ☆ 是非皆さんの目で確かめてください!!(*▼ω▼)ノ はじめはいったいどっちが受けなの!?って思いながらハラハラ読んでましたが、うん、なんか納得です。リバもありますけど、これなら苦手な方でもすんなり読めちゃうんじゃないかな!(^∇^) 軽くはなくてむしろ濃厚だけど、なんかリバでも自然です、この二人なら。岩城さんが男らしくてカッコいいのに、ツンデレで天然で乙女で可愛い!! これは香藤くんがメロメロになるのわかるわ~(=´Д`=) 恋をしたことのない岩城さんが、香藤と触れ合うことによって変わっていく…。互いの愛の深さが表現された名作です。そして見事なバカップルですね!愛しいわw 萌えももちろんあるんだけど、「男同士の恋愛」における精神的な繋がりというか、二人の絆を強く感じますね。相手が笑っていて幸せであることが、自分の幸せになる。これぞまさに究極の愛です!。゚ヽ(゚´Д`)ノ゚。 (2012/12/21)
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    投稿日:2012年12月21日
  • 世のおじさんを元気にしてくれるヒントが、てんこ盛りにされたマンガがリリースされました。「四十路(しそじ)を超えた男に残された最後の生きる力」、それがこの本のタイトルでもある『じこまん』(玉井雪雄)です。自転車マンガの名作『かもめ☆チャンス』を描く著者のモチベーションというか、自転車愛を余すところなく描いた作品なのです。「子曰く 四十にして惑わないのは 自己満足のみで生きる術を体得するから」…自転車に乗らない人でも、こんな世界があるんだと十分楽しめる本です。なにより、読んでいて面白いのは『かもめ☆チャンス』同様に胸に染み込むような金言がほとばしっていることです。「実体験こそ最もじこまん度は高い!」なんて言葉は、その道のじこまんを突き進むきっかけを端的に表していますね。事故防止テクニックやサイクリングロードの乗り方から富士ヒルクライムまでのチャレンジまで描かれているので、いっそのこと本書を手がかりに自転車じこまんするのもいいかもしれません。(2012/12/18)
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    投稿日:2012年12月18日
  • クレイモア=大剣。人間を捕食する「妖魔」を狩る女戦士たちが、一様に大剣を帯びているため、人々は彼女たちをいつしか「クレイモア」と呼ぶようになった。「妖魔」に対抗する力を得るため「妖魔」の血肉をその身に取り込んだ半人半妖である彼女たちは、人々を守る存在であり、同時に人々に忌み嫌われる者たちでもあった。さらに、力を使いすぎると彼女たちもまた妖魔になってしまう──。過酷な宿命を背負った「クレイモア」の戦いを描くファンタジーですが、そうとうえげつないストーリーです。絶望的な状況が絶え間なさすぎて、読む方もしんどいほど! クレアがんばれーって応援しながら読んでますよw 最後はハッピーエンドであってほしい、と願わずにいられない。。超読み応えあることはお約束しますが、気軽に読んでみてーとおススメできる作品ではありません! 重いです! 覚悟してお読みください! (2012/12/18)
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    投稿日:2012年12月18日
  • キン肉マンで忘れられないことがひとつあります。それは学生時代に年賀状配達のアルバイトをしていたときのこと。なんとその年の小学生男子の年賀状のすべてにバッファローマンが描かれていたのです。ちょうど丑年だったからでもありますが、このように私より少し下の世代で爆発的人気を博した作品。かくいう私も超人募集に応募したなあ、なんて思っていたらいつのまにか連載終了から24年もたっていて、途中短編や『キン肉マンⅡ世』を経て、2011年に本編復活!となるのですから、人気作はホント強いです。この続編、「このマンガがすごい!2013」の7位に入っていることからもわかるように、かつての悪魔超人編からの神展開を思わせる内容。『キン肉マンⅡ世』で指摘されていた展開の遅さをまるで感じさせない、往年のスピード感が蘇っています。残念ながらこの新章は2012現在、電子化されていませんが、まあそのうち出ることでしょう。それまではこの36巻までをもう一度読み返して、あのころのワクワク感に浸っておきましょう。思わぬ伏線を見つけることもあるかもしれませんよ。(2012/12/14)
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    投稿日:2012年12月14日
  • いくえみ綾先生といえば私が子供の頃から活躍されてる漫画家さんなので、懐かさと嬉しさで内容も確認せずに思わずダウンロードして一気に読みましたが、これがすごく面白い…!! いつまでも色褪せないどころか、確実に時代に合わせてパワーアップしてるなんて流石です、いくえみ先生。これを機に電子化されてるいくえみ先生の作品を全て読破してしまったw全部面白いよどうしよー!さて、こちらの『潔く柔く』、「いさぎよく」ではなく「きよく」って読むんですね!女子高生を中心とした登場人物それぞれの成長と、日々の恋愛模様を数話完結のオムニバス形式で描いた作品です。全ての話の中で登場人物の関係性が繋がってるんですが、それを理解するのに一苦労でしたwが、理解すると物語に深みが出て一層面白い!! うーん、まさに「人に歴史あり」ですね。人にはそれぞれ過去があって、今がある。生きてきた過程があって出会ってきた人たちがいる。そしてそれはどこかで繋がっている。「人生」ってそういうことですよね。オムニバスなので、毎回「誰か」が主役なんですが、やっぱりカンナとハルタの話が印象的でしたね。ハルタは15歳で死んでしまったけど、カンナは生きてる。遺された方は辛いけど、生きてるからご飯も食べるし寝るし仕事しなきゃいけないし、普通に生活していかないといけない。罪を抱えて一生、生きていく。それでも幸せになる権利は誰にでもあるはずです。みんな幸せになってくれて本当に良かった。作品全体をとおした大作なので、ぜひ一気に読んでください!
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    投稿日:2012年12月14日
  • 昔、「三匹の悪ガキ」と呼ばれていた「三匹のおっさん」――還暦に達したものの「おじいちゃん」扱いされるのは納得がいかない、幼なじみの「おっさん」三人組が「自警団」を結成して、わが町に巣くう「悪いやつ」を、次から次へと懲らしめていく、痛快活劇。一話読む毎に気分爽快、ストレスが発散されます。映画化された『阪急電車』もそうでしたが、有川浩は私たちの身の回りに生起する「悪」にバッサ、バッサと斬りつけていきます。手前勝手で傍若無人な振る舞いを小気味よく退治していく「三匹のおっさん」の痛快活劇を読んだ後――なんだか、体の内が暖(あった)かなものに満たされていくような気になっていくのは私だけでしょうか。まちがいなく、面白い小説です。活劇の主役、アラ還の幼なじみ三人組のキャラクター設定がサイトに表示される紙書籍のカバーや一話から六話までの章トビラのイラストそのまま、それぞれ際立っていて実に巧み。背が高くて痩せているのが、「キヨ」こと清田清一(きよたきよかず)。会社勤めのかたわら、父親が遺した剣道場を守り近所の子どもたちに剣道を教えてきたが、定年退職後に系列会社のゲームセンターの経理をみる嘱託仕事に就いた。ガタイがよくてガニ股、太いまゆげがつながっているのが、「シゲ」と呼ばれる立花重雄。こちらは柔道歴が長く、いつも黒いジャージ姿。赤提灯「酔いどれ鯨」を数年前に息子夫婦に譲って、サブの立場に下がった。そして三人目が有村則夫。脱サラして工場を自営する機械屋のノリさんは奥さんに先だたれて、娘の早苗を一人で育ててきた。武道派の二人に比べれば小柄で弱そうに見えるが、スタンガンの改造や、指向性の強い集音マイクをさらに高度化してスパイ道具に作り替えるなどお手の物という。考えようによっては三人のなかで最も危ない存在であり、かつ“参謀役”でもあるのが則夫です。この「三匹のおっさん」が還暦を過ぎてありあまる時間を有効に使おうと結成したのがボランティア自警団。二人一組になって町内パトロールを始めたキヨの携帯にSOSが入った。〈「――もしもし、ジーサン? みどり公園の前で自転車が倒れている。荷物が散らばっているのに持ち主がいなくて、荷物の中には栄女子高のナイロンバッグがある」それだけ報告して祐希は電話を切った〉祐希はキヨの孫で高校生だ。公園の植え込みの陰に窺えた光景は――制服のブラウスを引き裂かれた女子高生が、黒のジャージの大男に馬乗りになられて組み伏せられていた。花壇の柵に使われていた鉄パイプを手に大男に近づいた祐希が「待てぇっ!」と声をかけた。遠目に分かったが腰は振っていなかった。押し倒された姿勢から見上げてきた女の子の顔が希望に輝いた。間に合った、祐希がそう思った瞬間、「待つのはお前だ」背中から声がかかった。連絡をうけて駆けつけてきた三匹のおっさんだった。〈「加減できずに障害沙汰になるか、その物騒な棒切れを持て余して一方的にやられるかどっちかだ」それでも――あんたたちが来るまでの時間は稼いだろ、不満が表情に出たのだろう、清一は苦笑した。「どっちにしろこの局面はお前の出る幕じゃないんだ。その子を家まで送っとけ」(中略)「よっ・・・・・・くもウチの娘を・・・・・・」怒り心頭に発した則夫の声に、男があからさまに侮る顔になった。そして男が地を蹴った。標的は則夫だ。組むまでもなくタックルで突破できると踏んでか、肩を前に出した姿勢で突っ込む。接触の寸前、則夫の上着が例によって翻(ひるがえ)った。「則夫・エレクトリカルパレ――――――ドッ!」バシッと電流の弾ける光が青く躍った。しかも――則夫が男に叩き込んだのは両手だ。男はそれこそひとたまりもなかった。突っ込んできたままの勢いで地面に突っ込んだ。「成敗ッ!」「お前・・・・・・殺してねえだろな」重雄の呆れた口調に則夫はまだやり足りないような顔で憤然と答えた。「俺がそんな下手な武器を作るもんか。殺さないように一本は威力を下げたスタンガンにしたんだよ〉祐希の機転もあって早苗が危ういところで難を逃れた強姦未遂事件。体格もよく、武道の心得もある犯人は早苗の前までに少なくない被害者を襲っていたという第二話を含め全六話すべて、文句なしに面白い!「悪」を懲らしめていく「三匹のおっさん」の痛快活劇としてだけではなく、アラ還世代、その息子世代、そして高校生の孫世代の三世代による家族の物語として読んでも、面白い。とくにキヨを「ジジイ」「ジーサン」と呼びつつ、父親とは違う形で心を通わす祐希の存在が物語をいっそう豊かなものとしています。「おっさん」世代だけでなく、世代を超えて読んでもらいたい本です。(2012/12/14)
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    投稿日:2012年12月14日
  • この日が来るのを待っていました!! 空前絶後の大ヒット漫画『DRAGON BALL』がついに発売です!!! みなさん十分すぎるほどご存知ですよね。孫悟空の大冒険! 夢いっぱい! 感動いっぱい! そして、あの究極のバトルの数々! もう楽しすぎですよね。わたしは年末年始にとっておいてじっくり読みたいと思います!! みなさんはどうされますか!? (2012/12/11)
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    投稿日:2012年12月11日
  • 総勢20名以上のマンガ家が参加し、共通した世界観のもとにヒーローマンガを創出し、他作家のヒーローとクロスオーバーする…それが「ヒーロークロスライン」。『童子装甲BEE』(おとといきたろう)で描かれているヒーローは野球が大好きな少年・古田翔人(しょうと)がお地蔵さんと合体して変身、悪者ノッカーズを撃退するという物語。当初、お地蔵さんに翔人が見いだされてBEEというヒーローに変身していたため、翔人自身はBEEが善なのか悪なのかがわからず悩みます。物語が進むにつれて、BEEの正体が解き明かされ、『ジエンド』『ギャラクティックマンション』等のヒーローも登場し、ヒーロークロスラインの醍醐味がふんだんに満喫できます。大変残念なことは、この『童子装甲BEE』が電子書籍化されてわずか1週間ほどして、闘病を続けていたおとといきたろう先生が亡くなったことです。ただ、電子化したことによって作品とキャラクターはずっと生き残り、いつの日かヒーロークロスラインの他のマンガ家が、BEEをクロスオーバーさせるのではないでしょうか。おととい先生のご冥福を心からお祈りします。(2012/12/11)
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    投稿日:2012年12月11日
  • 『自動車絶望工場』を初めて書店店頭で手にしたのは、1973年12月。出版間もない時で、当時私は「週刊ポスト」で編集の仕事を始めて1年半がたっていました。初めて目にした「著者・鎌田慧」は、数ページを読み進んだだけで忘れられない名前となりました。〈「やってみいんかい」きょうは初日だから、ゆっくり見学するはずだったが文句もいえず手袋を受け取った。新しい手袋をもらうのは、なにかうれしい気もした。コンベアの上の、回転式のテーブルに据(す)えられてミッションケースが次から次へと流れてくる。そのケースにさまざまなギアを取り付けて、ボルトで固定するのが、僕に与えられた仕事だ。二十二、三歳の痩(や)せた青年が手際よく取り付けながら、手順を教えてくれる。名札を付けたかれの帽子のうしろが敗れ、針金(はりがね)で結ばれている。ぼくがかれの後任者(こうにんしゃ)になったのだ。さっきまで、ゆっくり回っているように見えたベルトのスピードは実際自分でやってみると物凄(ものすご)く速い。ひとつの部品をはめ込まないうちに、もう自分の身体は隣(とな)りの労働者のポジションにまで流されている。あせってもどうにもならない。できないうちに隣りまで流れ込んでも、ベルトは止まってくれない。ぼくの前任者の青年が跳んで来て遅れを取り戻す。とにかく、仕事がなんにもできないうちに、取り付けるべき数多くの部品のひとつだけで手こずっているうちに、新しいケースがもう流れてくる。そのうち驚くべきことに気がついた。流れて進むケースをみつめているうちに、それが逆に動いているように見えるのだ〉1972年9月、当時34歳のルポライター鎌田慧さんは、愛知県豊田市のトヨタ自動車のベルトコンベアで働き始めます。8月27日付けの東奥日報に掲載された「従業員募集」の広告を見て応募した鎌田さんは、青森の職安で行われた面接で採用が決まって、9月12日名古屋駅前の集合場所に赴きました。季節工として翌年2月までの契約で、上記引用は入社して寮に入った鎌田さんが身体検査という名の「体力検査」――跳んだり、しゃがんだり、片足で立ったり、両手を伸ばして曲げたり、指を動かしたり、足首を上下に動かしたりさせる――を経て初めて本社工場のラインに立った時の様子です。募集から2、3週間で集められた季節工は、「体力」に応じて各種の工場に振り分けられて、そのまま現場に投入されるというわけです。季節工8818639となった鎌田さんは9月18日朝5時に起床、工場まで40分歩いて、「ミッション組付コンベア」のラインにつきます。6時に始業。ベルトが動き出すと11時までの5時間、一度も止まることなく、正確に1分20秒ずつ組み立てるべきミッションが流れてきます。正確に、というより、冷酷に、というべきだ――として、鎌田さんはこう綴っています。〈一一時にラインが止まると、手袋を脱(ぬ)ぎ捨て、手に浸(し)み込んだ油を洗い落とし、それから小走りに便所に寄って、はち切れそうになっている膀胱(ぼうこう)を空(から)にする。そして一〇〇メートルほど離れた食堂まで駆け出す。が、ぼくの方は、五時間の立ちっ放しで足が突っぱっているし、初めて履(は)いた安全靴は重いし、曳(ひ)きずるようにして、ようやく足を互(たが)い違いに前に出せるだけだ〉鎌田さんはトヨタ自動車の季節工になって現場に身を置くことによって、世界最高レベルの効率を誇る「トヨタ生産方式」の本当の姿を見事に描き出しました。文字通り身を挺した鎌田さんのルポルタージュ手法が結実した本書はけっして「過去の名作」ではありません。そこに描かれた働く人々の「現実」――「自動車工哀史」は過去の歴史ではなく、すぐれて今日的問題であり続けています。ルポルタージュの金字塔と高く評価されるゆえんです。電子書籍リリースに際してイーブックジャパンに寄せた原稿を、鎌田さんはこう締めくくっています。「自動車は、若い国では希望とおなじ言葉だった。若さ、スピード、可能性、旅、あるいは家族。ところが、それをつくるひとたちには、疲労と絶望しか与えない。それは絶対矛盾だ。この本でわたしは独身寮で一緒に暮らした、同郷の二〇代、工藤クンのことを書いたが、彼の希望と絶望の物語によくしめされている。トヨタの工場ではたらいていたとき、わたしは三〇代、工藤クンは二〇代だった。(中略)わたしたちは、みなおなじ経験をしている。それは日本ばかりではない、世界中おなじである。それは絶望的な労働の記録だが、希望にむかう記録である。そのために、わたしたちはどうしたらいいのか。電子ブック時代の若者たちは、先輩たちの絶望のむこうに、きっと新しい希望をみつけだしてくれる、とわたしは信じている」(2012/12/7)
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    投稿日:2012年12月07日
  • 『バジリスク~甲賀忍法帖~』『Y十M~柳生忍法帖~』に続く、せがわまさき作画の山田風太郎の忍法帖シリーズで、短編作品の漫画化。単行本一冊に1話収録となっています。しかし…この短編のラインナップ、原作は前2作と比べ、いささか趣が異なるというか、ずばりエロすぎ。漫画化にあたりエンタメ忍術路線から本来の山田風太郎路線によくぞ舵を切ったものだとは思いますが、評価は分かれるかもしれませんね。私は好きですけど。1巻に収められているのは大島山十郎という小姓と上杉家の物語。直江兼続や前田咄然斎(慶次郎)も出てきて賑やかな中、山十郎にまつわる謎が関ヶ原前夜の情勢に関わってくる。発想の飛躍も独創的、忍術も淫靡。幻想的な読後感を与えてくれます。2巻は「剣鬼喇嘛仏」というお話で、宮本武蔵を追う剣豪・長岡与五郎が主人公。秘術にはまりナニがアレを離さなくなってしまい孕むまでその姿で闘うという、コメディ一歩寸前なのですが、ラストにオリジナルエピローグがあり、これが何とも切ない。本編では「小便はどうするのじゃ」なんて言ってたのに…。ちなみに3巻のみ普通の現代劇、と色々な面で不思議な選択です。(2012/12/7)
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    投稿日:2012年12月07日