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  • 人間の一番深い闇と光が交差する場所で。。。
    沖田さんの作品が好きで(同郷の方というのもあり)、よく読むのですが、一番グッときた作品でした。

    様々な妊産婦さんが登場し、色々な出来事が描かれます。
    それを通して、現実と向き合う事の大切さや、忘れてはいけない気持ち。そして、1話毎の祈りにも似た思いで締め括られる言葉が、心にとても深く染み入ります。

    彼女が体験した事とピュアな表現に、まるで自分自身も体現しているかのような気持ちになりました。

    「命の誕生」という、古今東西から変わらない“人間の業”に立ち会う職業の方々は、本当は、単純に「仕事だから。」で片付けてできる仕事ではないんだろうなぁ。。。と思える作品です。
    • 参考になった 2
    投稿日:2015年11月06日
  • 匿名希望
    弓道っていいですよね・・・
    受けが凶悪的にエロカワなので、攻めの存在が薄くなりそうなんて思いながら読んでいたら最終的には攻めを好きになってました。切ない過去があるもののあえてシリアスになりすぎないように配慮しているのか、サラっと読めます。ツンデレ受けが好きな方にはかなりおすすめの一冊です。最後の最後はデレデレになって欲しかったけどあえてなのでしょうね。
    それにしても絵が美しい♪ 絵がとても綺麗なだけに修正の仕方が残念でした。
    • 参考になった 1
    投稿日:2015年11月06日
  •  創業100年の記念すべき年に、山一證券は突然「自主廃業」を表明し、消滅していきました。1997年11月24日のことです。「社員は悪くありませんから! 悪いのはわれわれなんですから!」とテレビカメラや報道記者の前で号泣した野澤社長の姿が今も目に浮かびます。
     この時、山一證券社員とその家族三万人が路頭に迷う過酷な運命を突きつけられたわけですが、山一證券はなぜ、滅亡に追い込まれたのか。その引き金となった2600億円という途方もない簿外債務。それはいつ、どのように、誰の決断で生まれ、どのような人間によって隠し続けられたのか──。自分たちの手で疑問を解き、去っていく同僚や家族に明らかにするための最後の調査を引き受けた社員たちがいました。社員だけでなく、役員までもが再就職に走り出していました。その流れに逆らって、会社の闇に光をあてるために再就職を封印した12人の社員たち。3か月間、無給で取り組んだメンバーもいたという。
     山一が破綻した当時、読売新聞社会部デスクとして山一の社内調査や精算業務に携わる彼らの姿を新聞で取り上げたジャーナリストの清武英利氏が、目的を達成し、退職していった彼らを追跡して一冊のドキュメントを書きあげました。『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社)です。初版発行は、2013年11月。2014年度講談社ノンフィクション賞受賞、2015年テレビドラマ化(9月~10月)で人気作となりました。

     山一證券消滅が明らかとなった時、アメリカの有力新聞「ワシントン・ポスト」は号泣する社長の写真を添えた社説を掲げました。見出しは〈Goodbye, Japan Inc.(さよなら、日本株式会社)〉。
    「日本株式会社」の根幹だった終身雇用と年功序列の時代が終わったことを告げる涙だったのだと喝破した著者は、そんな時代の荒波の只中で、あえて「後軍(しんがり)」の役回りを引き受けた12人の「なぜ?」を追究していきます。

    〈・・・・・・最後の仕事場に、社内権力者の取り巻きやエリート社員の姿はない。債務隠しについて言えば、その秘密を知っていたり、早くから調査を進めたりしていた幹部たちはいたのである。だが、そのエリートたちは調査や清算業務には加わらなかった。
    「後軍(しんがり)」という言葉がある。戦に敗れて退くとき、軍列の最後尾に踏みとどまって戦う兵士たちのことだ。彼らが楯となって戦っている間に、多くの兵は逃れて再起を期す。会社破綻を企業敗戦ととらえれば、自主廃業の後で働いた社員たちは、しんがりの兵士そのものであった。
     山一證券の場合、後軍に加わった社員たちは、会社中枢から離れたところで仕事をしてきた者ばかりである。会社の講堂に集めると後列に並ぶような社員たちだ。
     その多くが、「場末(ばすえ)」と呼ばれたビルで仕事をした人々だった。〉

     後軍(しんがり)12人についての紹介が目次のあとにあります。山一にあって、ど真ん中のエリートの道を歩んでいたわけではありません。社内権力者に近い、ど真ん中を走るエリートたちから「場末」を蔑視されてきた社員たちです。その彼ら、彼女たちが「貧乏くじ」と見える最後の仕事を引き受け、その困難な道を一歩一歩切り開いていきます。そしてその仕事をやり遂げることで、しんがりの12人が成長し、魅力的な人間になっていく。損得ではない何かにこだわり、自分が正しいと信じる道を誇りを持ってひたすら進む人間の美しさ――そこが読む者の大きな共感を呼ぶ本書の面白さです。歴史ある証券会社で長い間、隠蔽されてきた不正の実態。秘密のベールを一枚一枚剥いでいくように明らかにしていく過程は圧巻です。文句なしに一級のドキュメント作品といっていいと思いますが、それ以上に心に響く本書の魅力は「しんがり12人」の生き様です。少し長くなりますが、「主な登場人物」を引用します。

    〈嘉本隆正(かもとたかまさ。五十四歳)
     「場末」の山一證券業務監理本部(ギョウカン)に赴任した硬骨の常務。社内調査委員会を組織し、破綻原因を究明する。「組長」と呼ばれた。
    菊野晋次(しんじ。五十八歳)
     嘉本の盟友にしてギョウカンのナンバー2。嘉本の四歳年上の通称「タヌキおやじ」。西郷隆盛(さいごうたかもり)を敬愛する薩摩隼人(さつまはやと)で、「負け戦」の清算業務の責任者を引き受ける。
    長澤正夫(五十一歳)
    「高倉健」に憧れるギョウカンのナンバー3。直情の業務管理部長で、隠匿資料を発掘して調査報告書作成を助けた。調査委員会の事務局長を務める。
    竹内透(四十五歳)
     ギョウカンの検査課次長。山一の「簿外債務管理人」を突き止める。元高校球児で、強情だが正義感に満ちたクリスチャン。
    横山淳(じゅん。三十六歳)
     ギョウカン最若手の検査役で、パソコンに強い。複雑な飛ばしマップを作成。
    堀嘉文(よしぶみ。五十四歳)
     無給で調査委員会に加わった山一取締役。関西弁の徹底した追及で債務隠しに手を染めた社員に恐れられる。
    橋詰武敏(五十四歳)
     寡黙な常務。トレーディング部門を統括し六人目の調査委員となる。菊野同様、農家の出身で、長野県上田高校の元剣道部主将。
    杉山元治(げんじ。五十二歳)
     国際畑を歩き、嘉本のヒアリング対象者の一人だったが、山一国際部を批判し、七人目の調査委員に加わる。
    印出正二(いんで。三十七歳)
     ギョウカンの業務管理部企画課長。「検事」と呼ばれる切れ者で、当初、簿外債務の調査にあたり、のちに清算業務を指揮する。
    虫明一郎(むしあき。三十五歳)
     東京拘置所に通って、逮捕された山一幹部たちのケアを担当する。ギョウカンの業務管理部企画課付課長。菊野の下で印出とともに清算業務を指揮する。
    郡司由紀子
     調査委員会を手伝う嘉本の秘書。向こう意気が強く、再就職先で検査役として働く。
    白岩弘子
     多額の山一株を失った営業企画部付店内課長。菊野らに見込まれ清算チームへ。〉

     先頭に立って11人のメンバーをひっぱった嘉本隆正氏は、テレビドラマでは江口洋介が演じた梶井達彦のモデルとなった元常務です。そして佐藤B作扮する花瀬俊太郎のモデルである菊野晋次元理事。著者は「文庫版あとがき」で、この二人との間のエピソードを後日譚として披露しています。

    〈昨年、『しんがり』が思いがけず、第36回講談社ノンフィクション賞を受賞した時、真っ先に嘉本さんに電話を入れた。
    「授賞式に是非お越しいただけませんか」
     すると、嘉本さんはこう言った。
    「あれは清武さんの作品ですよ。私の仕事は、社内調査報告書をまとめた時点で終わっています。責任を取るべき山一役員会の末席にもいたので、晴れがましいところはご遠慮したい」
     私は事実を書いたけれども、筆者の存在を離れた客観的事実というものは存在しない。嘉本さんには彼なりの、会社を崩壊へと導いた首脳たちにはその人なりの〝事実〟があり、かつての先輩や仲間をもう傷つけたくないという気持ちが嘉本さんにはあったようだ。さらに、旅行の予定も重なって、授賞式に彼の姿はなかった。
     今年春になって、『しんがり』をWOWOWでドラマ化したいという話があった。監督や脚本家が12人の主だった人々に話を聞きたいと申し出てきた。嘉本さんにそれを伝えると、予想通りぴしゃりと断られた。
    「どんなお話をしたところで、ドラマは一人歩きするものです。私が関わることではありません」
     清廉で頑固なリーダーである。その話を菊野さんにすると、「彼らしいなあ」と呵々大笑した。菊野さんは授賞式にも駆け付けてくれた。「よかったな」と肩を叩かれ、「山一戦友会」の仲間になったような気がした。
     山一の最後は、こんな硬軟取り混ぜた「後列」の社員たちが看取っている。私も彼らに囲まれていたから、逃げ出さずに書き続けられたのだ。〉

     引用文中、「山一戦友会」とあるのは、山一の「命日」の月――つまり自主廃業が発表された11月――に毎年、嘉本元常務や菊野元理事ら「最後の12人」が集まって開いてきた小さな集まりです。山一證券が消えてなくなった真相を知りたいという思いを共有して、最後の最後まで戦った12人が、年に一度集まって旧交をあたため、近況を語り合う。
     著者の清武英利氏は、読売新聞社会部記者、運動部長、読売巨人軍球団代表を歴任。専務取締役球団代表兼GM・編成本部長の職にあった2011年11月、コーチ人事を巡ってナベツネこと渡辺恒雄・球団会長(読売グループのトップ)を告発。この「清武の乱」を理由にすべての職を解任された経験をもっています。
     その後、フリーのジャーナリストとして活動を開始した清武氏が取り組んだのが、本書『しんがり』です。授賞式に駆けつけた菊野元理事が「よかったな」と肩を叩いてくれたと著者が書くとき、組織の壁にぶつかった経験をもつ同士だからこそ通い合うものがあることがわかります。
     深まる秋。一人静かに「サラリーマン人生と会社」を見つめ直したい一冊です。(2015/11/6)
    • 参考になった 2
    投稿日:2015年11月06日
  • 設定もストーリーもいいんですが
    エロも多くありますし、設定もストーリーもいいんですが、
    何か物足りません。黒髪美人の刑事×情報屋のカプです。
    受けの刑事は幼い頃のトラウマで、間違いを犯してはいけないという、強迫観念に囚われています。俺様な攻めはどんどんのめり込んでいきます。受けは男同士の不毛な関係が間違っていると思いながらもスンナリ関係を持ちます。
    もう少し心の葛藤みたいなのが表現されていたらなぁと思いました。Hシーンもかなりありますが、あまり萌えませんでした。絵は綺麗で良かったです。
    • 参考になった 4
    投稿日:2015年11月04日
  • 異世界人の日常生活コメディー
    異世界人が現実世界に飛ばされ堅実な生活をしながら現実世界を征服しようとする日常生活コメディーです。妙に律義だったり、義理堅かったりする主人公の魅力に引き込まれていきます。それにしても流石は異世界を一時期席捲していた主人公だけあって現実世界への適応能力の高さと応用力の高さには感心します。
    • 参考になった 8
    投稿日:2015年11月04日
  • ゆっくりと流れていく青春ラブコメ
    狂気じみた殺伐感が全くなく、ストーリーも極端な抑揚がなく続いていきます。
    ゆっくりとゆったりとほんわかと進んで行く大人向けの安心して読めるラブコメです。
    時折大きなイベントが起きても、現実離れしたようなイベントではなく共感を得そうなあるいは損な体験しそうだなというイベントが起きています。

    こういうゆったり安心して読めるラブコメもいいですね。

    本線である涼宮ハルヒの憂鬱はぶっとんでますが、支線である長門有希ちゃんの消失はほぼみんな普通の人なので安心して読めます。ハルヒの毒気も可なり抜けていますから。
    • 参考になった 5
    投稿日:2015年11月04日
  • 原作者と作画が違う影響?
    やっと電子漫画になったと思って中身を確認しないで買ったら、1巻なのに24話?
    あれ?とそこで原作者と作画担当が違うことに思い当たり、著作権の絡みで掲載できるものとできないものとの差があることに気がつきました。

    何とか原作者と交渉して全話掲載できるように再度交渉をお願いしたくレビューさせていただきました。

    こんな中途半端な掲載なら、買って損した気分になるので勘弁してほしいです。
    それでも読みたいという作品の一つではありますので中途半端な掲載でも掲載にこぎつけた努力を買って★を2つにしました。
    何とか全話掲載への努力を今後とも続けていただきたく重ねてお願い申し上げます。
    • 参考になった 23
    投稿日:2015年11月04日
  • カラー版として…
    内容はまぁ良くも悪くもという感じですが、カラー版としてはうぅーん…

    カラー版はこれまでワンピース、NARUTO、黒子のバスケ、幽遊白書、宇宙兄弟、イタズラなKiss、ハンターハンター、るろうに剣心、魔人探偵脳噛ネウロ、ぬらりひょんの孫、銀魂等々見てきました。

    その中で良かったと思うもの
    ワンピース、NARUTO、黒子のバスケ、宇宙兄弟、ぬらりひょんの孫

    見るも耐えない程悪かった物
    幽遊白書、ハンターハンター、イタズラなKiss

    幽遊白書やイタズラなKiss程ではありませんが、日常系なせいかカラーにする程か?という感じでした。
    寧ろ絵がとても細かく美麗な分モノクロ版の方が映えます。
    これまでカラー版で当たりを購入した方、何も思わず購入せずにひとまず立ち読みするのをオススメします。

    幽遊白書やハンターハンター、イタズラなKiss程酷くないので、人の好みかなぁとも思いますが…
    • 参考になった 3
    投稿日:2015年11月04日
  • 電子書籍としての評価
    内容は文句無しの☆5です。

    しかし、電子書籍としてはダメ。
    12巻までカバー裏のおまけがありません。
    (13巻〜はあります)

    そして暗殺教室7巻ではカバー折り返しを使った謎解きがあります。
    勿論カバー折り返しに答えがあるとは書かれておりませんので、電子書籍7巻を購入し、どれだけ謎解きに悩んでも答えはありません!
    • 参考になった 5
    投稿日:2015年11月03日
  • 匿名希望
    著作権の関係か
    伊藤智義氏原作分他収録されていないものが多いです(YJ版の1/3程度)。
    期待していた分がっかりでした。
    ビーグリー作品の例にもれず目次もありません。
    • 参考になった 1
    投稿日:2015年11月03日
  • 匿名希望
    動物
    懐かしい漫画です。
    この漫画を読んで獣医さんになりたいと憧れた一人です。
    個性的な人物と動物がすごくかわいい。関西口調の猫とか、ナルシストのインコ、ナルちゃんとか…シュールで笑えます。
    • 参考になった 4
    投稿日:2015年11月02日
  • 匿名希望
    面白かったです。
    こういうマンガ良いですね。日常的な事を描いて、不条理ギャクのように暴走し、でも、ほのぼの。
    • 参考になった 2
    投稿日:2015年11月02日
  • ほわっと暖まる
    手慣れてそうな高校生の欣也くんと奥手で純粋な大学生の拓海くんの話。タクミくんの純粋な不憫さが面白くもあり、愛しくもあり、笑わせられます。荒波に揉まれるような話ではないけれど微笑ましい。ほわっと心が暖まる。そういう二人の話です。
    • 参考になった 7
    投稿日:2015年11月01日
  • ネタバレあり
    チュン太と高人の始まり♪
    2015年9~11月号を読みました。

    いずれはコミックになるのだから・・・・・・と、
    辛抱しようと思ったのですが、
    つい手が出てしまいました。

    桜日梯子『抱かれたい男1位に脅されています。0章』
    を読みたくて(´∀`)

    チュン太と高人の絡みはガマンできません。
    Hも、そうじゃないシーンもGOOD JOBすぎます♪

    二人がくっつくきっかけは、
    ほぼストーカー、ほぼレ○プなのですが、
    それを感じさせない熱烈な密着っぷり。
    この二人の密接なつながりは半端ないです!!o(≧∀≦)o

    「絆」という言葉さえ生ぬるい、
    もっと強くて深いつながりで結ばれています♪

    高人以外のものに関しては、
    あまりにも執着がなさすぎるチュン太。
    もしかするとそれには何かしらの理由があって、
    「0章」では、そこらへんのことも語ってもらえるのかな?
    という期待もあったのですが、何も語られなかったですねw

    「0章」では、クールな高人と毒を吐く高人、
    高人と出会って、高人にどんどん気持ちを持って行かれるチュン太を、
    たっぷり見られてお腹いっぱいになりました♪(´∀`人)
    • 参考になった 9
    投稿日:2015年10月31日
  • ネタバレあり
    世界観が好き
    スケールが大きく、独特な世界観がすごく好きな作品です。
    二つの人格を持つパイはどちらも魅力的。
    最終的な目的はパイが人間になることなんですが、数百年生きているパイには様々な過去があり、40巻という長い物語の中ででその秘密が解き明かされていきます。
    人間になるということは、パイのもう一つの人格が消えてしまうということ。どんなフィナーレになるのか楽しみだったことを覚えています。
    読み返してもまた楽しめる作品でした。
    • 参考になった 3
    投稿日:2015年10月30日
  • 表題カプカワイイです
    男も子供を産めるという設定のお話です。その設定さえ除けば、普通のお話です。6カプ入ってます。表題は夫婦である二人(もちろん男同士)なんですがとても良いです。本当にお互いを思いやりながら愛し合っています。そしてこの二人の子供の話とあとは短編です。登場人物たちがみんないい子たちで良かったです。私は擬人化があまり好きではないのですが、豚化の人間が一カプありました。意外とこれが可愛くてツボでした。Hが満載です。ドロドロした人間関係がなくてスッキリ読めました。
    • 参考になった 0
    投稿日:2015年10月30日
  •  10月に入って最初の日曜の午後4時過ぎ。東京千駄ヶ谷の国立競技場の〝跡地〟の周りを歩きました。
     JR千駄ヶ谷駅から絵画館を左に見て右回りのコースへ。かつてあった競技場も、その周囲にあって人々の目をなごませてくれた豊かな緑もいまやありません。〝跡地〟を取り囲む白い覆いの隙間からのぞくと、かつてキーパーによって芝の長さがきちんと管理され、三浦カズやヒデ(中田英寿)らサッカー日本代表が戦った緑のピッチはなく、雑草がはえ、乾いた土が剥き出しとなった荒れ地と化していました。緑の芝とのコントラストが美しかったアンツーカーのトラックもあとかたもなく消えてしまっています。分かっていたことなのですが、それでもその光景を目(ま)の当たりにすると、「ああ、国立はもうないんだ」という喪失感が胸の内に沈殿していきました。

     1997年9月~11月。サッカーワールドカップ(フランス大会)アジア最終予選。国立競技場で行われたホームの4試合(ウズベキスタン、韓国、UAE、カザフスタン)をすべてゴール裏で妻と二人、見守りました。日本代表はジョホールバル(マレーシア)のプレーオフでイランを破り、ワールドカップ初出場を果たしました。
     1984年8月25日。国立競技場で行われた釜本邦茂の引退試合。私は妻、当時小学生だった一人息子とともにバックスタンドにいたのですが、高校生の頃から早稲田の東伏見のサッカーグランドで見ていた釜本の最後のプレーで感慨深いものがありました。つめかけた観客6万人。神様ペレ、元西ドイツ代表のオベラート(ちなみに左利きミッドフィールダーで、好きな選手の一人でした)が特別参加していました。
     1967年10月7日。翌年のメキシコオリンピック行きの切符を賭けたアジア予選1組。3勝同士で迎えた日韓戦。雨の国立競技場バックスタンド――高校生だった私はチームメートとカッパをはおって日韓の死闘に感動、興奮のしっぱなしでした。3-3で迎えた終盤44分、韓国選手の放ったシュートがバーを叩いたとき、4万人を超すスタンドが一瞬静まりかえったことを覚えています。日本代表は次の最終戦でベトナムに1-0で勝って、4勝1引き分け。勝ち点で並んだ韓国を得失点差で上回り、予選を突破。翌年のメキシコオリンピックでは、銅メダルとフェアプレー賞に輝き、大会7点の釜本が得点王。国立競技場で行われたアジア予選の期間中、競技場のすぐ隣にあって代表の宿舎となった日本青年館も現在取り壊し工事が進んでいます。
     その1か月前、1967年9月16日。国立競技場の早慶サッカー定期戦。高校戦で、高等学院イレブンとしてピッチに立ちました。相手は慶応高校と慶応志木の合同チーム。その頃、高校サッカーでは土のグランドが普通でしたから、芝の国立でサッカーができることがうれしくてしょうがありませんでした。8月の国体東京都予選決勝で帝京に敗れていた私たち3年にとっては、高校サッカー最後の試合となりました。

    ――その国立競技場が、いまはありません。国立競技場――正式名称「国立霞ヶ丘陸上競技場」――はどうしてなくなってしまったのか。ずいぶん久しぶりに千駄ヶ谷に足を運んでみたのも、『森のなかのスタジアム――新国立競技場暴走を考える』(みすず書房)がきっかけでした。著者の森まゆみさんは、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を1984年に仲間とともに創刊、2009年の終刊まで編集人を務めた作家・編集者です(本書「著者略歴」より)。「いらないものは作らせない」「大事なものは残す」を30年来のシンプルな原則としてきた森さんは仲間と語らって「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」を立ち上げました。2013年10月28日のことです。森さんたちは、ロンドン在住の女性建築家ザハ・ハディド氏のデザインに基づく新国立競技場案に異を唱え、その活動は多くの専門家、アスリート、普通の市民の賛同を得て確かな流れをつくってきました。本書はその活動経過を綴った貴重な記録です。
     森さんは、そもそもの発端についてこう書いています。

    〈(1964年の東京オリンピックの頃のことで)一番覚えているのは、家の前の石やコンクリート製の固定式ゴミ箱が撤去されて、青いポリ容器のゴミ箱になったことである。東京は明治維新のあとの違式●違(かいい)条例よろしく、ゴミ箱や罹災者バラックや傷痍軍人など、外国人に見てほしくない、恥ずかしいと思うものを隠し、吹き払い、突貫工事を保存に優先させた。今度も同じことが起こるのだろうか?(●は「言」偏に「圭」を合わせた文字)
     東京オリンピックで由緒ある建物や町並みの多くは消えた。そのわずかなよすがを探して、私は地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を、オリンピック二〇年後の一九八四年から二〇〇九年まで足掛け二六年、編集してきた。私たちの地域が残ったのは震災や戦災であまり焼けなかったせいだと思ってきたが、実は東京オリンピックと関係なかったからでもある。そのとき、客人は羽田空港に降り立ち、競技場は代々木や駒沢で谷根千から遠く、影響は薄かった。東京オリンピックはたしかに敗戦後一九年目、「もはや戦後ではない」と言明した「経済白書」から八年目、敗戦国日本の国力の回復を象徴するような明るいイベントだった。これでようやく「先進国」の仲間入りだ。そしてオリンピックをテコにインフラをふくめ、都市開発が加速されたのも確かである。〉

     光があたる部分もあれば、埒外に置かれたことでいい町並みや文化が残った例もあるという。コンペで選ばれたザハ案は、森さんの目から見れば、作らせるわけにはいかない「いらないもの」でした。「残すべき大事なもの」神宮の樹木とひきかえにしてまで、地上70メートルの巨大な建物を作る必要があるのだろうか。
     森さんたちは、国立競技場を「改修・リデザインする」という考え方を軸にすえます。その画像をここで紹介できないのが残念ですが、美しい国立競技場の写真、青い空を背景に白抜きで「さまざまな記憶のつまった私たちの国立競技場を改修して使い続けよう」の大きな文字というチラシ(デザイナー上村千寿子さん制作)に、その考え方が凝縮されています。バックボーンとなったのは、世界的な建築家の槇文彦氏の主張です。槇氏が書いた論文「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」が日本建築家協会の機関誌『JIAマガジン』(2013年8月号)に掲載されたことが建築関係者の間で話題となっていました。森さんは、本書でこう要約しています。

    〈槇さんは、二五年ほど前に国立競技場に隣接する東京体育館を、敷地に課せられた高さ制限に苦労しながら設計したときのことと比較し、当選案の巨大さ、とくに人間の目の高さからの見え方、敷地の狭さなどを指摘していた。さらに神宮外苑の歴史的文脈について、少子化時代の維持費について、若手建築家にチャンスを与えないコンクールの杜撰さについても、多彩な言及をしていた。この論文がオリンピックが東京に決まる九月より前に書かれ、八月号(引用者注;日本建築家協会の機関誌『JIAマガジン』)に載ったのは特に意義がある。〉

     さらに――そもそもJSC内部で当初は立て替えではなく、改修が本格的に検討されていたという驚くべき事実を本書は明らかにしています。引用します。

    〈(二〇一四年)四月十九日。「東京にオリンピックはいらないネット」の渥美昌純さんから、二〇一一年の久米設計による改修調査概要版が送られてきた。JSC(引用者注:文部科学省の外郭団体「独立行政法人 日本スポーツ振興センター」。国際デザイン・コンクールを主催、立て替え案を募集した新国立競技場の事業主体)も当初は既存施設改修の可能性を追求していたのだ。しかしせっかく一億近くもかけて精密な調査をしたのに、これを公表しないのはなんという秘密主義なのか。渥美さんは情報公開を粘り強くもとめた。コピー代はばっちり取るのに、資料の肝心なところは黒塗りばかり。しかも詳細版の請求にもかかわらず概要版しか出してこない。
     森山高至さん(引用者注:建築エコノミスト)に送ったところ、「これはイイ! 特級資料です」というメールが来た。「既存躯体の構造調査もしてあるし、改修方法の三段階の提案もある。これを参考資料とすれば、誰でも現競技場の現実的な改修案の提案もできるし、仕事を引き継げると思います」〉

     久米案の精緻なスケッチ画像も収録されています。競技場周囲には緑の樹木がちゃんと描かれています。そのうえ、改修費用はおよそ777億円とあります。しかしJSCは1億円もの費用をかけて行われた精密な調査を顧みることもなく、2倍、3倍の費用を投入する立て替えへの道を突き進みました。森さんたちはこれを「暴走」だとし、本書のサブタイトルにも使っています。その詳細な経緯は、本書巻末に収録されている「資料編」をご参照ください。

     とまれ、2015年7月17日、安倍晋三首相は、新国立競技場計画の全面見直しを表明しました。ザハ・ハディド氏の奇抜な流線型の競技場を法外な予算で建設する現行案に国民の80%が反対しているとの各種調査が出ていたことが背景にあっての白紙撤回です。出直しコンペは9月18日に締め切られ、年末までには事業者を選定する予定になっています。しかし、白紙撤回ののちに、どんな考え方で、どんな競技場をつくっていくのか、私たちには肝心なことがなにひとつ分かっていません。著者の森さんは、最終章「私たちも驚いた白紙撤回――あとがきに代えて」にこう綴っています。

    〈白紙撤回の「白紙」とは何かについて、文科省もJSCも定見はない。政府は新国立競技場の新しい計画に、内閣府や国土交通省の官僚をも投入し、これまでの経緯や責任を検証する第三者委員会を発足させたが、その動きも旧態依然のようにみえる。文科省の久保公人局長が辞職し、下村文科相(引用者注:10月7日発足の第3次安倍改造内閣で再任されず、内閣を去りました)は自己都合だとしているが、国民にはトカゲの尻尾切りにしか見えない。(中略)
     槇文彦さんは今回の新国立競技場問題を「戦後最大の建築論争」と定義したが、私にとっても過去最大の保存運動であったことは間違いない。そして市民にとっては「聞かない民主主義」「引き返せない官僚主義」をくつがえした記念すべき運動であった。さっそく、つくば市でも運動公園計画が住民投票で白紙撤回されることになった。上野千鶴子さんがツイッターで「賛同はしたが、とうてい白紙撤回は出来ないと敗北主義に陥っていた。森さんありがとう」と書いてくださったが、運動の渦中にあるわたしたちも何度、心折れそうになったことか。〉

     神宮外苑にどんな競技場をつくるのか。これこそが白紙撤回を実現したあとの大きな問題です。迷走を繰り返さないために「新国立競技場暴走」の経過を改めて検証することから始める必要があることを、本書は示しています。
     私たちの国立競技場――東京体育館、神宮球場、秩父宮ラグビー場に囲まれた「国立霞ヶ丘陸上競技場」の懐かしい姿はそこになく、更地(さらち)になってしまっているのですから。(2015/10/30)
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    投稿日:2015年10月30日
  •  「あらかじめ失われ 決して手に入らないもの」が僕にはあまりにも多いのです。恋人だったり財産だったり、才能だったり…。もちろん栄光も、今後手に入らないことでしょう。どれか一つでもあれば他のものも手に入るのでは…そんなことも考えたりしますが、実際どうなのでしょうか。
     『栄光なき天才たち』は、大きな才能をもちたゆまぬ努力をしたにもかかわらず、運命のイタズラや周囲の無理解によって報われない人々の物語です。
     登場する人物の名前を、僕は殆ど知りませんでした。それは彼らが栄光を浴びることで歴史に名前を残すことができなかったからです。それをもって、彼らを敗者と断じていいのか?名前をしらないことが、そのまま彼らの業績を低さを現すのか?そうではなかった。名も知らない彼らには輝かしい実績があり、心震わす生き様があったのです。
     破滅型の天才小説家・島田清次郎の狂死や、周囲の無責任な期待に追い詰められたマラソン選手の円谷幸吉やテニス選手・ブルドック佐藤の死に心震わされますが、私は特に川島雄三に強く惹かれました。
     川島雄三は、とかく重いテーマの作品ばかりがもてはやされる戦後の映画界に喜劇作品を撮影していた映画監督です。物語は今村昌平が助監督として川島雄三組に参加するところからはじまります。毎晩、酒をのんでどんちゃん騒ぎ、会社に言うなりふざけた作品ばかりを作る川島雄三に今村昌平は失望します。しかし、日活に移ってからは、喜劇の名作を連発。そして代表作『幕末太陽傳』の撮影が始まります。
     口先とノリでうまく世渡りをする男が、田舎者の親父に現実的に説教をくらい、どこまでもどこまでもマジメな世の中から逃げ続けていく、そんな作品をなぜ、川島は撮ろうとするのか…。周囲に誤解されてもどこまでも真剣にふざけようとする川島の鬼気迫る雰囲気に圧倒されていきます。そしてその結果は…
     挫折や無理解のなかでも輝くような業績を残す人がいる、そんな感動がこの作品にはあります。
     ところで、自分の事を語るようなメロドラマが大嫌い、どこかヒネている川島雄三の姿が爆笑問題の太田光にとても似ているように思えたのは僕だけでしょうか。
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    投稿日:2015年10月30日
  • 欧州騒然! チェコのベストセラー、ついに日本上陸!
    資本主義の限界が叫ばれるなど、旧来の経済学理論は、混迷する現代世界の諸問題に対処しきれなくなってきている。本書で著者は、現在主流になっている経済学は、本来の経済学とは異なることを指摘し、“古い考え”の多くに立ち戻るべきと主張する。4,000年以上前の人類最古の著作物であるギルガメシュ叙事詩、旧約聖書、ギリシャ神話などにはすでに経済学の考え方が示されており、そこには倫理や哲学の要素も含まれていた。ところが現代の経済学はそれらを排し、価値判断を含まない数学的分析を主とするものになっている。本書では、古代の神話から続く経済学、経済思想の歴史を紐解きながら、いつどのように経済学が変質していったのかを明らかにしている。本書はチェコでベストセラーになり、15の言語に翻訳されている。
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    投稿日:2015年10月30日
  • 未来は変えられる。仕事の憂鬱は、こうして吹き飛ばせ。
    2007年、医療界では画期的なイノベーションだった補助人工心臓「デュラハート」が欧州で販売開始された。これはテルモ子会社の米国法人「テルモハート」が開発したもので、日本企業の補助人工心臓では初めて欧州の承認を得たものだった(日本では2010年に承認)。同社のCEOとしてこの偉業を達成したのが本書の著者、野尻知里さんだ。心臓外科医としてキャリアをスタートし、39歳のときに企業の研究所で非正規という立場で研究職に転身、その後、テルモハートの経営者に。2007年「日本イノベーター大賞」受賞、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2008」で総合ランキング1位を獲得。現在は、東京大学COI研究推進機構で国民の健康増進をめざす国家プロジェクトの副機構長を務める。本書では、紆余曲折を経て、粘り強く自ら切り拓いてきたキャリアを振り返るとともに、性別、年齢の壁を越えてチャレンジを続けるためのものの考え方、行動のコツを伝授している。
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    投稿日:2015年10月30日
  • 匿名希望
    キャラが良い!
    登場人物たちのキャラが良くて読んでてほのぼのします。
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    投稿日:2015年10月29日
  • 絵が丁寧
    絵が丁寧過ぎて、おどろおどろしい感じが相殺され、恐怖漫画としての恐怖心をかなり減じています。恐怖漫画の初級編として読むのに適していると思います。

    内容のおどろおどろしさも絵がかなり緩和してくれています。

    スプラッターものであることは間違いありませんが怖さはかなり絵のおかげで薄められています。
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    投稿日:2015年10月29日
  • 桜日梯子作品
    今回も桜日梯子作品目当てに購入。この作品だけで☆5つけられます。擬音満載のエロ話ではありません。が、素晴らしく良いです。流石としか言えません。コミックへと続く『0章』が掲載されています。心情描写が秀逸。身体が絡んでないのにゾクゾクさせます。思わず、コミックを読み返してしまった。
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    投稿日:2015年10月29日
  • 日本が誇っていいハードSF
    細部まで作りこまれた、すばらしいハードSFです。
    菅原氏は寡作ではありますが、とても深い洞察を秘めた作品群を世に送り出しています。

    時には編集部と対立までしながら、長い年月をかけて完成させた本作。
    金星を舞台とし、民俗学的な洞察から、やがて人の魂や癒しへと言及していく本作は、何か人の精神の成長そのものを思わせる部分があります。

    描きこまれた細部を堪能しながら、じっくり読んで頂きたい名作です。
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    投稿日:2015年10月29日
  • 憧れや痛みを体現した作品
    若い世代には焦がれるような思いを抱かせ、
    かつて夢を追った世代には、自分が見た夢を思い出させる。

    同時代に生きる至宝とも言うべき作家陣による作品。
    夢枕獏氏の原作もすばらしいが、そこに恐るべき労力を裂き、我々がイメージできる限界の先を描く谷口ジロー氏の画力もすさまじい。

    描かれる登場人物たちの情熱に、怒りに、そして悲しみに。自分がかつて持っていたあこがれや夢、そして挫折を思い出し、何度もページをめくる手が止まりました。
    自分にもまだ何かやり残したことがあるのではないか、これからの自分には何ができるのだろうか、そんな思いが幾度も胸をよぎりました。

    自分の中に残っている炎を、かきたててくれるような作品です。
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    投稿日:2015年10月29日