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  •  直木賞作家・城山三郎は『落日燃ゆ』を、いまから66年前(1948年)の年末、横浜の火葬場で行われた秘密裡の作業の様子から書き始めています。〈昭和二十三年十二月二十四日の昼下り、横浜市西区のはずれに在る久保山火葬場では、数人の男たちが人目をはばかるようにしながら、その一隅(いちぐう)の共同骨捨場を掘り起し、上にたまっている新しい骨灰を拾い集めていた。当時、占領下であり、男たちがおそれていたのは、アメリカ軍の目であったが、この日はクリスマス・イブ。それをねらい、火葬場長と組んでの遺骨集めであった。やがて一升ほどの白っぽい骨灰を集めると、壺(つぼ)につめて、男たちは姿を消した。骨壺は男たちによって熱海(あたみ)まで運ばれ、伊豆山(いずさん)山腹に在る興亜観音に隠された。その観音は、中支派遣軍最高司令官であった松井石根(いわね)大将が、帰国後、日中両国戦没将兵の霊を慰めるために建立(こんりゅう)したもので、終戦後の当時は、ほとんど訪れる人もなかった。骨壺を隠して安置しておくには、絶好の場所でもあった。〉京浜急行黄金町駅からほど近い火葬場の共同骨捨場で、数人の男たちが人目をはばかるようにして拾い集めた骨灰を入れた骨壺。その中には、7人の遺骨が混じっていました。・土肥原賢二(どいはらけんじ、陸軍大将、在満特務機関長、第七方面軍司令官、教育総監)・板垣征四郎(いたがきせいしろう、陸軍大将、支那派遣軍総参謀長、朝鮮軍司令官)・木村兵太郎(きむらへいたろう、陸軍大将、関東軍参謀長、陸軍次官、ビルマ派遣軍司令官)・松井石根(まついいわね、陸軍大将、中支派遣軍最高司令官)・武藤章(むとうあきら、陸軍中将、陸軍省軍務局長、比島方面軍参謀長)・東条英機(とうじょうひでき、陸軍大将、陸相、首相) ・広田弘毅(ひろたこうき、外相、首相)最後の広田弘毅は、「デス・バイ・ハンギング(絞首刑)」を宣告された7人のA級戦犯の中でただ一人の文官でした。城山三郎はこう続けます。〈七つの遺骸(いがい)は、その前日、十二月二十三日の午前二時五分、二台のホロつき大型軍用トラックに積まれて巣鴨(すがも)を出、二台のジープに前後を護衛され、久保山火葬場へ着いたもので、二十三日朝八時から、アメリカ軍将校監視の下に、荼毘(だび)に付された。遺族はだれも立ち会いを許されなかった。それどころか、遺骨引き取りも許可されなかった。アメリカ軍渉外局は、「死体は荼毘に付され、灰はこれまで処刑された日本人戦犯同様に撒(ま)き散らされた」と、発表した。アメリカ軍が持ち去った遺骨は、飛行機の上から太平洋にばらまかれたといううわさであった。狂信的な国粋主義者が遺骨を利用することのないようにとの配慮からだとされた。ただし、アメリカ軍は七人分の骨灰のすべてを持ち去ったわけでなく、残りは火葬場の隅(すみ)の共同骨捨場へすてられた。男たちは、それをひそかに掘り返し、興亜観音へ隠したのであった。それから七年、昭和三十年四月になって、厚生省引揚援護局は、この骨灰を七等分し、それぞれ白木の箱に納めて、各遺族に引き渡した。だが、広田の遺族だけが、「骨は要りません」と、引き取りをことわった。すでに遺髪や爪(つめ)を墓に納めてあり、だれの骨灰ともわからぬものを頂きたくないという理由からであったが、それは、表向きの理由でしかなかった。昭和三十四年四月、興亜観音の境内に、吉田茂の筆になる「七士の碑」が建てられ、友人代表としての吉田茂や荒木元大将はじめ遺族やゆかりの人約百人が集まり、建立式が行われた。だが、このときも、広田の遺族は、一人も姿を見せなかった。広田の遺族たちは、そうした姿勢をとることが故人の本意であると考えていた。広田には、ひっそりした、そして、ひとりだけの別の人生があるべきであった。せめて彼岸(ひがん)に旅立ったあとぐらい、ひとりだけの時間を過ごさせてやりたい。たとえ、事を荒立てるように見えようと、心にもなく参加すべきではないと、考えていた。〉福岡市の働き者の石屋の倅として生をうけた少年は、地元の県立修猷館(しゅうゆうかん)中学に進みます。中学4年の時、日清戦争が勃発。一時は軍人を志願した少年は、講和後に起こった三国干渉に衝撃を受けます。ロシア、ドイツ、フランス三国の強硬な申し入れにより、戦後の講和会議で獲得したばかりの遼東半島を清国に返さなければならなくなった日本。外交の力というものがなさすぎることを痛感した少年は、提出していた陸軍士官学校の入学願書を取り下げ、外交官を目指して一高・東大へ進みます。篤志家の援助を受ける貧乏書生で生活は苦しかったが、朝6時に起床、夜は10時就寝という日課をきちんと守って外交官になります。〈吉田茂はじめ同期のだれにも先んじて外相から首相にまで階段を上りつめ、そして、最後は、軍部指導者たちといっしょに米軍捕虜服を着せられ、死の十三階段の上に立たされた。広田の人生の軌跡は、同時代に生きた数千万の国民の運命にかかわってくる。国民は運命に巻きこまれた。だが、当の広田もまた、巻きこまれまいとして、不本意に巻き添えにされた背広の男の一人に他ならなかった。その意味で、せめて死後は、と同調を拒み通す広田の遺族の心境は、決して特異なものではなかったはずである。〉1919年(大正8年)、広田弘毅は数え42歳で駐米大使館一等書記官としてワシントンに赴任します。広田の赴任後まもなく、駐米大使として着任した幣原喜重郎は、もう一人の一等書記官・佐分利貞夫を重用します。「外交平和親善・国際協調に徹する」という見解の持ち主で、月2回、官邸で催すパーティなど華やかな社交に力を入れる幣原大使とは対照的に社交が苦手の広田はそりがあいません。広田は、大使館の主流の仕事からははずされていきますが、それならそれで勉強に励もうと考えた広田は、新聞雑誌はもちろんのこと、新刊の書籍を集めて、黙々と読み続けます。アメリカは中国をどう見ているのか――北京駐在を振り出しに外交官生活に入った広田の研究テーマでした。「中国」は常に広田の念頭にあり、冷遇されたワシントン時代、中国に対する日本の姿勢について、広田は広田なりに、ひとつの考え方を固めていった、として城山三郎はこう書きます。〈広田は部下にいった。「日本は断じて支那本土に手をつけてはならない。また欧米の勢力範囲を侵すべきではない。それは日本の対岸に欧米列国を割拠させ、彼らに一致して日本に当らせることになり、日本を危殆(きたい)に陥らせるおそれがあるからだ。われわれは祖先から二千五百年の遺産を継いだのだから、これを二千五百年後の子孫に伝えるべき義務がある。」〉領土不可侵、国際協調の中にこそ、日本の安全があると考えた広田弘毅ですが、後に外相、そして首相の重責を担っていく過程で、必ずしも自身のこうした信念を貫くことができずに時代の流れに不本意に巻き込まれて刑場に消えていくこととなったのは何故なのか。その航跡をたどり、黙して語らなかった広田弘毅の真実に光をあてた城山三郎が描く“背広の男”の凛々とした最期の日々。その胸のうちを思う時、誰もが圧倒されます。〈七人は、他にだれも居ない第一号棟で、死のときを待った。 死出の旅を共にする仲間として、広田にとって、残りの六人は、あまりにも異質であった。呉越同舟とはいうが、にがい思いを味わわされてきた軍人たちに、最後まで巻き添えにされ、無理心中させられる恰好であった。(中略)同じ死刑囚とはいえ、広田と他の六人に心の底から通い合うものはなかった。〉そして死刑執行の日――。〈処刑はまず、東条・松井・土肥原・武藤の組から行われた。Pマークのついたカーキー色の服を着た四人は、仏間で花山の読経を受けたが、そのあと、だれからともなく、万歳を唱えようという声が出た。そして、年長の松井が音頭をとり、「天皇陛下万歳!」と「大日本帝国万歳!」をそれぞれ三唱し、明るい照明に照らされた刑場へ入った。広田・板垣・木村の組は、仏間に連行されてくる途中、この万歳の声をきいた。広田は花山(引用者注:教誨師・花山信勝)にいった。「今、マンザイをやってたんでしょう」「マンザイ? いやそんなものはやりませんよ。どこか、隣の棟からでも聞こえたのではありませんか」仏間に入って読経のあと広田がまたいった。「このお経のあとで、マンザイをやったんじゃないか」花山はそれが万歳のことだと思い、「ああバンザイですか、バンザイはやりましたよ」といい、「それでは、ここでどうぞ」と促した。だが、広田は首を横に振り、板垣に,「あなた、おやりなさい」板垣と木村が万歳を三唱したが、広田は加わらなかった。広田は、意識して「マンザイ」といった。広田の最期の痛烈な冗談であった。万歳万歳を叫び、日の丸の旗を押し立てて行った果てに、何があったのか、思い知ったはずなのに、ここに至っても、なお万歳を叫ぶのは、漫才ではないのか。万歳! 万歳! の声。それは、背広の男広田の協和外交を次々と突きくずしてやまなかった悪夢の声でもある。広田には、寒気(さむけ)を感じさせる声である。生涯(しょうがい)自分を苦しめてきた軍部そのものである人たちと、心ならずもいっしょに殺されて行く。このこともまた、悲しい漫才でしかない――。〉広田の処刑は、12月23日午前零時20分。朝のラジオが処刑のニュースを全国に流しました。同じ日、広田と同期の吉田茂は、国会を解散しました。吉田の党の大勝が約束された、新憲法公布下の最初の総選挙へと時代は動き出します。(2014/12/19)
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    投稿日:2014年12月19日
  • カピバラさんのなき声は「きゅる」です。怒ると「ぐっ」となきます。毎日ずーっと寝てるか食べてるか。そんなのんびりもののカピバラさんにものすごく癒されます!私もこんな暮らしがしてみたい…!コミックによればカピバラさんはものすごく柔らかくてあったかいんだとか。さ・・・触ってみたい…!!家にあるカピバラさんのぬいぐるみたちもモフモフで気持ちいいのですが、触りすぎでくたびれてきました…でも洗濯機にかけるのはダメだと聞いたので除菌スプレーだけで我慢します。たまに天気のいい日にベランダに干すのですが、その時は「本物のカピバラさんがいたらこんな感じなのだろうか」と一人考えてほっこりしてます。のほーんとした4コママンガなので癒されたいときにぜひ。
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    投稿日:2014年12月19日
  • 匿名希望
    画像小さすぎて気付かなかった(-。-;
    絵も違えばキャラも違う。こんなの明智さんじゃない(ノω・、)
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    投稿日:2014年12月18日
  • 「マイルドヤンキー」って言葉、好きじゃないんですよ。完全に上から目線じゃないですか。自分自身地方出身の人間で「どういう感じの層を指してるか」がわかるだけに余計腹が立つんですよね。オシャレなマーケッターとかが言ってるわけでしょ?「この商品はマイルドヤンキー層がターゲットですね」的な。ああ腹立つ。この作品は著者の家族を描いた作品ですが、なんというかすごく親近感があるんですよ。自分の家がそうだった、とかじゃなくて空気感が。ああ、地方だなぁという馴染みの感じ。「あの子のウチ大変そうだよね…」という井戸端会議の話題になりそうな下世話感。全然ほっこりする話ではないのですが、何とも懐かしい気分になりました。
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    投稿日:2014年12月16日
  • 匿名希望
    続きが読みたい
    続きが気になるのですが、4巻以降が配信せれず待ち切れません。
    早く配信をおねがいします!
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    投稿日:2014年12月15日
  • 匿名希望
    あまり面白くなかったです。
    あらすじを読んで惹かれて購入したのですが、あまり面白くなかったです。主人公を追い詰める感じや主人公の心の揺らぎなんかがソフトすぎて・・・。あと底本からそうなのか、電子版に移植する際に発生したのかわかりませんが、誤字脱字誤植脱行が至る所に見受けられ、特に後で判明する重要なキーワードシーンの真っただ中にも関わらず、数行抜けているような文章を見て、話そのものに悪影響与えすぎてしらけてしまいました。
    • 参考になった 3
    投稿日:2014年12月14日
  • 匿名希望
    面白かったです
    普通異世界ものと聞くと「主人公が異世界に召喚され、いかにして元の世界に戻るか」みたいな感じで、二度と異世界に戻らないというのが黄金パターンですが、この話は「戻れない同じ異世界にもう一度戻ったなら」というあまり例を見ない物語です。主人公の前回の時の感情とか状況が丁寧に書かれていて、とても面白かったです。WEBでは2巻ぐらいまでの話が進んでいますが、さて、此方ではどうなることやら。続きが楽しみです。
    • 参考になった 1
    投稿日:2014年12月14日
  • 匿名希望
    親が子供に読ませるには非常に良い漫画です
    恐竜版ジャングル大帝とも言える、古代を舞台に広げられる恐竜大河ロマンです。
    非常に恐竜に関するロマンや想像を掻き立てさせる内容で、子供に与える絵本代わりとしては非常に適しています。
    ですがどうしても良い子ちゃん過ぎると言うか、自分で漫画を買えるような年齢になった子供が進んで買うような内容でもないのも事実です。
    しかし恐竜に対する学説を非常に分かり易く絵と文で表現できていて、近年稀に見る子供に買い与えたい漫画に仕上がっています。
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    投稿日:2014年12月13日
  • 匿名希望
    次回からの展開に。
    今後の展開により、面白くなるかどうか判断が分かれます。
    作者の腕の見せ所ですね。
    1巻はお約束のキャラクター紹介と環境の説明になります。
    内容としては、インフィニットストラトスの70%星刻の竜騎士30%からなるそのものに仕上がっています。
    両方が好きな方でしたら、お勧めです。
    • 参考になった 1
    投稿日:2014年12月13日
  • ただそれぞれがあるようにあるだけ
    「蟲」は人々から恐れられる存在だが、悪意があるわけではない。ただそれぞれがあるようにあるだけ・・・。
    生命の最も単純な形とされる「蟲」が、生きている過程で人間と関わってしまうことで様々な現象が起きてしまう。蟲師のギンコは旅をしながら、「蟲」と関わりすぎた人達を救おうとしていく。

    昔の日本の自然とそこに暮らす人々が繊細なタッチで描いてあり、物語の中では見える人にしか見えない蟲も奇怪で美しい。
    ストーリーは必ずしも解決で終わるわけではなく、鬱な終わりもある。一話完結の作品なので次の話には受け継がれないが、それでも一話ずつ重みのあるストーリーが展開されている。

    「蟲」は「妖怪」や「あやかし」とは少し違うが、このような日本特有の存在を描いた「蟲師」は読んでいて不思議と懐かしさが感じられる。海外ではそのユニークな設定から「蟲師」は一定の人気がある。

    自分が海外に住んでいるためにバイアスがかかっているかもしれないが、「蟲師」文化的価値は計り知れないと思う。ぜひ全巻読むことをお勧めする。
    漫画を買いたくない人はアニメ「蟲師」「蟲師 続章」を見てから決めてもいいかもしれない。アニメも驚くほどのクオリティで漫画を再現している。

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    投稿日:2014年12月13日
  • 匿名希望
    ヴァージン喪失リレーがおもしろい!
    次にヴァージンを喪失しする子が前の話の最後に必ず顔を出しているのが、予告のようでおもしろいと思った。絵柄も今風でなかなかエロくていい。
    • 参考になった 0
    投稿日:2014年12月12日
  • 匿名希望
    二次元とリアル女体どっちがいい?
    極道の跡取りがオタクのゲーム好きというところがまずおもしろい。リアル女体が目の前にありながらも、二次元を愛し続けるのはオタクの鏡と言えよう。絵もきれいでエロくて楽しめた。
    • 参考になった 1
    投稿日:2014年12月12日
  • 匿名希望
    主人公がヴァージンを次々と奪っていく!
    主人公が女の子のヴァージンを次々と奪っていく漫画。オンナな子の表情やしぐさがういういしくていいと思う。
    • 参考になった 0
    投稿日:2014年12月12日
  • 匿名希望
    女子校の用務員さんは男のあこがれの職場!
    女子校の用務員さんになればモテモテになるのではないか、と思う男子は多いはず。しかし、そこには妹がいて軽薄な行為は妹の軽蔑をかってしまうと言う設定が悩ましい。女子生徒の性の悩みを体で解決してあげる主人公は男らしく(?)うらやましい限り。超楽しい学園エロラブコメである。
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    投稿日:2014年12月12日
  • 匿名希望
    絶倫男は男のあこがれ!
    絶倫男は男のあこがれだと言うことに異論はないと思うが、彼女が自分の体がもたないためにいっしょにセフレを探してくれるという設定も素晴らしい。ハーレム気分を漫画で味わいたい人にはおすすめである。
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    投稿日:2014年12月12日
  •  12月14日に投票日を迎える総選挙。終盤にさしかかったところで、政権No2、副総理の地位にある麻生太郎財務相が“本音発言”を連発しています。長野県松本市内の街頭演説で「この2年で株価は1万7千円まで上がった。円安にも振れた。その結果として企業は大量の利益を出している。出していないのは、よほど運が悪いか、経営者に能力がないかだ」と言ってのけ、有権者の失笑をかったかと思えば、今度は札幌で「(社会保障費が増大しているのは)高齢者が悪いようなイメージをつくっている人がいっぱいいるが、子供を産まない方が問題だ」という堂々の主張。若い夫婦が子供を産み、育てていくための社会的環境がないことについての問題意識を欠いた発言で、もはや政治家としての品格を問わざるをえません。日本の副総理の発言は、多くの外国メディアも一斉に取り上げています。たとえば、マレーシアのマレーメールは「ナチ好きの日本の副首相、今度は“産まない人々”に非難の矛先を向けた」と冷ややかな視線で報じました。これはほんの一例です。問題は、これが単なる失言ではなく、むしろ自民党執行部、現政権幹部間に共有される意識に根ざした発言、主張だと理解すべきだというところにあります。新聞各紙の調査によれば、この程度の政党が、300議席を上まわる勢いだそうです。投票率の低下も予想されています。20代投票率はここのところ、30%台だそうですが、どこを探しても一票を投じたくなる政治家が見えてこないという状況では、それも致し方ないというべきなのかもしれません。2014年12月14日の衆議院議員総選挙を前にそんなことを考えていて、思い起こした人物が二人います。一人は、戦前期の外交官で、2.26事件後、天皇の組閣大命をうけて総理大臣となり、敗戦後、文民としてただ一人、A級戦犯とされ絞首刑となった広田弘毅。もう一人は、やはり戦前、戦中を通じて東洋経済新報を舞台に軍事色、統制色を強める政策に対し一貫して反対の論陣をはり、戦後は総理大臣となりながら、病気で潔く退陣した石橋湛山です。広田弘毅については、作家・城山三郎が『落日燃ゆ』(新潮社刊)を遺していますが、この名作については稿を改めたいと思います。今回は伝記文学の第一人者・小島直記がリベラリスト石橋湛山の足跡を辿った『気概の人 石橋湛山』(東洋経済新報社刊)を紹介していきます。石橋湛山が総理大臣となったのは昭和31年(1956年)12月23日、そして昭和32年(1957年)2月23日、湛山はあっけなく政権を投げ出します。この間、何があったのか――。小島直記は本書にこう綴っています。少し長くなりますが、引用します。〈「政治家の進退の模範といえば、十目の視るところ、石橋湛山と相場が決っている。約二十年前の昭和三十二年二月二十三日、成立後六十三日で、彼は内閣を投げ出した。二十二日夜、医師から二カ月間の静養を勧められたというだけで、必ずしも乗り切れぬ事態ではなかったのに、また、辞職に反対する人々が周囲にいたのに、彼は『石橋親書』を残して、直ちに台閣を去った」というものである。湛山の首相辞職のことが強く国民に印象づけられたのは、その首相になるまでの経緯がとくに国民の注目を浴びていたからである。日ソ復交と日本の国連加盟をなしとげて、首相鳩山一郎が引退を表明したとき、後継者の問題──自由民主党の総裁となり、首相の座にだれがつくか、その問題が国民の前に大きく浮び上がった。鳩山のつぎに位するナンバー2は緒方竹虎であったが、その緒方は、三十年十一月、鳩山のひきいる民主党と、吉田茂のあとをうけた緒方のひきいる自由党とが合同し、自由民主党が成立したあと間もなく急死していた。
     党規約によると、総裁は公選によって選ばれることになっている。初代総裁鳩山も、形の上では、党大会における選挙で選ばれることになっていたが、対立候補がいなかったから投票は省略されたのである。ところが、鳩山引退後の総裁候補は三人いた。石橋湛山、石井光次郎、岸信介の三人である。石橋は通産相、石井は総務会長、岸は幹事長であった。・・・国民の眼には、その戦いのはげしさ、特に実弾(現ナマ)が乱れとんだというスキャンダラスな一面が強くうつっていたのだ。そして投票の結果は、岸 二二三票、石橋 一五一票、石井 一三七票で過半数を占めるものがなく、改めて決戦投票となり、わずか七票の差で湛山が勝ち、そのあと、さらに組閣人事で難航したあと、ようやく成立したのが石橋内閣だったのだ。 ところがその一カ月後、湛山は肺炎で倒れた。医師は二カ月の静養をすすめた。わずか二カ月間だけ休んでおれば、ふたたび国政を執ることができる。普通の政治家であれば、そういうことで事態を糊塗し、危機をのり切って、苦労して入手した政権を手放そうとはしなかったであろう。だが湛山はそうではなかった。このとき、国会では予算が審議されていた。首相としてそこに出席できないということは、責任感の強い彼としてできることではなかった。苦労して手に入れたものであるのに、彼は淡々として辞表を出し、政権の座を離れたのである。そのいさぎよさが、政治家一般の汚なさ、醜さに食傷していた国民の心に、すがすがしい印象をあたえ、喝采を浴びたのだ。〉辞任した湛山の後継指名により政権は岸信介に引き継がれます。現在の安倍首相の祖父である岸信介は、戦前期は商工官僚として満州国建設・運営で力を発揮し、対米戦争を始めた東条内閣では商工大臣になっています。それが理由となって、終戦後A級戦犯としてスガモプリズンに収監されましたが、不起訴となって釈放された経歴の持ち主です。
    石橋湛山は満州・中国大陸政策に関し、今の言い方でいえばきわめてハト派的な考え方を持論としていました。その一端を紹介しましょう。〈「例えば満州を棄てる、山東を棄てる、その他支那が我国から受けつつありと考うる一切の圧迫を棄てる、その結果はどうなるか、また例えば朝鮮に、台湾に自由を許す、その結果はどうなるか。英国にせよ、米国にせよ、非常の苦境に陥るだろう。何となれば彼等は日本にのみ斯くの如き自由主義を採られては、世界に於ける其道徳的位地を保つを得ぬに至るからである」湛山はこれにつづいて、七月三十日号、八月六日号、十三日号の社説に「大日本主義の幻想」を書いた。
     湛山は、「朝鮮台湾樺太も棄てる覚悟をしろ、支那や、シベリアに対する干渉は、勿論やめろ、これ実に対太平洋会議策の根本」という自分の主張に対して、予想される反論に二つのポイントがあるだろうとした。一つは、「我国は此等の場所を、しっかりと抑えて置かねば、経済的に、また国防的に自立することができない。少なくも、そを脅かさるる虞れがある」二つは、「列強はいずれも海外に広大な植民地を有しておる。然らざれば米国の如く其国自らが広大である。而して彼等はその広大にして天産豊なる土地に障壁を設けて、他国民の入るを許さない。この事実の前に立って、日本にひとり、海外の領土または勢力範囲を棄てよというは不公平である」というものだ。これに対して湛山は、「第一点は幻想である。第二点は小欲に囚えられ、大欲を遂ぐるの途を知らざるもの」と断ずる。 第一点は、どうして幻想か。いいかえれば、「朝鮮台湾樺太ないし満州を抑えておくこと、また支那シベリアに干渉すること」は我国にとって利益、という考え方はどこがまちがっているか。〉としたうえで、湛山は経済的利益が喧伝されているほどにはあがってきていないことを例証していきます。その詳細は本書をお読みいただくとして、湛山はこう締めくくっています。〈中国およびシベリアは、干渉政策が経済上から見て大きな不利益をわれにあたえている。中国国民、ロシア国民の我国に対する反感が、経済的発展の大障碍である。この反感は、干渉政策をやめない限りなくならない。〉〈「思うに今後は、いかなる国といえども、新たに異民族または異国民を併合し支配するが如きことは、とうてい出来ない相談なるは勿論、過去において併合したものも、漸次これを解放し、独立又は自治を与うる外ないことになるであろう」朝鮮の独立運動、台湾の議会開設運動、中国およびシベリアの排日は、その前途の何なるかを語っておる。「吾輩は断言する。此等の運動は、決して警察や、軍隊の干渉圧迫で抑えつけられるものではない」大日本主義は、いかに利益があっても、永くは維持できない。〉満州国経営に辣腕を振るった岸信介とは相当距離のある考え方です。対極にあると言ってもいいかもしれません。その岸信介を後継とした湛山の胸の内はどうだったのでしょうか。気になるところですが、それはともかく、ここで驚くべきことは、湛山の思考、視点が、そのまま現在の状況に通じる力を秘めている点です。安倍政権は7月に集団的自衛権の行使について閣議決定しましたが、そのための法整備は2015年に先送り、総選挙の争点化を避ける姿勢が目立ちます。不透明な時代です。だからこそ、湛山の国際感覚、経済と軍事の考え方は傾聴に値します。(2014/12/12)
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    投稿日:2014年12月12日
  • 本を読む楽しみの一つに、自分以外の人生に身を置き換えられることがあります。なかなか体験できないことも活字や漫画の世界に身を投じれば、いろんな疑似体験が味わえます。小沢カオルの『あやしい取材に逝ってきました。』は究極の体験ルポ漫画かもしれません。
    「行って」ではなく「逝って」と表記するあたりに、すでに体験現場から瀕死の状態でのカムバックがひしひしと伝わってきます。冒頭こそメイドカフェやメイドバーといったオトナし系な現場ですが、次の「大盛りB級グルメ」から様相が一変、徐々にエスカレート気味にハード系に向かっていきます。この作品が面白いのは、現場写真も散りばめられているところ。超ド級の肉丼やなんでもトッピングされたパスタは、実際の写真を見せられたほうが、やはりリアルですね。「新鮮バッタ・蛾・カマキリ・スーパーワーム・セミ・ハウスクリケットのピザ」や蛇が食事する場面といった、トラウマ級の写真まで登場しますので油断は禁物です。極めつけは2回に渡る樹海探索なのですが、ついに本当に「逝って」しまった人とご対面してしまいます。あぁ、この現場は漫画で十分です。読み始めたら夢中で最後までページをめくり、心もぐったりいってしまいました。(2014/12/12)
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    投稿日:2014年12月12日
  • このマンガがすごい!2015(宝島社)オンナ編にてトップテン入り(第6位)したこちらの『高台家の人々』、久しぶりに主人公(男)が少女マンガ的に「タイプ!」な感じのイケメン男子でございます。あのドラマでも大ヒットした『ごくせん』の作家さんの新作です。全然違った設定で、まず容姿にそんなに自信のない地味目の女の子が主人公です。ただ心が本当にピュアで妄想がかわいい女の子です。ちなみに、第1巻の表紙に主人公が出ていないという斬新なことになっております。第1巻はイケメン男子の3兄弟が表紙です。真ん中の女の子は妹で超美人です。てっきりこの子が主人公かと思ってました。読むまでは!このイケメン男子「光正」含めた3兄弟には、ある特殊な能力が…!能力的にはよくある感がありますが、でもこの能力があるとやっぱりちょっと人間曲がっちゃうよね…と思います。そりゃ、主人公の「平野木絵」をいいなと思うのもよくわかります。キュンキュン?する少女マンガです!是非読んでみて下さい。
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    投稿日:2014年12月12日
  • 新しい力を手にする私たちは、いったいどこへ向かうのか?
    インターネットは私たちの生活やビジネスを一変させた。インフラとしてのインターネットは途上国などにおいてさらに普及が進んでおり、約10年後の2025年には世界中のほとんどの地域に行き渡ると言われている。それは世界80億の人々が互いにつながり、自由に交流できる環境が整うことを意味している。本書では、立法・司法・行政の三権と報道機関に続く「第五の権力」となる可能性を秘めたインターネットが、約10年後に世界をどのように変えていくかを予測。国家の枠組みや統治、革命、戦争、テロリズムなどが、現実世界と仮想世界が併存する中でいかなる様相を示すかという近未来予想図を描いている。
    書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」詳細はこちら
    投稿日:2014年12月12日
  • 最強の情報機関の極秘スキルは「対人の技法」の宝庫だ!
    米国の政府機関であるCIA(中央情報局)は、FBI(連邦捜査局)と並んで映画やドラマ、小説などのフィクションに登場する頻度が高く、その名は広く知れわたっている。その主たる活動内容は、米国の外交・国防に関する世界各国・地域における情報収集や情報操作、いわゆる諜報(スパイ)活動だ。元CIA諜報員による本書では、その性格上一般に知られていない同局の諜報活動や人事・組織運営におけるノウハウやテクニックの一部を紹介。ビジネスパーソンや企業が応用できるよう、解説を加えている。なお本書には、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏による解説が付されている。
    書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」詳細はこちら
    投稿日:2014年12月12日
  • 買わなきゃ良かった。
    表紙の作家以外はほとんど絵も話も下手な作家ばかり。同人作家の方がよっぽど上手い。お金を返して欲しいくらい。二度と買いません
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    投稿日:2014年12月11日
  • 胸を打つとはこういう作品のこと
    なんとなくタイトルから、こんな子が出てくるのだろうという想像はしていました。
    実際そのとおりだったのですが、その他は全然予想とは違うものでした。

    少年の通う小学校に、耳が聞こえない女の子が転校してきます。
    日々を“暇つぶし”としてすごしていた少年は、彼女を非日常的な存在に感じ、
    自分の楽しさを優先した行動で日々をすごしていきます。
    ここまでの説明で、そのときどんなことが起きたのかなんとなく想像がつく方も多いのではないでしょうか。
    でもこの物語は、その少年が高校生になったところから始まり、過去を振り返り、
    切られていた現実を繋ぎ合わせていきます。

    なんでこの人はこんな態度なの?なんで彼はこうなの?彼女は、どうして?
    ふと、自分のこのころを思い出して胸に応えます。
    自分ならどうするだろうと、読みながら考えてしまう作品というのも珍しいです。

    最終巻がまだ発売されていないのですが、登場キャラクターの幸せを、
    それも全員の幸せを望んでしまう作品なんてなかなかありません。
    是非読んでみてください。
    途中で胸糞悪くなるキャラクターがいるかもしれません。
    泣きたくなるかもしれません。
    理解ができなくてやっぱり投げ出したくなるかもしれません。
    それでもキャラクターたちから目が離せなくなります。
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    投稿日:2014年12月11日
  • 匿名希望
    ネタバレあり
    どこがいいの?この子。
    タイトルにつきます。

    ヒロインが、彼が苦手なのはわかりますけど、あまりにも攻撃的だし単に失礼な態度とりすぎ。
    心が傷ついていて、どうしてもそっけなくしてしまって申し訳ない・・とかの葛藤があるならまだ共感しますけど、あいつが悪い!キャンキャン!キャンキャン!って一方的に噛みつきまくりで可愛さのかけらもないです。
    そして気まぐれに近づいて、ちょっとでもそっけなくされると切れる、吼える。
    自分のほうがよほど攻撃してるだろう、って思う。
    二巻の最後まで攻撃的にわめきちらしてばかりで、好感がもてません。

    こんな性格のヒロインを可愛い好きだ言われても、マゾかと思います。
    ヒーローはかっこいいけど、ヒロインがだめなので残念です。
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    投稿日:2014年12月09日
  • 絵が上手な人ってうらやましいですよね。上手い人ってさらさらっと走り描きみたいに描けちゃうんですよ。まずはそこのハードルだと思うんですよね。私なんかは紙を前にした途端、かなり構えちゃいますもんね。プレッシャーをひしひしと感じながら。上手に描きたいんじゃないんですよ。それなりに上手く見えるように描きたいという、まぁ低いプライドだと思います。ところで、筆致から人となりみたいなものが見え隠れするというか、人間性が垣間見えるといいますか、創作物ってそういうところが面白いなと思います。絵とか…あるいは、その人が書いた文字だとか文章だとか。意外な一面を見ることができたりします。「見た目はパキッとしてるけど丸文字書くんだなぁ」とか「粗雑そうに見えて達筆ですな」とか「書き順舐めてるなコイツ」とか、いろいろなことを思ってしまいます。ちょっと話がずれてしまいましたが、今回ご紹介させていただくマンガはこちら、『月刊少女野崎くん』でございます。 無骨な男子高校生・野崎梅太郎は、その見た目からはちょっと想像できない、繊細な心理描写と華やかな画面で大人気の少女漫画家・夢野咲子なのです。本作は彼に恋をした女子高生・佐倉千代との掛け合いがメインの4コマなのですが、とても味わい深い笑いが散りばめられています。個人的には“タヌキ”がツボですね。ぜひともご一読くださいませ。
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    投稿日:2014年12月09日
  • ネタバレあり
    病みBL
    ヤンデレ攻め。眠っていた病み部分が目覚めてからは、何度か陵辱シーンがありますが、絵が軽めなのでわりと怖さはありません。
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    投稿日:2014年12月08日