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3401~3425件/11017件 を表示

  • デビューから約10年の間に描かれた短編作品集。ギャグ、コメディ、SF・ホラー、パロディ、ナンセンスギャグなど、多彩なジャンルを描き分けている。廃人二十面チョやイボ痔小五郎、オデンマスク、ヤキトリ魔人など強烈な個性を持ったキャラクターも多く、後に連載マンガに登場するキャラクターを探すのも面白い。少年誌で描くには残酷過ぎると、ギャグの天才・赤塚不二夫を怒らせた『じん太郎三度笠』も、描いている本人からすれば、面白くしようという一点で描かれている。石ノ森章太郎のもとでチーフアシスタントをしていた時代に描かれたデビュー作『目明かしポリ吉』は、絵柄や物語のテンポに著者の原点を見ることができる。
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    投稿日:2016年12月16日
  • 紙の単行本では1~2巻しか発売されていない作品の第3巻、第4巻を原稿から電子化!! 掲載誌が「週刊明星」だったためか、痛烈なギャグというよりは、キャラクターの内面により沿うようなギャグが多く、主人公・浜栗どす枝も、悩みながら成長していく側面を持っている。強気な女の子が主人公やヒロインを務めるケースが多い著者の作品のなかにあって、本作の主人公は周囲への気遣いを見せる部分があり、それがオリジナリティとなっている。どす枝が周囲を気遣うのに対して、どす枝に対する周囲の対応は冷たい、このギャップを時に大きくしたり、逆転させることで笑いに昇華しようと試みている。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年12月16日
  • 実際に起きた凶悪犯罪をモデルに構想されたエピソードや写実的なタッチが読む者の心に迫る。ことに被害者の悲痛な表情や、鴨ノ目によって制裁を加えられる犯罪者の苦痛に歪む表情のみがコマに描かれ、擬音や台詞を排した表現は、その一瞬のみを捉えて時間のコントロールができるマンガならではの表現といえるだろう。容赦のない表現で描かれていながら、本作に静謐なイメージを抱くのは、そのためかもしれない。
    • 参考になった 5
    投稿日:2016年12月16日
  • 『善悪の屑』で明確に描かれなかった、鴨ノ目武の過去から始まる本作。復讐劇の閑話休題的な要素であったカモ、トラ、ナナの奇妙な共同生活がベースになることで、「復讐屋」内の人間関係にも焦点が当てられる。“人を呪わば穴二つ”の言葉通り「復讐屋」に対峙する組織が登場するのも本作の魅力。新章として始まった物語は、新たなキャラクターを交えながら前作と同じ世界観で、静かに進行していく。
    • 参考になった 7
    投稿日:2016年12月16日
  • 数々の魅力を持つ本作のなかでも容赦がないと感じるのは、キャラクターの表情。もともと作り話だし、自分には関係がないと思っていも、苦痛に歪む表情や残酷な行為を嬉々としながら行うキャラクターの表情を見ていると“人間ここまでやれるのか?”という感覚になり、思わず目を覆いたくなる場面にも見入ってしまう。「どうして?」「なぜ?」といった読み手の持つ疑問が次々に投げかけられるのも本作の魅力の一つだ。
    • 参考になった 2
    投稿日:2016年12月16日
  • 「回収屋」として絶対的なヒエラルキーの頂点に立ち、長らく謎の存在として描かれていたシマウマ。謎多きシマウマの若き日々を因縁深き高城を交えながら描かれたのが本作。『シマウマ』のテーマの一つに「人を信用する、信じること」がある。感情を押し殺し、仕事に徹する本編のシマウマが、いかにして形成されたのか? 本作はその答えに向かって紡がれていく。
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    投稿日:2016年12月16日
  • 「これからどうなるんだろう?」という思いは、物語を読む側が抱く根源的な思い。そんな読者の思いや予測を裏切るような仕掛けが施された物語は読んでいて面白い。作り手は読み手の予測や期待を良い意味で裏切りながら、読み手が想像もしていなかった結末へと導く。本作はそんな作り手と読み手の思いが、確かな画力で描き出された良作だ。
    • 参考になった 2
    投稿日:2016年12月16日
  • 金を借りる側と貸す側、世知辛い現代を反映してか、マンガでも数多くのドラマが紡がれている。本作が他の金融ドラマと一線を画しているのは、金を借りた側への容赦のない追い込みが、借りた側の救いにつながっている点。もちろん、劇中で追い込みをかけられた側には、憎しみの感情が残ったままだが、ドラマを俯瞰している読者の目線からは、主人公のコミカルな一面を見ているだけに、ただ金を借りた側への追い込みをかけるドラマでは終わらない物語になっている。
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    投稿日:2016年12月16日
  • 大ヒットガチャ「コップのフチ子さん」の生みの親であるタナカカツキ先生ですが、実は日本に二人しかいない「サウナ大使」でもあるとのこと!(もう一人は長嶋茂雄氏)
    とはいっても以前からサウナが好きだったわけではなく、ある日突然「目覚めた」そうで、通称「サウナトランス」に至るまでのコツが丁寧に描かれています。
    目覚める前は蒸し暑いだけだったサウナ室や拷問のような水風呂も、コツを押さえれば「スーパー穏やか」なるトランス状態になるのだそう。またサウナ室での裸の人間関係についても面白おかしく描かれています。
    私自身はまだサウナが「わからない」人ですが、作者の「ととのう~!!」があまりにも気持ちよさそうなので「わかりたい…」と思ってしまいます。巻末には全国の厳選サウナ50選も載っていて、サ道にハマりそうです…。
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    投稿日:2016年12月16日
  • なんでこんな風に生まれついたのかだとか、生きる意味のようなことを考え始めると何もかも虚しくなることがありませんか。私はあります。
    この作品は繰り返しその虚しさを突き付けます。何度も何度も、色々なシチュエーションで繰り返し突き付けられる虚しさ。最初はリアルすぎて心がざわざわして、目を背けたくなります。でも読み進めるうちだんだん、なんだ、自分が時々感じるどでかい虚しさは、みんなが抱えているものなのか、と思え始めます。
    一巻は性欲や暴力や滑稽さが目立つ話が多いですが、二巻の最終話、「唯一者たち」がとても良いです。
    空気は読めないけど天真爛漫な美少女ルイちゃんが放つ「私の人生超すばらしいよ!でも…生まれてこないで済んだならそれが一番良かったな 誰だってそうじゃない?」というセリフ。現実の私たちには引きこもってても訪ねてきてくれるカワイイ幼馴染はいないけれど、そうか、君もそう思うときがあるのか…と勇気づけられます。
    けして希望あふれるお話ではないですが、読後感は意外とあたたかく、前向きな物語です。
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    投稿日:2016年12月16日
  • 今でもそうですが、私は小さい頃から自分に自信のない人間でした。「私のいいところって何だろう?」と悩むことも何度もありました。

    そんな私が小学生のときに出会ったのが『フルーツバスケット』です。このマンガはさまざまなキャラクターが自分の弱い部分やトラウマを克服していくストーリーなので、ひとつひとつのエピソードに心を打たれてぼろぼろ泣きながら夢中で読んでました。中でも特に印象に残っているのが「人の良いところは、おにぎりの梅干みたいに背中に付いている」というエピソードでした。他人の梅干はよく見えるからうらやましくもなるけれど、ちゃんとあなたの背中にも梅干が付いてるんだよ、というメッセージに勇気づけられたのが今でも忘れられません。

    「そうか、小さいかもしれないけど、きっと私にも梅干が付いているんだ!」。自分に自信が持てないとき、他人の長所がうらやましく感じるとき、このエピソードを思い出しては「私は私の梅干を生かしてがんばろう!」と思うことで立ち直っています。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年12月16日
  • 初めてハマったということであればやっぱり『イタズラなKiss』しかありません!
    今まで累計何回読み直していることでしょう。私の青春と言っても過言ではありません。あまたの少女マンガのいい男を見てきましたが、それでも入江君に勝てた男はおりませんでした。(すこーし揺れる事はあったんですけれども!)そして今後も現れないでしょう。
    とにかくもしかしてまだお読みになってない方がいらっしゃったら是非読んでいただきたいです!私のオススメのキャラは何と言っても「入江ママ」です。恋する女の子だったら絶対にうらやましいと思う「ママ」です!
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    投稿日:2016年12月16日
  • 誰に勧めてもらったのか忘れてしまいまして、勧めてくれた人、本当にありがとうございます!こちらの作品ですが上下2冊で完結となっておりまして、SF好きには本当におすすめ!(火の鳥、プラネテス、イムリ、寄生獣、レベルEとか好きな方)
    もう傑作です!鳥肌ものです!
    ピッピとは地震や災害を予知したりするために開発されたロボットなのですが、その的中率やすさまじく、まさしく現在ピッピがいたら…そりゃあ神の様に頼ってしまうだろうな…と思います。研究者の1人、瀬川博士の一人息子タミオと「成長」していくピッピなのですが…。ここからは是非読んでみてください!
    • 参考になった 2
    投稿日:2016年12月16日
  • この作品は社会問題となっている「老老介護」をテーマにしているわけではないと私は思いました。それよりも人間が「どのように死ぬか」ということを考えさせてくれる作品だと思います。
    ある集落の火葬場で「老夫婦の焼死体」が発見されるところから物語は始まるのですが、事件は「心中」で片づけられます。しかしある週刊誌記者がいろいろな不自然さに気が付いていって…というような展開をみせます。
    どのように死ぬかはどのように生きるかにつながっていると思います。ある意味すごい死に方だな、と私は感動しました。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年12月16日
  • 男性・女性問わずオススメです。「ダメ男を論破。」的な内容なので特に男性関係でモヤモヤしてる女性にはおすすめかも。昔を思い出して、こんな時こういうこと言いたかったんだよー!と思わず共感できる作品だと思います。男性には「女性はこういう男性にイライラしてるよ」と気付いてもらえるきっかけになるかも?
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年12月16日
  • 逆立ちもできなかった少年がオリンピックに出たい!という夢に向かって必至に頑張る物語です。元体操選手が原作なだけあって技の説明なども分かりやすく、素人でも楽しく読めます!努力・友情・勝利!少年マンガ王道の青春ストーリーが全てつまった作品だと思います。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年12月16日
  • 今までなかったヒーローもの!(?)惡を倒し、世界が平和になったところから物語が始まります。メンバーは一般人と同じ生活へとそれぞれ帰って行くのですが、主人公のレッドだけがなぜか変身がとけずそのまま日常生活を送ることに。家なし、職なし、金なしのヒーローが繰り広げる、笑いあり時には涙ありのギャグ漫画です。
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    投稿日:2016年12月16日
  •  これは、この世界の出来事ではない。
     あるパラレルワールドの物語である。

     巻頭に2行のことわりを置いて始められる戦慄の物語。著者はなぜ、『黒い巨塔 最高裁判所』(講談社、2016年10月28日配信)を書き始めるにあたって「この世界の出来事ではない」とことわり、「あるパラレルワールドの物語である」と重ねなければならなかったのでしょうか。
     著者の瀬木比呂志氏は、最高裁事務総局民事局付として勤務した経験を持つ元裁判官で、2012年に明治大学法科大学院専任教授に転身。裁判官として最高裁の奥の院――権力機構を目の当たりにしてきた自らの体験と法曹界にあって積み重ねてきた研究をもとに、日本の司法の知られざる実態を明らかにする衝撃の書2冊――『絶望の裁判所』(2014年2月)、『ニッポンの裁判』(2015年1月)を相次いで出版。いずれも講談社現代新書で、紙書籍、電子書籍がほぼ同時にリリースされてロングセラーとなり、後者は第2回城山三郎賞(小説、評論、ノンフィクションを問わず、いかなる境遇、状況にあっても、個として懸命に生きる人物像を描いた作品、あるいはそうした方々が著者である作品を顕彰することを目的に2014年に創設)を受賞しました。
     瀬木教授は、この2冊について――『絶望の裁判所』はもっぱら裁判所、裁判官制度と裁判官集団の官僚的、役人的な意識のあり方を批判、分析した書物であり、これに対し『ニッポンの裁判』はそのような裁判所、裁判官によって生み出される裁判のあり方とその問題点について、具体的な例を挙げながら、詳しく、かつ、できる限りわかりやすく、論じた、と述べています(「『ニッポンの裁判』はしがき」より)。
     著者の言葉を借りるなら、現在の日本の司法、裁判に対する国民、市民の不信と不満が耐えがたいほどに鬱積(うっせき)しています。にもかかわらず、その問題点を分析した書籍は少なく、中でも一般向けに書かれたものはほとんどなかったという。そうした中で、インサイダーとアウトサイダー双方の視点から包括的かつ構造的に批判・分析を試み、高い評価を得たのが前掲の2冊でした。
     しかし、元裁判官の瀬木教授は、2014年、2015年と連続出版した2冊にとどまらず、2016年秋に、これまでのようなノンフィクションではなく、あえてフィクションに挑戦し、パラレルワールドの出来事とことわった上で、最高裁と裁判官たちの戦慄の物語『黒い巨塔 最高裁判所』を世に送り出したのです。

     直木賞受賞作『復讐するは我にあり』(イーブックイニシアティブジャパン/2010年12月14日配信、文藝春秋/2013年3月22日配信)を初めとするノンフィクション・ノベルを数多く遺した佐木隆三さんが、むかし週刊誌の連載小説の打合せの場で「取材と調査は可能なかぎりおこなう。そうして虚構の世界で真実に迫ろうというのが小説家のモチーフだ。作者としては記録小説(ドキュメント・ノベル)をひたすら書いてゆく」と語っていたことを思い出しました。著者の意図はどこにあったのでしょうか。

    『黒い巨塔 最高裁判所』。主人公は、最高裁事務総局民事局付判事補の笹原駿(ささはら・しゅん)。物語は、1980年代後半の4月初め、笹原判事補が最高裁民事局付として初日の勤務に就く早朝に始まりますが、東大法学部在学中に司法試験に合格して1979年に任官、東京地裁の初任時代に左陪席として大規模事件を担当、そして留学試験に合格、1982年に研究員としてアメリカに渡り、1年後に帰国、地方の裁判所勤務を経て最高裁事務総局に異動という若き著者(瀬木教授)の軌跡と主人公の経歴が時期も経路もほぼ重なるのは偶然ではあるまい。
     最高裁中枢に近いエリートセクションに一歩、足を踏み入れた笹原局付が、そこで目の当たりにする最高裁の有り様は思い描いていたものとはまるで異なる姿だった。そして、最高権力者の長官から直接呼び出しを受けるなど身をもって知ることとなる最高裁の内幕――元裁判官が「パラレルワールドの出来事」とことわって描いた小説のリアリティが読む者を圧倒します。

     裁判官は、その判断の独立性を保つために、憲法によって身分が保障されています(憲法第78条)。しかし、裁判所も最高裁長官を頂点とするひとつの官僚機構であり、その中に身を置く以上、外の世界からの直接的な影響は受けることはないにしても、内部にあっては“裁判官の独立”も完全なものではありません。長官と側近たちの密議によって裁判官がその身分を失っていく過程を、瀬木教授はこう描いています。

    〈最高裁の一番奥まった位置にあり、お堀を望む眺(なが)めも抜群の豪壮で広大な長官室には、この午後に懸案事項のいくつかにまとめてけりをつけてしまおうという須田長官の思惑から、片隅にある会議用テーブルの周囲に、事務総長の折口、首席調査官の神林弘人(かんばやしひろと)、人事局長の水沼隆史といった面々が集められていた。〉
     長官の須田謙造と事務総長・折口茂ら側近数名が集まって懸案事項とそれにともなう人事に関する内密の話をするシーンです
    〈須田は、席につくと間もなく、顔を下げることもしないまま口の中のガムを器用に灰皿の真ん中にぷっと吐き出し、一同の顔を順次眺め回すと、切り出した。
    「まずは、小さなことから片付けよう。徳島の辻宏和のことだ。
     うるさい奴だから、早いところ東京地裁から所長に出して追い払ったが、そろそろ次の異動がみえてくる時期だ。しかし、あいつはやめさせる。少なくとも、今後関東には戻さん、絶対にな」
     折口事務総長は軽く、責任者の水沼人事局長は深くうなずいた。(中略)
    「なるべく早く片を付けろ。それから、公証人のポストは、実入りのいい場所で用意してやれ。それなら本人も呑むだろう。もし呑まなければ、今度は仙台管内の所長にでも送り込んでやれ。雪の深い秋田あたりがいいな。あいつの性格だから、雪下ろしに業者なんぞ頼まんだろう。所長官舎の屋根から落ちて、わしらの手間が省けるかもしれん……〉

     後日、高松高裁所長が徳島地家裁所長辻宏和に対し、新橋公証役場の公証人になるか、定年までの地方回りを選ぶかの二者択一を提示します。「なぜ60にもならない自分が公証人などに」と憤懣やるかたない辻所長でしたが、それが須田長官直々の意向だと知らされて気力が完全に尽き結局年収4千万円の公証人の道を選択、裁判所を去ります。
     自分の意向に沿わない裁判官に対する“意趣返し人事”を厭わぬ須田長官の司法行政。その影響は当然最高裁判事にも及びます。殉職自衛官合同慰霊祭事件で国家賠償を認めた地裁、高裁の判決に賛成する意向を示していた最高裁の女性判事からこの案件をとりあげ、長官自らが裁判長を務める大法廷に回すように画策します。「政権に寄り添う最高裁」という意味で大変興味深いエピソードなのですが、その詳細についてはここでは触れません。
     直視すべきは、司法行政についての自身の思惑の前には“裁判官の独立”など顧みることなく裁判官を意のままに操ろうとする最高権力者の存在です。最高裁、そして全国の裁判所を統制し、意に沿わぬ裁判官は適材適所の名の下に飛ばします。立身出世志向が強く、自己承認欲求が高いエリート裁判官たちは徹底的な人事統制にさからうことはできません。最高裁の闇の中で最高権力者はいったい何を狙っているのか――。

     須田長官が政権与党国民党の黒幕と呼ばれる大物政治家、渡邊直之の別荘に内々に招かれ、週末に訪問した。東京帝大の先輩でもある。最高の酒と酒肴のあと、くるべきものがきたという感触をもって臨んでいる須田長官に渡邊が切り出す。テーマは〈原発〉だ。

    〈……日本の原子力行政、原子力平和利用の基盤がようやく整ってきたこの段階で、仮処分に続き、原発稼働停止の本案判決、運転差止め認容の地裁判決が一つでも出れば、おそらくは後続の判決も現れ、新規原発の建設はおろか、稼働中の多数の原発についても、その順調な稼働が危ぶまれることになりかねません。
     須田長官のことですから、私のこんな懸念も本当に杞憂かとも存じ上げるのですが、石橋を叩いて渡らなければすまない老人の繰り言と御理解下さい」(中略)
    「仮処分が問題にしているのは、千年、二千年に一度起きるかどうかの災害。そんな極小リスクまで一つ一つ検証しなければならないとすれば、最後には、宇宙からの隕石の飛来まで考慮しなければならなくなる。そんなことができるというのか? 裁判所は、一体、何を考えているのだ!」
     電力業界と深い関係をもち続けてきた首相は、仮処分決定の要旨を目にして、側近たちに向かい、吐き捨てるようにそうどなったといわれていた。
    「……いや、実を申しますと、最近は、私も、党内のそういう声を抑えるのにいささか苦労しております。
     御存知のとおり、黒塚首相は、ああいう方で、正直、目から鼻へ抜けるような人ではないし、学歴などはいささか貧しいこともあって、行政官僚も、裁判官も、ひどく嫌っているのですよ。ことに、須田長官のような東京帝大、高等文官試験トップ組の方々に対しては、何と申しましょうか、インフェリオリティー・コンプレックスや嫉妬の入り交じった、すさまじい憎しみをあらわにされることもありましてな。
     いうまでもありませんが、表の顔や一見しての能力だけで彼を判断なさいませんよう。権謀術数やメディア、世論操作には非常に長けた、なかなか恐ろしい人物ですよ、あの人は」〉

     原子力の問題は、まさに国家のエネルギー政策と安全保障の根幹にかかわる。世間というものをよくは御存知ない秀才であられる裁判官の方々が立ち入るべき領域の問題ではない――婉曲な物言いながら、政権方針に反する判決など論外、裁判所全体を政権中枢の原発政策に資する形にまとめることができないようなら、長官の座も保証しないという恫喝同然だった。
     その恫喝はある意味で核心を突いていた。稼働中の原発の運転停止認容判決が仮処分に続く状況だけは、絶対に避けなければならない。ひとたび差止めを認めるロジックが定着すれば、必然的にすべての原発の稼働を停止せざるをえなくなる恐れがある。それは絶対に避けなければならない。もはや待ったなしだ。須田最高裁長官は秋の裁判官協議会で原発訴訟を取り上げることを決意します。
     年に一度全国から高地裁裁判官、主として地裁裁判長クラスの判事を集めて行われる、最も大規模かつ重要で、全国の裁判官たちに与える影響も大きい裁判官協議会です。協議会の進行準備を担当するのは局付ですが、笹原は局長から原発訴訟についての予備調査的検討を命じられます。課長を通さない局長直接の下命は異例です。
     そして、笹原に長官秘書官から電話が入った。長官からの内々の呼び出しだった――。

     須田長官は笹原局付に何を求めるのか。それに対して笹原は? 日本の司法は「原発」をどう判断するのか。
     いま、最もセンシティブな問題を素材に最高裁中枢を知り抜いた元裁判官が描いた最高裁判所の真実。黒い巨塔の知られざる実態を知れば知るほど、司法の荒廃に戦慄します。三権分立はもはや、“壮大なるフィクション”と化してしまったのか。(2016/12/16)
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    投稿日:2016年12月16日
  • 「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」の国内部門で第1位になった注目のミステリーです。作品のモデルとなっている「グリコ・森永事件」(作品内では「ギンガ萬堂事件」)は、1980年代半ばの日本社会をパニックに陥れた未解決事件。「かい人21面相」を名乗る犯行グループが、「どくいり きけん たべたら しぬで」の脅し文句とともに、青酸ソーダ入りのお菓子をばらまきました。本書は、事実とフィクションを織り交ぜながら、事件の真相に迫っていきます。

    この事件の特異な点の一つに、被害企業を脅すために、3人の子どもの声が使われたことが挙げられます。作家志望だった著者の塩田武士さんは、大学生だった21歳の時にこのことを知り、「これは小説になる!」と意気込んだそうです。社会経験を積むために新聞記者となった塩田さんは、仕事の合間を縫って「グリ森」の資料を読んだり、当時を知る人々に話を聞いたりしていました。その後、作家デビューを果たし、満を持して36歳で本作に着手。2016年8月、構想15年の大作が単行本として発売されました。

    本書では、テーラーを営む曽根俊也と、新聞記者の阿久津英士が、それぞれのやり方で「ギンガ萬堂事件」の真相を追います。曽根は父の遺品のなかから自分の幼い頃の声を録音したテープを発見し、それが31年前の事件で脅迫に使われたものであることに気づきます。一方阿久津は、新聞社の年末企画の一担当として、この事件の取材を開始します。本書は、現実には未解決の事件が、圧倒的なリアリティをもって解明されていくため、ドキドキしながら読み進めることができます。しかし、最も注目すべきはそこではないかもしれません。

    後半、阿久津が真犯人と対峙する場面があります。通常、“名探偵”と“真犯人”が対峙するような場面は最大の山場であり、その後大団円を迎えるというストーリーが一般的でしょう。しかし、本書ではそう描かれていません。逆に最も力を込めて描写されているのは、子どもの時に、事件で脅迫の声として使われた3人の人生です。犯人逮捕で一件落着するような物語ではなく、家族、ひいては人間というものを掘り下げて描きたいという著者の意気込みが感じられます。

    今後、映像化しても大成功を収めると思われる、重厚な作品です。
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    投稿日:2016年12月16日
  • 主人公が主人公らしからぬ
    面白いです。
    ストーリーはもちろん、見せ方が新鮮でした。
    物語でBLしているのは、主人公ではなくて主人公が腐男子的に気になる2人組。
    主人公の通称ベジくんが、その2人組を追いかけ始めるところから、趣味であるBL風男子の観察(盗撮)趣味が、趣味の範疇を超えていきます。
    主人公でありながら、心の内はよーくわかるのに、外的情報がほとんど無いまま話が進んでいきます。でもちゃんと楽しめる。
    恋愛要素以外のドキドキポイントもあり、ストーリー展開になんだか少年誌っぽい面白みを感じました。
    やっぱりそうか~という展開の中にも、ちょこちょこ意外性や萌えポイントが。
    むやみに読み手を驚かそうとしていないところがいいです。
    この作家さん、BL以外も色々とお上手に描けるんだろうなぁという印象。
    エロはありましたが表現があっさり目(擬音やしずる感少)。
    テンポがよく、読みやすかったです。
    それと、キャラクターやサブタイトル(?章ごとに付けられたタイトル)のネーミングセンスにクスッとさせてもらいました。
    しかしまるまる表題作で162ページ、400円。とてもお買い得です。
    • 参考になった 3
    投稿日:2016年12月15日
  • 匿名希望
    モブキャラもこだわってます!!
    子供の頃から、料理漫画が好きで好きで好きで
    人様がモノ食ってる姿ってなんでこんなに楽しいのか!
    なかなか家で真似が出来ない技(笑)が多いのですが・・・
    この漫画を読んでいた当時小学生の私、重曹とか百合根とか知らなかったな~
    アニメ化もしていたのでタイトルだけご存知の方も多いかも?
    イメージよりもしっかり真面目な料理(対決)漫画ですよvvv
    お弁当の話が好きです。←結構出てくる(笑)
    • 参考になった 0
    投稿日:2016年12月15日
  • ほのかに漂うおされ感
    子供の頃から、料理漫画が好きで好きで好きで
    人様がモノ食ってる姿ってなんでこんなに楽しいのか!
    子供時代に読んでた時は分からなかったけれど。。。
    紙面から漂うお洒落感に今更気づいてしまいました。
    ちょっと前の漫画ですが、ハル君なんて今みても断然格好いい~
    主人公以外のキャラクターも皆さん良い味出てますよ!
    お話も登場するご飯もキャラクターも全部ひっくるめて良い塩梅でした。
    • 参考になった 0
    投稿日:2016年12月15日
  • 読んでたのしい作っておいしい
    子供の頃から、料理漫画が好きで好きで好きで
    人様がモノ食ってる姿ってなんでこんなに楽しいのか!?
    こちらは一昔前?の飯テロ漫画といえます。
    読むだけでもいいけど、作れるともっと嬉しい楽しい。
    レシピ見ながら作ったパエリアが懐かしい・・・
    一見絵柄は古いけど、読んでても気になりません!!
    ごはんは時代に左右されないのだ。
    • 参考になった 0
    投稿日:2016年12月15日
  • 匿名希望
    ふつー
    ドラマを見ていたので新垣結衣のみくりのイメージのまま読み進めるも、こんなしっかりした女が就職できないとかあるのだろうか、、と家事代行に就職する設定そのものに疑問がわいた。結婚は契約だけど、生きるための経済的安定のためだけに一緒に住めるほど人って簡単にはできてないわけで、漫画としては面白いけど、感情移入はできず。
    どちらかというとみくりの未婚のおばさんを応援したくなる。
    • 参考になった 0
    投稿日:2016年12月15日
  • 匿名希望
    おもしろかった
    内容的にはレズ風俗に関係する部分もおもしろくはあるものの、作者の家庭内環境や心の不安定さを本人が主観と客観を交えながら、淡々と画にしているところがシュールだし、決して気の強い人ではないであろう作者がレズ風俗にいったことを晒すという、人生賭けました感を読み手にもひしひし感じさせてくる。精神的にもかなりキテいる漫画家の体当たり作であるため、最近出た2冊目の「一人交換日記」も非常にあぶなっかしい内容であり、命をけずって書いてる感満載であった。
    • 参考になった 5
    投稿日:2016年12月15日