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小坂俊二大特集 インタビュー

4つのコマから生まれる多種多様な物語――。古く長い4コマ漫画の歴史からは様々なスタイルの4コマが生まれ、広い裾野を持つおおきな山となっている。その山の王道を突き進むのが小坂俊史だ。多種多様でありながら一本筋の通った笑いがある、小坂俊史作品の魅力に迫る!

小坂俊史ロングインタビューページ2

8pを走り抜けるだけのキャラクター

――4コマの経験則がどのようにショート漫画に応用できたのでしょうか?

8pショートは、実は4コマと同じ構成なんです。2、4、6、8pの一番初めのコマをつなぐと4コマになる、そんなイメージで描いています。
2、4、6、8pの一コマ目は、ページを捲った時に最初に目に入るコマなんですが、それを柱にして話を考える。話の流れが決まれば、あとは間を埋めていくんです。

――なぜ、その方法は考えられたのでしょうか

ショート8pを描こうとしたときに、自分の中に頼るものがなかったんです。4コマの“枠”と同じ、ルールが欲しかったんです。

――4コマと同じく縛りを欲していたんですね

だから、ショート漫画でも「お題をくれ」って感じですね。たとえば『これでおわりです』では共通のお題を“おわり”に設定して連載していく。お題を同じにしても、毎回、別のシチュエーションにしているのは、キャラクター作りに自信がないところもあるかもしれません。
8pを保たせるキャラクターは使い捨てのほうがいいかなと思っているんです。同じ人をずっと描き続けるのはしんどいんです。

「最後のお酒」「最後の納品」「最後の桜」…様々なおわりをテーマに描かれる『これでおわりです』(『これでおわりです』)

「最後のお酒」「最後の納品」「最後の桜」…様々なおわりをテーマに描かれる『これでおわりです』(『これでおわりです』)

――特定のキャラクターを描き続けるのはしんどいですか?

正直に言えば、毎回新しいキャラクターをつくるのは、描き続けるより倍くらいしんどいというか面倒です。それでも、キャラクターを掘り下げる方が自信なかったですね。特に長いストーリーを回すくらい、重要なキャラクターをつくるともなると……。

――『せんせいになれません』の桃山や『ラジ娘のひみつ』の郵便局員など魅力的なキャラクターがたくさん登場すると個人的には思いますが、キャラクターづくりに自信がないのはなぜでしょうか?

それまで、描いてきたのが4コマ漫画のキャラクターなので、4コマをやりきるぐらいのキャラクター性しかないんです。大体の方向性を持ってオチにつなぐための技があるくらいで十分なんです。
あまり深みをもっていても、活かせないんですね。

名物ハガキ職人を目指す青少年の敵、近所の郵便局員(『ラジ娘のひみつ (1)』)

名物ハガキ職人を目指す青少年の敵、近所の郵便局員(『ラジ娘のひみつ (1)』)

――しかし、小坂作品からはキャラクター同士の関係性や場の雰囲気といった、作品世界が伝わってくるように感じます

それっぽい場の雰囲気をつくるのは確かに好きなんですよ。僕自身がよく知らないシチュエーションでも、それっぽい空気をつくることは、なるべく意識しています。

――『月刊すてきな終活』では老若男女の、“終活”という特殊な活動を描かれていましたよね

“終活”は編集さんからもらったテーマですね。「流行っているモノを教えてくれ」って聞いて出てきたのが“終活”だったんです。
彼らの反応は自分がつくった感情なので、終活されている人の本当の気持ちかどうかはわかりませんよね。
中でも、お年寄りを描くのはやっぱり難しかったですね。この年令の人ってこう考えないだろうな、多分違うんだろうなあ、という自覚もありました。つくりものの度合いが高いのが、自分の中でもすごくわかりましたね。
結局、僕がつくったからといって、それがそのまま僕自身の考えというわけではないんです。自分の気持ちだけストレートに反映すると1パターンしかキャラクターをつくれません。キャラクターをたくさんつくるためにはあまり深くしないんです。
彼らは人工的なもんですから、1話で終わるくらいが丁度いいし、それぐらいが限度ということもあるんですね。

終活の方法も目的も違う、様々な人間の姿を描く。(『月刊すてきな終活』)

終活の方法も目的も違う、様々な人間の姿を描く。(『月刊すてきな終活』)

――ご自身の中からたくさんのキャラクターを生み出せている理由は何でしょうか

無責任だからですかね。キャラクターは割と突き放しますし、責任を取らないからこそ、極端なキャラクターが出てくる気がします。

――1話だけのキャラクターはこれからもたくさん生み出せるということでしょうか?

そうですね。8pくらい長さのストーリーのキャラクターならなんとかなると思います。
彼らはとにかく、「ワンテーマある人」なんです。『まどいのよそじ』でもそうですよね。何かワンテーマ、しょうもない悩みをもっている人を想像して彼らの話を描いてく。

――キャラクターに持たせるテーマが大事なのですね

それは4コマ漫画とも同じなんですね。4コマ漫画で、ワンテーマのお話がオチにまでつながっていくのと同じ。なんにせよ、それをずっと繰り返していますね。

――ほんとに4コマのペースで鍛えられてきているのですね

それ以上のものができないというのが悩みでもあるんですけど。

最新作『新婚よそじのメシ事情』

――最新作『新婚よそじのメシ事情』では、結婚されて変わった小坂さんの食生活を描かれていますが、どのような経緯で始まったのでしょうか?

結婚したからには、これを漫画に使わなきゃ損だと思ったのです。いろいろ試行錯誤した結果、結婚して大きく変わったメシ事情は描けるのではないかと思ったんです。自分の今までの爛れた食生活20年との対比は、たくさんあるごはんモノの漫画の中でも売りになるのではないかと。
僕の食生活も大きく変わりましたが、それに加えて、妻もちょっと特殊なところがあったりもしてね。

――牛肉へのこだわりはスゴイですね

あれは反響がありましたね。

それまでの独身一人飯とは全く違う食生活に若干戸惑う小坂氏(『新婚よそじのメシ事情』)

それまでの独身一人飯とは全く違う食生活に若干戸惑う小坂氏(『新婚よそじのメシ事情』)

――結婚するまでの食事情はどのような感じだったのでしょうか?

一般男性の中でも下の方ですね。一応自炊もしていたんですが、あまりにもレパートリーが少なくて、自分で飽きていました。

――この作品と、ご自身の距離感はどのようなものでしょうか?

『メシ事情』に関しては、キャラクターの外見は「自画像」でないものを使っていますが、それ以外はかなり自分そのままなんです。でも、漫画として成立させるためには何かが必要で、この場合だとそれは【オチ】なんです。ちゃんと【オチ】が付くから、自分で自分を書くことを許しているところがあります。【ほぼノンフィクション】と銘打っているのはそういうことなんですね。

――【オチ】がフィクションとなっているんですね

1~3p目までは本当のこと、4p目のオチの部分は実際と違うことが多いですね。実話のままでオチたこともありますけど(笑)。
【オチ】がなくてもいいかんじに着地させるテクニックがないので、漫画を成立させるための【オチ】を用意するしかないんです。それが自分にとっての漫画の条件なので、フィクションをいれることを許しているんです。

――フィクションであることを許しているというのも面白いですね

さきほど4コマ漫画は【構成】と【キャラクター】と【人間関係】どれかあればいいという話をしましたけど、僕は他の要素よりも、【構成】でポイントをとろうと思っているんです。

――これから、なにか描いてみたいと思う題材はありますか?

最近の流行で、自分のニッチな趣味が身を助けるパターンがありますよね。中でも、服部昇大さんは今すごいですよね。服部さんは本当に自分が好きなニッチなものを突き詰めて、それを漫画に昇華して。『邦キチ! 映子さん』といい、『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』といい、もともと趣味だったものが全部活きている。奇跡的だと思います。
自分の中にも何か無いのかと考えてみても、あそこまで掘り下げているレベルのものって無人駅ぐらいしかないんですよ。

無人駅や秘境駅の紹介も多い『わびれもの』(『わびれもの』)

無人駅や秘境駅の紹介も多い『わびれもの』(『わびれもの』)

――『わびれもの』の中でも、よく無人駅が出てきましたね。

秘境駅という言葉を作った牛山隆信さんという方の本を読んで一気にハマったんです。今でも時間を見つけては行こうとしてますけど、結婚してからはなかなか難しいですね。
この無人駅で何かできないかなって思ったりもします。それは趣味の範囲かな…。
 商業としては、そろそろ連載入れ替え機なので、新しい事を考えないといけないですね。今、人は何を見て喜んでいるのか、これまで考えてこなかった事を考えたいと思っています。
特に最近は。突き放したテーマのものを多く描いていたので、もうちょっとフレンドリーなものを描いていきたいですね。

小坂俊史

1974年山口県生まれ。1997年『せんせいになれません』でデビューして以降、『中央モノローグ線』『わびれもの』『ラジ娘のひみつ』など4コマ漫画を中心に数多くの作品を発表している。

©小坂俊史/竹書房

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