オススメ特集

一覧を見る

新刊 12/3~9発売! 258冊

新刊一覧

ビジネスの新刊一覧

趣味・実用の新刊一覧

学術・学芸の新刊一覧

  • 週別日別

各ジャンルのランキングはこちら

  • 成功する男のファッションの秘訣60 9割の人が間違ったスーツを着ている
    入社して22年も経つといろんな人にお世話になる反面、一度も話すこともないままの方もいる。

    この本の担当編集で出版部長でもある彼女(すみません、先輩にむかって…)とは、編集者と営業という立場で、お互い3つの編集部、3つの営業部署に異動を繰り返しつつその度に、お仕事をさせていただく不思議な縁がある。その上、一時期は護国寺の駅のホームで2~3日に一度は偶然逢ったりするものだから、生まれ変わってどちらかが男性だったら結婚する約束なんかをしてみたりした。

    そしてその後、講談社が新刊全点電子化を目指し始めた2012年に、お料理、美容、ファッションなどの実用書を出版している彼女の出版部の電子書籍営業担当となった。

    電子書籍化の許諾を、著者お一人ずつにとっていただき配信点数は徐々に増やしている中、外資の大手電子書店が日本でオープンラッシュを迎え、同じ部署の仲間が担当する出版部からは、小説や新書などで電子のヒット作がいくつか出始めた。けれど、なかなか彼女の部署の作品が講談社電子書籍の売り上げ上位に入らない。黙々と許諾をとっていただいているにも関わらず…。

    ダイエット本やお料理本の特集を提案したり、なんだかんだやってはみるが芳しい結果が出ないまま1年が経ってしまった。

    そんな頃、とある電子書店さんが1冊しか紹介しないコーナーを作ったとプレゼンにいらした。これは!と彼女のところに飛んでいき、電子書籍で売れそうな作品選びを一緒にしていただいた。男性向けの作品で、電子で買いたい!という読者がいる作品。

    女性は電子書籍でティーンズラブやボーイズラブものや官能小説をよく買っているけれど、それに比べてお料理などの見目麗しい本は紙の方が圧倒的に売れる。女性は、“お店で買う、本棚におく、なんなら捨てるときにも、他人に見られるのが恥ずかしい”作品を電子で買っている。

    その点、男性は普通の小説やビジネス書など、書店にいく暇がなかったり、持ち歩くのに重かったりという理由で電子書籍を購入する傾向がある。でも、男性だって、恥ずかしいから電子で買うがあるに違いない!とこの作品を選んだ。

    紙でも重版がかかっている作品ではあるけれど、まだまだお洒落に興味があっても本を買うのは恥ずかしいなと、電子だったら買ってくれる読者がいるはずと。

    結果、デイリーではあるものの、その電子書店さんで扱っている約10万点の作品での総合ランキング2位を獲得。その月の講談社全電子書籍での売り上げでも2位を獲得することが出来、やっと、彼女といっしょに「すごいね!」と喜べた。

    それからまた時間はあっという間に経ち、そろそろ1年。次の企画を練らなければと焦る日々。

    (2014.08.15)
    投稿日:2016年02月24日
  •  何を語っていないのかに着目するという新たな分析手法を打ち出した〝安倍首相ウオッチャー〟が注目を集めています。
    『日本会議 戦前回帰への情念』(集英社新書、2016年9月16日配信)、『戦前回帰 「大日本病」の再発』(学研、2015年9月29日配信)の著者、山崎雅弘氏です。1967年生まれの戦史・紛争史研究家で、主に「歴史群像」「歴史人」などの雑誌で執筆活動を行っていましたが、2014年12月の衆議院議員選挙直前にネット媒体「ポリタス」(津田大介主宰)に「首相が『どの論点を避けているか』にも目を向けてみる」を寄稿。その中で山崎氏は、安倍首相が戦前・戦中の国家体制について否定的な言葉をまったく口にせず、対外侵略や自国の軍人を大勢餓死させた戦争指導部の不手際などへの言及も徹底して避け続けている事実を指摘した上で、日本会議との関係を明らかにしました。大手マスコミが安倍政権と日本会議との関係性については沈黙する中で、この問題に正面から切り込んだ姿勢が高く評価され、この論評を発展させて出版にこぎつけたのが『戦前回帰 「大日本病」の再発』であり、さらに日本会議との関係に絞り込んだのが『日本会議 戦前回帰への情念』です。ここでは、この2冊のうち、著者の最新作となる『日本会議 戦前回帰への情念』をベースに「家族観」「女性観」を軸に安倍首相の「日本国憲法」についての考え方を見ていきます。

     安倍首相は「女性が活躍できる社会」の実現を掲げています。「男女平等」の先頭ランナーであるかのような印象を持つ人もいるかもしれませんが、事実はまったく異なるようです。山崎氏は次のように指摘しています。

    〈二〇一六年三月七日、国連女子差別撤廃委員会は日本政府に対して、日本国内における性差別の撤廃などを勧告する「最終見解案」を提示しました。
     この作成過程において、同委員会は当初、皇位継承権が男系男子の皇族だけにあるのは「女性への差別に当たる」として、皇室典範の改正を求める文章を勧告案に含めていました。しかし、日本政府の強い抗議によってこの文章は取り下げられ、最終見解案には含まれませんでした(同年三月九日付「東京新聞」夕刊ほか)。
     ちなみに、この国連女子差別撤廃委員会は二〇〇三年と二〇〇九年、二〇一六年の三度にわたり、「夫婦別姓を認めない現行制度は、事実上夫の姓を妻に強制するものであり、女性差別的な規定である」として、法改正を日本政府に勧告しています。
     いずれにせよ、日本会議が「変えてはならないと見なす伝統」、つまり戦前・戦中型の家族観を守り、女系天皇容認の考えが広まることを阻止するために、たとえ選択式であっても夫婦別姓は認められないという態度を崩さないなら、それと引き換えに、現在を生きる日本人女性の権利が制限されても仕方ないと考えていることになります。
     二〇一五年一一月一九日、イギリスのBBCは、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している「男女平等ランキング(グローバル・ジェンダー・ギャップ・リポート)」を報じましたが、日本は男女平等の達成度において、一四五ヵ国中の一〇一位と評価されました。二〇一四年の同ランキングでは、一四二ヵ国中の一〇四位で、わずかに上昇してはいるものの、全体の中では「下の三分の一」のグループに入っています。
     このような状況は、「女性の活躍」「女性が輝く国」などの言葉を好む安倍首相にとっては屈辱的であるはずですが、なぜか問題の是正に取り組む気配がありません。「男女平等」という概念は、「女性の活躍」「女性が輝く国」と印象が似ていますが、注意深く見ると、後者は「権利などが平等か否か」を問題にしてはいないことに気付かされます。〉

     安倍政権も、その閣僚の多くが深い関係にある日本会議も、夫婦別姓を認めない現行制度を女性差別的規定として改めるようにという国連の勧告を拒絶しているのです。国連勧告を無視してでも守らなければならないものとはいったい何なのでしょうか。
     自民党憲法改正草案には、「家族条項」が盛り込まれています。「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」という内容で、現在の日本国憲法には存在しない新設条項です。
     日本会議を代表する論客である桜井よしこ氏は、講演会で大要以下のように語っています。
    「(現行の)憲法には「家族を大事にしましょう」ということが、どこにも謳われていません。家族こそは人間の暮らしの一番の基礎であって、国家、社会の一番の土台であるという価値観は広く世界にいきわたっていて、およそどの国の憲法にも書き込まれていますが、私たちの国の憲法にはそれがない。家族がなくて個人個人がバラバラです。あなたは父親でもない、母親でもない、子供でもない、孫でもない、個人です」(日本会議機関誌「日本の息吹」2013年11月号掲載の講演録「日本人をダメにする憲法」より)

     桜井よしこ氏だけではありません。安倍首相や高市早苗総務相など安倍政権閣僚も実に率直な言い方で家族主義に言及していたことを山崎氏が本書で紹介しています。

    〈安倍首相は自民党が下野していた時期、自分と同じ「創生『日本』」という議員団体に所属する稲田朋美、加藤勝信、新藤義孝、城内実の四議員と雑誌「WiLL」二〇一〇年七月号の企画で座談会を行いましたが、そこで夫婦別姓について次のような意見を述べていました。
    「夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)。これは日教組が教育現場で実行していることです」(六一ページ)(中略)
     安倍首相と同じく日本会議国会議員懇談会に所属し、現総務相の高市早苗議員も、一九九七年一一月一七日の日本会議第一回中央大会での挨拶で、夫婦別姓についての意見を次のように述べていました。
    「お母さんと子どもの姓が違うこと、決してとてもいい影響があると思えません。ご先祖様をお祭りしていくこと、墓を守っていくこと、そんな中でも、一つの姓の役割というのはあると思います」(「日本の息吹」一九九七年一二月号、九ページ)〉

     憲法に「家族」に関する条文が無ければ、家族の絆や関係が壊れるのであれば、日本国憲法の施行から60年以上経過した日本では「家族がなくて個人個人がバラバラ」の社会になっているはずですが、実際にはそうはなっていません。それでも、安倍首相と日本会議のメンバーたちが「家族」にこだわるのは何故でしょうか。山崎氏はこう続けます。

    〈安倍首相と日本会議は、大日本帝国時代の日本の国家体制、とりわけ明治や大正期よりも「国家神道」の政治思想が国民と指導者の心を支配した昭和初期の日本を、良く言うことはあっても、悪く言うことはまずありません。
     日中戦争や太平洋戦争をはじめ、この時代に日本が国策として行った戦争や対外政策、国内での諸政策について、日本会議の論客はあらゆる「論法」を駆使して、日本は悪くなかった、常に正しいことをした、戦争や紛争はすべて中国やソ連(コミンテルン)、イギリスやアメリカの責任で、日本が悪かったというのは自虐史観だ、と弁護します。
     一九三一年の満州事変勃発から、一九三三年の国際連盟脱退、一九三七年の日中戦争、一九四〇年に始まる日本に対する諸外国の経済制裁、そして一九四一年の米英両国との戦争勃発という大きな流れには、当時の日本政府指導部による「国の舵(かじ)取りの失敗」という側面もあったはずですが、そうした「失政」や「見込み違い」「状況の見誤り」などの、当時の国家指導部の落ち度については、一切批判せず、光を当てようともしません。
     そして、安倍首相と日本会議は、日本国憲法を土台とする昭和中期以降の戦後日本を、悪く言うことはあっても、良く言うことはほとんどありません。先に紹介した新保祐司のように、一九四五年の敗戦より後の日本は「本来の輝きを失った」と見なします。
     このふたつの事実を合わせて論理的に考えれば、安倍首相と日本会議が「取り戻したい」と考えるところの「輝かしい日本」とは、昭和初期の日本、戦前・戦中の日本であるという以外の「答え」を導き出すことは困難です。〉

     戦前期昭和への回帰――基本的人権の立場に立つ個人から家長を中心とする家族観へ。安倍首相が「日本を取り戻す」と語るとき、その中核には昭和初期の家族観に基づく社会がイメージされているのではないかという、山崎氏の問いかけは、ずしりと重たい。
     日本国憲法では「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」となっている基本的人権条項が、自民党憲法草案では「全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない」となっています。「個人」→「人」、「公共の福祉」→「公益及び公の秩序」ささやかな「言葉」の置き換えに見えるこの変更はしかし、重要な意味を含んでいます。「個人」とは、一人一人が独立した思考と価値判断を持って「個別に行動する」存在を意味します。戦前・戦中の「国体」思想が最も嫌った「西洋由来の価値観」に基づく「個人主義」に通じる考え方をひっそりと取り去り、あわせて「家族主義」を潜り込ませた憲法草案なのです。

     安倍自民党総裁は、2012年12月14日に動画サイト「YouTube」が公開した動画「政治家と話そう」の中で日本国憲法についてこんな発言をしていたそうです。ちなみに2日後の総選挙で民主党に圧勝して政権を奪還しました。

    〈いじましいんですけどもね。みっともない憲法ですよ、はっきり言って〉

     いまや衆参両院において改憲発議が可能となる3分の2の勢力を握るに至った〝一強〟安倍首相と彼を支える日本会議の「戦前回帰への情念」から目を離せません。(2016/10/14)
    • 参考になった 4
    投稿日:2016年10月14日