書籍の詳細

山之辺美由(やまのべみゆ)は幼いころに“ひのきじいさん”と話をする方法を父親から教わり、植物と会話することができるようになった。しかし、自分勝手な人間たちに対する植物の声は、決して温かなものだけではなかった!!――「人間ヲ憎メ!」植物の声が聞こえる。「植物」が「人間」に反抗する!!SF短編の名手・岡崎二郎が描く“警告の書”。

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緑の黙示録のレビュー一覧

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  • 手塚治虫や藤子不二雄、少女マンガの諸作品を読んでいて思うのは、昔は本当に短編マンガが多かったなあということです。そのどれもに鋭くきらめくようなアイディアがあって、それが短いページ数でドラマチックに展開してハッとする落ちそして、いつまでも記憶に残る読後感がそこに生まれます。手塚治虫作品でいえば「ドオベルマン」、藤子・F・不二雄作品なら「カンビュセスの籤」に「ノスタル爺」。大友克洋作品で「宇宙パトロール・シゲマ」。諸星大二郎作品なら「感情のある風景」と、どの作品も、読んだその日の情景まで思い出させるほど、記憶に強く残っています。
     そういえば、『ブラック・ジャック』『MASTERキートン』のようなオムニバスの作品も減ってきたイメージ。短編マンガは、現代のマンガ状況では完全に日陰者のようです。
     そんな今でもショートショートのような味わいの短編を数多く発表しているのが岡崎二郎という漫画家です。代表シリーズの『アフター0』は、これはもう完全に星新一ショートショートの世界。一編一編新しいアイディアのつまった短編がこれでもかと並んでいてとても贅沢な作品群となっております。その後、発表された作品は完全に短編という形ではないものの、やはり連作短編形式のものが多く、一話一話できちんと完結し、独特な読後感を残す作品ばかりです。
     僕が特に好きなのは『緑の黙示録』です。樹木と心を通い合わすことができる少女・山之辺美由の4編の物語です。
     山之辺美由の能力は超常的なものですが、そこから起きる事件に関しては科学的な説明がなされるというのも面白いです。「第一話 ウパス」では温室で育てられたウパスという木の下で人が死んでいたという事件に山之辺美由が関わるという筋書きです。もともとウパスは矢毒につかわれるような毒を持つ木ではあるのですが、原因がわからない。そこで美由が自分の能力で事件の真相に近づこうとします…。
     岡崎二郎作品の魅力はこういった科学的なワンダーが全て人間につながって行くことです。恐竜や宇宙や動物や植物といった人間以外を題材にしていながら、そこから“人間”という存在そのものを考えさせられる、そのダイナミックな読後感にいつもぼーっとなってしまうのです。
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    投稿日:2013年10月18日
  •  「珍樹ハンター」をしている知人がいます。人間の顔に似た樹木を探しているのですが、木々を眺めつつ森林をさまようのだそうで、健康にとても良いのだそうです。感受性も研ぎ澄まされそうですね。岡崎二郎の『緑の黙示録』は、人が植物と会話するという物語。高校生の山之辺美由は、幼い頃父親から木々と会話する方法を教わって以来、植物の意思を感じとることができるようになりました。このマンガは単なる架空の話ではなく、植物はエチレン等の揮発性の植物ホルモンによってコミュニケーションできるといったフレーズが随所にちりばめられ、読者を納得させます。さらに、人と植物とのコミュニケーションによって、植物も感情を持っていることが浮き彫りにされます。作中に「人間が一人で生きられないように 木もまた一本だけで生きていくのは難しい」という会話が登場しますが、人も動植物も理解しあって共存したいと思わせる作品でした。(2010.11.28)
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    投稿日:2010年12月07日