書籍の詳細

平成の名作・ロングセラー『夕凪の街桜の国』の第2弾ともいうべき本作。戦中の広島県の軍都、呉を舞台にした家族ドラマ。主人公、すずは広島市から呉へ嫁ぎ、新しい家族、新しい街、新しい世界に戸惑う。しかし、一日一日を確かに健気に生きていく…。

総合評価
5.0 レビュー総数:5件
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この世界の片隅にのレビュー一覧

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  • ネタバレあり
    日常の延長線上にある戦争を描いた作品
    広島でごくごく普通に暮らす主人公の日常の延長線上にある戦争を描いた作品です。
    戦時中の悲惨さをドラマチックに描くのではなく、非常時の中でも現代の人と何ら変わらず毎日の暮らしがあり、材料が無い中でも工夫して食事を作り、面倒な家事をこなし、笑ったり時には怒ったりしながらも、明るくいようと努める健気な暮らしぶりが描かれています。戦況が佳境になる前の中盤辺りまでは比較的ほのぼのとしていて明るい雰囲気でこういった作品に苦手意識がある方も読みやすいと思います。
    終盤は本来なら少し未来への希望が溢れる暖かなシーンですが、その後の歴史を知っている読者からすると様々な細かな描写から悲しい未来が見えてしまうという物悲しい終わり方になっています。
    物語は主人公の幼少期の話から始まりますが本筋の序章にあたる部分の「冬の記憶」「大潮の頃」は他の話とは少し異なりファンタジー要素を含む終わり方をしています。その後の「この世界の片隅に」とタイトルがついた部分は全て「第○回 ○年○月」という形で年月が入った題名になっており、史実に基づいた物語となっています。
    この題名が例えば1話だと「第一回 18年2月」となっており、年号が省略された書かれ方をしています。個人的にはこの日記のような日付の表示の仕方が印象的で、作中これから描かれる歴史を既に知っているが故に作中の日付が進む度、この作品の結末は悲劇的なものになると勝手に決めつけるようなメタ視点を無意識に持っていたことに気づかさせられました。
    また、作者のあとがきから「昭和18年から21年」を描いたこの作品は「平成18年から21年」にかけて連載されていたことを知った上に、雑誌への初掲載日も作中の時期に合わせ掲載していたようで、作者の作品や実際に戦争の犠牲になった方たちへの強い想いを感じました。
    電子版と紙書籍の違いですが電子版は表紙が表分のみ、カバー折り返し部と裏表紙、カバー下絵は無し。各話ごとの初掲載日のクレジット無し。最終巻の参考文献や作者あとがきは収録。
    • 参考になった 4
    投稿日:2017年07月15日
  • 匿名希望
    こうの史代らしい戦中のごく普通の人々の生活の描き方
    「夕凪の街 桜の国」は以前に読んでいたのでこうの史代は知っていたが、この作品は映画化作品が大好評らしいというニュースを見て、作者がこうの史代だというのを知り、まだ映画は見ていない段階で原作を読んだ。
    いかにもこうの史代らしい、本当は時代背景としては貧しさ・悲惨さ・重苦しさがあるはずなのだが、それを感じさせないふんわりと柔らかい「普通の庶民の生活」を描いた作品。当時の社会風俗とか食生活とかが実に生き生きと描かれていて、そうだよなぁ、戦中と言っても人は人なんだよなぁとか、当時の暮らしや風習はこんなのだったんだとか、読まされる。
    それでいて、サラッと描かれているコマやシーンが実は後々の伏線になっているところが何箇所もあり、初めて読んだ時には気付かずにあれっ?そんな場面どこにあった?と何回も読み直すことになることもあり、思った以上に話が深い。
    各話で◯◯年◯月との表記がされ、淡々とそしてほのぼのと暮らしが進んでいくようで、でも読む側としては8月6日に広島に原爆が投下されるのは知っているわけで、作中ではそこまで凄惨な現場は描かれないが、深く考えさせられてしまう。
    この原作漫画を読んで、この漫画をどう映像作品にしたんだろうと、映画も見たくなってきた。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年12月02日
  • 市民目線での戦争と日常物語
    劇場アニメーションとして公開された後に原作を購入しました。
    主人公のすずが嫁ぎ先で生活に人間関係に苦労しつつも健気に生きる作品になっています。
    時は太平洋戦争という戦時下に入り物資の不足や
    更には戦況の悪化におい米軍の空襲が始まるなどの環境の変化、
    一般人目線での日常の変化なども見所の一つとなっています。
    人間ドラマの部分では劇場アニメでは語られなかった人物や
    関係における心境変化などもあり映画を見た!という人にもオススメできる内容になっています。
    また、この本を手にとってから劇場に足を運ぶのもオススメですよ!
    作者さんのほんわかした絵柄がとても光るところです。
    • 参考になった 0
    投稿日:2016年11月13日
  • 匿名希望
    ネトウヨ的歴史観でも読める
    主人公が女性です。生活感があります。
    つまらん男が主人公の薄っぺらい反戦マンガとは比べものにならないほど面白い。
    最後まで読んでも、後味は良いです。
    • 参考になった 2
    投稿日:2016年08月13日
  • 戦争の物語には、辛く悲惨なイメージがつきまとうものですが、この作品では、戦時中にも幸せな事や、楽しい事があり、人々には日常生活があったんだ、ということが描かれています。読んでいると、自分とは全く関係なく、遠い出来事のように感じていた戦争が、とても身近に感じられ、当時若かった祖母ももしかしたらこんな風に日々暮らしていたのかな、等と思いました。そして、悲劇が起こります。主人公・すずの日常生活を楽しく読んでいたから、より一層その悲劇は胸に刺さります。それでも生きていこう、と思える強さに、きっと読んでいる私たちは励まされるのではないでしょうか。一人でも多くの人に読んで欲しい、後世に伝えるべき名作です!
    • 参考になった 11
    投稿日:2010年04月16日