書籍の詳細

昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか……、原爆とは何だったのか……。漫画アクション掲載時に大反響を呼んだ気鋭、こうの史代が描く渾身の問題作。

総合評価
5.0 レビュー総数:5件
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夕凪の街 桜の国のレビュー一覧

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  • 匿名希望
    優しい絵柄とほのぼのとした人物たちと考えさせられる戦争・原爆
    原爆投下・終戦後の広島に生きる人々を描く。
    こうの史代さんの優しい絵柄と人物たちのほのぼのとした普通の生活の描き方に、直接的な凄惨さが描かれないからこそ、その背景にある原爆の悲惨さと原爆症後遺症の辛さ・重苦しさを逆に考えさせられる。
    • 参考になった 4
    投稿日:2016年12月02日
  • 匿名希望
    読むべしは「被爆」ではなく「家族」
    まずは酷い書き方からすると、この本を読んでも被爆について識り得るモノは少ない。
    昭和世代から見るとかなりオブラートにくるまれた「マイルドさ」さえある。
    しかし此処まで和らげないと被爆読み物自体が避けられる世の中になってしまった。

    そのかわり作品としては秀逸そのもの。
    綺麗で素朴な画調でよくこう言う切り口を描けるものかと驚く。
    でも本当は人として家族として友人(恋人)として、靄がかって見えないものを見ようと向き合う登場人物の姿勢こそがこの漫画から学ぶ物語かと思う。

    それが話自体は軽妙なコミカルで綴られているところに読みやすさがある。
    しかし数ページごとにしっとりと大事な事を諭してくれる。
    そのテンポも説法がましい他作品のような事が無いのがいいんだろう。
    「中沢作品」などでもう原爆の話は嫌だというかたでも読んでいける(と思う)、でも被爆の話だから読んで欲しいという漫画でもない。「家族」を描いた不思議な作品です。

    二つお願い。
    この漫画だけでは被爆はそんなに解らないので、せめて巻末に挙げられた出典本あたりからでもそのうち読んで欲しい。
    そしてこの本も、何回も長く読み直して欲しい。読む度に違う感想が抱けそうだから。
    (書籍版からの感想)
    • 参考になった 5
    投稿日:2015年11月22日
  • 若い世代に読んでもらいたい
     ヒロシマというと教科書的な悲劇が強調される話が多い。それは事実であって、尊いものでもあるのだが、反面どこか教条的なトッツキにくさが残ってしまうきらいがある。
     その点本書は、被爆者とその家族たちをとりまく日常の風景やサバイバーの心の苦しみなどを淡々と描きながら、かえってそれが迫ってくる良作である。

     原爆は2次大戦の終焉を早めた、というカンタンな米国的まとめかたの価値観と、実際にその暴力を向けられた国民としての痛みという背反した苦しみを負わされているのが/負うことができるのが日本国民であると私は思う。
     そういう意味で、これからの若い世代に読んでもらいたい本のひとつ。
    • 参考になった 2
    投稿日:2015年10月28日
  • 映画にもなっているので、もう少し長い話かと思っていました。「夕凪の街」と2話からになる「桜の国」、合わせて100ページ少々。決して情報量は多くありません。しかしセリフやしぐさの裏側にある何かが心にひっかかり読み応えある作品。生死、愛情、平和…、ありきたりだけど、いろんなことを考えさせられてしまいました。特にそれを意識したのは、「夕凪の街」を読んだ後。原爆が投下されてから10年後のヒロシマ。被曝しながらも生き残った女性を描くこの作品には、全編にうっすらと”哀”が漂っています。そしてほぼモノローグで語られる、繊細ではかないラスト3ページ。なんとなく、白いページにほんのりと薄紅がのって、桜の花びらのようにコマが散っていく、そんな印象を受けました。それでいて、話として何も終わらせてくれない。あとがきにもあるように、読んだ後にどう自分の中で消化していくかによって、この作品の世界観は完結するのでしょう。短い作品でも読後に残る心の作業は多いと思います。
    • 参考になった 4
    投稿日:2010年04月16日
  • 手塚治虫文化賞とメディア芸術祭マンガ部門大賞をダブル受賞したこの作品。絶賛されているのを見かけて、当時はじめてこうの史代さんの作品を手にとり、衝撃を受けました。原爆が落とされた後の、広島に生きる人々を淡々と描いたこの作品、まるで見てきたかのように描かれる日常の風景は、「こうの史代って一体何歳なの!?」と著者の年齢を疑うほど。そして、このページ数の少ないどちらかといえば地味な作品が、ちゃんと世の中に出て、高く評価されたことについて、こういう作品が出てくる日本の漫画文化って素晴らしい!と一人勝手に拍手喝采をしたのでした。
    • 参考になった 0
    投稿日:2010年01月15日