書籍の詳細

「人間のまがい物」「天使のまがい物」「機械のまがい物」――。ヴァンデミエール、それは魂を宿した自動人形。飛べない翼は自由な魂の象徴。造り物の体が宿した魂は、どんな障害にもくじけることを知らない。少女の名前はヴァンデミエール。せいいっぱい広げた飾りものの翼は、彼女たちをどこへ導くのか。19世紀ヨーロッパに似た世界から始まった、彷徨の物語がいま完結。

総合評価
4.0 レビュー総数:2件
評価内訳
  • 0件
  • 0件
  • 0件
  • 0件

ヴァンデミエールの翼のレビュー一覧

絞込み条件
  • レビュアー絞込み
表示形式
  • 表示件数
  • 表示順
  • 魂はあるけど自由のない人形ヴァンデミエール
    鬼頭莫宏氏の描く少女は、「ぼくらの」でも「なるたる」でもやたらと華奢で細身で、作り物の人形のようなのだが、本作ではまさにそんな鬼頭莫宏氏ならではの細身な少女が正真正銘作り物の人形だった。これがまた、魂を持った自律人形だけど、壊れていて飛べず、創造主の言うなりで自由がない。う~む、このブラックな感じ、「ぼくらの」や「なるたる」に通じるところがある。というか、「なるたる」に出てくるハイヌウェレを思い出させる造形。
    魂はあるけど自由がない人工物と、それを救おうとする少年の物語が心を打つ。
    自律人形ヴァンデミエールという主題は同じながら、それぞれの話は独立したオムニパス形式。かと思いきや、最終話はある一話と繋がっていることを連想させるような内容だったり。
    • 参考になった 1
    投稿日:2017年02月19日
  • 魂をもった自律胴人形・ヴァンデミエール。背中に翼をはやし容姿は天使のようだが、その翼で空を飛ぶことはできない。そんな彼女たちが自由を手に入れようとする8つのストーリー。救いがあるのかどうかよくわからない、そんな話です。ヴァンデミエールは見せものだったり慰みものだったりで、創造主に気に入らないことがあれば壊される存在。そして人間としても機械としても、ましてや天使としても偽物でしかない。そんなまがいものとしての哀しさを自覚しながらも、各エピソードにおいて、心に傷をもつ少年や青年たちとともに、自由への扉を開けようとする。その行動には自立とか自我とかの暗示が散りばめられていて、各物語の結末は心にグサリと突き刺さります。単行本用には最終話として描き下ろされた「ヴァンデミエールの滑走」というストーリーがあり、これなどは特に意味深。読後しばらくして、滑走とは飛び立つ前の助走だよなと気付き、結構切ない気分になりました。(2011/1/28)
    • 参考になった 0
    投稿日:2011年01月28日