書籍の詳細

紺野しぐれはクラスでいじめにあっていた。しかし、ある時肉体を離脱し、精神世界に入れるようになった。人の心を覗くしぐれは――!?いじめ、カルト、心的外傷、模造記憶、煩悩感染、人格農場、究竟涅槃、色即是空…。善良な市民の心に蒔かれた煩悩の種が花開く時、奇怪な事件が今日もまた起こる――貴方も煩悩を極めて涅槃寂静!!

総合評価
3.0 レビュー総数:1件
評価内訳
  • 0件
  • 0件
  • 0件
  • 0件

六識転想アタラクシアのレビュー一覧

絞込み条件
  • レビュアー絞込み
表示形式
  • 表示件数
  • 表示順
  • ネタバレあり
    心の救いと宗教とエレベーターの男
    まず、若干ショッキングな、ありていにいえばグロいシーンがあります。
    その点を踏まえた上で、女の子が可愛いなと思ったら是非オススメします。
    人を選ぶため☆3ですが、個人的には☆5です。

    人間の精神世界が可視化された電脳空間のような世界。
    そこでの情報は、現実の人間の精神にも影響しあっており、その世界に入る事ができるのは一種の「悟り」を開いた人間のみ。
    現実世界ではいくつもの新宗教が浸透していて、救いを求めて人々はそれらに縋っています。
    さて、彼らの「救い」はそれで得られるのでしょうか。

    いじめ、ストレス、生まれながらの障害。過去にあった出来事。
    登場人物の陰には、人生の困難さがつきまとっています。
    しかし、その中で「悟り」を開いた人間は屈折していながらも、善悪を超越してどこか突き抜けた痛快さを見せてくれます。

    そんななか、作中では主人公がすむマンションのエレベーターにコートをきた男が背を向けて立っています。
    表情こそ見えませんが、その背中はなんとなしにくたびれていて、いまにも自殺してしまいそうな悲壮感を印象付けています。
    この男、ストーリーには全く関わりがありません。
    しかし、本作の隠れた主人公であり、ひとつの象徴でもあると言ってもよいでしょう。

    狭苦しいエレベーターの一室で、壁に向かってじっと立つ、かなしげな背中。
    人生の困難さを思う時、エレベーターの男の事を考えずにはいられません。
    本筋のストーリーと、登場人物と、エレベーターの男。この三つに注目して読んでみる事をオススメします。
    • 参考になった 0
    投稿日:2015年10月20日