書籍の詳細

中国2000余年の歴史の真の主役は誰だったのか?興亡をくり返す政府にひきかえ、自分たちの世界をみずからの手で築こうとした民衆叛乱こそ、中国の歴史を動かす原動力だった。第1巻は、秦から唐、陳勝・呉広の乱から黄巣の乱まで。

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中国民衆叛乱史のレビュー一覧

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  • 尖閣諸島沖で日本の巡視船に体当たりする中国漁船の行動を記録したビデオがインターネットに流出して、日中関係に衝撃を与えています。この問題が発生して以来、中国各地では反日デモが頻発し、外交も行き違いが多くなってきているようですが、それ以上に気になるのは、どうも中国自体に知られざる危機が押し寄せていてのではないか、そうした事態に備えてというか、中国民衆のエネルギーの劇的な噴出を避けるために「日本問題」を利用しようという動きが中国政府内にあるのではないか、ということ。中国の民衆叛乱が歴史上に何を残してきたのかを見れば、そうした見方が決して突飛な考えではないことは明らかです。本書『中国民衆反乱史』は中国2000年の歴史を民衆の叛乱という視点から捉え直した貴重な文献です。なかでも注目しておくべきことは、民衆の叛乱が紀元前221年秦王政下で起きた「陳勝・呉広の乱」――中国史上初の農民叛乱――から清帝国滅亡に至るまで、各時代に一貫して見られる現象だということです。民衆叛乱はいうまでもなく専制支配の圧迫と収奪に対する抵抗運動として起こります。そして大事なのはその叛乱が直接間接に新たな専制権力を生みだすという時代の連続性です。秦朝打倒のさきがけをなした陳勝・呉広は前漢帝国のために道をひらき、またその創建者劉邦自身が民衆叛乱の一指導者であった――と筆者は指摘し、そうした例は中国の歴史においては別に珍しいことではなく、むしろごく普通のことだとも言っています。中国はいま、沿岸部の目覚ましい経済成長とそれに取り残された内陸部の疲弊という格差現象に象徴される、国家体制に忍び寄る亀裂に直面しています。民族問題も頭をもたげてきています。こうした体制への不満がはけ口を求めてエネルギーをため込んでいる状況にあります。「民衆の叛乱」という視点こそ中国とはなにか、中国の今後を考える上での最も重要な鍵であるというのが筆者のメッセージです。(2010/11/12)
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    投稿日:2010年11月12日