書籍の詳細

奥平康弘と宮台真司、学問ジャンルも世代も違うこの二人が憲法について討議する。このこと自体が一つの「事件」といえるだろう。自衛隊の海外派兵、有事法制、個人情報保護法案などのメディア・表現規制法案など、憲法の原則を揺るがす事態が生れ、日本国憲法を改正するべき、との声も出ている。その中で、いったい憲法とは何なのか?それは21世紀の日本の原理となりうるのか?これらを共通の課題とし、それぞれの研究・調査、さらには憲法体験を踏まえて語った画期的ダイアローグ。

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憲法対論 転換期を生きぬく力のレビュー一覧

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  • 戦後日本の憲法学を代表する碩学と気鋭の社会学者による対論が行われたのは、2002年5月20日と7月8日の2回。日韓共催の2002年サッカーワールドカップが5月31日に始まり、6月30日横浜で行われた決勝で幕を閉じていますから、ちょうどワールドカップが始まる直前と、終了した直後に対談が行われた格好になっています。それは偶然ではなく、「サッカーとナショナリズム」という問題を投げかけた社会状況をどう捉えるのかをめぐる議論から本書は始まっています。そしてこの点にこそ本書の今日的意味があるように思います。折しも2011年1月7日にはアジアカップが始まり、頂点を目指す日本代表と、それを応援するサポーターたちが打ち振る「日の丸」の光景がメディアを彩る季節です。本書の中で奥平先生は、チャイルド・ポルノ規制法に対しアメリカ最高裁が違憲判決を下したことの重要性を指摘しています。クリントン政権時代に児童ポルノを規制しようということで連邦法をつくったのですが、それが裁判所から違憲と判断されたわけです。日本では東京都が2010年12月にマンガ表現規制を条例化しましたが、その過程では「憲法意識」はまったくといっていいほど見えてきませんでした。「憲法」をめぐる状況は本書が出版された2002年よりも、もっと悪くなっているようです。時代の大きな曲がり角に立つ2011年の年頭の今こそ読んでほしい一冊です。(2011/1/7)
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    投稿日:2011年01月07日