従軍慰安婦

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「日本や韓国の若者たちに、日本が過去にやったことを知ってほしい」――日本政府の謝罪と補償を求めて提訴した韓国人元従軍慰安婦の一人はこう語った。軍慰安所はいつ、どこにつくられたのか。設置目的は何か。また、慰安婦たちの状況はどうだったのか。関係文書を丹念に収集・分析し、ヒアリングをあわせて全体像を描き出す。

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「日本や韓国の若者たちに、日本が過去にやったことを知ってほしい」――日本政府の謝罪と補償を求めて提訴した韓国人元従軍慰安婦の一人はこう語った。軍慰安所はいつ、どこにつくられたのか。設置目的は何か。また、慰安婦たちの状況はどうだったのか。関係文書を丹念に収集・分析し、ヒアリングをあわせて全体像を描き出す。

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大阪市長であり、日本維新の会共同代表である橋下徹氏の発言をきっかけに「従軍慰安婦」の問題がクローズアップされています。橋下氏は、軍隊に慰安婦は必要な存在だった、日本だけの問題ではない、また日本政府は2006年(第1次安倍内閣時期)の閣議決定で慰安婦強制動員の証拠がないとしているにもかかわらず、日本が国家的なレベルで慰安婦を強制的に動員したと世界が非難している、これは日本が不当に侮辱されているということであり、この点をしっかり主張しなければならない――などと繰り返し発言して内外に大きな波紋を投げかけました。そもそも「従軍慰安婦問題」とは何か。ここに一冊の本があります。タイトルは『従軍慰安婦』。1995年に岩波書店から岩波新書の一つとして発行された、吉見義明(中央大学教授)の労作です。吉見教授は長年、従軍慰安婦問題に関する公文書類の発掘調査に取り組んできた第一人者で、本書はその研究成果を一般読者に向けてわかりやすく書き起こしたものとなっています。「従軍慰安婦」の問題は様々な側面から議論されていますが、橋下氏や安倍首相はどうやら、「日本軍の直接・間接的な関与」を認めた河野(洋平官房長官)談話を否定し、「日本軍の関与を示す証拠はない」と主張しています。この問題に関連して、本書に二人の注目すべき回顧談が引用されています。一人は中曽根康弘元首相。もう一人は鹿内信隆元産経新聞・フジテレビ社長です。中曽根康弘元首相について、吉見教授はこう記しています。〈戦後に首相となった中曽根康弘も、この時期、主計将校(中尉)として軍慰安所設営に関係していた。彼は四一年一二月、フィリピンのダバオ、翌年一月、ボルネオ島のバリクパパンと転戦したが、この間、第二設営班の主計長としてみずから軍慰安所を開設したことを、回想記『二十三歳で三千人の総指揮官』に記している。 三千人からの大部隊だ。やがて、原住民の女を襲うものやバクチにふけるものも出てきた。そんなかれらのために、私は苦心して、慰安所をつくってやったこともある。かれらは、ちょうど、たらいのなかにひしめくイモであった。 (松浦敬紀編『終りなき 海軍』)〉 中曽根元首相は2007年、日本外国特派員協会での記者会見で、自身の回顧録中の「慰安所」とは「徴用工員たちのための娯楽施設」「軍人らが碁を打つなどの休憩所」と弁明していますが、鹿内信隆氏の回顧談はさらに具体的、若き時代を懐かしむかのようです。〈陸軍主計将校であった鹿内信隆(戦後産経新聞・フジテレビ社長)は、対談で三九年四月入校から九月卒業までの陸軍経理学校時代の思い出をつぎのようにのべている。 そのとき[慰安所の開設時]に調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか、それからムシロをくぐってから出て来るまでの”待ち時間”が、将校は何分、下士官は何分、兵は何分・・・・・・といったことまで決めなければならない(笑)。料金にも等級をつける。こんなことを規定しているのが「ピー屋設置要綱」(引用者注:ピーは中国語で売春婦の蔑称。慰安婦をさす隠語として使われていた)というんで、これも経理学校で教わった。この間も、経理学校の仲間が集まって、こんな思い出話をやったことがあるんです。(桜田武・鹿内信隆『いま明かす戦後秘史』上巻) 公文書で『ピー屋』という用語を使うわけもないから、「慰安施設設置要綱」とか「特殊慰安施設設置要綱」とでもいったのだろうが、陸軍経理学校で教えていたということは、軍慰安所設置は一般に考えられているよりももっと組織だっていたことになる。なお、鹿内主計中尉は、アジア太平洋戦争下に、陸軍需品本廠から東京葛飾の国際護謨工業(コンドームを扱うオカモト株式会社の前身)に派遣されて、コンドームの生産を指導することになる〉 「単なる娯楽施設」と弁解した中曽根元首相のようなわけにはいかない具体的な回顧談です。陸軍経理学校で将校に対して「女の耐久度」や「消耗度」を見積もる方法を教え、指導しているのですから、従軍慰安所の設営・運営に軍が関与していたと考えるのが自然です。そもそも慰安所設立の目的は、中曽根元首相も「原住民の女を襲うもの」がでてきたと言及しているように、占領地域において増加の一途だった強姦事件対策が第一にあげられています。第二が軍隊内に蔓延する花柳病(性病)をどうするかでした。その手段として奨励されたのが、「サック」(コンドーム)と「星秘膏」(予防薬)の使用で、コンドームはまさに主計将校を工場に派遣して生産管理をしなければならない重要な「軍需品」だったわけです。いずれにしても、多くの女性を徴集して従軍慰安所を大量につくっても、強姦事件はなくならず、性病の蔓延も続いたことを本書は多くの文献資料から明らかにしていくのですが、驚くべきは当時の陸海軍エリート将校たちの発想、思考と、70年後に「沖縄の米軍はもっと風俗を利用したらいい」と言ってのけた橋下発言が重なり合い、共鳴しているかのように見えることです。本書『従軍慰安婦』を今こそ、読み直してみてください。日本の歴史問題をここから見直すときだと思います。(2013/5/24)
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