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匿名の生徒による自警団「ガーディアン」が治安を守る中学校。赴任したばかりの秋葉は、これまでと比べて問題が少ない学校に安堵する。ささいな生徒の変化をきっかけに、秋葉は生徒の身を案じるが、同僚たちは激務に疲弊し、事なかれ主義だ。ガーディアンのメンバーたちは、問題のある生徒らに「制裁」を行っていた。相次ぐ長期欠席を怪しむ秋葉がガーディアンの存在に気づいたとき、おとなしい生徒達が一斉に牙を剥く。

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ガーディアンのレビュー一覧

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  • 少年犯罪をテーマに数々の傑作を産み出してきた薬丸岳さんの新作が、2017年2月24日、紙と同時に電子版も発売しました。今回の主人公は、中学校教師の秋葉悟郎。随所に謎が盛り込まれ、どことなく不穏な空気が漂っており、先が気になってページを送る手を止めることができませんでした。

    秋葉は、赴任して間もない中学校が、これまでの学校と比べて問題が少ないと感じていました。しかし、何かがおかしい。不良がいない、保健室の利用者が極端に少ない、なのに相次ぐ長期欠席者。

    実は、その中学校の平穏は、生徒たちによる自警団「ガーディアン」によってもたらされたものでした。それまで問題だらけだった学校が、ガーディアンの発足後、急速に平和になっていったのです。ガーディアンの存在は、生徒たちの間だけの秘密で、その存在を教師や親に漏らした者には、厳しい制裁が待っていました。

    ふとしたきっかけから、秋葉はガーディアンの存在に気付きます。周囲の教師たちの協力は望めないと分かると、独自に調査をし、核心に迫っていきます。すると、大人しかった生徒たちが態度を豹変させ……。

    実はこの小説、秋葉が主人公ですが、語り手となる人物が、中学生、教師、保護者含め全部で13人いて、それぞれの視点で物語が進められていきます。そのうち、中学生は8人。ひとりひとりが、困難な状況に晒されたり、友人を心配したりする様子が描かれています。

    思えば中学生とは、心が子どものまま、急激に広い社会に晒される時期。困難な状況に陥っても、いったいどうやって助けを求めればいいのか、誰が本当に信頼できるのか分からず、日々息苦しさを感じながら、それでも必死に生きている時期だと思います。そんな時、生徒たちの助けになってくれたのが、ガーディアンでした。しかし同時に、ガーディアンを敵にまわしたことで、苦況に陥ってしまう人もいました。

    果たして、ガーディアンとは何者なのか。生徒の味方なのか、それとも、生徒を縛り付ける存在なのか。ガーディアンによって、中学校に平和がもたらされたのは事実。しかし、このままガーディアンの存在を許してよいのか。秋葉は、教師ができることの限界にぶち当たり、葛藤します。教師は、生徒が抱える困難に対して無力な存在なのでしょうか。

    そして、驚きのラストへ。生きていれば、様々な困難に直面する。しかし、勇気を持って心を開くことで、周囲の景色が違って見える。そして、力強く乗り越えていける。そんな希望を与えてくれる小説です。
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    投稿日:2017年03月03日