書籍の詳細

これ、英語で言えますか?「うざい」「憂うつ」「切ない」「ハイテンション」「お疲れ様」「ごちそうさま」「頑張る」月間150万PVの超人気サイト“英語 with Luke”が電子書籍になりました!同じ状況で、ネイティブがよく使っているフレーズを基本表現からスラングまでたっぷり紹介します。

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「とりあえず」は英語でなんと言う?のレビュー一覧

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  •  最寄りの書店の実用書平積みコーナー。一冊の本が目にとまった。10月中旬のことです。
     やや抑えめなイエローの地に赤のオビ。文庫サイズの横組み左開きで、英語の教科書に載っているような、アメリカンなイラストを配し、シンプルな墨一色のタイトル文字が印象的なカバーデザイン。その『「とりあえず」は英語でなんと言う?』というストレートな書名がとにかく、気になったのだ。
    (え、「とりあえず?」どう言えばいいんだ?)
     手にした本を開くのを我慢して考え込んだ。私の頭に浮かんできたのは”first of all”だけでした。かつて週刊誌編集者時代にアメリカやヨーロッパの学者やジャーナリストから話を聞く機会がありましたが、インタビューを始める時の常套フレーズとしてしばしば使ったのが”first of all”でした。直訳的に言えば、「すべての中で、まず最初に」ですが、「最初に」とか「まずは」くらいな感じで使っていました。しかし、カバーにあるイラストは、テーブルについた三人の男性からウエイトレスが注文をとっている様子で、彼女は指を三本出していて、その脇に「beer」の文字――「とりあえず、ビール!」という感じだ。だとすると、”first of all”はちょっとニュアンスが違うというか、場違いな感じがする・・・・・・。

     この場合、いったいどんな言い方が適切なのか。このニュアンスの差、状況に応じた言い回しの選択が、英語を母国語としない私たちの、いちばん苦手とするところで、ようするにここではこう言えばいいのだという確信がどうにも持てないのです。その結果、よく意味不明と揶揄される“ジャパニーズ・スマイル”に逃げ込むことになります。
     本を開いて気になる“正解”を探しました。私の“場違いな感じ”は的中し、そこにはまったく別な言い方が載っていました。ただ数行先には、とっさに思い浮かんだ”first of all”の文字列も見えます。

     レジで消費税込みの799円を払って本を自宅に持ち帰り、該当ページをじっくり見てみました。
    〈レストランで注文するときの「とりあえず」〉の項(第6章)には、次のような説明が並んでいます。

    〈英語ではto start off withというフレーズをよく使います。
    To start off with, I’ll have some beer please.
    とりあえず、ビールお願いします。
     それを短くするには、以下の英語がいいです。
    I’ll start with beer please.
    とりあえずビールください。
    「とりま」(引用者注:最近、著者が友人から教えられたという「とりあえず、まあ」を略した日本語のスラング)のようなスラングを使ってみたいなら、for startersがいいです。
    For starters, I’ll have some spring rolls please.
    とりま、春巻きお願いします。〉

     to start off with
    「とりあえずのビール」でスタートすることが多い人は、覚えておいて損はないフレーズですね。
    「とりあえず」という言葉はいうまでもなく、様々な状況で使われます。〈計画するときの「とりあえず」〉、〈あとで状況が変わるときの「とりあえず」〉についても、ネイティブたちが日常的に使っている言い回しと簡潔でわかりやすい解説があって助かります。
    ”first of all”は、計画するときの「とりあえず」のなかに出てきました。

    〈何かを計画する場面でも「とりあえず」はよく使うでしょう。英語では、先ほどのto start off withやfirst of allをよく使います。
    To start off with, let’s have lunch in the park.
    とりあえず、公園で昼ごはんを食べましょう。
    First of all, we should contact all the clients who regularly make donations.
    とりあえず、定期的に寄付している顧客全員につのりましょう。〉

     続く〈あとで状況が変わるときの「とりあえず」〉は、取引先との商談、打合せで頻繁に出てくる言葉です。こんな具合だ。

    〈for the time being、for now、at least for nowは、「近いうちに何かをするけれど、あとで状況が変わるかもしれない」というニュアンスを含ませたいときに使います。
    I think you should work in the sales department for the time being. We will reassess the situation at a later date.
    とりあえず、あなたは営業部で働いたほうがいいと思います。あとで状況をまた検討します。
    For now, you should concentrate on studying for the TOEIC exam.
    とりあえず、TOEICの試験のための勉強に集中したほうがいいです。
    At least for now, you can go to the top of the cathedral, but they are probably going to renovate it soon.
    とりあえず、大聖堂の上まで行けるけれど、もしかしたら近いうちに改築されるかも。〉

    〈for the time being〉も〈for now〉も、そして〈at least for now〉も知りませんでした。しかし、こうして生きた例文の中で教えてもらうと、使える時が多い「とりあえず」ですから、次の機会に絶対使ってやろうという勇気が湧いてくるから不思議です。

     さて、この『「とりあえず」は英語で何と言う?』(大和書房)が電子書籍になって2016年12月9日から配信が始まりました。10月半ばの紙書籍出版から2か月近く、書店の平積みを横目に見ながら待っていた電子版です。紙版は発刊から2週間ほどで3刷と順調に版を重ねています。
     著者のルーク・タニクリフさんは、イギリス人の父とアメリカ人の母を持つハーフです。イギリスで生まれて、13歳の時にアメリカに引っ越し、11年間をアメリカで過ごした後、日本にやってきました。日本では新潟の中学校教師をした後、東大大学院で翻訳を学びました。2010年に立ち上げたブログ「英語(Eigo)with Luke」は月間150万PVの人気サイトに育ち、その記事から生まれたのが本書です。アメリカ英語とイギリス英語の差異に通じ、加えて日本語もしっかりと身に付けたルークさんだからこその特徴が随所に発揮されています。
     中学以来ずいぶん長い間英語をやってきているのに実践はからきしという、私たち普通の日本人に役立つように工夫された6章で構成されています。
     第1章「自分の気持ち」を伝える
     第2章「自分の状態」を伝える
     第3章「性格」を表現する
     第4章 モノを評価する
     第5章 会話がはずむ英語
     第6章 知って損はない便利な英語

     前掲の「とりあえず」は「第6章 知って損はない便利な英語」からの引用ですが、そのほか各章にはたとえば、「面倒くさい」(第1章)、「ボーッとする」(第2章)、「天然ボケ」(第3章)、キモい(第4章)、「無理しないで」(第5章)、「今なんて言った?」(第6章)などなど、ネイティブが仕事や生活していく中で使っている533のフレーズが状況や目的別に分類されて並んでいます。実際、どんなフレーズが並んでいるのかは立ち読み版の目次ページで自由に読むことができますから、ここでは省きます。

     最後に、第6章の最後のトピックとして紹介されている「よろしくお願いします」の中から、そうか、こんな風に言えばいいのか、と思ったフレーズをお教えしておきましょう。
     初対面の時の「よろしくお願いします」は、”nice to meet you”で基本的に大丈夫だと確かめることができました。それプラス自然で親切なフレーズも紹介されていてたいへん勉強になったのですが、なにより本書を読んでよかったと思ったのは、私たち日本人がよく使う「○○(人)をよろしくお願いします」は英語でなんと言うか、を知った時です。著者は端的にこう書いています。

    〈これは日本人の親などはよく言いますが、英語圏ではあまり言う習慣がないので以下が自然でしょう。
    It’s great to have you as Johnny’s teacher.
    あなたがジョニーの先生になってくれて嬉しいです。〉

     10年ほど前のことです。それまでミシガン州の大学町に住んでいた息子ファミリーがニュージャージー州のハドソン川近くの町に移りました。夏休みをかねて引っ越しの手伝いに行った時、彼らが借りたアパートの大家さん(イタリア系の世話好きそうなおばあさんで、隣に住んでいました)に「息子たちをよろしくお願いします」と言いたいのですが、なんて言えばいいのか。その一言が全く浮かんでこなくて困り果てたことがありました。“貧弱な英語力”を思い知らされた夏休みでした。わかってみればなんてことはありません。“先生(teacer)になってくれて・・・・・・”と言えばよかったのです。あの時、本書があったらなぁと悔やんだ次第です。
     日本語と英語。日本社会と英語社会。単語レベルで言い換えればすむものではなく、文化の差異、感覚の差異を知って伝える努力が必要だということを改めて知りました。
     年末年始の海外旅行――愛用のスマホやタブレット端末、PCに一冊の必携本です。(2016/12/23)
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    投稿日:2016年12月23日