書籍の詳細

少し前までは「身体髪膚、これを父母に受く」と教えられたものだ。ところが、“武士は食わねど高楊枝”と言い出したあたりから、日本人は精神第一主義に走り「身体」を置きざりにしてきた。脳死や臓器移植が取沙汰される昨今、改めて「心と身体」について考えてみたい。生身の人体を陳列した「人体博物館」があると良いのだが……。ベストセラー『バカの壁』著者による、64のコラム。思想、言語、権力、文化、教育を自然と相対させ、生命の本質を抉り出す。

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涼しい脳味噌のレビュー一覧

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  • 養老孟司さんについてはいまさら説明の必要はないでしょうが、ご本人の説明によれば、解剖学を専門とする医師、ただ患者さんを診たことはほとんどない、そうです。患者さんを診ることはないが、その分(?)世の中や、日本人のありよう、文化などなど多種多様な問題に関心を払い、考え、文章に書き残しています。この本もそうしたものの一つで、日常的に生起していることを入り口にしつつ、時に目からウロコの視点や考えをズバリ展開していて、一気に読ませてくれます。「タバコ文化」から「島田雅彦論」まで多岐にわたるのですが、医学博士号をもつ手塚治虫の生命観について考察した章が面白い。手塚治虫の生命観を改めて考えてみようと作品を読み直した養老孟司さんは手塚治虫の作品に単なるヒューマニズムを見るのは少しちがうのではないか、という。ヒトに対する愛情よりもしばしば生きとし生けるものに対する愛憐の情がより強く表現されていると指摘して、さらにレオナルド・ダヴィンチを想わせる身体への見方が強く印象に残っていると言うのです。ちなみに養老さんが東大医学図書館長を務めていたとき、あるOBが手塚全集を寄付してくれた。その時、養老館長は大事に保存してきた手塚治虫の学位論文(「タニシの異型精子の電子顕微鏡学的研究」)を全集につけて閲覧できるようにしたそうです。この全集と手塚治虫の学位論文は今でも東大の医学図書館で読めるそうです。(2009/12/11)
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    投稿日:2009年12月11日