書籍の詳細

1947年の井上一雄の「バット君」から、「背番号0(ゼロ)」「スポーツマン金太郎」「ちかいの魔球」等が続き、そして梶原一騎・川崎のぼるの「巨人の星」は日本中を熱狂させた。さらに「アストロ球団」、水島新司の作品群、「キャプテン」「タッチ」と多くの名作が生れている。手塚治虫が手掛けなかった世界を丁寧に読み解いた画期的なマンガ史。野球マンガ略年譜を付す。

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戦後野球マンガ史 手塚治虫のいない風景のレビュー一覧

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  • 夏の甲子園を目指して、各地で予選が始まりました。高校野球ファンには、たまらない時季ですね。野球マンガもずいぶん増えましたが、『戦後野球マンガ史 手塚治虫のいない風景』(米沢嘉博)は、お気に入りを選ぶ一助となるでしょう。この本には、『ちかいの魔球』(ちばてつや)、『巨人の星』(原作:梶原一騎 画:川崎のぼる)、『キャプテン』(ちばあきお)、『タッチ』(あだち充)ほか、有名無名の野球マンガがふんだんに紹介されています。読んでいて面白いのは、系譜や誕生時の隠れたエピソード、発表当時の読者の反応などがつぶさに記されていることです。意外に思ったのは有名な「消える魔球」が究極の魔球として様々な作品に登場しているという事実でした。また、『巨人の星』が発表当時に「ワザとらしい泥臭い表現は当時から笑いのネタにされ」、「臭いヒロイズム」もシニカルに笑われていたという側面もあったようです。もちろん、『巨人の星』のその圧倒的なドラマツルギーとパワーによって、不朽の名作となっていった経過も忘れずに追っています。なにより、野球マンガをほとんど描いたことがない手塚治虫が、『巨人の星』に夢中になるアシスタントたちに「何処が面白いか教えてくれ」と怒鳴ったのだとか。マンガの神様も嫉妬するほどの名作が、ズラリ並んだフィールドのナビゲーターのような本なのです。(2012/6/26)
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    投稿日:2012年06月26日
  • 蔵書数14万冊、明治大学付属「米沢嘉博記念図書館」が2009年10月末にオープンして話題となっている。名前が示すように2006年に亡くなったマンガ評論家でコミックマーケット代表の米沢嘉博氏のコレクションが中心。戦後の漫画界に大きな足跡を残した米沢氏が「手塚治虫のいないマンガ史」を意識して書いた力作だ。少年と野球、少年とマンガの関係を探って、週刊誌以前の作品、貸本マンガ、少女マンガ、青年マンガにまで目配りしたうえで、野球マンガは少年マンガの王道であり続けてきたと言いきっています。1959年3月に「少年マガジン」と「少年サンデー」が創刊されますが、少年サンデーの表紙は少年と長嶋茂雄でした。米沢氏は、マンガ時代の本格的幕開けに登場した長嶋茂雄の表紙はそれ以降のマンガの展開を予言していたという。私たちの生活史、大衆文化史として野球マンガの系譜を辿る試みは、著者のマンガへの愛情とその博覧強記によって見事に成功していると言える。(2009/11/13)
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    投稿日:2009年11月13日