書籍の詳細

『萬朝報』紙上で、権力者の醜行を執拗に攻撃したため涙香は「まむしの周六」と渾名されたが、本書では、男の玩弄物である妾の実例を暴露。犬養毅、山県有朋、井上馨、伊藤博文、榎本武揚ら政治家のほか、文化人では森鴎外などを俎上にのせている。

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弊風一斑 蓄妾の実例のレビュー一覧

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  • 明治時代に活躍した作家、ジャーナリストの黒岩涙香(くろいわるいこう)をご存知でしょうか。1892年(明治25年)にタブロイド判の日刊新聞『萬朝報(よろずちょうほう)』を創刊。内村鑑三や幸徳秋水、堺利彦らが参画、権力を持つもののスキャンダルを徹底的に追及して部数30万部を達成します。当時「蝮(まむし)の周六」と呼ばれた黒岩涙香自身の手による人気連載が本書「畜妾の実例」です。有名人のスキャンダルをもっぱら扱うメディアを「赤新聞」と呼ぶのは「萬朝報」が一時桃色の紙を使用していたところから始まったといわれますが、この「畜妾の実例」、タイトルだけが凄いという昨今のメディアとは大違いです。中身がタイトルをけっして裏切ってはいません。計501名の実在の男たちが妾をどこに囲っているのかをこと細かに、名前・住所・職業つきで明らかにしているのです。暴露の対象となっているのは有名人、権力者ばかりではありません。銀座の時計屋さんもいれば、日本橋の陶器問屋さんもいます。市井の人であれ、権力・金力の座にある人であれ、妾を持って一夫多妻とするは人倫の根本を破壊する行為として断罪するという次第。現在では考えられないメディアの姿勢ですが、それにしても501名の中には、よくここまで書けたと感心させられる権力者が目白押しです。伊藤博文、山県有朋、犬養毅、森鴎外、井上馨、原敬、黒田清輝、北里柴三郎、渋沢栄一・・・・・・政財界・学界・文化人区別無しです。永平寺執事の職にある僧侶に至っては「曹洞宗内にても有名の蕩楽(どうらく)坊主」と書かれ、警視総監までが遡上にのせられています。いくら妾を持つのは男の甲斐性といわれた時代とはいえ、嫌も応もなく活字で暴露されていくのですから、今度は自分の番かと戦々恐々だったであろうことは想像に難くありません。ゴシップ雑誌の先駆けの切れ味を確かめてみてください。(2010/5/7)
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    投稿日:2010年05月07日