書籍の詳細

「青い月曜日」は、英語のブルーマンデー(宿酔)に由来する。「私にとって少年時代と青年時代はいつもとめどない宿酔であった」と著者は言う。戦中戦後の混乱し、かつエネルギーみなぎる日本。ある日爆撃で死んでゆく友、見たこともない外国の話と目がまわるような空腹、生活力あふれる庶民たち。大阪に生きたひとりの少年の魂の彷徨、青春なるもののあらゆる陰影を詩情あふれる文体で定着させた開高文学の傑作。この自伝的小説には、開高健の真髄がある。

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青い月曜日のレビュー一覧

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  • 毎年正月元旦の出版各社の新聞広告、なかでも朝日新聞に全面のスペースをとって掲載されるそれは、その年に出版各社が何をやろうとしているのかを表していて、新しい年を迎える最初の朝の楽しみの一つです。出版社は前の年の夏前からそのための企画を練り、渾身の力をこめて元旦の宣伝企画を創りあげると聞いています。その意味で今年、注目されたのは集英社でした。戦場用のヘルメットをかぶって放心したかのような作家・開高健のモノクローム写真がほぼ8割のスペースを占めていて、下部に「戦争×文学」全20巻+別巻1の文字。創業85周年企画として、明治期以来の戦争文学の集大成を2011年6月から刊行するというのです。そして企画を象徴する存在として同社と関わりの深かった開高健を前面に出した宣伝をうったというわけです。この企画の中で開高健は、ベトナム戦争のルポなどが収録されるようですが、今回紹介する『青い月曜日』は、開高健自身の青春時代の戦争原体験を綴った作品です。少し長くなりますが、一部を引用します。〈とつぜん炸裂音がひびいた。はげしい風が体を材木のようにうった。私はかけだして焼跡の溝のなかにとびこみ、体を伏せた。川田と尾瀬も溝にとびこんできた。炸裂音はそれきりだった。たった一発おとしたきりだった。かなり小型の爆弾だ。空を仰ぐと、のんびりした爆音だけがひびいて、もうB29は点のようになっていた。やがて積乱雲のなかにとけてしまった。(中略)その日の夕方、そしてその後ずっと、弓山は家にもどらなかった〉ベトナム戦争の現場に特派員として飛び込んだ開高健は、それ以前、少年時代に大阪を爆撃するB29を仰ぎ見、多くの死を体験していました。その思いをベトナム取材と同じ時期に作品として書き上げたのが、本書。ダンディな側面でよく知られる開高健のもう一つの顔が見えてくる傑作です。(2011/1/14)
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    投稿日:2011年01月14日