書籍の詳細

「僕が跳びはねている時、気持ちは空に向かっています。空に吸い込まれてしまいたい思いが、僕の心を揺さぶるのです」(本文より)人との会話が困難で気持ちを伝えることができない自閉症者の心の声を、著者が13歳の時に記した本書。障害を個性に変えて生きる純粋でひたむきな言葉は、当事者や家族だけでなく、海をも越えて人々に希望と感動をもたらした。世界的ベストセラーとなり、NHKドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」でも放映された話題作、待望の文庫化!デイヴィッド・ミッチェル(英語版翻訳者)による寄稿を収録。

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自閉症の僕が跳びはねる理由のレビュー一覧

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  • 私が著者の東田直樹さんを知ったのは、2014年8月に放映されたNHKのドキュメンタリー番組『君が僕の息子について教えてくれたこと』を観たのがきっかけです。この番組名にある「君」が東田さん、そして「僕の息子」は、日本滞在経験もあるイギリスのベストセラー作家・デイヴィッド・ミッチェルさんの、自閉症の息子さんのことです。2016年12月11日には、続編『自閉症の君が教えてくれたこと』が放映され、話題になりました。

    自閉症とは先天性の発達障害の一つで、言葉の発達が遅れ、対人関係を築くことが困難で、特定のことに執拗なこだわりを見せるという特徴があるそうです。ミッチェルさんは、自分の子どもの心が理解できず、悩んでいました。なぜ床に頭を打ちつけるのか、なぜ奇声を発するのか、なぜ自分の言葉が届かないのか……。

    そんなミッチェルさんが偶然見つけたのが、この『自閉症の僕が跳びはねる理由』。重度の自閉症と診断された東田直樹さんが、中学生時代(続編の『自閉症の僕が跳びはねる理由2』は高校生時代)に執筆した本です。「自閉症の人の心の中を僕なりに説明する」(はじめにより)ために、「どうして目を見て話さないのですか?」「なぜくり返し同じことをやるのですか?」といった様々な質問に、東田さんが回答する形で編集されています。

    自閉症の人は、うまく言葉を発することができないのですが、東田さんは、PCのキーボードを模した文字盤を使用することで、自らの考えを言葉にすることができるようになったそうです。これによってこの本が生まれ、国内のみならず海を超えて、自閉症の人とのコミュニケーションに悩む人を救ったのです。ミッチェルさんが本書を英訳したのを皮切りに世界数十言語に翻訳され、世界的ベストセラーになりました。

    特に心に残った東田さんの言葉を抜粋します。「自分の気持ちを相手に伝えられるということは、自分が人としてこの世界に存在していると自覚できることなのです」「僕たちが一番辛いのは、自分のせいで悲しんでいる人がいることです」「普通の人は気持ちが苦しくなると、人に聞いてもらったり、大騒ぎしたりします。僕たちは、苦しさを人にわかってもらうことができません」。

    人を理解するとはどういうことか、コミュニケーションで大切なことは何かを、コミュニケーションに障がいのある東田さんが教えてくれた気がします。なお、巻末には、デイヴィッド・ミッチェルさんによるコメントが収録されています。自閉症への深い理解と、悩む人々に寄り添う気持ちと、東田さんへのリスペクトにあふれた文章です。こちらもぜひ読んでいただきたいと思います。
    • 参考になった 1
    投稿日:2017年01月20日