著者:重松清

KADOKAWA / 角川書店

640円 (税別)

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夫婦関係に問題を抱えるアラフィフオヤジ三人を中心に個性豊かな面々たちが登場し、「家族とは何か」について考えていく作品です。テーマはシリアスなのですが、テイストはドタバタコメディなので、とても読みやすいです。

中学教師の主人公・宮本陽平は、子どもが二人とも家を出たため、夫婦二人で過ごすことに。陽平は新生活に前向きでしたが、偶然、妻が署名済の離婚届を見つけてしまいます。さらに、陽平の教え子・克也の家庭にも問題が発覚……。また、陽平と同じ料理教室に通う武田一博は、妻と四年半前から別居状態。そしてなぜか、通っている料理教室の新しい女性講師と、その妊娠中の娘が、一博の家に転がり込んできます。

一方、一博の小学生時代の同級生で、陽平にとっては料理の師匠である小川康文は、今では円満家庭を築いていますが、一度離婚を経験しています。一度失敗しているからか、康文の言葉には含蓄があります。ほかにも個性的な面々が登場し、多彩な料理を作りながら、「家族」にまつわる自分自身の「哲学」を語っていきます。それぞれが違った「哲学」を持っているのですが、みんな一本筋が通っているので、なるほど、と納得させられます。この物語は、料理から生まれた名言が満載です。

例えば、陽平が教え子で家庭に問題が起こってしまった克也に伝えた言葉。「メシを食うことの重みがわからないうちは、おまえはまだ駄々をこねてるだけのガキなんだよ」「メシをつくることは、それを食べる相手の笑顔を見たいと思う、ってことなんだ。優しさなんだ。料理を覚えることは、優しさを覚えることでもあるんだ」。この「優しさ」というのが、この物語の核となるキーワードの一つです。

さて、妻の離婚届を発見した陽平は、妻と別居中の一博は、結局離婚してしまうのか……。なお、この作品は、2017年1月28日に公開される映画『恋妻家宮本』(主演:阿部寛・天海祐希)の原作です。ぜひ読んでみてください。
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