書籍の詳細

私の見た「昭和20年」の記録である。満23歳の医学生で、戦争にさえ参加しなかった。「戦中派不戦日記」と題したのはそのためだ――(「まえがき」より)。「歴史」「死」に淡々と対峙する風太郎の原点がここにある。終戦直後の日本人の生活精神史としても実感できる貴重な記録。

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新装版 戦中派不戦日記のレビュー一覧

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  • 「(八月)十五日(水) 炎天 ○帝国ツイニ敵二屈ス。」忍法帖シリーズなどで知られる作家の山田風太郎が23歳の医学生であった昭和20年という時代をありのまま、見たままを記録した日記の8月15日にはただ一行こうあります。1月から12月までが一冊にまとめられているのですが、この一行を境に生活が一変していきます。6月21日には「神田、水道橋、お茶の水―といまさら数えたてるまでもなく全部の廃墟に赤き夏の落日照る」とあったのが、終戦から6日、8月21日には「授業再開。午前外科、皮膚科。」とあります。著者は出版するにあたって、削除したい無用の記述や注をつけたい思いをあえて捨てて、そのまま出すことにしたといっています。そこがこの日記の貴重な点です。大晦日、昭和20年の終わりを山田風太郎は「日本は亡国として存在す。(中略)いまだすべてを信ぜず。」と締めくくっています。(2009/7/24)
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    投稿日:2009年07月24日