書籍の詳細

「奇人とは、稀人であり、貴人でなければならない」と、著者は規定する。永井荷風、坂口安吾をはじめとする作家や、中江兆民、石原莞爾、阿部定など明治から昭和までの多士済済。いずれも独創性や個性、「貴」なるものを排除する風潮のあるわが国においては稀な人々である。

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ニッポン奇人伝のレビュー一覧

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  • 奇人変人、怪物が姿を消し、「顔のない人間」ばかりになっているのではないか、と大まじめに危惧している元新聞記者がこつこつ書きためた「ニッポンの奇人」を総覧しようという挑戦的な書です。なにしろ、明治・大正・昭和の三代にわたる「奇人」ついて数百冊の書物を読みまくり、奇想天外、抱腹絶倒のエピソードを拾い集めたというのですから、中身の濃さは保証できます。永井荷風、川端康成、坂口安吾から朝永振一郎、吉田茂、岡潔、坂田三吉まで35人が登場しているなかにあって、ひときわ目を引くのが紅一点、阿部定の存在。愛人を絞殺、陰部を切り取って逃亡した猟奇事件の主人公として大きな話題となった女性ですが、その事件が起きたのが1936年5月。三ヶ月前に2.26事件が起きており、ちょうど昭和史の分岐点となった年という時代背景に着目した著者は阿部定を「男性の暴力の象徴である2.26事件に対し、阿部定は男性のシンボルを切り落とすことによって、愛の至上なことを示し、戦争へとひたはしる軍国日本にノーを突きつけた」と評価しています。気になる奇人をピックアップしても面白く読めます。(2009/10/2)
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    投稿日:2009年10月02日