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「それらを通過する前とあととでは、日本人の意識のあり方が大きく違ってしまった」1995年に起きた阪神淡路大震災、そして地下鉄サリン事件。日本の戦後史の転換期を狙い澄ましたかのようなこの二つの悲劇は、地下――「アンダーグラウンド」から突如噴き出した、圧倒的な暴力の裏と表だった。魂の最奥部を見つめ続けてきた作家が、62人の関係者への丹念なインタビューを通じて浮かび上がらせる現代日本の、そして人間の底深い闇。強い祈りをこめた、渾身の書き下ろしノンフィクション。

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5.0 レビュー総数:1件
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アンダーグラウンドのレビュー一覧

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  • 3月20日
    3月20日は地下鉄サリン事件が起きた日だ。
    私は当時はニュースで事件の報道を知ったくらいで、完全に傍観者でしかなかったが。
    あの日と阪神大震災と東日本大震災を機に、日本は社会としての方向を大きく転換せざるを得なくなったように感じる。
    ファッション、現象、流行として村上春樹を捉える風潮には以前から困惑を覚えていたけれど、この記録は、多くの葛藤を経て、この事件当事者の方々の肉声を、真摯に伝えようとするものであり、村上氏の別の引き出しをまた一つ新たに私達に示している。
    当時は誰もが、なぜこんなことが起きたのか受け止めることができず、まさに報道は狂騒の極みのようだった。しかし、他の数え切れない痛ましい事件と同様に、当事者に何が起きていたのか、結局のところは傍観者には伝わっては来なかったし、私を含めて傍観者は他の事件や雑多なニュースと一緒にして、数年もしたらこの異常な忌まわしい事件も記憶の片隅に押しやってしまったように思う。忘れられることは人間にとって救いでもあるけれど、決して忘れてはならないこともあるだろう。
    北朝鮮情勢に神経を尖らせ、ISの脅威に曝されている今こそ、理不尽かつ圧倒的な暴力が、人に一体何をもたらすのか、心に刻むべく、広く読み継がれるべき記録だと思う。
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    投稿日:2017年04月03日