書籍の詳細

諸星大二郎の代表作であり異色作『マッドメン』。文明とは縁の遠いパプアニューギニアの奥地を舞台に、少数民族ガワン族の少年・コドワと、人類学者の父を持つ日本人少女・波子の運命を描く。作品全体を通して文化人類学・民俗学の要素が散りばめられており、現地専門員や研究者からの評価も極めて高い。著者の想像のみで描かれたフィクションが、読む人を圧倒するリアルさで迫ってくるという傑作。読後、神話世界と現代世界が結ばれる不思議な感覚を味わうことができます。

総合評価
5.0 レビュー総数:1件
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マッドメンのレビュー一覧

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    底本は光文社の愛蔵版です。良いです。
    本シリーズ「マッドメン」は、これまで単行本化が少し不自由でした。「天国の鳥」「鳥が森に帰る時」という二つのエピソードが、他のエピソードが構成する主ストーリーライン「オンゴロの仮面」と少し矛盾するからです。過去の単行本化ではこの2話を除いてあったこともありました。
    今回は完全版ですので、その2話含む全話が入っています。
    ただし、順番が面白い。最初は違和感ありましたが、読み進んでうなりました。
    つまり、3部構成なんですが、1部がコドワの登場から悪霊アエンとの対決まで。2部は例の時系列が少しおかしい2話。3部の主人公は、なんとコドワではなく波子なんです。
    これは昔出ていた単行本を読んでては気付かなかったことでした。
    「マッドメン」の後半の主人公は波子! そう、生まれながらに伝説だったコドワではなく、日本のごく普通の少女だった波子が、自分の選択として神話伝説の世界で生きようと決意する、その過程がドラマになっているのです。
    この頃の諸星先生は女の子が可愛いです。全体に画力も凄く、たった一人で水木プロと同じような細密画を描いています。後半、波子がだんだんと文明国の服を脱ぎ捨て(脱がされ?)、半裸のネイティブ・ニューギニアンとなっていくのがとても素敵で、美しく、カッコイイです。
    本書のスケールの大きさは、改めて読み終わると圧倒されます。
    なお、うれしいことに「鳥が森に帰る時」の最後のコマの台詞などは初出に直っています。「気が狂った」といった台詞は現代風に書き換えられていますが、まあ仕方ないでしょう。他にも、全体の平仄というかストーリーラインで矛盾を生じないよう直された台詞がありますが、どこがどう変わったかはお楽しみに。けっして興醒めではなかったです。むしろ、編集者のこの作品への愛と尊敬を感じました。
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    投稿日:2018年07月24日