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怪盗クイーンに不可能はない! 飛行船で世界じゅうを飛びまわり、ねらった獲物はかならず盗む。怪盗クイーンに不可能はない。ところがそんな彼に挑戦する謎のサーカス団があらわれ、クイーンが盗むつもりだった宝石を横取りした。そして、魔術師や催眠術師など特殊能力をもつ団員たちがクイーンに勝負をいどんできた。彼らの目的はいったい何? 夢水清志郎の好敵手・怪盗クイーン、主役で華麗にデビュー!

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怪盗クイーンシリーズのレビュー一覧

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    「千裕」という名前の漢字は「有り余るほどの余裕を持つ」という意味だと思っています(実際に両親がそう思って付けたかは別ですが)。名前に恥じぬよう、常に余裕を持った人生を送りたいのですが、現実はそうとはいかないものです。ギリギリなんてかっこ悪い、と思ってはいるのですが、気が付くとギリギリ虫はいつも私の後ろに迫っています。自分自身がそんな調子なので、ゆとりがあって優雅に振る舞える人にとてもあこがれを持っています。

     私にとって、その「優雅な人」の代表が怪盗クイーンです。

     ぬけるように白い肌、灰色の瞳、銀色に近い白い髪、白い口紅で色を消した唇──中性的な出で立ちでギリシャ彫刻のような美貌を持つクイーンの職業は怪盗。ですが、クイーンが目指すのは、お宝目当ての盗みではなく、彼(彼女?)の美意識を満足させる獲物を華麗に頂戴することなのです。巨大飛行船でワインを飲みつつフランス語で会話をするクイーン。その生活は隅から隅まで「怪盗の美学」を満足させるものです。美意識の赴くままに悠々自適に、クイーンみたいに華麗に生きたい!来世生まれ変わるならクイーンのように、とりあえず現世では来世に向けてフランス語の勉強とワインの勉強でも……そんなことを日々考えて過ごしています。

     私のあこがれの先輩とも呼べる、素敵な怪盗に出会ったのは小学校の高学年のころ。「そろそろ子ども向けの本は卒業しなきゃなぁ。」と思っていた時期でした。しかし、「怪盗」という言葉にひかれて、ついこの本を手に取ったのでした。

     ページをめくるとはやみねかおる先生の「赤い夢」の世界が広がり、私はそのままそこの住人に。そして、「まだまだこんな面白い作品があるなら子どもの本も読み続けたい!」と考えを改めました。あまりに面白かったので父と母にも本を勧めると、二人とも夢中になって読んでくれました。児童書を楽しそうに読む大人を見ながら、本に年齢制限は存在しないことを実感しました。大人も子どもも、本の世界では関係ありません。

     久しぶりに読み返してみると、クイーンの仕事上のパートナーであるジョーカー君について「年齢は二十歳前後だろう」と書いてあることに気付きました。かっこいいお兄さんだと思っていたジョーカーが年下になってしまったなんて。時の流れを感じます。しかし、読み進めるとやはり、クイーンへのあこがれが再び心に湧きあがりました。まるで小学生の私に戻ったように。読めばいつでも童心に戻れる、私の原点ともいえる一冊です。

    (2014.06.01)
    投稿日:2016年02月24日