書籍の詳細

若手建築士として注目を浴び、己のルックスにも自信を持っていた北嶋は、とあるコンペでホテルマンの牧田と出会う。その落ちついて控えめな物腰を軽んじ、コンペで最優秀賞を逃したことで牧田にいちゃもんをつける北嶋だったが、常に大人の余裕を持つ牧田に諌められ高慢な鼻をへし折られてしまう。それをきっかけに牧田の人間性に触れ、恋に落ちてしまった北嶋は、思い付く限りの策を弄するのだったが……。

総合評価
5.0 レビュー総数:1件
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透過性恋愛装置のレビュー一覧

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  • うざい男がかわいく見えてくる不思議……
    結構前の本ですね。かわい夕美子さんは初読みです。
    この本は『上海金魚』『月一滴』というお話に挟まれた三部作。全部独立していますのでひとつだけ読んでも大丈夫です。
    上海金魚に出てくるCPがすべてのお話に顔を出すので、彼らをめぐる物語、ととらえるのが正解だと思うのですが、この『透過性恋愛装置』に出てくる北嶋があんまりな性格なので三部作の中で一番のインパクトを残してくれました……。
    この北嶋、本当に嫌な男です。
    まず、人の気持ちや立場をおもんばかることを知らない。自分が一番だと思っている(しかも腹立つことに実力とかなり華やかなルックスを持っている)。興味のないやつはいないに等しい。エッチはめんどくさいから勝手に上に乗っかって済ましてほしいとか、堂々と言っちゃう。
    とにもかくにも空気など読む努力など皆無の男です(ゲイバーにつれていけと自分で頼んでおきながら、店員に向かって『ガチでオカマだ』とか言いやがった日には張り倒したくもなろうと言うものです)。
    そんな北嶋が恋に落ちたのは設計のコンペで出会ったホテルの企画部長、牧田。日本人ばなれした長身としっかりした体つきの、腰に来るようないい声を持った男でした。
    見せびらかせるような恋人をはべらかすことには苦労しなかった北嶋がまさかの男に心惹かれ、ところが戸惑うどころか爆走乙女と化してあの手この手で気を引こうとします。
    本当に半分くらいの北嶋は腹立つ腹立つ、こんなのが同じ部署だったら絶対配置がえを希望する!っていうほどやなやつなのですが、この、嫌なやつキャラがじっくり浸透したあとの替わりっぷりがこのお話の醍醐味。
    失恋したと言ってはおいおい泣くシーンは、なんか今までの無礼の数々を水に流してもいいかと勘違いしてしまうほど。
    決して共感できないムカつく男が、最後にゃ可愛らしく見えてくるのはひとえに攻めの牧田のお陰かもしれません。紳士面して、エロいよ牧田。
    これを読んだあとに『月一滴』を読むとただでさえかわいそうな橋本が、さらに不憫に感じられる魔の相乗効果、恐ろしい……。
    • 参考になった 4
    投稿日:2016年04月12日