ヒトイチ 画像解析 警視庁人事一課監察係

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「蒲田署内で拳銃自殺だ」。遺体は強姦痴漢事件の犯人を追いつめていた腕利きの巡査部長。警視庁人事一課監察係、通称ヒトイチのエリート榎本博史が真相究明に乗り出すと、警察のデータサーバーには防犯カメラから転送された驚きの画像が―― 「警察が警察を追う」シリーズ、絶好調第二弾! <文庫書き下ろし>

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「蒲田署内で拳銃自殺だ」。遺体は強姦痴漢事件の犯人を追いつめていた腕利きの巡査部長。警視庁人事一課監察係、通称ヒトイチのエリート榎本博史が真相究明に乗り出すと、警察のデータサーバーには防犯カメラから転送された驚きの画像が―― 「警察が警察を追う」シリーズ、絶好調第二弾! <文庫書き下ろし>

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書店員のレビュー

 警察官の不正・非行が絶えない。6月20日付け日本経済新聞朝刊は、「女性750人盗撮か/警官を書類送検」の見出しで、警視庁が、女性のスカート内にスマートフォンを差し入れて盗撮したとして男性巡査部長(32)を東京都迷惑防止条例違反容疑で書類送検し、停職1か月の懲戒処分にしたことを報じました。巡査部長は書類送検・停職処分と同時に辞職したと記事にはあります。「懲戒解雇」ではなく、「停職1か月」の処分で辞職が受理されたことには首をかしげた人も少なくないだろうと思いますが、ここで言いたいのはその点ではありません。記事が社会面の下の方に1段組のベタ記事だったことです。「盗撮」程度の警察官の非行はもはや日常茶飯事で、衝撃や驚きを持って受け止められるほどのニュースバリューはないということなのです。
 記事になるかどうかの判断基準を示す例え話――犬が人を噛んでも記事はならないが、人が犬を噛んだら大ニュースだ――をご存知だと思います。日常化した警察官の小さな不正・非行は「犬が人を噛んだ」と同じで、もはやニュース価値が低下してしまったのです。世の中の関心も日増しに薄れてきているようです。
 しかし、世の中の無関心が強まれば強まるほど、内部の構造的不正が深化していくことはないか。小さな非行の激増の裏側で進行する警察内部の不正の深刻化に正面から挑む問題作が登場しました。警視庁出身の作家・濱嘉之が文庫書き下ろしで開始した新シリーズ――『ヒトイチ 警視庁人事一課監察係』です。
 物語の軸となる主人公は、警視庁人事一課――通称ヒトイチの監察係長になって4年の榎本博史警部。ヒトイチは警視庁の上層部である警部以上の人事を担当する部署で、人事第一課長はキャリアのポストで階級は警視長。キャリアの出世コースからは外せない要職です。そのキャリア課長のもとで、警察組織内の不祥事や非行事案を摘発し、処理するのが榎本が属する監察。監察は日頃から約五万人にもおよぶ警視庁全職員の素行に目を光らせている。34歳にして監察係長を務める榎本は、周囲からはノンキャリのエリートと目されています。巡査、巡査部長時代は所轄で実務を学びましたが、わずか二年で警部補に昇任。それ以降は一年間所轄に戻ったものの、これまでの警察人生のほとんどは出向先の警察庁と人事一課で過ごしてきた。あえて言えば、現場の捜査経験が乏しいのがコンプレックス――鮮やかな経歴を持つキャラクター造形が「警察を追う警察」監察による身内捜査を描くこれまでにない警察小説の大きな魅力となっています。

 第1章「新宿の舎兄」――内部捜査の発端は、警視総監宛の内部告発でした。
〈「係長、失礼します」
 振り返ると、主任の竹内利衣が軽く頭を下げた。
「内部告発です。新宿署の組対課長代理が反社会的勢力と不適切な関係にあるとの情報です」
 竹内は部下の警察官の中で唯一の女性だった。整った顔立ちだが、さばさばした性格のせいか浮いた話は一度も聞いたことがない。
「文書か」
 榎本は竹内に手渡されたA4用紙に目を落とした。
「警視総監宛てに届いたもののコピーです。差出人名は偽名でしょう」
「消印は」
「新宿郵便局ですが、封筒や切手から指紋は取れていないそうです」
「準備周到だな」
 すでに鑑識課の特殊班の手を経ているようだ。榎本は頷いて文書をもう一度読み返した。「内容がなかなか具体的だから突っ込んだ調査をしておこう。課長代理の人定は」
 これまで榎本は監察へ来てから何度も内部告発をみてきたので、信憑性があるかどうかはある程度直感で判断できるようになっていた。
「三田村陽一、五十五歳の警部です。もともとは捜四でマル暴担当でした」
「その名前……さっき見たぞ」〉

 新宿署組対課の三田村課長代理の名前は、新規捜査本部設置の報告書にあった。三田村代理は総監特命事件の捜査本部に所轄の捜査主任官として参加することになっていた。そもそも捜査の端緒は歌舞伎町でボッタクリ被害にあった都庁議会局職員の被害届を受けた三田村によるスキミングの現認・現行犯逮捕だった。それまでに警視総監賞を幾度も受賞しており、今回の摘発によってその年の部門別表彰は決まったも同然と豪語してはばからない三田村は、なるほど反社会的組織から中国人組織まで新宿の裏社会のすべてを知り尽くしていて、ダブルのスーツに派手なネクタイ、オーストリッチの黒バッグを小脇に抱えて歌舞伎町を歩く姿はまるでこの界隈で働く男のようだった。
 警視庁本部組対四課の捜査員が参加する合同捜査本部設置の数日前、三田村以下十数人の新宿署組対捜査員が歌舞伎町一丁目にある有名韓国料理屋「大明洞」の個室に集まって祝杯をあげた。

〈「日頃の労苦に感謝する時、仕事が終わった後に部屋で缶ビールを飲むようじゃだめだ。無事に新件送致した祝いをし、次へのステップになるよう気を引き締める。何事もメリハリが大事なんだよ」
 三田村の言葉は説得力があり若手の中には共感する者が多かった。面倒見がよい三田村はしばしば大人数の部下を引き連れ、普段行けないような豪華な店で飲み食いさせていた。それらはすべて私費だったため、さらに尊敬を集めた。
祝杯を楽しみに仕事をしているような古参の捜査員の目にも、昔気質で豪快な三田村は理想の上司として映っていただろう。(中略)
 参加者の会話が途絶え始めたころ、三田村は席を立ってレジに向かった。
 会計を待っていると、奥から店長のユンが出てきて何度も腰を折りながら三田村に頭を下げた。
 三田村がカードのサインをし終えると、最後にユンは「また宜しくお願いします」と言って、手にしていた韓国海苔の写真が印刷された紙袋を三田村に差し出した。
「いつも悪いな」
 三田村はにっこり笑って紙袋を受け取り個室に戻った。
「さて、宴たけなわだな。締めるぞ」
 それを聞いた係長が全員に起立を要請した。
「今日も美味い酒が飲めて、美味い食事ができたのも、ひとえに三田村代理のお陰です。明日からまた三田村代理のご指導のもと頑張って仕事をしましょう」
 そういうと皆の顔を見て頷いた。
「それでは関東一本締めで。お手を拝借」
「よーっ」
 パン、という音が個室内に力強く響いた。〉

 ヒトイチの榎本係長のもとで泉澤(いずみさわ)班5人の警部補が三田村代理に対する極秘捜査に動き始めます。二人一組の行動確認、本人の携帯と自宅の電話関係、銀行調査、人事記録に基づく家族関係・・・・・・仲間の警察官であろうが、監察の手によって容赦なく丸裸にされていきます。そして、その先には宗教法人と国会議員の関与までが見え隠れしています。
「警察の警察」ヒトイチ監察の捜査は、相次ぐ捜査情報の漏洩の謎を追う「第2章 復讐のポルノグラフィ」、ブラックジャーナリストの暗躍の裏側「第3章 灰色の筆致」へと続きます。
 榎本係長が真相に迫っていくリアルでスリリングな警察の内部ドラマ。中央大学卒業後、警視庁入庁、公安部公安総務課などで捜査に携わった経験を持ち、2004年警視庁警視で辞職、作家に転身した濱嘉之にしか書けません。第2弾が楽しみです。(2015/6/26)
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