虫の目で人の世を見る 構造主義生物学外伝

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クワガタ、カミキリなどの昆虫から、超先端技術が生み出すクローン羊やサイボーグ、民俗世界が創造した河童までを、「構造主義生物学」の立場から綴るエッセイの数々。虫採りの楽しみを語り、世相風俗を論じながら科学的・客観的心理の盲点を衝く。市場経済にも、私生活にもよりかからな「マイナーな普遍」。そこに虫屋の孤独と栄光があるのだ。

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クワガタ、カミキリなどの昆虫から、超先端技術が生み出すクローン羊やサイボーグ、民俗世界が創造した河童までを、「構造主義生物学」の立場から綴るエッセイの数々。虫採りの楽しみを語り、世相風俗を論じながら科学的・客観的心理の盲点を衝く。市場経済にも、私生活にもよりかからな「マイナーな普遍」。そこに虫屋の孤独と栄光があるのだ。

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書籍の詳細
  • 書籍名: 虫の目で人の世を見る 構造主義生物学外伝
  • 著者名: 池田清彦
  • eBookJapan発売日: 2012年04月27日
  • 出版社: 平凡社
  • 連載誌・レーベル: 平凡社新書
  • 電子書籍のタイプ: 画像型
  • ページ数: 264ページ
  • 立読ページ数: 21ページ
  • ファイルサイズ: 10.4MB
  • 関連ジャンル: 趣味・実用 教養・カルチャー平凡社新書
  • 対応デバイス: WindowsMaciPhoneiPadAndroidブラウザ楽読み

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書店員のレビュー

池田清彦著『虫の目で人の世を見る 構造主義生物学外伝』は、奇書である。小学4年の頃に蝶の標本づくりを始め、高校生物部をへて、大学院の頃にカミキリムシにはまり、以来、日本国内のみならず、遠くオーストラリア、ベトナムなどアジア各地にまで「虫」を求めて通い続ける歴戦の「虫屋」である生物学者が、日々の「虫」との付き合い、それに関わる「人」との交流(何でも「虫友」というらしい)を徒然(つれづれ)に綴った新書版の本をそのまま電子化したものですが、ここに書かれている「虫と人の世界」が、面白い。凄まじく面白い。そもそも「虫屋」とは? 著者によれば、〈魚屋は魚を売って商売する人であり、肉屋は肉を売って商売する人であるが、虫屋は虫を売って商売する人ではない。生きた虫を売る人を何と呼ぶかはよく知らないが、虫の標本を売る人は昆虫標本商と言い、虫屋とは言わない。虫で商売をしている人は他にもいて、たとえば、研究と称するほとんど何の役にもたたないことをしてお金を儲けている人は、昆虫学者と呼ばれる。(中略)虫屋というのは虫を商売にしている人ではなく、趣味で虫を集めている人のことだと理解してくれればそれでよい。虫屋の中でも蝶を専門に集めている人は蝶屋と言い、カミキリムシを専門に集めている人をカミキリ屋と言う。〉養老孟司さんも著者と一緒にベトナムまで虫採りに出かける「虫屋」で、「虫友」だそうです。趣味に生きる人たちとしては「鉄ちゃん(テッチャン)」が有名ですが、その純度、熱烈さにおいて「虫屋」は鉄ちゃんの上をいっているかもしれません。たとえば、こんな具合です。ハノイの南西100キロのクックホンという森の中でのこと。〈フタオチョウを採るにはトラップをかけるのである。腐ったカニが一番とのことだが、これはすさまじく臭い。次善の策は水たまりに小便をかけておくことである。これも西村君(引用者注:案内役でクックホンの蝶の大家)に教わったのである。ナガサキアゲハやミカドアゲハ、スソビキアゲハ、無数のシジミチョウやシロチョウが群がる水たまりを見つけ、しめしめと思って放尿をする。待つこと数分、弾丸のようにフタオチョウが次々飛んできた。そっと網をかぶせて採る。中には網をかぶせようとする刹那に逃げる奴もいる。いきおい、こちらも網を振り回すことになる。網は水たまりをかすり、飛沫が顔にかかる。少し臭いような気もするが、自分のだと思えば気にもならない。そこへ西村君がやってくる。「フタオ、採れたでしょう。さっき細工しときましたから」「細工ってまさか。小便したの」と恐る恐る聞く私。にっこりほほえむ西村君。〉虫屋への道をまっしぐらに進み、様々な虫との出会いをしてきた著者が生涯忘れることのできない特別な日。山梨大学に赴任した著者が甲府の西にある明野村の正楽寺にオオクワガタを採りに行きます。〈黒々とした森の中に入っていく。昼間はオオムラサキやスズメバチやカナブンたちでさんざめいていた森は、魔物のすみかのように生きものの気配だけがして、老婆の手のようなクヌギの大枝からは妖気が立ち上がっていた。目が闇に慣れてくると、それらの枝の所々、多くはコブ状になって樹液がにじみ出ているような場所に、巨大なオオムカデが音もなく歩いているのが見えた。さらに目をこらすと、オオムカデの向こうに漆黒の戦車のような影がうごめくのが見え、これが目ざすオオクワガタなのであった。手のひらに載せると脚を全部縮めて死んだふりをする。見慣れている同行の瀬田さんはともかく、生きたオオクワを初めて採った私は、こうなるともうオオクワをもっと採ることしか考えられなくなる。森にすむ魔物も、恐ろしげな妖気も、下草にひそむマムシも、こわいものは何もなくなる。この日は、オスのオオクワガタを十匹以上も採り、生涯忘れられない日となった。〉他にも、ゴキブリを素手で捕らえ、ゴミ箱に捨てるまで0.8秒という、飛んでいるハエを箸でつかんだという宮本武蔵並みの技など、紹介したい話がまだまだありますが、最後に巻末に「カッパの系統と進化」と題する研究論文が収録されていることに触れておきます。報告者は「国立河童研究所特別研究員 井桁希世」。本書著者・池田清彦の別名であることは察しのいい読者の皆さまにはすでにお分かりかと思います。騙されたと思ってお読みください。(2012/5/4)
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