書籍の詳細

落(さげ)は落語のいのち。明治・大正期の文人、海賀変哲が実際に見て、聴いて、集めた三百数十種の「落」にあらすじを付して落語の真髄にせまる。第1巻には、大正7年の単行本「落語の落」全編を収める。

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新編 落語の落のレビュー一覧

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  • 「整いました・・・・・・」とやってうけている若手のタレントがテレビに始終登場するなど言葉遊びがブームとなっています。言葉遊びの原点とも言うべき落語も人気を集めているようです。『新編 落語の落(さげ)』(全2巻)は明治大正期の雑誌記者、小説家・海賀変哲が大正7年に刊行した「落語の落(さげ)」(初版は大正3年)に雑誌「文芸倶楽部」に連載した「拾遺落語」「新作落語」「小話一束」などを加えて東洋文庫に収められた、落語の真髄を究めた書です。著者は札幌農学校(現在の北海道大学)を卒業後、当時の大手出版社・博文館に勤め、「文芸倶楽部」の編集に携わる一方、「変哲」というなんとも人をくったペンネームで小説なども書いた才人で、「落語の落」も同誌の連載として書かれたものが後に単行本として刊行されたもの。この本の何が凄いのか。海賀変哲自身が耳で聞き、目で見た演目だけを集めてその落を簡潔に解説してみせる技につきます。その数三百数十にのぼりますから、当時高座で語られた噺はだいたい網羅していたと言っていいのではないでしょうか。ちなみに、電灯の普及が始まるのは明治30年代に入ってからのことで、それまで寄席は薄暗かったそうです。日本全体が夜は暗かったわけですが、とにかく寄席では大ランプがつり下げられ、高座には二つの燭台という状況で、薄暗いなかで噺家が怪談話を語るからこそ気分も乗るし、面白かった。煌々と灯る明かりのなかで聞く幽霊ではその気にはなりにくい。秋の夜長――そんな往時に思いをはせながら、落語を読んで愉しんでください。(2010/10/22)
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    投稿日:2010年10月22日