書籍の詳細

「週刊文春」の名物対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」が、連載900回を超えた。20年間で取材した各界著名人は1000人近い。が、未だにインタビューに苦手意識があるというアガワ。なぜ相手の本音を引き出すことができるのか? 本書では、数々の失敗から会得した「『分かります』と安易に言わない」「『たとえば?』『具体的には?』は話を掘り下げるのに有効」「なぐさめの言葉は2秒後に」などの“秘訣”を、インタビュー時のエピソードとともに初披露する!

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聞く力のレビュー一覧

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  • 2012年に出版された本で、唯一100万部を突破してミリオンセラーとなった『聞く力』。著者の阿川佐和子さんは作家・阿川弘之の長女で、エッセイスト。「週刊文春」の連載対談企画はなんと900回を超え、土曜朝のテレビの対談番組も好評。いまや「対談のスペシャリスト」となった著者が「対談企画」を始めた時、つまり「初心」に立ち返って、人から話を聞くということについて考え、悩み、失敗を繰り返しながら、「聞き上手」の境地にたどりつくまでをまとめたのが本書『聞く力』です。阿川佐和子さんは、なぜ、人の話を上手に引き出せるのか。彼女が相手だと、どうして人は気持ちよくしゃべってしまうのか。「週刊文春」の対談企画がスタートする前に別の雑誌の企画で今は亡き作家・城山三郎にインタビューした時に「聞き上手」の大事さを知ったと、阿川さんはこう書いています。〈初対面だった城山さんにご挨拶をすませると、私はさっそく、「ご本(引用者注:『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』)、とても面白かったです」と申し上げました。遅読の私にしては珍しく読了して、本当に面白かったと感動していたからです。その本は、ビジネスマンとして成功を遂げたカナダ人の企業家が、これから社会でもまれていく息子に宛てて、ときに厳しく、ときに愛情深く、あるいはウイットを交えて、仕事や人生についてのさまざまなアドバイスを綴ったものでした。「面白かった」と発言した私に城山さんはニッコリ微笑みかけて、シワシワの顔でおっしゃいました。「そう? どこが?」え、どこがって言われても・・・・・・。読んだのは事実ですが、的外れなところを指摘したら、ご機嫌を害されるかもしれない。どこにしよう。なんと答えよう。「えーと。これは父親が息子に宛てた手紙という形になっていますが、女の私が読んでも納得できる教訓がたくさんありました。ビジネスマン向けアドバイスというよりは人間としてどう生きるかという根源的に大切なことがたくさん鏤(ちりば)められていましたし。だからこれはビジネスマンだけでなく、女性でも子供でも、誰が読んでも面白い本だと思います」「そう、あとは?」あとは? もっと言わなきゃいけないの?「あと、そうですね。最後のエピソードが好きでした。むさぼらない。どんなにお腹が空いていても、人を押しのけて料理を取ろうとするなんてみっともない。人生も同じだ。どんなに欲しいと思っても、まわりを押しのけて手に入れようなんて下品な真似をしてはいけないという、あのエピソードが心に残りました」すると城山さんは、「いい読者だねえ」とニコニコなさる。なんだかもっとニコニコしていただきたくなって、「あとはですねえ。あの章の・・・・・・」と話しているうちに、気づきました。そうだそうだ、今日は私が聞き手だったんだ。喋っている場合じゃない〉インタビュアーの立場に帰ろう帰ろうと意識すればするほどに、ニコニコ顔の城山三郎先生のさりげない返し技に、阿川さんはとうとうと喋りだしてしまいます。気がついてみれば、熱中症でお腹を壊して唸って寝ていたとき――ふすまの外で母に向かって父が「産婦人科を呼べ、産婦人科だ!」意味がわからず、後日、腹痛が治まってから「あれはどういう意味ですか」と父に抗議すると、フンと一つ鼻で笑って、「女が腹が痛いといやあ、相場は決まってる」と一言。つい、ああ、そうなんだと納得してしまったという秘話まで明かしてしまっていた始末。反省しきりの阿川さんでしたが、このとき城山三郎の「聞き上手」ぶりに気づいたことが、のちの長寿対談連載の出発点になりました。〈城山さんのどこが、聞き上手なのだろう。城山さんは私の前で、鋭い突っ込みや、こちらがドキッとするような質問はなさいませんでした。ただひたすら、「そう」「それで?」「面白いねえ」「どうして?」「それから?」と、ほんの一言を挟むだけで、あとはニコニコ楽しそうに、私の世にもくだらない家庭内の愚痴を、穏やかな温かい表情で聞き続けてくださったのです。「そうか!」私は合点しました。(中略)私にできることがあるとすれば、城山さんほど穏やかな優しい性格にはなれないけれど、本当は知識も教養も豊富なのにそんな気配をおくびにも出さぬ「能ある鷹」の城山さんとは比べものにならないけれど、でもとりあえず、面白そうに相手の話を聞くことくらいはできるはずだ。いや、それしか私に打つ手はないと思ったのです〉「城山さんを目指す」を目標に連載対談を始めた阿川佐和子が「聞き上手」になるまでのノウハウがたっぷり詰め込まれた優れもの。一度は目を通しておく価値ある一冊です。(2012/12/21)
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    投稿日:2012年12月21日