書籍の詳細

もう若くないのはわかっているが、疲れる──。三十代後半、家庭では大黒柱を演じ、仕事は上から下からの難題を突きつけられつつ、かすかなモラトリアムをしのばせる世代。ダムに沈んだ故郷をでて二十年がたち、旧友の死をきっかけに集まった同級生それぞれの胸にある思いは「帰りたい、故郷に」。人生の重みにあえぐものたちを、励ましに満ちた視線で描く表題作はじめ三篇を収録。現代の家族、教育をテーマにつぎつぎと話題作を発信しつづける著者の記念碑的作品集。

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カカシの夏休みのレビュー一覧

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  • ダムの建設で水没した故郷を出て22年。中学の同級生の訃報がもたらされ、かつての仲間が再会する。そして37歳の教師の僕に初恋相手のユミから届いた「幸せってなんですか?」の返信。答を見いだせない自身に困惑する僕・・・・・重松清は等身大の悩みを、思いを透明感のある筆致で描いていく。物語は37歳にして交通事故死した友人の骨を故郷に持ち帰ることで、故郷を出て22年の僕と同級生たちが今を生きていくことを確認することになるのですが、そこに至るまでの彼らの迷い、心の奥底の願望が同じ時を生きるものの共感を呼びます。友人の骨をおさめたスポーツバッグを手にとってそのあまりの軽さに驚くシーンが重松清らしくていいですね――〈なにかの間違いじゃないかと思うほど軽い。嘘だろう、おい、と言いたくなるほど小さい。(中略)三十七年間生きてきて、死んで、けっきょくふりだしにもどってしまうわけだ〉。表題作「カカシの夏休み」のほか、「ライオン先生」「未来」が収録されています。(2009/12/25)
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    投稿日:2009年12月25日